課長がおすすめする仕事に役立つ本100冊+

40代課長が管理職目線で身銭を切って買って読む価値のあるおすすめの本だけを紹介するページです

「あれ、もう30?」というアナタが結果を出せる本 午堂登紀雄 著

 

1.はじめに

著者の午堂登紀雄さんは、たくさん本を出版されていますし、直近でも以下の記事がYahoo!ニュースでも取り上げられていましたので、名前は見たことがある、という方も多いかと思います。

president.jp

本書自体は、読者登録しているNaokingさんのブログを拝見していて気になり購入しました。

www.it-west.work

結論から申し上げますと、30歳になって読めば結果が出せるというだけでなく、むしろ新入社員に読んでもらったほうがいいんじゃないか、と思うくらいですし、管理職になっても「そうだな」と思えるほど、年齢に限らず普遍的な内容が平易に書かれている良本と感じます。

2.内容

(1)会社編

  • 何かを成したいと思ったら、効率的か非効率かという判断基準はいったん捨て、「目的を達成するためにはいったい何が最も効果があるか」を追求すること。
  • サラリーマンであれば、仕事を選り好みしないこと。「こなせそうな」自分の延長線上の仕事ばかりをやっていると、自分の新しい能力が開眼しない。
  • 難しいとわかっているからこそ、あなたに頼んでいる。やらずして、力を尽くさずして「できない」という精神性の低さ、気概のなさに、「コイツは見どころがない」と思わせてしまう。「できます」というチャレンジ精神のある返事をする人に、人は可能性を感じる
  • 「言われた仕事をやる」だけの人は、不平不満だらけ。しかし、「会社を(いい意味で)利用する」という視点に立てば、会社や上司の愚痴を言っている暇がなくなり、毎日が学びになる。
  • つまらないと思えばどんな仕事もつまらないが、「どうすればうまくいくんだろう」と考えながら取り組むと、驚くほど学べるもの。「もっとやりがいのある仕事をしたい」という人は「工夫する力がない」と言っているのと同義
  • 「人前に出る」ことを重ねて社内で有名になると、他部署の協力が得やすくなる。普段はあまり接点のない部署に電話しても、「ああ、あの〇〇さんですか」と名前が知られており、ちょっとした無理や例外的な対応も受け入れてもらえる。
  • 今、自分がやっている仕事のやり方を変革し、新しい業務マニュアルに作り変える。走高跳にしても、昔はベリーロールで飛ぶのが一般的だったが、あるとき背面飛びをやった人がオリンピックで金メダルをとって以来、それが主流になって、どんどん技が磨かれていった。
  • 成熟した大人とは、自分の感情と反対の言動ができること。度量を大きくするには、意識的に感情と行動を切り離す力が必要。嫌いな人とは会話の量が圧倒的に足りないので、だから逆に話す。
  • 管理監督責任がある上司にとって、部下が何をしているのかわからないのはストレスの原因。上司から「あの件どうなった?」を聞かれるようでは遅い。聞かれる前に報告するのが鉄則。
  • サラリーマンというのは、上司からの指示が来る前に提案することで、自分がやりたいように仕事を誘導するもの。
  • グチは巡り巡って必ず本人の耳に届くKGB:必ずグチはバレる)。上司も社長も人間だから、おもしろくない。

(2)仕事編

  • プレッシャーがかかるというのは、あなたに対する期待度も高いという証拠。プレッシャーがない人というのは、誰でもできる仕事しかしていないということ。だからプレッシャーとは、ビジネスパーソンの勲章。
  • 中途半端な努力からは、中途半端な結果しか生まれない。始めたことを途中でやめれば、それまで投下したお金と時間が「全損」になってしまう。
  • アウトプットのイメージを最初に描いてからインプットする。「これはアウトプットする場面がなさそうだな」と感じたら、あえて見送る勇気も必要。もちろん、無駄もある程度必要だが、実際にはきりがなくなってしまう。
  • 最初から「いくら欲しい」ではなく、まず相手の役に立って信用を作る。それが結局、「またあの人と仕事がしたい」「よかったから知人にも紹介しよう」と広がっていく。そんな相手の役に立とうという発想と行動が、積立預金のように積み上がり、いつかは利息だけで生活できるようになる

