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バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則 柿内尚文 著

1.はじめに

本題は「伝えて」ですが、副題は「伝わる」となっています。

”伝える”と”伝わる”は、実は大きく異なります。実際に、本書第3章では、章の名前自体が「伝える技術」に取消線が引かれ、「伝わる技術」と書き直しているくらいです。

その第3章では、16の「伝わる技術」が紹介されています。その中から、自身で印象に残った内容をいくつか引用して紹介していきます。

(36の法則は何を指すのかわかりませんでした)

2.内容

(1)人は、正しいかどうかではなく「伝わったこと」で判断する

  • 伝わらないものは、存在していないことと同じ。だからこそ、伝えたいことをちゃんと伝える必要がある。人は伝えられたことで判断しているので、ちゃんと情報を伝えないとなかなかわかってもらえない。おべんちゃらを言う必要はないかもしれないが、「言わなくてもわかってくれるはず」という考えは捨てるべき
  • 記憶力や集中力の差もあると思うが、人はかなりの情報を忘れてしまう、もしくは最初から聞いていない。「エビングハウス忘却曲線」が有名。これだけ忘れてしまうわけなので、自分が伝えたことも相手の「忘却側」に入ってしまう可能性は十分ある。なので、忘れられている前提で伝える頻度を高めることが大切

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  • 「言いました」=「伝わった」という誤解はよくある。でも相手が理解し、腑に落ちていないならば、それは伝わったことにはならない。伝えただけ。伝わる=相手が理解する、腑に落ちる、納得する。これは「相手ベース」。

(2)伝える技術 伝わる技術

  • コミュニケーションには常に「メンタル(感情)」というやっかいなものがついてまわる。伝えるときは「ファクト(事象・事実)とメンタルを分けて考え、伝える」。それだけで「伝わる力」が上がるはず。
  • 2人の価値観のずれがベースにあり、立場の違いも影響しているので、考えを完全に一致させるのは難しいが、お互いが「なぜそう思うのか」の理由を知ることはできるはず。お互いに質問をしていき、どの部分に努力がいるか、どの部分に仕事の調整がいるかを見える化させることで、解決への道筋が見えてくるはず。
  • 一見同じようなことでも、どういう言葉をのせるかで伝わる価値はまったく変わってくる。言葉を変えることは、思考を変えることにもつながる。思考が変われば、行動も変わる。行動が変われば未来が変わる。言いかえはその第一歩でもある。
  • 相手のことを考えるだけでなく、もう一歩踏み込んで、相手が「得した!」「よかった!」「嬉しい!」と思えるように伝えていくことが「相手メリット」。マイナスの状況でも「相手メリット」で伝えることで、マイナスをプラスに変えることができる
  • 相手メリットに変換するには
  1. 自分の頭に浮かんだ言葉をそのまま伝えない。
  2. 相手の頭の中の「状態」を想像する。その「状態」にとって「メリット」「デメリット」は何かを考える。
  3. 相手にとって優先度の高いことを、相手にメリットがあるように、もしくは相手のデメリットにならないように伝える。
  • 文脈や前提がわからないと、相手の頭の中は「?」状態。話す側は自分がわかっているし、相手もわかって当たり前と思っているかもしれないが、文脈がわからないまま相手の言うことが理解できたらそれはもうエスパー。面倒でも文脈がわかるように丁寧に話したほうが合理的。いきなり本題は避けたいところ。

(3)「伝わる人」が実践している4つの行動

  • コミュニケーションスキルが高い人は「自分の脳と相手の脳が見ている世界が違うということをしっかりと認識している人」。100人いれば100通りあるのが脳のバイアス。そもそも「伝わっていない」「わかってもらうのは難しい」という前提から始める。
  • 伝えたい内容はなかなか伝わらないのに、イライラはすぐ伝わる。こちらのイライラが伝わると、相手もイライラしたり怖がったりと、感情がざわつく。そうなると、本来伝えたかったことはますます伝わりにくくなり悪循環。イラッときたら、「やさしい人になろう」と心の中でつぶやく。
  • 「言わなくてもわかっているはず」「このことは共有できているはず」。でも実際はそこまで共有できていない、わかりあえていないこともよくある。そうすると生まれるのが「不満」。トラブルの多くが「伝えていない」から起きる

(4)「伝えるのが面倒な人」への対応策

  • どうしても伝わらないと思う人であれば、無理してコミュニケーションをとらないという選択もある。そこに時間をかけても伝わらない可能性が高い。
  • 人は自分の理解できる範囲でしか理解しない。そのため、どうしても伝わらないということは起きてしまう。どうにかして伝えようと時間をかけ、労力をかけるのももちろん悪いことではない。でも、いくら時間や労力をかけても伝わらない相手はいる
  • できるだけ相手を否定しない。まずは受け止めること。受け止めたうえで、ゴールや目的を確認する。避けたいのは、議論が本質からずれてしまうこと。なので、ゴールを確認しつつ、相手の感情や立場を考えた答えをしていく
  • なぜ相手が感情的になるのか。相手と同じ階層に立つのではなく、相手を研究対象として捉える。怒り出した相手に、「人はなぜすぐ起こるのかを研究している脳科学者」の視点になる。
  1. 自分の思い通りにならない。
  2. 相手に何度言ってもわからない。
  3. 相手の態度が悪い、気遣いがない。
  4. ただ機嫌が悪い。

3.教訓

伝えていないからトラブルは起こる、ただし、伝えただけでは伝わらない、はまさに仰る通りだと思います。

例えば、業務日誌やメールのCCで話が伝えられるケースです。日誌はその日に起こった事実を伝えるケースであって、判断を求められているとは考えません。また、CCは「こんなことがやり取りされている」程度であって、中身をすべて見たうえで何かしらリアクションが必要だとは思っていません。

必要な相手に必要な手段で伝えたうえで、相手がこちらの思うようにアクションしてもらって、初めて”伝わった”と言える状態になります。そのやり取りが十分ではなくミスマッチを起こすから、伝え手も受け手もフラストレーションがたまります。

そうならないよう、本書の内容を踏まえたコミュニケーションを意識したいと思います。

 

ただ、自身のなかで、今ひとつ腑に落ちない箇所が1つあります。

それは、畑の広さを示す際、「10haというのではなく、東京ドーム約2個分のほうが伝わる」という部分です。

世の中の人は、東京ドーム1個分が、グラウンド部分の大きさだけでなく、観客席や外周部分まで含まれていることをどれくらい認識できていて、実際にどれくらい広いのかわかるのだろうか、と思います。ただただ広いということだけわかればいいのであればよいが、その程度ではないか、と思うのです。