仕事に役立つ本のご紹介~100冊目指して~

40代のサラリーマン課長がビジネスに役に立った本、買って読む価値のあるおすすめの本について紹介するページです

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 細谷功 著

1.はじめに

一貫して記載されていることは、「結論から」「全体から」「単純に」考えることの重要性です。

地頭力とは何か、フェルミ推定とは何か、ということよりも、フェルミ推定的発想を生み出すためにはどのような考え方をすればよいか、という発想法に関する土俵への上がり方が中心です。

事実、本文中に採り上げられているのはお題は「日本全国に電柱は何本あるか?」という1題のみで、フェルミ推定の課題の解き方についての解説が欲しい方は、別の本を探した方がよいと思います。

2.内容

(1)地頭力とは何か

①「結論から」考える仮説思考力
  • 「結論から」考えることによって、最終目的まで最も効率的な方法でたどり着くことができるようになる。
  • 仮説思考を鍛えるポイントは、①どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢、②前提条件を設定して先に進む力、③時間を決めてとにかく結論を出す
  • 仮説思考の本質とは、「ベクトルを逆転して考える」「逆算して考える」こと。「はじめ」からでなく「終わり」から考えること、「手段」からでなく「目的」から考えること、「できること」からでなく「やるべきこと」から考えること、「自分」からでなく「相手」から考えること。
  • 「せっかくだから」「どうせなら」という言葉が聞こえたときには要注意。常に本来の目的を強く意識して、関係ない手段は思い切って捨てることが重要。目的を常に最終到達地として強く意識し、手段と混同しないこと。
  • 課題というのはあいまいだらけであり、ここでいちいち立ち止まって前提条件を人に確認しながら進める、あるいは確認できるまで進められないという態度で課題に臨むのと、あいまいなことは本来の目的に立ち返って現実的な線で「勝手に」決めてどんどん前に進んでいくという姿勢で臨むとでは、積み重ねていくと天と地ほどの差が出てくる。いちいち前提条件を決めてもらえないと先に進めない人たちが、いわゆる「指示待ち族」である。
  • 大切なのは、最初の仮説を検証していきながら精度を上げるという意識を常に持って、最新の情報でフレキシブルに仮説を「進化」させていくこと。当然それには当初の仮説を否定しなければならない場面も出てくるが、これを「ここまでそう考えてきたから」と当初の仮説に固執してしまっては判断を誤ることになる。
②「全体から考える」フレームワーク思考力
  • 「全体から」考えることの最大のメリットは、コミュニケーションにおける誤解や後戻りの最小化である。部分から考えるということは、個人の思い込みや思考の偏りを排除できずに、途中で誤解が発生してコミュニケーションの後戻りによって非効率になる。
  • 全体俯瞰している人は他人に説明するときも必ず誰もが共有している全体像から当該テーマにズームインして入ってくるために誤解が少ないが、全体俯瞰力が弱い人はいきなり自分の視座・視点から説明を始めて、必要に迫られて思いついたように全体像に話を広げていく(ズームアウト)ので、初めて話を聞いた人にはどこの話をしているのかわからないことが多い。
  • 「話が長い」とは、以下の3つのいずれか、あるいはそれらに組み合わせに分類できる。
  1. 話の中身の問題:「話がつまらない」、「わかりにくい」、「聞き手の興味に合っていない」あるいは「趣旨から脱線している場合。相手のことを考えない、一方的で自己中心的なコミュニケーションスタイルの場合に起きる状況。
  2. 所定の時間をオーバーする:同じ10分の話でも、予定が20分であれば短いと感じるが、5分であれば長いと感じる。
  3. いつ終わるかわからない:話の全体像が示されるままに進行すると、聞き手は「一体この話はどう展開していつ終わるのか」と苛立つことになる。
  • 分類をするときには作ってはいけない箱がある。それは「その他」という箱。これは一見「先に箱を用意している」ように見えるかもしれないが、実はそうではない。「その他」という箱は確かに箱には違いないが、これはこの分類はMECEでないことを示す象徴。なぜなら、きちんとした分類の元である軸で切断された断面であれば「その他」という箱自信が登場することはありえない。「その他」とはある意味でフレームワーク思考における思考停止の兆候である。
③「単純に考える」抽象化思考力
  • 「単純に」考えることによって、意思統一が図りやすくなるとともに、抽象化思考の本質である、「応用力を広げることによって少ない知識を様々な範囲に応用して、新しいアイデアの創造や効率化等を飛躍的に図っていくこと」ができるようになる。
  • 図解して考えることは、特にモデル化する力を鍛えるためにも非常に有効。図解するというのは、問題解決であれ何であれ、対象とする事象の特徴をとらえて簡略化し、特定の図形で代表させるという点でモデル化の発想そのものであり、図形化の訓練をするということはモデル化の訓練そのものと言ってよい。
  • モデル化、一般化するには、事象の本質を見抜くとともに、その本質とは関係のない枝葉の部分をばっさりと切り捨てて物事を考える習性が必要となる。
  • 分析をする際、「こんな顧客もいる」「あんな商品もある」といったごく少数の例外に注意が向いてしまったり、「十把一からげで考えるのは無理だ」「現実はそんなに単純でない」という話になって、いつまでも結論が出なかったという経験はないだろうか。スピード重視の時代にあって「単純に考える」ことの効用は大きい。ところが事象を単純に捉えるというのは実は非常に難しい。
  • 真の地頭型多能人に求められるのは、500ページの調査報告書の内容を、①相手に応じて、②30秒で説明できること。だらだらと長時間、複雑な資料を説明するのは、実は何も「地頭力」を使っていないと思った方がよい。
  • 我々が直面する課題というのは、表面的には違った形に見えるが実は既に同じ原因やメカニズムで起こっているというのがほとんど。したがって「先人の知恵」を拝借することによって、一から問題を解決しなくても問題解決を図ることが可能。これを有効に実施する方法が「アナロジー」。
  • アナロジー、あるいは抽象化思考にあっては、「対象とする課題が特殊である」と考えた途端に思考停止が起こる。そのため、本当に特殊なのかをきちんと切り分けて考えて部分的にでも抽象化・一般化ができないか、他の事例や一般法則から学べることがないかと考えてみることが重要。心を開いて問題意識を持っていなければそれは見えてこない。