(3)自分編

  • 目標はあったほうがよいが、無ければ無いで構わない。それよりも、目の前のことを必死にやる。そうすると、今までできなかったことができるようになり、人から声がかかるようになり、それが転機になっていく。朝令暮改を恐れず、状況が変われば対応を変える。計画に固執するのではなく、都度見直していく。
  • どの世界でも、常識破りのことをしようとするとき、前例のないことをしようとするとき、相手には普通じゃないと映るので、摩擦や批判が起こる。だから自分が発表したものに対して賛否両論が起これば、自分の発言の価値が出てきたということ。逆に何も反応がないときは、自分がまだちっぽけな存在だと認識する。
  • 自分とは「探す」ものではなく、いろいろな経験や人との出会いの中で「創っていく」もの。迷ったら、立ち止まるのではなく、むしろ動く。動けば景色も変わる。動けば、何ができて何ができないかがわかる。
  • 自身がある人は、ことさら自分からアピールしなくても周りが認めてくれるのであえて言う必要もない。だから「自分が、自分が」とならず、相手の話を落ち着いてきくことができるので、さらに人が集まってくる。「自慢話をするのは、自分がまだ小さい証拠である」と肝に銘じ、口にしないようにする。
  • 世間が自分の思い通りにならないのは当たり前。それに対して文句を言うのは、自分の思い通りになるべきだと考えている。つまり、不満を言う人は、傲慢な考えの持ち主。他人の動きに自分の気分が依存している弱い存在
  • 素直でない人は、まず批判・否定から入る。そして、自分にできない理由、自分がやらなくてもいい理由を探す。自分が動かないので、周りの環境も変化しない。自分のキャパでできる範囲のことしかやらないため成長しない。すぐやらない人に助言しても意味がないので、上位者から成功者からもそっぽを向かれ、抜擢などストレッチするチャンスを得ることもできなくなる。
  • 「自分の発言には”愛”があるだろうか」を考えると、トゲトゲしい言い方はできない。経営者や上司は、感情の起伏が激しい社員に、重要な仕事を任せようとは思わない。

3.教訓

本書を読んで、2022年9月25日に、ヤクルトが丸山和郁選手が、”日本プロ野球史上初の新人によるサヨナラヒットによる優勝決定"、という快挙を達成したことを考えました。

もちろん、前年のドラフト2位で指名されるくらいですから、一定の期待はされてはいますが、勝てば優勝というこの試合でも、スタメンに名を連ねたのではなく、8回の守備でサンタナ選手にアクシデントが発生したことで、たまたま途中出場しています。

プロ1年目のこれまでの打率は2割そこそこで、守備固めでの出場が中心で、0-0で9回裏の緊迫した状況で打席が回ってきた際、代打を送られる、という可能性もありました。

共同会見において、記者からその趣旨での質問があった際、高津監督は、

「延長戦に入ることも勘案し、守備も意識をしていたので、そのまま打席に送った」

という趣旨の回答をされています。

達成の数分後には、Wikipediaにもうその快挙が書き込まれ、歴史に名を刻んでいます。

ja.wikipedia.org

丸山選手の頭の中には、「ここで決めたらプロ野球史上初だな。優勝インタビューで何を話そうかな。」という雑念があったわけではなく、とにかくこの打席に集中する、という意識だけがあったと推察します。

守備力がある、という、大きな武器を一つ持っているからこそ、打席に入るチャンスを得ました。そして、目の前のことに必死になり、結果を残したことで、

「以前にはこんな大仕事をしてくれた。これからも何かしてくれるかもしれない。」

という将来の期待感に代わります。

これは、ビジネスシーンでも同じで、以下のような好循環が生まれると考えます。

  1. 武器があるから起用される
  2. 実際に1つの結果を出して見せる
  3. 今後も期待され、本人も努力する
  4. 周囲に一目置かれる存在になる

自身でもこのサイクルを目指しつつ、これからの丸山選手の活躍にも期待したいと思います。

こころの対話 25のルール 伊藤守 著

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

こころの対話 25のルール (講談社+α文庫) [ 伊藤 守 ]
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1.はじめに

