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忘れる読書 落合陽一 著

1.はじめに

表紙には、以下の2文が記されていて、本に囲まれた写真も印象的で、前から気になっていて今回購入しました。

「デジタル時代の真の教養を身につける本の読み方」

「古典から哲学・理工書・小説まで落合陽一を作った27冊を紹介」

以下では、全体237ページのうち前半55ページ分から印象的だった箇所を引用します。

それ以降は、特定の本に関する落合さんの想いや考えが中心だと認識していまして、ここで言及するというより、実際に手に取って、どんな本がどのように紹介されているか、前後の文脈含め読んでいただくことをおすすめします。

2.内容

(1)はじめに

  • 今の時代に読書をする意味は何かと問われれば、第一に「思考体力をつけるため」、第二に「気づく力をつけるため」、第三に「歴史の判断を学び今との差分を認識するため」と私は答える。
  • 「本」というある程度体系化されたパッケージは、持続可能な教養を身につけるために、とても適している。思考体力と気づく力は、ウェブで細切れの情報に触れているだけでは、なかなか身につかない
  • 「気づく」能力のある人こそ教養のある人。「課題を見つける能力」と言い換えてもいい。クリエイティブな人材になるために必要な力は、点在する知識を「つないで自分のものにする」、つまり「気づく」ということ

(2)持続可能な教養

  • 互いの教養の「段階」が揃っていないと、会話に骨が折れることがある。反対に、同じ教養を共有している人同士の会話は、ものすごく速いと感じる。予備知識のない状況で話をされたら、誰だって面食らう。短いフレーズで会話を成立させるためには、双方に共通言語があるのが大前提。
  • 「どうしたらアートを生み出す美意識を磨けるか?」という問いへの私なりの答えは、「自分でストーリーを練り上げられる人になるための訓練をし続けること」。大事なのは、自分の思考でストーリーを練り上げようとする動機とアウトプットの機会
  • 教養とは「抽象度の高いことを考える力」と「知識と知識をつなぎ合わせる力」であり、それらを磨くには読書が最適。自分のストーリーを練り上げるとは、つまり抽象化しながら思考し、点在する知を自分の文脈でつないで言語化するということ。
  • 例えば、「教養のための50冊」といったタイトルの本に紹介されているブックリストを片っ端から読破しても、「自分の教養」は身につかない。本を手に取る時は、「自分の文脈」で選ぶことをお勧めする。

(3)忘れるために本を読む

  • 私は基本的に自分の興味に沿って本を読むが、人生のある時期には「重し」のように誰かからの強制力が働き、一気に知識の底上げをするような感覚で読むことも有用。
  • ウェブで調べれば十分な知識は、記憶しておかなくてもいい。これからの時代、クリエイティブであるための知的技術は、読後に自分の中に残った知識や考えをざっくりと頭に入れ、「フックがかかった状態」にしておくこと。何かを読んで知識を得た時、適度に忘れていくことが大事。
  • 覚えることより忘れる能力が大切」。読んだ内容を細かく思い出せるうちは、単に著者の主張を頭の中でリピートしているだけで、それは自分の頭の中に「入った」とは言えない。

3.教訓

落合さん自身、父親がジャーナリストの落合信彦氏であって、自身が研究者でありメディアアーティストであるので、育ってきた環境、家にある蔵書、本を出版する側の立場など、新書を手にすることの多い私のようなビジネスパーソンとは全てが異なります。

そのため、本の購入に充てられる予算、読書をする時間も一定の制限があるので、全く同じような本の読み方はできないし、しなくてもよいと考えます。紹介されている27冊を読破したからといって、落合陽一さんのようになれるわけでもありません。

マーカーを引いたりノートに付ける等は一切されていないそうで、私の読書法とは真逆ですが、自身がしている要約せずに印象的だった文章だけを書き抜くというのは、「フックをかける」に近いものがあるかなと、良いように勝手に解釈しています。

以上のように、自身とはほとんど共通点がないながらも「読書の効用」は理解できましたし、今後の読書への向き合い方や考え方は参考になり、得るものが多かったと感じてます。

本書にもあったように、「自分の文脈」を大切にしながら、時には「あえて普段の仕事とは関係のない分野の本で感性を磨く」ことも意識して、読書を継続していきたいと考えています。

なお、各章で繰り返し紹介されている「失敗の本質」と「風姿花伝」は、自身がこれまで読んできた本の中でも指折りの印象度でして、過去記事を貼り付けておきます。

bookreviews.hatenadiary.com


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