(2)フェルミ推定をビジネスにどう応用するか

  • 時としてスピードが品質より優先順位が高くなる(時間をかけて完璧なものをアウトプットしても意味がない)場合があることを理解する。そのために期限を区切って限られた時間を制約条件とした仕事をする癖をつける。
  • 情報収集の前に仮説を立てる癖をつける。仮説に従った情報収集を心掛ける。
  • 一歩引いて全体像を見る癖をつける。自分の視点でなく、自分を客観的に見られる視点に立つ。
  • 常に最終目的を達成することを意識する。そのための全体要素の中での自部門の役割を認識する。
  • まずは自分の置かれた状況が必ずしも特殊でないことを認識して他の世界から学んでいく姿勢を持つ。一般化や抽象化によって応用力を広げる意識をつける。

(3)地頭力のベース

  1. 論理的思考力:論理的とは「誰が見ても一貫してつながっていること」。ここで重要なのは「万人に理解される」ということで、「守り」のためのツール。
  2. 直観力:創造的に新たなものを生み出していくためのブレークスルーには必ず経験や知識に裏付けられた直観力が重要。「個人技」であり「攻め」のツール。
  3. 知的好奇心:大きく分けて①What型と②Why型がある。What型の人は情報や知識を吸収することが貪欲だが、それ以上に物事を考えない傾向もみられる。Why型の人は、自分の頭で考え、既存の状況を疑ってみる姿勢を持つ。
  • フェルミ推定を実践し、地頭力を鍛えるためのツールとして活用する最大の目的は「問題解決における基本動作の習得」にある。
  • 地頭型多能人の目指す境地は、「合理的に考えて感情的に行動する」領域。

3.教訓

頭の良さは、①記憶力(What思考)、②機転力(How思考)、③地頭力(Why思考)の3次元で示される体積で表現できます。

そのうち、記憶力については、従来は重宝されてきましたが、GoogleWikipedia等の登場で相対的重要性が低下しているのは、今のビジネスパーソンでは半ば常識になりつつあると考えています。

これからも現役戦力であり続けるために、本書の考え方を参考にし、フェルミ推定の具体的な問題に取り組み、地頭力を鍛えていきたいと感じました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 [ 細谷 功 ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2021/10/17時点)

楽天で購入

 

フロー体験 喜びの現象学 ミハイ・チクセントミハイ著

1.はじめに

「フロー体験」とは、第2章から引用すると以下の通りです。

  • 心理的エントロピー(無秩序)の反対で「最適経験」呼ばれる状態
  • 意識の中に入り続ける情報が目標と一致している時、心理的エネルギーは労せずに流れ、自分が適切に行動していることに疑問を抱く理由もない。
  • 正さねばならない無秩序や防ぐべき自己への脅迫もないので、注意が自由に個人の目標達成のために投射されている状態。

