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地頭力を鍛えるフェルミ推定ノート 東大ケーススタディ研究会 著


 

1.はじめに

フェルミ推定とは、実際に調査することが難しいような捉えどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することです。

現実社会の実数値と近いかどうかではなく、どのような過程を置いてその値を導きだすかというロジックの組み上げ方法が最も重要です。

この本を読む前に、以下の本を読んでみることをお勧めします。

 

bookreviews.hatenadiary.com

 

2.内容

(1)PART1:フェルミ推定の基本

①基本体系

どこから取り掛かったらよいかわからないので、以下に骨組みを示します。

  1. ストック/フロー:「ストック」とはある一時点の存在量、「フロー」とはある一定期間の変化量

  2. 所有/存在アプローチ:「所有アプローチ」とはモノを所有している主体、「存在アプローチ」とはモノが存在する空間。「所有アプローチ」には、個人/法人の別の他、世帯といった単位もある。「存在アプローチ」には、抽象的な空間をベースにする「面積ベース」と、具体的な名前のついた空間(ex.都道府県)や、具体的な形として存在している空間(ex.駅)といった「ユニットベース」の考え方がある。
  3. マクロ/ミクロ売上推定:「マクロ売上推定」≒「市場全体の推定規模」であり、「ミクロ売上推定」≒「1店舗ないし複数店舗単位の売上推定」

以上をまとめて一覧にしたものを、フェルミ推定勉強会さんの資料から引用します。

https://image.slidesharecdn.com/random-180125061520/95/-11-638.jpg?cb=1516861036

②基本5ステップ

フェルミ推定では、基本的に以下の5ステップで進めていきます。

  1. 前提確認
  2. アプローチ設定
  3. モデル化
  4. 計算実行
  5. 現実性検証

以上を、「日本にカバンはいくつあるか?」という問題を例に順番に説明します。

  • 「1.前提確認」とは、「カバン」をどのように定義するか、どのような「カバン」を数えるのかを決める。ポーチやボストンバックを含めるのか、店頭で販売中の商品を含めるのか、といった定義や範囲の限定を行うこと。
  • 「2.アプローチ設定」とは、基本的な式を設定する。カバンの数=人口数×カバンの平均所有数といった、「横に展開する」式を考えること。
  • 「3.モデル化」とは、上述2の式を縦に分解する。例えば、人口数を男女別・世代別に分解する、所有数をセグメント別に具体的にイメージするというもので、後者はできるだけ正確で、なおかつ聞いている人を納得させられる仮定であればよい
  • 「4.計算実行」とは、2.アプローチ設定と3.モデル化を経て精緻な式を作り、それぞれの要素に数を代入することで計算すること。
  • 「5.現実性検証」とは、自分が設定した計算式の正しさや数の正確さをチェックすること。例えば、カバンの計算結果が1兆個だったら、おかしいと感じる。

(2)PART2:フェルミ推定の例題

解説付きの例題として15問、それに関連した例題(別途解説あり)が15問出題されています。

そのうち、本の帯になっている課題「日本に猫は何匹いるか?」を採り上げてみます。

①前提確認
  • 「個人世帯が所有している猫」に範囲を限定する。
  • 野良猫や法人所有を除外する。
②アプローチ設定
  • 「日本の世帯数」×「猫の所有率」×「1世帯あたりの平均所有数」に分解して考える。
③モデル化
  1. 日本の世帯数:1世帯あたりの平均人数を2.5人とすると、日本の人口1.2億人とすれば、4800万世帯となる。(総務省によると約6,000万世帯)
  2. 猫の所有率:動物を飼っている世帯を50%とし、猫だけを20%、猫+αを10%、猫以外を70%とすると、50%×30%=15%となる。
  3. 平均所有数:1匹所有する世帯を70%、2匹を20%、3匹を10%とすると、1×0.7+2×0.2+3×0.1=1.4匹となる。(4匹以上は簡単のため省略)
④計算実行
  • ①~③より、日本における猫の数は、4,800万×15%×1.4=1,008万匹となる。
⑤現実性検証
  • 一般社団法人ペットフード協会の2020年度調査結果によれば、約964万匹。
  • 詳細には、約5,700万世帯×飼育率9.6%×平均1.77匹

3.教訓

自身が今さらコンサルファームに転職を考えているわけでも何でもないのですが、漠然とした課題に対して、何らかの仮定をおいて推論する発想法や頭の使い方については、非常に参考になるアプローチ手法で、今後も継続して学んでいきたいテーマです。

例えば、業務プロセス改善を考えていく場合、As-IsやTo-Beを可視化し、現状かかっている時間や、効率化効果を算定する際にも、あまりに変数が多いと計算がややこしくなるので、仮の数字を置いて進めたりもします。

誰かがお膳立てをしてくれるわけでは無いので、与えられた条件と限られた時間で、答えを導き出すときなど、応用できる範囲は大きいと考えています。