1.はじめに
会社の近くの紀伊國屋書店で、読み継がれている本の特集コーナーに置いてあるのが目に留まりました。
帯には、”著者累計500万部、カーネギー「人を動かす」と並ぶ世界的名著”、という説明書きがあります。人を動かすは読んだことがありますが、本書についてはレス・ギブリン氏という著者含めて全く知らずでした。その説明を見て、これは読まないと、と思い手に取りました。
原題は "How to have confidence and power in dealing with people" で、直訳すると「人と接するときの自信と影響力の持ち方」といったところで、「人望」という邦題とイメージが違ってきます。人を動かすの原題も”How to Win Friends and Influence People”で、名前としても双璧といった印象です。
以下では、特に重要と感じた部分について、引用して紹介していきます。
2.内容
(1)人間の本性をうまく活用する
- 人間関係に関する限り、相手の自尊心を傷つけることはご法度。相手の人間減としての尊厳を踏みにじったら、いずれひどい目にあわされる。人々は自尊心についてとてもデリケートで、自尊心を傷つけられると非常手段に訴えるおそれがあることを肝に銘じよう。
- 相手が誰だろうと、人と関わるときは、次の4つのことを肝に銘じる必要がある。
- すべての人は程度の差こそあれ自分本位である
- すべての人は自分に最も強い関心を抱いている
- すべての人は自分が重要だと感じたがっている
- すべての人は他人に認められたいと思っている
- 気難しい人に対処する効果的な方法は、その人が自分自身をより好きになるのを手伝うこと。心のこもったほめ言葉をかけて相手の自尊心を満たせば、気難しい人に対して大きな効果を発揮する。
- 私たちはよく「物の道理」という言葉を使うが、人間関係における物の道理とは、相手に正論を振りかざすことではなく、相手の自尊心を満たす方法を実行すること。
- 世界中の人々が最も飢えているものの1つは、自分の重要感。つまり、すべての人は自分の価値を他人に認めてほしい、自分をほめてほしい、自分に気づいてほしいと強く思っている。
- 人間が論理の生き物というより感情の生き物だと気づけば、人間関係の技術は飛躍的に向上する。相手を独自の価値を持つ存在として大切に扱うと、相手の意見や考え方に敬意を払うようになる。その結果、相互の関心、理解、友情にあふれた、より高い次元の人間関係が可能になる。
- 相手に好印象を与えたいなら、自分のすごさをひけらかす必要はない。相手に感銘を与える最も効果的な方法は、自分が相手に感銘を受けたと伝えること。しかし、尊大な態度をとって「あなたはたいしたことがない」と言うと、相手は「この人は愚かな頑固者だ」と確信する。
- 相手の間違いを指摘するのは必ずしも得策ではない。私たちが他人の間違いを指摘するとき、それはたいてい問題を解決したいからではなく、相手を批判して自分の重要観を高めたいから。そこで、相手の間違いを指摘する前に、「相手が正しいかどうかは大きな意味を持つだろうか」と自問しよう。
- 自身にあふれた態度を取ることは、自分の魅力を高めるための最も重要なことの1つ。情緒が不安定で優柔不断な人を好きになる人はいない。私たちが本能的に好むのは、自分が求めているものを知り、それを手に入れると確信している人。人々は自身のない人や弱気な人を嫌う。堂々と振る舞い、目標へと邁進しよう。
- 相手を信頼していることを知らせれば、相手は自分が信頼に値する人物であることを証明しようと努める。相手を心から信頼すれば、誠意を尽くしてくれる。
- 私たちが相手に接する際の最初の言葉と動作は、面会中ずっと「主音」のように鳴り響く。途中で別の調子に変えることは非常に難しい。要するに、自分が望む「主音」で会話を始めれば、相手の行動と態度は驚くほどコントロールすることができる。
- 相手は状況に合わせて対応する。相手はあなたが設定した舞台で自分の役回りを演じる。だからもし守勢に回りたくなければ、謝罪めいた卑屈な調子で会話を始めてはいけない。自覚しているかどうかに関係なく、あなたは他人と関わるたびに特定の舞台を設定している。
- 多くの人は他人にどう思われるかを絶えず心配しているが、自分が他人にどう思われるかは、自分の自己評価によるところが大きい。自分がつまらない人物のように振る舞えば、世間の人はあなたの自己評価に基づき、あなたをつまらない人物として扱う。逆に、自分が素晴らしい人物のように振る舞えば、世間の人はあなたの自己評価に基づき、あなたを素晴らしい人物として扱う。
- 聖書に「裁かれたくなければ、裁いてはいけない」という教えがある。これは人間関係に関する名言。私たちは何かを裁くたびに、自分を裁くきっかけを他人に与えてしまう。つまり、他人についてネガティブな発言をすると、自分について悪い印象を相手に与える結果になる。
- 仕事と職務内容を尋ねられた時、申し訳なさそうに「ええまぁ、○銀行で○係として仕方なく働いています」と答えるか、誇らしげに「はい、○銀行という素晴らしい職場で○係として一生懸命に働かせてもらっています」と答えるか。後者の答え方なら、相手はあなたに好印象を抱くだろう。
(2)友情をはぐくんで相手を味方につける
- 私たちは一緒にいて自分らしくいられる相手を求める。そういう人といると、ありのままの自分を受け入れてもらえるように感じるから。すべての人が必要としているのは、自分を無条件で受け入れてもらうこと。