要は、”流れ”に乗ってうまく進んでいる状態で、日本語では、「ゾーンに入る」という言い方の方が馴染みがあるかもしれません。

何をするときにも、自分の心の持ちようで楽しむことができる、ということが繰り返し書かれています。

2.内容

  • 幸福というものは偶然に生じるものではない。それは我々の外側の事柄によるのでなく、むしろ我々が事柄をどのように解釈するかによるものである。内的な経験を統制できる人は、自分の生活を決定することができるようになるが、それは我々の誰もが幸福になれるということとほぼ同じことである。
  • 最良の瞬間は普通、困難ではあるが価値のある何かを達成しようとする自発的努力の過程で、身体と精神を限界にまで働かせ切っているときに生じる。このように最適経験は我々が生じさせるものなのである。
  • 社会の統制から我々を解放するための最も重要な第一歩は、その時その時の出来事の中に報酬を見出す能力を身に付けることである。経験の一つ一つ、流れや生活の過程それ自体を楽しみ、その中に意味を見出すことを身につけるならば、社会による統制の重荷は自然に肩から落ちる。報酬がもはや外的な力に委ねられることが無くなった時、力はその人に戻ってくる
  • 人は現実に「外」で起こっていることとは無関係に、ただ意識の内容を変えるだけで自分を幸福にも惨めにもできる。障害や妨害にもかかわらず頑張り続けるというこの能力こそ、まさにその人に対し他社が尊敬の念を抱く最も重要な特質である。それはおそらく人生に成功するために最も重要な特質であるとともに、人生を楽しむための最も重要な特質であるからだ。
  • 「フロー体験」は努力を必要としないように見えるが、とんでもない。それはしばしば大きな身体的努力、または高度に訓練された知的活動を必要とする。それは熟練した能力が発揮されなくては生じない。わずかな集中の緩みがフローを消してしまうが、フローの継続中は意識は滑らかに働き、一つの行為は次の行為へと滞りなく続いていく。
  • 人々が楽しむのは統制されているという感覚ではなく、困難な状況の中で統制を行っているという感覚。人は保護された日常生活での安全を進んで放棄しない限り統制感を経験することはできない。結果が不確定であるとき、またその結果を左右することができる時にのみ、人は自らを真に統制しているかどうかわかる。
  • 注意の混乱や刺激への過剰関与は、心理的エネルギーがあまりにも流動的で不安定であるためにフローを妨害するが、過剰な自意識と自己中心主義は、注意が硬直し固定しているためにフローを妨げる。これらの両極端に傾く人は楽しむことができる、ものを学ぶことが困難であり、自己の成長の機会を奪われる。逆説的ではあるが、自己中心的な自己は、自由にできるすべての心理的エネルギーを新しい目標を認識するためにではなく、目先の目標の充足のために費やしてしまうの得、自己をより複雑なものにすることができない。
  • 楽しさは何をするかによるではなく、むしろどのようにするかによって決まる。
  • 会話において、言葉がうまく選ばれ、うまく並べられるなら、それは聞き手に喜ばしい体験を生み出す。語彙の豊富さと言葉の流暢さは、会社の経営者として成功するための重要な資質であるというのは、功利主義的理由のみに基づくのではない。巧みに話をすることは、すべての相互作用を豊かなものにし、またそれは誰もが身に付けることのできる能力である。
  • 書くことの効用は、手早く伝達することにあるのではなく、情報を創るところにある。内発的理由から、書くということは決して無駄なことではない。書くことは何よりも心に訓練された表現手段を与える。それは出来事や経験を将来容易に思い出し、再生できる記録になる。それは経験を分析し、理解し、秩序をもたらす自己との交信である。
  • もし人が、そうすべきであるという理由から、あるいは本を読んだり、ある筋道を強制されたと感じたならば、学習は本心に逆らうことになる。しかし、それが正しいという内的感覚から同じ筋道をたどることを決めるとすれば、学習は比較的骨の折れない楽しいものになる。
  • 環境にある様々な挑戦の機会と遊び、それを変化させる人々の経験の質は、不毛な現実の束縛を変更不能なものと感じ、それに生活を譲り渡している人の生活の質よりも、明らかに楽しく、同時に発展的。
  • ほとんどの人が退屈で無意味と考える作業の中に挑戦目標を見出す人もいる。ある職業に多様性があるかどうかは、究極的には実際の仕事の条件よりも、その人の仕事に対する立ち向かい方に関わっている
  • 仕事のうえでの摩擦は、面子を失う恐れから自分を守ろうとする気持ちによることが多い。自分自身の存在を証明するために、人は他者が自分をどのように扱うべきかについての目標を設定し、他者がこれらの目標を満たすことを強く期待する。しかし他者もまたまた、達成されるべき彼自身の厳格な目標を持っているから思い通りにはいかない。おそらくこの袋小路を避ける最良の方法は、上役や同僚の目標達成を助けながら、自分の目標を達成するという挑戦を設定することだろう。
  • 孤独に立ち向かう方法は、結果に大きな相違を生む。孤独であることを、他者とともにいる時には達成できない目標を達成する機会と考えるならば、人は寂しく思う代わりに孤独を楽しみ、その過程で新しい能力を身に付けることができよう。他方、孤独を挑戦と考えず、何としてでも避けるべき状態とみるならば、人はパニックに陥り心をより複雑なレベルへと高めることのない、気晴らしに頼ることになるだろう。
  • 拘束の受容がすなわち解放なのである。伝統に強いられるのではなく、自ら進んで伝統を受け入れることによって、自分が正しい選択をしたか、他者は自分たちより幸せかなどに心を煩わさせる必要は無くなる。その結果、大量のエネルギーが生き方を思い惑うことで消費されることなく、生活を充実するために解放される。
  • 無条件の受容は子供にとって特に重要。自分が親の期待に添えなかったら親が愛してくれなくなるという怯えは、子供の自然な無邪気さを次第に慢性の不安に置き換える。しかし子供が、両親は自分の幸福の実現を無条件に望んでいると感じるならば、彼は緊張を解くことができ、恐れることなしに世界を探索する。さもなければ、彼は心理的エネルギーを自分の防御に振り向けねばならず、彼がじううにできるエネルギーの量を減少させる。
  • ある共同体が良い共同体とされるのは、それが技術的に進んでいるから、または物質的豊かさに浸りきっているからではない。人々にできる限り多くの楽しみの機会を提供し、人々が絶えず増大する挑戦を追求することによって、その可能性を発達させる共同体が良い共同体である。
  • まず個々人の意識が変わるまで、社会変化は起こりえない。自分自身の生活をまず統制することを学ばずに、人々の生活を良くしようとする者は、物事のすべてを悪くするのが常である。
  • 厳しい肉体的試練を生き抜いた人々に共通した態度は、自分の運命は自分で握っているという信念を暗黙のうちに持っているということであった。彼らは自分自身の運命は自分の能力によって決定できることを確認していた。彼らは自己中心的ではない。彼らのエネルギーは、典型的には自分の置かれた環境を支配することにではなく、その環境の中で調和しながら行動する方法を見つけだすのに向けられる
  • 開かれた構えは、その人が客観的にものを見、他の選択可能性を知り、自分が周囲の世界の一部と感じることを可能とする。焦点はやはり個人の目標に置かれているが、その焦点は狭いものではなく、例え彼が達成したいと思うこととは直接には無関係に見える出来事にまでも注意を払い、それに適応できるように開かれている。
  • 周囲のものとの合一の達成は、楽しいフロー体験の重要な構成要素であるばかりでなく、逆境を克服する基本となる仕組みでもある。注意の焦点が自己から外れると、欲求不満が意識を混乱させることは少なくなる。心理的エントロピーを体験するときには内的混乱への注意集中を強いられるのであるが、自分の周囲に起こっていることに注意を払えば、ストレスが持つ破壊効果は減少する
  • 真剣に取り組まない限り、目標は多くの効果を生むことはできない。それぞれの目標は一連の結果を規定し、人がそれらを考慮に入れなければ目標は無意味なものになる。すべてのフロー体験についても同じことが言える。目標と目標が要求する努力の間には相互関係がある。目標は最初がそれが要求する努力を正当化するが、後になると目標を正当化するのは努力である。
  • 大量のエネルギーを一つの目標に投入する前に、基本的な疑問を問うてみるのは無駄ではない。それは私が本当に望んでいることなのだろうか。私はそれを楽しんでやっているのだろうか。近い将来、私はそれを楽しんでいるだろうか。私、そして他者が支払う代価はそれに値するだろうか。もしそれを達成したら、私は自分自身と折り合っていけるだろうか。

3.教訓

文章としては、市販の本というよりも学術論文のようで非常に読みにくく、自身でも数日かけて読むことになりましたが、語られている内容自体は非常に学ぶべき部分が多いと感じました。

実際にマネジメント職をしていると、思った通りに事が運ぶことの方がむしろ少なく、うまくいかないことが多いです。

しかしながら、外部環境のせいにするのではなく、その状態を自分でどうすれば楽しむことができるかを考え、孤独な状態もプラスと捉え、前向きな気持ちを持って対処したいと考えます。

 

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

フロー体験喜びの現象学 (Sekaishiso seminar) [ ミハイ・チクセントミハイ ]
価格:2669円(税込、送料無料) (2021/10/16時点)

楽天で購入

 

ビジネスで失敗する人の10の法則 ドナルド・R・キーオ著

1.はじめに

著者はコカ・コーラ社の社長を務めていた方だけに、ビジネスの現場に即した内容となっています。

基本的には、ビジネス書籍は、こうすればよいといったアドバイス形式で記載されることが多いですが、本書は「こうすれば簡単に失敗できる」ということが平易に書かれています。

なお、本書の序文は、ウォーレン・バフェット氏によるものです。

2.内容

(1)リスクをとるのを止める

  • 現状に満足していると、リスクを取るのをやめたいという誘惑が強くなり、ほとんど抵抗し難いほどになる。そうなれば、失敗はほとんど避けがたくなる。

(2)柔軟性をなくす

  • 失敗したいのであれば、柔軟性を否定すべき。しかし、明確にしておきたい点がある。柔軟性自体に価値があるわけではない
  • 柔軟性と適応力は、企業の指導者に不可欠な資質であり、管理能力や業務能力、技術力といった個々の能力を超えるものである。要するに、ダーウィンがいう適者生存のカギになるのが柔軟性と適応力なのである。