伊藤守さんの本の紹介は、以下「3分間コーチ」に続いて2冊目です。

bookreviews.hatenadiary.com

本書は、LISTENの監訳を務めた篠田真貴子さんが、「聴くことについてアンテナが立つきっかけになった本」として紹介しています。

bookreviews.hatenadiary.co

dhbr.diamond.jp

 

2.内容

(1)PART1:あなたは聞いていない

  • あなたは聞かれていないし、聞いていない。そして、そのことが、私たちの感情や行動に大きな影響を及ぼしている。最初はイライラや焦り。聞かれないでいると、「ここにいてもいいんだろうか」と不安になる。すると、いてもいいんだ、というのを確立しようと焦る。
  • コミュニケーションできない目の前の人は敵対者。敵対心はやがて、悲しみ、無力感に取って代わられていく。無力感に陥っている人は、なんでもやり得る。よくないことを急に始めてしまったり、誰かを傷つけたりというところに、いつなってもおかしくない。
  • コミュニケーションは、いうまでもなく、あなたひとりで成り立つものではない。自分だけを変えようとすることも、相手に変わることを強要することもできない。ただ、あなたは、あなたから聞いて、相手を理解してみようとすることによって、あなたのまわりのコミュニケーション環境を変えていくことができる
  • ことばというのは、単なる媒体。自分が言いたいことを表現する手段。その「言いたいこと」を受け取らない限り、たとえ言葉を理解したとしても、聞いたことにはならない。人は、同じことばを遣っていても、それぞれ違うことを思っている。
  • 相手の話を聞くことを、最終的には、相手を受け入れることだとか、相手の希望をかなえることだと思っているから聞けない。相手が言いたいことについて、相手と同じビジョンを持っていくこと―それが「聞く」ということ。両者が互いに相手と同じビジョンを共有できたとき、二人ははじめて同じ地点に立てる。
  • 人は、ことばそのものや、相手がどのような意味を込めてそのことばを遣っているかにはおかまいなしに、そのことばに自分が加えている解釈に反応する。だから、たとえば好意のつもりで口にした褒め言葉が、相手を怒らせてしまったりする。私たちは、無意識のうちに、自分が事物に加えている解釈に振り回されている
  • おおむね、相手の話していることは、自分の経験に照らし合わせて聞くもの。まったく聞いたこともなければ見たこともない、自分が経験したことにないことは、たとえ耳に入っていたとしても、何のひっかかりもないために、ほとんど聞き逃されてしまう。
  • 周りに気を遣いすぎていても敬遠される。他人の迷惑にならない、社会のルールをきちんと守っているなど、当然に人に受け入れられてしかるべきあり方をしているにもかかわらず、それが過剰だとかえって人との間に距離ができてしまう。関わりにおけるルールに厳しくあることと、関わりが持てていることとはまた別のこと。
  • 安心感こそが、私たち人間の活動のベース。安心感が人の心と体を癒し、安心感があってはじめて冒険も可能になる。安心感に支えられているがゆえに冒険を試み、失敗しても安心感がショックを和らげる。だからこそ再挑戦の意欲も湧く。