- すべての人が自分を認めてほしいと強く思っている。人はみな承認願望を持っているから。相手を認めることは、相手を受け入れることよりさらに進んだもの。それは相手の欠点を辛抱することを越えて、積極的に長所を見つけること。
- 人間にとって最も軽んじられたと感じるのは、ぞんざいな扱いを受けたとき。すべての人は自分の価値を認めてもらい、自分を特別扱いしてほしいと思っている。
- 相手が友好的な態度をとってくれるのを待つのではなく、自分から率先して友好的な態度をとろう。おそらく相手も友好的な態度をとってくれるはず。
- 心のこもったほほ笑みは相手に親愛の情を伝える。「私はあなたの友人だ」という気持ちだけでなく、「あなたは私を好きになってくれることを期待している」という気持ちを伝えているから。相手にほほ笑みかけることのもう1つの意義は、「あなたはほほ笑みかける価値のある人だ」というメッセージを発信していること。
(3)効果的な話し方で成功する
- 会話では相手に自分のことを話させよう。相手の得意な話題を探す必要はない。自分のことを話してもらえばいい。どんな人でも「自分」というテーマの第一人者。
- 会話上手になる秘訣は小難しいことを言ったり自慢話をしたりすることではなく、相手の心を開いて話をしてもらうこと。要するに、自分を話の中心にするのではなく、相手に質問して話を聞きだすことが、会話上手という評判を得る秘訣。
- 私たちは賛同してくれる人に好意を抱き、賛同してくれない人に反感を抱く。賛同してもらうと自尊心が高まるから。たとえ何らかの点で反対しなければならなくても、相手に賛同できる点を常に見つけよう。
- 一流のビジネスマンは自分の口を閉じて、相手に話させるように仕向けるのがうまいだけ。彼らは精神分析学の父フロイトの科学的見解を直感的かつ経験的に知っている。人間はずっと話をさせると本心をごまかせなくなる。一生懸命に隠そうとするかもしれないが、どうしても本音をしゃべってしまう。じっくり耳を傾ければ、相手が無意識に自分の本音をあらわにしていることがわかる。
- 苦情を言おうとしている人に面会するとき、相手の話を最後まで聞くだけでなく、「大切な点をもう1度言ってください」と言い、「それ以外におっしゃりたいことはありますか?」と付け加えよう。これは相手の意見に関心を示していることを示す効果的な方法。相手に要点を繰り返すよう求めることは、相手が興奮しているときに役立つ。
- 多くの人は議論の最中に、自分が正しくて相手が間違っていることを証明しようとやっきになる。だが、説得の達人は少し譲って相手の意見に賛同できることを見つける。相手に少しでも正しい点があれば、積極的にそれを認めよう。あなたがささいなことを譲歩すれば、相手が重要なことを譲歩してくれる可能性が高くなる。
- 相手を説得したいなら、自分の意見を相手に受け入れさせるだけでなく、相手を窮地から救い出す方法を心得ておかなければならない。
- 相手が事実関係を把握していなかったことにする
- 言い訳をする機会を与えて相手の顔を立てる
(4)相手にうまく働きかける
- 人々は知恵を求められなければ、体力を100%発揮することが心理的にできない。それはまるで知力と体力がチームを組んで働くと決意しているようなもので、どちらか一方を単独で働かせることは非常に難しい。
- 一流の経営者は自分1人ですべてのアイデアを生み出す天才ではなく、従業員からアイデアを引き出し、それをもとに最終決定し、実行に移す能力を持つ人物。
- 他人の中に素晴らしい点を探す努力をすることは、自分にも奇跡的な効果をもたらす。それは自己中心的で独善的な傾向を和らげ、他人に対する理解を深め、寛容の精神を培ってくれるから。
- 相手の行為や性質をほめると、ほめ言葉が具体的になって誠実さが伝わる。また、相手は何をほめられているかが正確にわかるから、よりよい結果が得られる。
- 特定の行為をほめることは、ほめられた人がそれをもっとしようという動機付けになる。ほめ言葉はその対象となる行為を強化する働きを持っていることを覚えておこう。
- たとえ動機が純粋で、誠実な気持ちで注意を与えても、大切なのは相手がどう感じるかだ。周囲に第三者がいるかぎり、いくら穏やかに注意を与えても、相手は反感を抱く公算が大きい。注意の内容が妥当であろうとなかろうと、相手は同僚や知人の前で面子をつぶされたと感じるから。
- 問題が友好的に解決されるまでは、それが解決されたとは言えない。中途半端な終わり方をして、あとで蒸し返すのはよくない。その問題を完全に処理して片をつけよう。話の終わりに相手を励まそう。相手の最後の記憶が「叱責」ではなく「激励」になるようにするのが理想的な注意の与え方。
3.教訓
色々と思うところはありますが、相手の自尊心満たすこと(=人間の本性に働きかけること)が1つの正解なんだろうと感じました。相手におべんちゃらを言うのは、個人的なポリシーには合わない、という人もいるかもしれませんが、人間、きれいごとだけでは生きていけないのも一方の事実です。
1章はその内容が多めでしたが、2章以降は相手を尊重するという話が多かったように思います。これは今も昔も、洋の東西も問わない、人付き合いの王道です。取り入れることのできるところから、1つ1つ実践していきたい、そう思える良書でした。
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