(3)部下を遠ざける

  • いつも偏執的に悪いニュースを求め、問題があればすぐに経営陣に伝わり、素早く行動して悲惨な結果になるのを防げるようにしておくのは損の無い方法。
  • 定義上、組織の進歩はすべて問題解決の努力から生まれるのであり、そしてもちろん、問題があることを知らなければ、問題の根源を見極めることもできない

(4)自分は無謬だと考える

  • 経営方針や経営戦略は、上層部からの命令として現場に伝えられるだけであれば、失敗する運命にある。失敗する確率を高めたいのなら、自分の判断はいつも完全に正しく、間違っている可能性などないと主張すればいい。自分の知らない何かを一つか二つ、他人が知っている事実を否定すればいい。失敗したいのであれば、無謬の指導者を装うといい。

(5)反則すれすれのところで戦う

  • かなりの経営者は「これは正しいことなのか」とは質問しなくなり、「これは合法なのか」と質問するようになった。こうなればあと一歩で、「これをやってもばれないか」と質問するようになる。そうなった企業は最後に悲劇になる。
  • 誰でも他人に認められたいと願っている。だが、有名人をもてはやす風潮に誘惑されて、倫理上、越えてはいけない一線を越えるようなことをしないよう注意するべき。

(6)考えるのに時間を使わない

  • 考える時間を取るのはたぶん、各自の会社にとって、各自のキャリアにとって、各自の人生にとって、最善の投資だ。
  • 何かを「知っている」というとき、それがどこまで確実だと言えるのか、慎重になった方がいい。人間には確認の罠と呼ばれる心理的な偏りがある。あらかじめ確立した見方を確認できる事実だけを探し、その見方が間違っている可能性を示す事実は探さないという偏りである。
  • 人間は感情の生き物なのであり、何かの活動をはじめて事態が進みだしたとき、興奮状態になって止めるのは難しくなる。意思決定にあたっては、集団願望に陥って、全員が目標を達成しようと熱心になるあまり、まともに考えられなくなることがある。
  • 誰かが立ち止まって考えない限り、同じ間違いを何度も繰り返すことになる。考える時間を取らないのは、失敗をもたらす確実な方法である。何らかの種類の失敗があれば、周囲を見回して責任を押し付けるか、言い訳を見つけるか、誰かを罰すればいい。

(7)専門家と外部コンサルタントを全面的に信頼する

  • 経営幹部が外部のコンサルティング会社が立てた事業計画に書かれているので仕方がないと語ることがある。何とも臆病で卑怯な態度だと思う。新しい事業計画を実行するというのであれば、自分が責任を負わなければならない。それに、責任を負うのを避け、自分の権威を放棄して社外の専門家に頼るのであれば、事業計画をうまく実行することなどできないだろう。

(8)官僚組織を愛する

  • 企業は子供の遊び場ではない。好き勝手を許すわけにはいかない。規則や慣例をしっかりと定めて、すべての部分が適切に調和の取れた動きをするようにしなければならない。しかし長年のうちに、避け難いと思える結果が生まれてくる。規則や慣例が一人歩きするようになり、それで達成しようとした目的よりも重視されるようになる。硬直的で役に立たない儀式になり、組織の活力をそぐようになる。
  • こうした儀式を司る官僚は、命がけで儀式を守るようになる。少しでも変えれば、自分の力と権威が損なわれるからだ。官僚は徐々に、あらゆる進歩に抵抗し、失敗を保証する力だけを持つにすぎなくなり、往々にして実際に、その力だけを行使するようにもなる。
  • がちがちの官僚制がやっかいなのは、自らは生産的な仕事をほとんどしていないのに、他人の仕事を明らかに妨げるから。官僚は自分の縄張りを守ることに必死になっているので、必要不可欠な情報の流れを遮り、会社が成功する機会を奪ってまで、自分の成功を追求する。

(9)一貫性のないメッセージを送る

  • パスの失敗はパスした側の責任。パスをする際に適切に合図を送っていれば、受け手はメッセージを受け取って、ぴったりの位置までぴったりのタイミングで走り、パスを受け取れたはずだ。これと同じで、責任は経営者側にある。各地の事業を率いるリーダーが全員、同じメッセージを正しく受け取るようにしなければならない。

(10)将来を恐れる

  • リスクを取るのを止めるリスク以上に、企業の力を弱める病が「恐れ」である。将来を慎重に警戒することと、将来をともかく恐れることの間には、天地の開きがある。フランクリン・D・ルーズベルト大統領は大恐慌時の就任演説で、「我々が恐れなければならないものはただ一つ、恐れそのものである」と語った。
  • 悲観論者によれば、世界は混沌の中で生まれ、それ以降、下り坂を下がり続けているという。しかし、人間が生きていくには希望が欠かせない。明日があると考え、生き続けていかなければならない。失敗したいのであれば将来を恐れるといい。成功したいのであれば、将来を楽観し、熱意を持って将来に立ち向かうべき。

3.教訓

表題は”10の法則”となっていますが、本には11番目の法則が記載されています。

それは、(11)仕事への熱意、人生への熱意を失う、というものです。

  • ほとんどの人は何か意味のあることを達成したいという強い欲求、情熱を持っており、達成できる可能性が低くても情熱は失わない。難しいパズルを与えれば、必死になって解いてくれる。
  • 夢は望んでいるだけでは夢のまま。夢を自分が実現すると考え、実現できる人間になると決意し、実現したときにどうなるかを思い描くようにすれば、実現する可能性が高まる。
  • 「現実的になれ」という助言が適切な場合も確かにある。だが、こうした批判を受け入れる前に、少し考えてみるべき。現実的になるというのは、安易な道を選んで、高い理想に向かうのを諦めるという意味ではないのかと。普通のものではない目標を目指しているとき、周囲の人たちはその目標をまだ理解できていないという場合もある。

逆説的な内容ですが、失敗する方法を理解することが、失敗しない近道だと理解しています。


 