(2)PART2:コミュニケーションはキャッチボール

  • コミュニケーションを始めるには、いくつかの約束事がある。まず、どちらかがキャッチボールを始めようという意図を持つ必要がある。最初に声をかけるのは、いつもどちらか一方。
  • 次の条件は、他方もこのキャッチボールを始めることに同意すること。当たり前のことだが、相手がコミュニケーションを交わす準備ができていないのに、一方的にボールを投げつけて、相手が応じてくれないと非難している人が少なくない。
  • 実際のコミュニケーションの場では、一つのコミュニケーションが完了しないうちに、別のコミュニケーションが始まってしまうことがよくある。未完了のコミュニケーションとは、ボールを投げたのに返ってこない、あるいは返さない、そしてその理由を自問自答している状態。未完了を作り出す代表が「聞かれない」こと。
  • 未完了を引き起こすコミュニケーションは、ことばによるものだけではない。姿勢、視線、表情、口調・・すべてがコミュニケーションに関わっている。実際、私たちがコミュニケーションにおいて何らかの不全感、不快感を抱くのは、ことばの内容というより、そのときの相手の態度や視線、口調やしぐさであることの方が多い
  • コミュニケーションは、「向き合う」ことから始まる。何とも向き合うことができない状態が「無力感」につながる。自動的に、自分の未完了によって引き起こされる感じから逃げ出したり、変えようとするのではなく、それと「向き合い」最初から終わりまで味わってみるというあり方が、未完了に影響されないあり方というものをつくる。
  • あなたからキャッチボールを作り出す。自分が感じていることを伝え、相手の感じていることに共感するコミュニケーションを始める。あなたから、安心感を生み出す。

(3)PART3:自分自身とのコミュニケーション

  • あなたが目の前の人を〇〇な人と思い込んでしまえば、そういう先入観でしか見ることができなくなってしまう。レッテルを貼ることで、その人を理解したような気になってしまう。実際には、あなたの頭の中に作り上げた、その人のイメージを見ているだけ。
  • 私たちは、自分の考え方を否定されたり、持ち物をけなされたりするだけで、感情的になってしまう。それらを否定されるということは、自分のセルフイメージを否定されること。最大の問題は、自分の「セルフイメージ」=「わたし」だと錯覚していることにある。「わたし」を犠牲にしてまで、セルフイメージを守ることが優先されることにある。
  • 自分の正しさを主張する最も簡単な方法は、相手の間違いを指摘すること。それで、相手の話など受け入れられるはずがない。ところが、間違いを指摘されたり相手が自分の正しさを認めてくれないと、ますます正しさを主張しなければならなくなるから、ますますお互いに相手を聞くことなどできなくなってしまう。
  • コミュニケーションのベースは「安心感」。そして、その安心感は、自分の中で起こってくる感情をリアルタイムで表現していくことによって、お互いの中に生まれる。お互いの感情を交換していくことが安心感のベースになる。
  • 相手のコミュニケーションは、あなたのコミュニケーションの鏡。もし、相手がちっともあなたを聞こうとしなかったり、心を開こうとしないとしたら、それはあなたがそうであるということ。
  • もし、あなたが本当に人に関心を持っていたり、この人と本当にコミュニケーションを交わしたいと思っていたとしたら、それはたとえことばにしなくても、かなりの部分は伝わる。あなたが相手から本当に打ち解けた感じを受けないとしたら、あなたが打ち解けていないから。相手を責めたところで何が変わるわけでもない
  • それでもなお、やっぱり自分だけではない、相手にだって原因はあるはずだと、いくら自分が努力しても応えてくれない相手のほうがいいはずだと言いたいのかもしれない。確かにそうかもしれない。でも、そういって相手のせいにすることによって、いったい何が生まれるのか。
  • どんなに努力しても、いま現在受け入れがたい人や行為が存在することは現実。あなたにできることは、シンプルなことをシンプルのままにしておくこと。何とか好きになろうと努力したり、自分を受け入れさせようとしてあれこれ画策したり、自分を責めたり、相手をおとしめようとしたりしないこと。
  • 要するに、相手の自分に対する評価が気に入らないとき、その人を嫌う。だから、あなたが自分の価値を他人の評価によって計っている限り、嫌いな人の数は減らない。あなたが、自分で自分の価値を実感する習慣を身につけていくとき、嫌いな人の数は減っていく。

