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7つの習慣 人格主義の回復 スティーブン・R・コヴィー著

1.はじめに

本の紹介も、今回で節目の50冊目になりました。

そこで、「自己啓発」を代表する本書を取り上げます。

副題にもある通り、優れた人格を持つことこそが第一の偉大さであり、社会的評価は二の次である、ということが一貫して語られています。

以下で、7つのそれぞれの習慣について、個別に触れていきます。

2.内容

  • 「7つの習慣」とは、原則を中心に据え、人格を土台とし、インサイド・アウト(内から外へ)のアプローチによって、個人の成長、効果的な人格を人間関係を実現しようという思考である。インサイド・アウトとは、自分自身の内面から始めるという意味である。内面の最も奥深くにあるパラダイム、人格、動機を見つめることから始まる。
  • 習慣は、私たちの人生に決定的な影響を及ぼす。習慣とは一貫性であり、ときに無意識に行われる行動パターンであり、日々絶えず人格として現れる。その結果、自分自身の効果性の程度が決まる。
  • 習慣とは、知識・スキル・意欲の3つが交わる部分。①知識は、何をするのか、なぜそれをするのかという問いに答える理論的なパラダイム。②スキルはどうやってするのかを示し、③意欲は動機であり、それをしたいという気持ちを示す。人生において効果的な習慣を身に付けるには、これら3つすべてが必要。

(1)主体的である

  • 主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するものではない。人間として、自分の人生を引き受けることも意味する。私たちの行動は、周りの状況でなく、自分自身の決定と選択の結果である。私たち人間は、感情を抑えて自らの価値観を優先させることができる。
  • 衝動を抑え、価値観に従って行動する能力こそが主体的な人の本質である。反応的な人は、その時々の感情や状況、条件付け、自分を取り巻く環境に影響を受ける。主体的な人は、深く考えて選択し、自分の内面にある価値観で自分をコントロールできる。
  • 良い仕事に就けるのは、自分から主体的に動く人。その人自身が問題の解決策となる。正しい原則に従って、望む仕事を得るために必要なものは端から実行する人。
  • 人に責任を持たせるのは、その人を突き放すことにはならない。逆に、その人の主体性を認めること。
  • どの習慣でも、行動を起こすのはあなたの責任。周りが動くのを待っていたら、あなたは周りから動かされるだけの人間になってしまう。自ら責任を引き受けて行動するのか、それとも周りから動かされるのか、どちらの道を選ぶのかによって、成長や成功の機会も大きく変わる。
  • 主体的な人は、影響の輪の領域に労力をかけている。自分が影響を及ぼせる物事に働きかける。主体的な人のエネルギーには、影響の輪を押し広げていくポジティブな作用がある。自分が影響を及ぼせる物事を疎かにしてしまうと、ネガティブなエネルギーが増え、その結果、影響の輪は小さくなっていく。

www.newsweekjapan.jp

  • 自分でコントロールできない問題の場合には、その問題に対する態度を根本的に改める必要がある。どんなに気に入らなくても、自分の力ではどうにもできない問題なら、笑顔を作り、穏やかな気持ちでそれらを受け入れて生きる術を身に付ける。自分の習慣を変える。影響を及ぼす方法を変える。
  • 「主体的」という言葉から、押し付けがましく、もしくは無神経な態度をイメージする人もいるだろう。しかしそれは全く違う。主体的な人は、賢く、価値観に従って行動し、現実を直視し、何が必要かを理解する。
  • 影響の輪にフォーカスすることは、人格を磨くことに他ならない。問題は自分の外にあると考えるならば、そのような考え方は、自分の外にあるものに支配されているのを許していること。それに対して主体的な人の変化のパラダイムは、「インサイド・アウト」だ。自分自身が変わる、自分の内面にあるものを変えることで、外にあるものを良くしていく考え方。
  • 自分の身の上を、他者や周りの状況のせいにする方がはるかに簡単。しかし私たちは自分の行動に責任がある。責任とは、反応を選べる能力である。自分の人生をコントロールし、あることに自分の在り方に意識を向け、働きかけることで、周りの状況に強い影響を与えられる。
  • 過去の出来事を悔いてばかりいる人にとって、主体的であるために必要なのは、過去の間違いは影響の輪の外にあることに気づくこと。過ぎてしまったことを呼び戻すことはできないし、やり直すこともできない。また、生じた結果をコントロールすることなどできない。
  • 重要なのは、過ちをを犯したときにどういう反応を選択するかである。自分を噛んだ毒蛇を追いかけたら、毒を身体中に回してしまうようなもの。すぐに毒を取り除く方がよほど大切。
  • 人間だけに授けられた自覚と良心という能力を使えば、自分の弱点、改善すべき点、伸ばすことのできる才能、変えるべき行動、やめなければならないことを意識することができる。そして、これらの自覚に実際に取り組むためには、想像と意志を働かせ、自分に約束し、目標を立て、それを必ず守る。こうして強い人格や人としての強さを築き、人生のすべてをポジティブにする。
  • 他者の欠点を責めない。自分の欠点を正当化しない。間違いを犯したら、すぐに認め、正し、そこから教訓を得る。間違いを他者のせいにしない。自分がコントロールできることに取り組む。自分自身に働きかけ、「ある(be)」ことに取り組む。