小さいことにくよくよするな! リチャード・カールソン著

1.はじめに

出版社の紹介文によると、アメリカで500万部も販売されたベストセラー本です。

仕事がうまくいく本でもなく、いわゆる自己啓発的な内容でもなく、普段の心の持ちようについて説かれています。

100個のテーマに分かれているので、人によっても、置かれた状況によっても、その時の気分によっても、刺さる箇所は異なると思います。

2.内容

  • こんなはずじゃない、もっとよくなるはずだと思い込むいつものパターンに落ち込んだら、今のままの自分でいいんだと心の中で言い聞かせること。批判をやめればすべてはうまくいく。人生のあらゆる場面で完璧主義を捨てるようになれば、人生はそれ自体で完璧なことに気づくようになる。
  • あなたは死ぬほど忙しいかもしれない。だが「忙しい、忙しい」だけではストレスがたまる一方。スケジュールに押しつぶされそうになったら、頭で考えや悩みごとの雪だるまを作らないという簡単な方法を試してみてほしい。
  • あなたが死んでも、やりかけの仕事は残ることを忘れないように。もう1つ言わせてもらえば、それは誰かがやってくれる。できないことにくよくよ悩んで、貴重な時間を無駄にするのはもうやめよう。
  • 私たちには今しかない。コントロールできるのは今しかない。今この瞬間に焦点を当てれば不安を押しのけることができる。不安は将来起こるかもしれないことにくよくよすることで生まれる。
  • 今よりもっと心豊かな人になりたいなら、相手に勝ちを譲る練習をするに限る。相手をただすのをやめる。その癖を変えるのは大変かもしれないが、努力するだけの価値はある。自分にとって最も大切な意見まで曲げる必要はないが、今日からは「たいてい相手の方が正しい」と思うようにしよう。
  • 人生は公平ではない。それは不愉快だが、絶対に真実だ。皮肉なことに、この事実を認めると、気持ちがすっと自由になる。
  • 基本的に「まず相手の立場を理解する」ことは、自分を相手に理解させるよりも先に、自分が相手を理解することの方を重視するという意味。自分と相手の間に豊かで内容のあるコミュニケーションを成立させたいのであれば、まず相手のことを理解するに限る。
  • たしかに相手と口論したり、対決したり、自分の信念のために戦うべき時もある。しかし多くの人は、取るに足りないことを巡って戦い、人生を「つまらない戦い」の連続にしてしまう。そうなると人生は欲求不満の塊になり、本当に大切なことを見失う。
  • 皮肉なことに、人から認められなくても構わないと思うと、かえって人は認めてくれるようだ。みんなが惹かれるのは、よく見せようとか、正しいのはいつも自分だとか、すべてを自分の手柄にしようとしない人だ。
  • 「人に興味を持つ」ことと「傲慢になる」ことは紙一重。内心で相手と比べて自分の方が上だ考えると傲慢になってしまう。
  • 批判したところで問題は一つも解決されないばかりか、世の中に怒りと不信をまきちらす。結局、批判されるのが好きな人は一人もいないのだ。批判されると、人は自己弁護するか内に閉じこもるのかどっちかの反応しかしない。
  • 欲しいものではなく持っているものに意識を切り替えれば、人生は前よりずっと楽しくなる。おそらく生まれて初めて満足するという意味がわかるだろう。
  • こうして欲しい、ああして欲しいとお返しを頭でもくろむと、穏やかな感情が消えていく。解決策は「お返しが欲しい」という自分の思いにまず気づき、それをやさしく打ち消すこと。そんな思いが消えたとき、穏やか気持ちが戻ってくる。
  • 自分の緊張感は自分で作り出していることを認めなければならない。自分で設定した生き方、それに対する反応の仕方から緊張感が生まれる。
  • 「なぜそう思うのか説明してくれないか」と友達に言ってみよう。相手をやっつけようとの意図からではなく、ただ自分とは違う見方を知りたいと単純に思うこと。相手の間違いを指摘するのではなく、充分に言いたいことを話させて満足させる。
  • 楽しいことをしているとき、幸せな気分を味わいつつもやがては別の何かが取って代わることを自覚する。苦痛や不快を味わっているときは、やがて過ぎていくと悟っておく。
  • 人に助け船を出すなとは言わない。助け船を出すべきことと、放っておくべきときをきちんとわきまえる

3.教訓

今回は、100のテーマの中から、上述の項目をピックアップしてみました。

また少し悩みが増えたと感じたら、この本を手に取り、一度立ち止まって心を鎮めたいと思います。

 


 

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと マーカス・バッキンガム著

1.はじめに

原題は、"The One Thing You Need to Know: ...about great managing, great leading, and sustained individual success"です。

「あなたが知るべき一つのこと~管理すること、リードすること、継続的な個人的成功について」ということなので、少し邦題とは異なる印象です。

また、内容としては、たった一つのことについて書かれているわけではなく、①マネージャーとして、②リーダーとして、③個人として必要な1つのことと、それを構成する要素として3~4つ、さらにそれについて細分化とツリー構造で説明されるので、覚えることは一つに限りません。

購入したのは10年以上前の担当者時代ですが、実際にプロジェクトリーダーや管理職を経験してから読み返してみた方が、より理解が進みます。

 

2.内容

(1)マネジャーとリーダーの違いについて

①マネジャー
  • 優れたマネジャーの仕事についての出発点は、部下一人ひとりの才能。課題は部下の才能を業績に結び付ける一番の方法を見つけ出すこと
  • マネジメントという観点から見れば、マネジャーの成功または失敗は、他の誰かと働くより自分と働くことで部下の生産性が上がるかどうかにかかっている。そしてそれをうまくやる唯一の方法は、部下一人ひとりの成功こそが自分の一番大切な目標だと、彼らに心から信じてもらうこと。
  • 優れたマネジャーは、部下の成功の手助けせずにはいられない。脳の回路から、優れたマネジャーは部下に直ちに興味を抱き、部下が大きな成功を収められる環境をどう整えるかという課題に好奇心をそそられるようにできている。
②リーダー
  • 優れたリーダーは、よりよい未来に向けて人々を一致団結させる。リーダーを定義するものは、未来への関心である。リーダーは頭の中で未来のありようをくっきりと描く。このイメージがリーダーを動かす。このイメージこそが、どんなことよりリーダーの行動の動機となる。
  • 「私は不満を覚える」、これこそがリーダーの信条。リーダーは決して現状に満足しない。よりより未来が見えるから。「現実」と「可能性」の衝突がリーダーを燃え立たせ、奮起させ、前進させる。これがリーダーシップである。優れたリーダーシップを支える才能は、楽観主義と自我である。
  • リーダーが過大な要求をするのは、よりよくありたいと思っているから。彼らの自負が、そういった要求をしたいという願望と、それを実現できる能力の両方とが分かちがたく結びついている。