(4)PART4:いまここでのコミュニケーション

  • 安心感だけが人を動かす。人を責めたり、裁いたり、評価したり、批判するのは、あなたの仕事ではない。それらによって、相手を変えることはできない。誰もあなたの期待に添うために生まれてきているのではない。人に変化を強要しても、それがどんなに正しく、相手にとっていいと思われることだとしても、ただ反感を買うだけ。
  • 人が生きている実感、誰かと一緒にいるという実感を持つことができるのは、常に、いまここでのこと。だから、いまここでのコミュニケーションが交わされていないと、たとえことばがたくさん飛び交っていたとしても、人は互いに疎外感に陥る。どんなにたくさんの人に囲まれていても、ひとりぼっちになる。

3.教訓

25のすべてのルールを紹介できませんでしたが、この本を読んで、「子どもが育つ魔法の言葉」にある「子は親の鏡」という詩を思い出しました。

以下のリンクを開いて、掲載された詩をぜひ読んでみていただきたいと思います。

www.php.co.jp

親と子どもについて書かれている内容ですが、相手が子どもだけでなく、仕事場での部下・同僚、プライベートでの友人・パートナーにも通じるものがあると思いますし、逆にこの「こころの対話」も子育てに通じるものがあると思います。

まずは相手の存在を認め、相手には相手なりの考えがあることを理解し、自分以外の世界観があることを前提に相手とのキャッチボールを自分から始め、安心感を作り出していく。これが対話・コミュニケーションの基本だと考えています。

これについては文書によって差はありますが、似たような表現であふれています。

それでも繰り返されるのは、「自分は自分は」と主張する人が世の中には多くて(自省の意味も込めて)、「言うは易し行うは難し」の典型例なんだと思います。

今までの自分の考えをいきなり180度変えるのはできませんが、少しずつでも25のルールに従った行動ができるようになればと考えています。

生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの 伊賀泰代 著

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生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの [ 伊賀 泰代 ]
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1.はじめに

伊賀さんの本を読むのは、以下の「採用基準」についで2冊目です。

前作では、タイトルとは裏腹に「リーダーシップ」についての本でしたが、今回はタイトル通り「生産性」について記載されていました。

bookreviews.hatenadiary.com

働き方改革関連法案」が成立したのは2018年、今では多くの企業で「働き方改革」が掲げられ、一般的な言葉となりましたが、2016年に「働き方改革実現推進室」が出来たころから広まったのではないかと思います。

ちょうどその年に本書が初版されています。その当時の本書に書かれた考え方は、今でも十分に通用する、逆に言うと、世の中がその頃からそれほど進んではいないという印象を持ちました。

www.kantei.go.jp

2.内容

(1)生産性向上のためのアプローチ

  • 生産性が正確に理解されていない組織では、「成果を増やすために安易な資源の追加投入が行われ、生産性が低下する」「コスト削減以外の手を打たないため、生産性の向上幅はごくわずか」といった状況に陥りがち。
  • 生産性を上げるには、「成果を上げる」と「投入資源量を減らす」というふたつの方法があると理解したうえで、コスト削減だけでなく付加価値を上げる方法も併せて考えることが必要。
  • 生産性を計算するときの分子である成果の価値とは、分母である投入原材料の価値の合計値ではなく、「顧客が評価する価値」のこと。これが理解できていないと「機能を絞り込んで価格を上げる」という発想は出てこない。

(2)ビジネスイノベーションに不可欠な生産性の意識

  • 働く人が疲弊するのは、付加価値が低く、「意味があるのか?」と疑問に思えるような作業を延々と続けさせられるとき。そしてギスギスするのは、そんな人ばかりが脇目も振らず、時間に追われ焦っている職場のほう。そんな仕事はやめるなり機械化するなり、どんどん効率化することによって余裕時間を生み出せば、職番の雰囲気も明るくなるし、社員のやる気も引き出せる。
  • 思考というのは、制限が設けられるとそれをバネにして「今いるところとは異なる次元」に入っていくことができる。現実の案件にはいろんな制約がある。その制限の中でいかにいい物を作るかという挑戦こそが新しい発想につながる
  • ビジネスイノベーションとは、恒常的に生産性の向上を求められる環境において、担当者が「改善的な手法はすべて試みた。ほかに何か画期的な方法はないか?」と考えるところから始まる。

