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悪文 伝わる文章の作法 岩淵悦太郎 著

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悪文 伝わる文章の作法 (角川ソフィア文庫) [ 岩淵 悦太郎 ]
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1.はじめに

もともとは1960年が初版、その後、2016年に文庫化されています。

冒頭から、悪文紹介のオンパレードです。

よくこのような題材となる文章を見つけてきた、と思う反面、案外、自分がこれまで書いてきた文章を含め、探せば探すだけ見つかるもの、という気もします。

2.内容

(1)文の切りつなぎ

  • 要するに、文の切りつなぎの面から見れば、悪文の代表の一つは長すぎる文であり、論理的な明晰さを、読み手に感じさせない文章である。
  • 論理的な文章では、なんと言っても、主語と述語とは、切っても切れない縁続きなのだから、そう遠くへ離してしまっては、かわいそうである。述語を前の方に持ってくれば、そこで分が終わるから、文章に初めに、誰がどうしたという、言わば結論的な文を置くことになる。つまり、「結論を予告する」ということになるのであって、論説の文章によく取られる手法であり、実際上、かなり有効。

(2)文の途中での切り方

  • 書く方にとって便利だということが、読む方にとって不便なことの原因になる。「見てわかった」の場合には、「見て」まで読んでも、「見たのでわかった」のか、「見たし、わかった」のかなど、推移か、並列か、原因か、方法か、逆接かわからない。そのことは、読み手の負担が増えることであり、場合によっては、読み誤りを起こす原因にもなる。
  • 読点(、)の最大の役割は、文の中止を形式的に表すことである。しかし、実際の文章には、そのあたりのことが意識されていないものが多い。特に注意を要することは、書き手の書く勢いの切れ目と、読み手の読みやすさの切れ目とが食い違うことである。
  • 接続助詞の「が」の用法は、逆接法だけではない。つなぎ、前置き、補充、対比など、非常に幅広い用法を持っている。その種々の関係を表しうるところに、あいまいさの源がある。そういう意味で、このような文は、読み手に大きな負担をかけるもの。

(3)文の筋を通す

  • 主語はなるべく早く出した方がいい。しかも、主語と述語との距離は短い方がいい。そこで、両方の要望を満足させるのはなかなか難しいが、たった一つ道がある。それは、短い文を書くということ。これはあらゆる場合の鉄則と言っていい。
  • 普通の日本語では主語となりえないものを主語とすると、どうしても述語が受身形になる。現実には、こういう文はとっつきが悪く、日本人には慣れていない発想法なので、理解しにくいことは否定できないと思う。日本語では、受身は1つも使わなくても、その気にさえなれば文を書くことができる。
  • 余計なものをなるべく省くということを、いつも考えていなければならないのであるが、一方、略し過ぎてもよくない。略し過ぎとダブったものとどちらがいいかと言えば、芸術作品ではない限り、むしろダブりの方がいい。省略してしまっては、全く筆者の予想しないような解釈が成り立つことがあるかもしれないが、ダブったものは、多少うるさいと思われても、そのための誤解は起こらない。

(4)修飾の仕方

  • 「難しい子の教育」では、①難しい「子の教育」なのか、②「難しい子」の教育という2通りに取れる。書き手の頭の中では、こんなことはわかりきったことに違いない。しかし予備知識のない読み手の側に立って読み直すべきであった。
  • 奥田靖雄氏は「正しい日本語の書き方」という本の中で、修飾語の条件として次の3つを上げた。
  1. 長い修飾語をつけないこと
  2. 修飾される語のすぐ前に修飾語を置くこと
  3. 長い修飾語と短い修飾語とがあるときは、短い修飾語の方を修飾される語の近くへ置くこと

(5)言葉を選ぶ

  • 相手が不特定の多くの人々となっている文章では、自分勝手の言い回し方は通らない。相手は必ずしも自分の書こうとしている事柄に理解があるとは限らない。それなのに、書こうとする全体を知っているから、つい相手の思惑にお構いなしに、筆が走りやすい。そこで、ひとり合点な書きぶりをしてしまう。
  • ひとり合点を改めない限り、いくら用語をくだいても、読み手の心理の引っ掛かりは救えない。難しい言葉を避けると、とかく文章が長たらしくなる。簡潔ということも、達意の文章を書くうえで大切な心構えである。
  • 頭の中のアイディアのモヤモヤを整理する努力をしないで、心に浮かぶイメージをただ書き連ねていくと、どうしてもひとり合点に陥る
  • 「太郎は次郎のように利口ではない」という分で、予備知識がない場合、①次郎は利口で太郎は馬鹿だ、②太郎も次郎と同じく馬鹿だ、③太郎も次郎も利口だが太郎の利口さは次郎に劣る、のどれかに解釈は決まらない。~と違って、~と同様になど、紛らわしくない表現を用いる。
  • よくは知らない言い回しを、気分的に使ったり、学をひけらかして書いたりすると、とんでもない結果になることが多い。言葉の選び方には、もっと慎重さが必要である。書こうとすることの掘り下げが足りないか、または整理がついていないか、結局、書き手の心構えと考えとが確かかどうかの問題にまで遡っていく。

3.教訓

自身でも文章を書きますが、立場上、担当者が書いた文章をチェックすることが多いです。その際、本書の内容が非常に役立ちます。

その際、本人が伝えたい内容と、読み手が感じる内容とが、必ずしも一致しない部分があり、「ここはこう書いた方が伝わる」という話をよくします。

また文章を短く切ったり、段落を変える必要のないところを戻したり、主語を明確にしたりといった校正作業を実施します。自身が説明する立場であるのに、という内容なのに、こう変更されます、こうなります、という文章も目立つので、変更します、という言い切り方に書き換えることもあります。

とにかく、紛らわしい表現を避け、簡潔な内容で、ひとり合点にならずに相手に誤解なく伝わる文章を心掛けたいと考えています。