(2)終わりを思い描くことから始める

  • 「終わりを思い描くことから始める」習慣は、すべてのものは二度つくられるという原則に基づいている。まず頭の中で創造され、次に実際に形あるものとして創造される。第一は知的創造、第二は物的創造である。
  • 第2の習慣は、自分の人生に自らがリーダーシップを発揮すること、つまりパーソナル・リーダーシップの原則に基づいている。マネジメントはボトムライン(最終結果)にフォーカスし、目標を達成するための手段を考える。それに対して、リーダーシップはトップライン(目標)にフォーカスし、何を達成したいのか考える。
  • 終わりを思い描くことから始めるというのは、役割を果たすときに、自分の価値観を明確にし、方向をはっきりと定めて行動すること。そうすれば、どんな試練にぶつかっても、どんな問題が起きても、その価値観に従って行動できる。感情に流されず、起こった状況にうろたえることもない。私の価値観が明確なのだから、本当に意味で主体的で価値観に沿った人間になれる。
  • 自分の人生の中心に置くものが何であれ、それは安定・指針・知恵・力の源になる。①安定とは、あなたの存在価値、アイデンティティ、よりどころ、自尊心、人格的な強さ、安心感。②指針は、人生の方向性を決める根源。生活の中でのあらゆる意思決定、行動基準、原則、暗黙の規範。③知恵は、あなたの人生観、生活を送るうえでのバランス感覚。④力は、行動する力、物事を成し遂げる強みと潜在的な能力。選択し、決断を下すために不可欠なエネルギー。
  • 人生の中心に原則を据えれば、人生の4つの要素を伸ばしていく堅固な土台ができる。原則はどんなものにも影響されない。原則は、私たち自身の人生と経験においても有効に働いていることを知れば、大きな安定を得ることができる。
  • あなたは他者や状況の影響を受けて決断するのではない。自分が一番良いと思うことを主体的に選択する。意識的に様々な要素を考慮したうえで、意識的に決断を下す。長期的な結果を予測できる原則に従って決めるのだから、自分の決断は最も効果的だと確信できる。

(3)最優先事項を優先する

  • 効果的なマネジメントとは、最優先事項を優先すること。リーダーシップの仕事は「優先すべきこと」は何かを決めることであり、マネジメントとは、その大切にすべきことを日々の生活の中で優先して行えるようにすること。自分を律して実行することがマネジメント
  • 毎日の生活の中で意志をどれくらい発揮できているかは、誠実さの度合いで測ることができる。誠実さとは、基本的には自分自身にどれだけ価値を置いているかということ。自分に約束し、それを守る能力、「言行一致」のこと。誠実さは人格主義の根本を成し、主体的な人間として成長するために欠かせないもの。
  • 感情を抑え、最優先事項を優先するには、目的意識と使命感がいる。優先する必要のない事項にNoとはっきり言えるためには、あなたの中に燃えるようなYesがなければならない。何よりも大切にすべきことを自覚していなければならない。さらに、やりたくないと思っても実行する意志の力、その時々の衝動や欲望でなく、自分の価値観に従って行動する力も必要。
  • 私たちは、緊急の用事には受動的に反応する。だが、緊急ではないが重要なことをするには、率先力と主体性がいる。機会をとらえたり、物事を実現させたりするためには、能動的に動くことが必要。

toyokeizai.net

  • 大切なことは、スケジュールに優先順位を付けることではなく、優先すべきことをスケジュールにすること
  • 時間の使い方だけなら効率で考えても構わないが、人間関係はそうはいかない。原則中心の生き方をしている人は、人間関係を効果の観点からとらえる。第Ⅱ領域に時間をかけ、原則中心の生活を送ろうとするなら、スケジュールを曲げても人間関係を優先しなければならないことがある。
  • プログラムの通りに生きるには、意志、自制心、誠実さ、決意がいる。さらに、短期的な目標とスケジュールだけでなく、あなたの目標や生き方そのものに意味とつながりを与える正しい原則、最も深い価値観に従って生きる覚悟も必要。
  • 全面的なデリゲーション(権限移譲)は、手段ではなく結果を重視する。手段は自由に選ばせ、結果に責任を持たせる。はじめは時間がかかるが、その時間は決して無駄にはならない。全面的なデリゲーションを続けていれば、テコの視点が向こうにずれ、テコの作用が増し、大きな力になる。