(2)優れたマネージャー

卓越したマネジャーなら誰でも知っている「たった一つのこと」とは、部下一人ひとりの特色を発見し、それを有効に活用すること

  • 優れたマネジャーとして失敗しないスキルは以下の4点
  1. きちんと人を選ぶこと
  2. 期待する仕事の内容をはっきり示すこと:優れたマネジャーは、ミーティングやすべて会話等において、期待するものを明示し続ける。優れたマネジャーは、部下の誰かと話すたびに、期待をほんの少しでもよりはっきりと示すチャンス。
  3. 褒めることと認めること:部下から最高のものを引き出すには、彼らの行動から生じる結果を注意深くコントロールしなければならない。ある特定の行動を繰り返してほしいなら、その行動が必ず、確実・即時的・肯定的な結果につながるようにする。要するに、よい仕事を即座に認めて、褒めるマネジャーになる。素晴らしい成果は、たいていその場限りのものでなく、実践と改善を繰り返した結果である。マネジャーの仕事はこうした改善の積み重ねに気づき、それを祝福すること。そうすればその人物はますますそれを繰り返すようになり、卓越した業績へと昇り続けるようになる。
  4. 部下に気遣いを示すこと:優れたマネジャーは部下に甘いということではない。その反対で、業績の悪い部下にはすぐに厳しい対応をする。どの部下にも成功を収めてほしいからだ。優れたマネジャーは、気にかけている部下が凡庸な業績に甘んじているのを見るのに耐えられない。意外に聞こえるかもしれないが、気遣いのできるマネジャーは、不十分な成果にはすぐに対処するもの。
  • 卓越したマネジメントは「作りかえる」仕事ではない。あらかじめ決められた役割を完璧にこなすように部下を作り替える作業に専念すれば、自らも失敗し、部下のやる気もくじくだけ。真のマネジメントは解放すること。部下一人ひとりのユニークな貢献、要求、スタイルに完全な自由を与えるよう、常に職場環境を整える仕事。
  • 部下一人ひとりの特色を活かすことで、自分の時間を節約できる。最も才能に恵まれた部下でさえ、完全にオールラウンドではありえない。また、部下一人ひとりの独自性を活かすことで、周りの世界に健全なレベルの破壊をもたらすことができる。抜きんでている人は、単に飛び出しているだけでなく、頭を高く上げ、視野が広い。より遠くまで、より早く短い時間で見ることができる。どのような破壊的発見がなされるかは誰にもわからない。マネジャーとして最終的にその発見を却下することになるかもしれないが、こういった発見に心を開いておくことは必要。
  • 人材を有効に活用するために知るべきことは3つある。
  1. その人の強みと弱みを知ること
  2. その人にとって何が引き金となるかしること
  3. その人独自の学習方法を知ること

<①強みと弱み>

  • 凡庸なマネジャーは、ほとんどのことは学習できると信じ、マネジメントで大切なのは部下一人ひとりの弱みを見出し、それをなくすことだと思っている。優れたマネジャーはその逆で、人で最大の影響力を持つ特質は生まれつきのものだと信じている。だからマネジメントで大切なのは、生まれつきの特質をできる限りうまく配置して、成果を引き出すこと。
  • 部下に張り切って仕事をしてもらいたければ、今取り組んでいる仕事は難しいと信じ込ませること。この仕事は難しいと、健全なレベルの敬意を持たせる必要がある。たやすい仕事と思えば、学習と達成の両方が遅れることになる。
  • 自分の能力についていくぶん非現実的な自信を持っている人の方が、現実的な自己評価をする人より優れた業績を上げられる。自信過剰気味の楽観主義者の方が、障害に出くわしたときに粘り強く、立ち直りも早い。だから、部下に全力で働いてほしい、妨害があってもやり通してほしいと思うなら、本人の強みについての思い込みを後押しするといい。強みを強調しすぎるくらいでいい。成功に必要なものは持っているという、大きすぎるほどの自信を与えること。
  • マネジャーの仕事は自信を持たせることであって、自己認識を促すことではない。自信がつけばつくほど、部下は将来、より生産的により粘り強くなる。だからもし役割を変えようとして、試しに役割につくことすら受け付けないほどの抵抗にあったら、どこか他の場所で仕事を探してもらうしかない。

<②引き金>

  • 人の強みは本来強力なものだが、スイッチの入った状態を保つには、正しい引き金を引く必要があることを、優れたマネジャーは知っている。正しい引き金を引けば、相手は懸命に努力し、妨害にも屈せず仕事をやり通す。間違った引き金を引けば相手は心を閉ざすだけ。
  • あらゆる種類の引き金の中で、ずば抜けて効力を発揮するのは「認知」だ。成果をきちんと認めれば部下からいい反応が返ってくることはほとんどのマネジャーが知っている。しかし優れたマネジャーは、これに磨きをかけて適用範囲を広げる。優れたマネジャーになるつもりなら、部下が最も重視する観客を見ぬかなければならない。

<③学習スタイル>

  • 「分析思考型」の部下を教育する一番の方法は、学習時間をたっぷり与えること。一緒にロールプレイを行い、事後検討し、本人の業績を構成要素に分解して、注意深く全体を再構築させる。準備の時間は必ず与える。
  • 「行動型」の人間を教育する最高の方法は、新しい状況に放り込んで、ぶっつけ本番の対応を命じること。行動型の人間にとって最も効果的な学習の機会は行動の最中に訪れる。行き詰まりも試行錯誤も間違いも、行動型の人間にとってはすべて学習プロセスの欠くことのできない一部。
  • 「観察型」の部下を教育しようと思うなら、教室から追い出して、マニュアルを取り上げ、経験豊富な社員の横に座らせるのが、一番効率のよい方法。

