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夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神 水野敬也 著

1.はじめに

夢をかなえるゾウのシリーズは現時点で5巻、累計で500万部ほど売れているそうです。

個人的には、1に続いて2冊目です。

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本書のストーリーとしては、以下のようなもので、

  • 主人公が病弱な奥さんより先に余命宣告を受けてしまう
  • その主人公が生きている間に妻子のために財産を残そうと奮闘する
  • でも実際には主人公が死ぬことはなく、その後の展開が待っている

現実にはあり得ないドラマのような設定がコメディ仕立てで進行していく中で、「人間にいつか訪れる死を意識したときに何をすればよいか」、ということを色々考えさせられる内容です。

以下では、関西弁のガネーシャや主人公など、様々な人が様々な表現で考えたり話したりしている内容の中から気になる課題を抜粋し、少し表現を統一して引用します。

2.内容

(1)ガネーシャの課題

  • 自分が死んだあとどんな手続きが必要になるか。多くの人にとって、目を背けたくなる現実。ただ、その苦しさから逃げず、冷静に見つめて対処する姿勢を持てれば、自分の死後も家族を守れる力が身につくはず。
  • 「やる」って決めた瞬間から、やれることはいくらでも生まれてくる。自分のやりたい仕事がわからなかったら、色んな仕事について調べたり、人に相談のメールを送ったりすることは今すぐできる。何なら、今日、自分が考えたことを日記にまとめるだけでも、何か発見があるかもしれない。
  • 世の中には、子どもに色々な習い事をさせたり、お金をかけて教育する親はいるけれど、一番大切なのは、自分の時間を子どものために使うこと。なぜなら時間は自分の人生そのものだから。
  • 仲違いしたままになっている人や、ずっとお礼が言えなくて心に引っかかっている人がいれば、ぜひ連絡を取り会いに行く。「迷惑がられないだろうか」と不安を感じる人もいると思う。ただ、これは、相手のためではなく、自分のためにやるべきことということを忘れてはいけない。生きている今、行動することを考える
  • 「死ぬまでにやりたいことリスト」を作る。経験したことのないサービスを受ける。人生の両面を経験して、自分を知り、自分で選ぶ。両方の立場を知れば、共感できる幅も広がる
  • 人に迷惑をかけられないのは、「評価が下がる」ことを恐れているから。人に迷惑をかけることがいいと言っているわけではない。ただ、人の評価を大事にしすぎるということは、自分が本当に大事にしないといけないものを見失ってしまうことでもある。
  • 心臓は自分が生まれてから今日に至るまで、一回も休まず全身に血を送ってくれている。肺は、自分が意識しなくても呼吸してくれている。体は24時間体制で自分を支えてくれている。なのに自分はそれを当たり前だと思って全然労わってこなかった。体という従業員をないがしろにしてきたブラック企業の経営者
  • 身近な人に感謝の言葉を伝える。自分を見塚で支えてくれている人に対しては、色々してもらうのが当たり前になっている。傍にいる人の苦労がわかって感謝できるようになれば、世の中の人たちの苦労を減らせるサービスも生み出せるようになる。
  • 多くの人は、自分の潜在能力よりも低いレベルで妥協してしまう。「頑張りすぎても意味がない」は、実際に頑張ってみて、これ以上やってもプラスにならないラインを知ったとき初めて言える言葉。多くの人は頑張らないことの言い訳に使っている。だから自分の内に秘めている能力を最大限引き出せていない。
  • 仕事の結果が気になることは多々あったのは、本当の努力をしてこなかったから。「これ以上頑張るのは無理だ」と心から納得できるくらい真剣に取り組めば、結果への不安が和らぐ瞬間が訪れる。
  • 「死ぬまでにやりたいことリスト」を作る意味は、書き出したすべての項目を実行するためではなく、自分の願望を確認するためにある。そうすれば様々な願望の中で、自分が本当にやりたいことを選び取ることができる。自分の願望が何かを知っておくことは、限られた時間の中でふいに訪れる実行のチャンスをつかみやすくする。
  • もし正しい教えが必ず人を正しく導くとしたら、この世界に正しい教えが現れた時点で、みんな正しい行いができるようになるはず。だけどそうはなっていない。むしろ多くの人は、正しい教えから目を背けたり、自分に都合よく歪めたりして、間違った教えのほうを信じるようになってしまう。
  • 世の中では、偉大な仕事をした人は「夢をかなえた人」と思われているけど、本当は違う。どんな偉人にも、偉人になれなかった人にも、かなえられた夢とかなえられなかった夢があった。

(2)最後の課題

  • みんな、本当はたくさんの夢をかなえてきている。でも、周りと比べて「たいしたことない」って思ってしまったり、かなえた夢に新しい夢を上書きしてしまったりして、なかったことにしてしまっている。
  • 「あれを手に入れたい」「あんな風になりたい」、そうやって頭の中で想像した「完璧な状態」になろうとする、夢をかなえるとはそういうこと。ただ、完璧な状態を望めば望むだけ、完璧でないことにイライラしたり、苦しむことになる。
  • 職場の同僚や街ですれ違う人、自分が関わるすべての人には必ずどこかしらに人として至らない部分があるだろうけど、受け入れる姿勢を持ってみる。相手の欠点が許せないからといって、「顔を見るのも嫌だ」「いなくなってほしい」という風に完全に否定したり排除したりしようとすると、むしろ自分を苦しめることになる。
  • 他人に完璧さを求めてということは、それ以外のことも、とりわけ自分に対しても、完璧さを求めてしまう。そういう人は、自分の欠点が気になって頭から離れないし、普段の生活でも嫌なことばかり目についてしまうから、いつもイライラして苦しむことになってしまう。それに気づくことができれば、その感情と距離を置ける。
  • つながりから離れないと「経験」できない。全部がつながっている世界では、市の不安や苦しみは存在しない。その分、生きることの喜びや感動も存在できない。母親のへその緒から切り離されて初めて、自分とは違う「母親」の存在を知り、「笑う」ことができるようになる

3.教訓

自身も昨年は怪我をして意識が遠くなり救急車で運ばれたことがあり、平均寿命の折り返し地点も過ぎたことで、以前より少しずつ「死」について意識することが増えました。

「死ぬまでにやりたいことリスト」と検索すると、企業のサイトから個人的に100個のリストを発表しているサイトなど、本当に様々な結果が表示されます。最近ではDIE WITH ZEROの中でも「バケットリスト」の有効性について記されていました。

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ストイックに自分を厳しく律して他者にも同じ水準を求めることも、体に無理をしてがむしゃらに頑張ることも、ここまででいいやと自分で線を引いてしまうことも、すべては自分で生き方を選択していること、ということを再認識できました。

自分でも「死ぬまでにやりたいこと」を一度リストアップしてみて、自分がどういう想いを持って生きているのか確認する時間を取りたいと感じました。これまでの人生を振り返ってみようと思える良書で、シリーズ全体でよく売れるのもわかります。