(4)Win-Winを考える

  • Win-Winは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である。何かを決めるときも、問題を解決するときも、お互いの利益になり、お互いに満足できる結果を目指すこと。Win-Winパラダイムは、人生を競争の場ではなく協力の場と捉える
  • Win-Winをさらに一歩進めたパラダイムWin-Win or No Dealという選択肢がある。No Dealとは、双方にメリットのある解決策が見つからなければ、お互いの意見の違いを認めて、「合意しないことに合意する」こと。双方が勝手な期待を抱き、後になって幻滅するよりも、最初からお互いの違いをはっきりさせ、認め合うほうがよっぽどいい。
  • 優しさだけでWin-Winの結果に到達することはできない。勇気も必要。相手の身になって考えるだけでなく、自信を持って自分の考えを述べなくてはならない。思いやりを持ち、相手の気持ちを敏感に察することも大事だが、勇敢であることも求められる
  • 公的成功は、他者を打ち負かして手にする勝利のことではない。関わった全員のためになる結果に達するように効果的な人間関係を築くことが公的成功。協力し、コミュニケーションを取りながら、一緒にことを成し遂げること。各自がばらばらにやっていたらできないことを、力を合わせて成し遂げる関係を築くことが公的成功。
  • そうはいっても、Win-Loseの考え方が深く根を張っていて、Win-Winの考え方をどうしても理解できない人も中にはいる。そういう人に出会ったら、No Dealという選択肢を思い出してほしい。あるいは、低いレベルのWin-Win、妥協の道を探した方がいい場合もある。
  • Win-Winは、人と人との関係を総合的にとらえるパラダイムである。このパラダイムは、誠実で成熟し、豊かなマインドを持った人格から生まれ、信頼に満ちた人間関係の中で育っていく。それは期待することを明確にし、効果的に管理する実行協定になり、Win-Winを支えるシステムによってさらに力強いパラダイムになっていく。

(5)まず理解に徹し、そして理解される

  • 相手に自分をわかってもらえるかどうかは、あなたの日頃の行い次第である。あなた自身が模範になっているかどうかだ。常日頃の行いは、あなたが本当はどのような人間なのか、つまりあなたの人格から自然と流れ出てくるものである。実際にあなたと接して相手がどう感じるか、それがすべて
  • 私があなたに心を開かない限り、あなたが私という人間のことも、私が置かれた状況や私の気持ちも理解できない限り、私の相談に乗ることもアドバイスしようにも無理だということ。あなたのいうことがいくら立派でも、私の悩みとは関係ないアドバイスになってしまう。
  • ほとんどの人は、相手の話を聴くときも、理解しようとして聴いているわけではない。次に自分が何を話そうか考えながら聴いている。話しているか、話す準備をしているかのどちらか。すべての物事を自分のパラダイムのフィルターに遠し、自分のそれまでの経験、いわば自叙伝を相手の経験に重ね合わせて理解したつもりになっている。
  • 共感による傾聴とは、まず相手を理解しようと聴くことであり、相手の身になって聴くこと。共感とは、相手の視点に立って見ること。相手の目で物事を眺め、相手の見ている世界を見ること。それによって、相手のパラダイム、相手の気持ちを理解する。共感の本質は、誰かに同情することではない。感情的にも知的にも、相手を深く理解すること。
  • 満たされている欲求は動機にならない。人の動機になるのは、満たされていない欲求だけ。人間にとって肉体的な生存の次に大きな欲求は、心理的な生存である。理解され、認められ、必要とされ、感謝されること。
  • 共感による傾聴にはリスクもある。相手の話を深く聴くには、強い安定性が必要。自分自身が心を開くことによって、相手から影響を受けるからで、傷つくこともある。それでも相手に影響を与えようと思ったら、自分もその人から影響を受けなければならない。それが本当に相手を理解すること。
  • 正しい判断をするためのカギは、まず理解すること。最初に判断してしまうと、その人をきちんと理解することは決してできない
  • 本当の問題を見誤っていたら、相手によかれと思っていくら助言したところで何の意味もない。そして、自分の自叙伝とパラダイムを通してしか物事を見られない人は、本当の問題を突き止めることはできない。相手の視点に立って、相手が見ている世界を見ようとするなら、自分の眼鏡をしばし外さなくてはならない。
  • 本当に理解したいという真摯な望みがなければ、いくらスキルを使っても役には立たない。あなたの態度に偽善や下心を少しでも感じ取ったら、相手は絶対に心を開かないし、逆に反発するだろう。
  • 人は誰でも、自分のことをわかってもらいたいと思っている。だから、相手を理解することにどんなに長い時間を投資したとしても、必ず大きな成果となって戻ってくる。なぜなら、問題や課題が正しく理解されたと感じたとき、人が深く理解されていると感じた時に増える信頼口座の残高があれば、解決に向かって進めるようになる。
  • 相手のパラダイムや関心事を最初に深く理解し、その理解に沿って自分の考えをはっきりとわかりやすく、目に見える形で表現すれば、あなたのアイデアに対する相手の信頼は格段に上がる。
  • あなた自身に起こる変化にも注目してほしい。周りの人たちへの理解が深まるにつれ、その人たちの人間的価値が見え、敬虔な気持ちを抱くようになる。他者を理解し、その人の魂に触れることは、神聖な場所に足を踏み入れるのと同じ。
  • まず理解に徹する。問題が起こる前に、評価したり処方したりする前に、自分の考えを主張する前に、まず理解するように努力する。それは、人と人とが力を合わせる相互依存に必要不可欠な習慣。