(3)優れたリーダー

優れたリーダーが、行動の指針として皆知っている「たった一つのこと」とは、普遍的なことを発見して、それを活用すること。

  • 優れたマネジャーは、個人と企業の間の触媒として働く。部下と1対1で向き合って、初めて役割をうまく果たすことができる。優れたリーダーは、よりよい未来に向けて人々を一致団結させること。そういう意味で、リーダーは触媒ではなく起爆剤
  • 優れたリーダーになるためには、誰のために働くかを明確に示すこと。その気があれば調査や研究を行って顧客層の分類に精を出してもいいが、最終的にリーダーとしての成功を左右するのは、どんどん複雑になる顧客区分でなく、ターゲットとなる顧客層を決め、そのニーズをはっきりと描いて見せる能力。これが従業員の自信を左右する。
  • 尺度の持つ力を再認識してもらうこと。計測できることを分類して、従業員が集中すべき一つの尺度を見極めるというリーダーの責務を示すこと。人を従えたいのであれば、未来という森の中で前進の度合いを確かめる尺度を示さなければならない。リーダーは、私たちがどこまで来ていて、あとどれだけ進めばいいのかを明らかにする、核となる尺度を示さなければならない。
  • 正しい尺度など存在しない。リーダー達が、核となる一つの尺度に注目することによって、人々に明確に目標を示すことで、人々により大きな自信と創造力と根気強さと活力を与える。
  • 行動はあいまいではない。リーダーであるあなたが、慎重に選んだいくつかの行動にスポットライトを当てれば、ついていく私たちは喜んでその行動を自分なりに理解し、未知のものに対する不安をやわらげるために使うだろう。
  • 有能ななリーダーは、みな仕事の中で明確さの探求に役立つ3つの規律を保っている。
  1. 考える時間を作る:彼らはみな熟考する。反芻する。考える時間がこのうえなく貴重なものだと気付いている。この時間を自らに課すおかげで、否応なく起こったことをすべて分析し、あらゆることをふるいにかけ、アイデアを現実に当てはめたり引っ込めたりし、最終的に結論を出すことになる。この結論を引き出す能力があればこそ、物事を明確に提示できる。
  2. 慎重にヒーローを選ぶ:どんな共同体においても、人々の未来の行動を予測したいなら、その共同体のヒーローに目を向ければいい。その共同体が重んじる人物や出来事を見る。
  3. 練習する:彼らは、私たちによりはっきりと未来を理解させるための言葉やイメージやストーリーを繰り返し練習する。
  • 有能なリーダーは情熱的である必要はない。魅力的である必要もない。才気あふれる人物、親しみやすい人物でなくてもいい。弁舌に長けていなくてもいい。ただ明確であればいいだけ。

(4)個人の継続的な成功

継続的な成功のために私たち全員が知らなければならない「たった一つのこと」は、自分がしたくないことを見つけ出し、それをやめること。

  • 「採用のパラドックス」を避ける。すなわち、経験が無ければ仕事は得られない、しかし仕事が無ければ経験は得られない。だから先を読んで、特別なプロジェクトや一度限りの仕事を探すといい。そうすれば、現在の職業では得られない技術や経験も持っていると主張できる。
  • 人が一番多くのことを学ぶのは、弱みとする分野からではない。人が一番やる気を起こし、やりがいを感じるのは、欠点を修正しようとするときではない。
  • やる気と熱意を保って次々と課題を解決したいなら、絶対に避けるべきことは、心地よい領域から離れ、すでに熟練した活動とは完全に異なるものの中へ飛び込むこと。大いなる熱意と成功は、新しい領域、初めての領域、異なる領域では発生しない。新しい課題が、既に熟練した領域のものと似ていれば似ているほど、素早く学習し、屈せずやり通し、高い目標を設定して達成できる可能性が高くなる。
  • 苦手なことは何度も失敗する。一つの活動で失敗すれば、その活動に関する自己効力感は低下し、落胆が増す。そして時が経つにつれ、単純に本能的自衛手段として、その活動を避けるようになる。

3.教訓

マネジメントとリーダーシップは、それを使う人によって、言葉の定義は微妙に異なります。

しかし、管理職にとっては、どのような意味で使われようと、双方を発揮されることが求められます。

本文中に繰り返された、「優れたマネジャーは・・」、「優れたリーダーは・・」という引用した部分をしっかり理解し、実践していきたいと考えています。

 

 


 

代表的日本人 内村鑑三著

1.はじめに

日本の精神性の深さを世界に知らしめようと、1894年に英語で出版された本です。

西郷隆盛上杉鷹山二宮尊徳中江藤樹日蓮上人を取り上げ、彼らの言葉を引用しながら、優れている点を述べていくスタイルとなっています。

なお、「武士道」の著者である新渡戸稲造氏とは、札幌農学校(現北海道大学)の同級生で、「武士道」も英語での著作です。

2.内容

(1)西郷隆盛

  • 人の成功は自分に克つにあり、失敗は自分を愛するにある。八分どおり成功していながら、残り二分のところで失敗する人が多いのはなぜか。それは成功が見えるとともに自己愛が生じ、慎みが消え、楽を望み、仕事を厭うから失敗する
  • どんなに方法や制度のことを論じようとも、それを動かす人がいなければ駄目。まず人物、次が手段の働きである。人物こそ第一の宝であり、我々はみな人物になるよう心掛けなくてはならない。

(2)上杉鷹山

  • 赤ん坊は自分の知識を持ち合わせていない。しかし母親はこの要求を汲み取って世話をする。それは真心があるから。真心は慈愛を生む。真心さえあれば不可能なものはない。役人は、民には母のように接しなければならない。民をいつくしむ心さえ汝にあるならば、才能の不足を心配する必要はない
  • (藩主になる日の誓文)
  1. 文武の修練は定めに従い怠りなく励むこと
  2. 民の父母となるを第一のつとめとすること
  3. 次の言葉を日夜忘れぬこと「贅沢なければ危険なし」「施して浪費することなかれ」
  4. 言行の不一致、賞罰の不正、不実と無礼、を犯さぬようにつとめること

(3)二宮尊徳

  • 金銭を下付したり、税を免除する方法では、この困窮は救えない。まことに救済する秘訣は、彼らに与える金銭的援助をことごとく断ち切ること。かような援助は、貪欲と怠け癖を引き起こし、しばしば人々の間に争いを起こすもと。荒地は荒地自身の持つ資力によって開発されなければならず、貧困は自力で立ち直らせなくてはならない
  • きゅうりを植えればきゅうりとは別のものが収穫できると思うな。人は自分の植えたものを収穫するのである。
  • 一村を救いうる方法は全国を救いうる。その原理は同じである。当面の一つの仕事に全力を尽くすがよい。それがいずれ、全国を救うのに役立ちうるからである。