(3)量から質の評価へ

  • 「あの人は本当に優秀だ」と目される人が、長時間オフィスに滞在し、ものすごい量の仕事をこなしている人でなく、どれだけ仕事が集中しても、明確な優先順位付けと迅速な意思決定、そして高いスキルによって、みんながびっくりするほど早く仕事を終わらせてしまう人のことを指す職場となるように変えていくこと―経営者・管理者の役割には意識改革を起こすことも含まれている
  • 仕事の生産性を上げ、目の前の仕事だけでなく今後の成長のための投資や新しいチャレンジもすべて労働時間内でやり切れるようになることを目指す―そういう意識に変えていかないと、プロフェッショナルとしての成長には、常に個人生活の犠牲がセットでついてきてしまう。

(4)人材を諦めない組織へ

  • どんな組織でも選抜に漏れる人の数は、選抜される人より圧倒的に多い。このグループの生産性向上を諦めてしまうと、いくら少数の選抜組や若手社員がスキルを磨いて生産性向上に励み、高い意欲で働いても、組織全体としての生産性を上げるのは至難の業。
  • 選抜漏れ中高年と現状認識の共有が行わなければ、本人も自分の状況を客観視できず、変わらなければならないと切実に感じることができない。その状態が長く続くと「自分にはもう何も期待されていない。だから無理に頑張って成長する必要もない。」と考えるようになってしまう。それは個人にやる気や資質が欠けているからではなく、組織の人材育成能力の問題。
  • 年を重ねてからでも、誰かが自分に期待を寄せてくれ、真剣にフィードバックをしてくれ、新たなことを学ぶ機会が得られている。成果を出せば褒められるし、出さなければ率直にそう指摘される。こういった状況に置かれて初めて人は、「自分は期待されている。期待に応えなければ」と感じる。

(5)管理職の使命は使命はチームの生産性向上

  • 部下を育成しても仕事の成果には”当面の間”つながらないという前提がある。仕事の成果は”今すぐ”上げる必要があるが、部下の育成には時間がかかる。すぐに成果が上がることはないと考えているため、「成果を上げること」と「部下を育成すること」が二択問題になってしまう。
  • 「目の前の成果を上げるためには、部下の育成に時間を使うより自分が頑張るほうが早い」と考える人が出てきてしまうが、管理職がそんな発想のままでは、組織の生産性が上がることはない。
  • メールは日本語であれ英語であれ、基本はテンプレート仕事であり、書くのが早い人は、その定型文をあらかじめ頭の中に持っていて、正しく使えるだけ。そんな仕事に毎回頭を抱え、ウンウンうなりながらゼロから文章を書いているなんて、本当に無駄な(生産性の低い)時間。
  • 外部要員に付加価値の低い仕事を任せてしまうと、その仕事のやり方(生産性)を改善しようというインセンティブが組織から消えてしまう。そして次第に、本来どのくらいの時間をかけてもよい仕事なのか、誰も考えなくなってしまう。恒常的に忙しい部門に必要なのは、派遣社員を雇うことではなく、仕事自体の根本的な見直し
  • 他部署からの依頼を受けて定期的に更新していた資料の中にも、いつの間にか相手部署ではそこまで必要でなくなっていた、というものもある。業務仕分けを毎年定例のイベントにすれば、「今までやっていた仕事をやめるのは特別なことではない。やるべき仕事はどんどん変わっていくもの」という意識が定着する。
  • マッキンゼーでは、みんな他者の仕事のやり方について、上司でもないのにあれこれアドバイスする。それによってチーム全体の生産性が高まり、たとえ管理職でなくてもリーダーシップをとってチームに貢献するのは当然だから。こういう意識が組織の中に定着すれば、生産性は大幅に上げることができる。管理職の仕事とは、まさにそういった環境づくりをすることにある。
  • 本当の意味で仕事ができる人というのは、少ないインプットで高い成果の出せる生産性の高い仕事のやり方を考案し、その仕事が他の人にも可能になるよう言語化し、移植できる人。そして自分自身は、どんどん違う仕事にチャレンジしていく人のこと。
  • 今は自分にしかできないこの仕事を他の人ができるようになったら、自分の存在意義が下がってしまうと社員に思わせてしまったら、組織づくりは失敗。そうではなく、「自分のスキルを共有することでチームに貢献したい」といかに思わせるか、それが管理職の腕の見せ所