(6)シナジーを造り出す

  • シナジーとは、全体の合計は個々の部分の総和より大きくなるということ。しかも、それは単なる部分ではなく、触媒の役割を果たす。人に力を与え、人々の力を一つにまとめるうえで、最も重要な働きをする。
  • 自分の本当の姿を見せ、自信を失った経験も含めて自分のことを率直に話すほど、それを聴いている人たちは、自分の経験を正直に話しても大丈夫という気持ちになる。すると、あなたの正直さが相手の精神を養い、そこに真の創造的な共感が生まれ、新たな洞察や学びがもたらされる。
  • 同一と一致は違う。本当の意味での一致というのは、補い合って1つにまとまることであって、同一になることではない。同一になることはクリエイティブではないし、つまらない。自分と他者の違いに価値を置くことがシナジーの本質。
  • 人生は「あれかこれか」の二者択一で決められるわけではない。答えは白か黒かのどちらかだけではない。必ず第3の案があるはずだと思えない限り、自分だけの解釈の限界を超えることはできない
  • 二人の人間の意見が全く同じなら、一人は不要である。私と全く同じ意見を持つ人とは、話す興味は湧いてこない。あなたは私とは違う意見だからこそ、あなたと話してみたい。私にとっては、その違いこそが大切。
  • あなたは他者とのとの違いを尊重することができる。誰かがあなたの意見に反対しても、「なるほど。君は違う見方をしているんだね。」と言える。相手の意見に迎合する必要はない。相手の意見を認め、理解しようとすることが大切

(7)刃を研ぐ

  • 刃を研ぐことは、自分の人生に対してできる最大の投資である。自分自身に投資することだ。人生に立ち向かうとき、あるいは何かに貢献しようとするときに使える道具は、自分自身しかない。自分という道具に投資することが「刃を研ぐ」習慣である。
  • 本を読まない人は、読めない人と何ら変わらない。まず理解に徹しようと思いながら読めば、知性の刃は一層鋭くなる。著者が言わんとしていることを理解しないうちに、自分の経験に照らして内容を判断してしまったら、せっかくの読書の価値も半減してしまう。
  • 自分を再新再生するプロセスを行うためには、肉体、精神、知性、社会・情緒の4つの側面すべてにわたってバランスよく刃を研がなくてはならない。それは組織でも同じ。どれか一つでも刃が鈍っていたら、組織全体に悪影響が波及し、組織の成長と生産性を妨げる抑止力になってしまう。
  • 真に主体的で非常に効果的な人間になるためには良心を鍛えなければならない。しかし良心を鍛えるには、より高い集中力、バランスの取れた自制心が必要であり、良心に誠実であることを常に心掛けなければならない。何より、小さくか細い良心の声に従って生きなければならない。
  • 人間だけに授けられた能力を引き出し、発揮するのに近道はない。種を蒔いたものしか刈り取れないのであって、それ以上でもそれ以下でもない。上向きのらせん階段を登るには、より高い次元で学び、決意し、実行することが求められる。

3.教訓

もともと500ページを超えているということもあり、マーカーを引いた箇所がかなり多くなったので、ここで紹介した内容もかなりのボリュームになりました。

テーマとしては高尚ですが、実社会での即活かせる内容が平易な文章で書かれていて、少し読むのに時間がかかるとはいえ、理解は早く進みます。

既に管理職の方や管理職を目指す方にとってだけでなく、周囲より一歩前に出たい、一段上がりたいと思う方であれば、読んでおいて損はないと思います。