(4)中江藤樹

  • 古いものがあらゆる面で新しいものより優れているというわけではない。ただ、古いものが必ずしもすべて悪いものではなく、新しいものが必ずしもすべて良いものでも完全なものでもないというに過ぎない。新しいものにはまだ改良される余地があり、古いものにはまだ再活用される要素がある
  • 人は誰でも悪名を嫌い、名声を好む。小善が積もらなければ名は現れないが、小人は小善のことを考えない。だが君子は、日々自分に訪れる小善をゆるがせにしない。大善も出会えば行う。ただ求めようとしないだけ。大善は少なく小善は多い。大善は名声をもたらすが小善は徳をもたらす。世の人は名を好むために大善を求める。しかしながら名のためになされるならば、いかなる大善も小さくなる。君子は多くの小善から徳をもたらす。実に特にまさる善事はない。徳はあらゆる大善の源である。
  • 道と法とは別である。法は時により変わる。しかし道は永遠の始めから生じたものである。徳の名に先立って、道は知られていた。人間の出現する前に、宇宙は道を持っていた。人が消滅し、天地がたとえ無に帰した後でも、それは残り続ける。しかし法は、時代の必要にかなうように作られたものである。時と所が変わり、聖人の法も世に合わなくなると、道のもとをそこなう。

3.教訓

多くの本にも記載されている当たり前のことですが、以下の大切さに改めて気づかされました。

  • 自分の行いが自分へ報いとなって返ってくる。
  • 目の前の小さなことにも、最後まで力を抜かずに全力で取り組む。
  • 自己愛ではなく、周囲へ愛情を持って接する。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

代表的日本人 (岩波文庫 青119-3) [ 内村 鑑三 ]
価格:792円(税込、送料無料) (2021/9/26時点)

楽天で購入

 

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 キングスレイ・ウォード著

1.はじめに

息子が17歳の時から20年間にわたって、人生のターニングポイントにおいて書き記した手紙を、1冊の本にまとめたものです。

血のつながった親だからのこその愛情という印象ではなく、人生の経験者からの客観的なアドバイスとなっています。内容も、仕事の面が中心ではありますが、金銭感覚や結婚・友情など、日常生活面においても参考になる内容が詰まっています。

サラリーマンの立場でも納得できる内容が多いなか、同族経営をしている方にとっては、さらに深い内容となっているものと推察します。

2.内容

  • 読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする。これらの技能の組合せは、トップを目指す人にとっては絶対確実な三種の神器である。
  • 人は失敗するたびに何かを学ぶ。中には貴重な教訓を学ぶ失敗もある。その教訓は努力しなければならないということ。勝つのは過去の競争から学んで、その教訓を生かす人である。人は成功者の今の姿だけを見がちである。彼らの長年の努力、失敗、欲求不満、そしてこれまでに遭遇し、克服してきた多くの困難は目に入らない
  • 仕事に喜びを見出すためには、3つのことが必要。①適性がなければならない。②やりすぎてはいけない、③達成感がなければならない。
  • 実業界は狭い世界。誠実さを欠く行動の報いはいずれ受けないではいられない。しかし、以前にも言ったように、他人の心配までする必要はない。自分の人格の心配をするように。
  • 金の正しくない用途で、私が最も心配するのは、人に好印象を与えようとして使うこと。
  • 2,3の成功を収めた後で祝杯をあげるなら、親しい友達と静かにするように。そうすれば、事態が逆転したときにも、失敗を少数の友人に告げるだけで済む。成功を世間に吹聴しなければ、失敗を知らせる義務もない。
  • 講演上手な人は、決して聴衆を見下げるような話し方はしない。聴衆が自分と同じ世界に生きていると感じるように気を配り、彼らの関心と知性に敬意を表する。講演がうまくいくか全然受けないかを分ける基準の答えは容易で、注ぐ努力と準備の量
  • いくつかのマナーの良さは、命令を実行する部下の気分や能率に、非常に大きな影響を及ぼす。頼めばもらえるものが、要求すれば少ししかもらえない。非難めいた言い方をすれば、もらえる量はさらに減る。よくある無作法に、人の話を遮ることがある。多くの人がそれでイメージを落としている。
  • 一つの地位を争っている2人の候補者が、職業的な資質の面で、面接者の目に同格に映った場合、天秤の針を勝利者の方に傾けるのは、マナーの良さ、服装の適切さ身だしなみの良さ、あるいは話し方に自信があって、ゆとりが見えること。
  • 他人の過ちから学べ。自分ですべての過ちを経験する時間はない。」他人の旅路や業績、問題解決のための頭の使い方を思い浮かべてみることほど、実際の経験に近いものはない。本はそれは可能にする。本は私たちの心を開いて、私たちの存在理由を考えさせ、最善を尽くすように励まし、努力を怠ることは私たちそれぞれにこの地上で与えられた時間を浪費するに等しいことを悟らせる。
  • 問題を素直に認めるとき、そのために頭を抱えていることを認めるときに、初めて本当に、やがてエリートたちの仲間入りをする。
  • 困難な仕事を与えられたとき、その仕事や自分の運の悪さに愚痴をこぼすこともできるし、「これは難しい、嫌な仕事だが、引き受けるつもりだし、引き受けるからには立派に成し遂げるつもりだ」と自分に言い聞かせることもできる。後者の姿勢を取れば、仕事がしやすくなるし、最後に達成感を味わうこともできる。
  • 責任を受け入れる人は、最も実り多い人生を過ごす人である。努力をした上で失敗するのは恥ではない。試みなかったことが悲劇。責任を受け入れることは、挑戦を受け入れること。挑戦を受け入れることは、素晴らしい成果を迎え入れるために、扉を開くこと。
  • 批判はどんな武器にも破壊力を持つので、その扱いには熟練が必要で、与えるときには最新の注意を払わなけばならない。さもないと不当に射程内に入った気の毒な人は、精神的に打ちのめされる。その反面、批判は極めて効果的な道具である。賢明な批判者が善意から巧みに与えるならば、それは与えられた人にとって、人生の途上での大きな手助けになるだろう。
  • 妥当で善意からだと思われる批判は受け入れるように。悪意のこもった、あるいは不当な批判は、撥ねつけるように。見当違いの批判をする相手を黙って許すべきではない。
  • 他人が自分の思い通りにならないからといって、腹を立てることはない。自分自身でさえ、思い通りにはならないのだから。
  • すべての問題について感触を掴み、扱いにくい面を十分に理解したうえで、どの意思決定にも君の決裁印を押さなければならない。

3.教訓

他人から学ぶ、問題を素直に認める、困難な仕事にも取り組む、責任を取る、批判を受け入れる、といった基本的なマナーが大事であると改めて気づかされます。

とにかく真摯に誠実に、礼節を持って対応するように心がけていきたいと思います。