(6)マッキンゼー流 資料の作り方

  • 最も重要なことは「仕事に取り掛かる前にアウトプットイメージを持つ」ということ。アウトプットイメージ=仕事の出来上がりイメージを最初に持つというのは、「ゴールが何であるかをスタート時点で意識しておく」ということ。
  • 情報収集前に具体的なアウトプットイメージを持つために作られるのが、ブランク資料。まだ情報収集を始めていないので、資料に具体的な数字は何も記入されていない。ブランク資料を上司や顧客と共有しておけば、何日も作業をした後で「欲しかったのはこういう資料ではなかった」というすれ違いが起こることもなく、意思決定の生産性を大幅に向上することができる。
  • 自分が必要としているデータを優先的かつ集中的に集めるためにも、明確なアウトプットイメージを意識してから情報収集を始めることが必要。最初に「こういう結果が出たら大きなインパクトがある」という仮説を持たずに情報をいじくり回していては、いくら時間があっても足りない。

(7)マッキンゼー流 会議の進め方

  • 議題一覧でなく、達成目標リストにすると、会議参加者がこの時間内に何を決めなければならないのか、情報として共有する必要の項目は何なのかなどがすべて書かれている。こうして会議の達成目標を具体的に明記するだけでも、会議の生産性は大幅に上がる。
  • 資料作成者が説明をすることに生産性が低いのは、「目で読む方が誰かが丁寧に話す説明を聞くより早い」という理由だけではない。時間をかけて説明する部分が、「重要な箇所」でも「意思決定を左右した箇所」でもなく、「資料を作るときに自分が最も苦労した部分、悩んだ部分」であるため。気持ちはわかるが、これも無駄な時間を増やしてしまう理由の一つ。
  • ビジネス上の意思決定とは、「確実にはわからない未知の(未来の)ことについて決断をすること」。確実にわかっていることについての決断は誰でもできるし、できても大きな価値はない。だから、まだ何もわかっていない新人にでも、自分の意見を明確にさせる。
  • 「情報が足りないから今日の会議では決められない」という話になったときは、必ず「足りないのは本当に情報なのか?意思決定のロジックは明確なのか?」という視点で確認する。「会議の時間短縮」に敏感な企業は増えているが、本当は「意思決定の生産性」についてこそ、より意識的になるべき。

3.教訓

中でも、上述2(5)の「管理職の使命はチームの生産性向上」の章は、まさに自分の身の回りで起こっていることで、本当に驚いています。

実際に、時間がないと思ったら担当者に振らずに自分で対応したり、一般職の業務をアソシエイトに移管することを考えたり、「同じチームの〇〇さんに注意してほしい。それを言うのは管理職の私ではない」と言われたり、と良い例として書かれてあることの真逆そのまんまです。

勤務間インターバル導入等、人事制度が変更されていくなか、同じことを同じようにやっていても、どこかで目詰まりを起こすことは目に見えています。そこで、やり方を変えよう、やめられる業務がないか考えよう、という話をするのですが、これまで一生懸命対応してきた業務について、なかなか自分から「自分がやっていることに意味はない」とは言い出しにくく、自分の仕事や存在意義が無くなると思ってしまう、という面はどうしてもあると思います。

自分もあと10年も経てば役職定年となり、「選抜に漏れた側」に回ることになります。自分がこのポジションにいるうちに、生産性向上にむけてできることを対応していきたいと思います。