管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

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人生後半の働き方戦略 幸福年収700万円を続けるために 都築辰弥 著

1.はじめに

まず、序章で印象に残ったのは以下の箇所です。

キャリアに対して主体性を持って取り組む意識と行動をキャリアオーナーシップといいます。キャリアオーナーシップを高め、年収700万円が続くように能動的に行動することで、1カ所の勤め先に依存せず、自分の望むキャリアを自分で選ぶことができるようになります。その選択の自由こそが、収入や幸福感、さらには働きがいをも実現する可能性を高めてくれます。

まさに選択の自由については、以下の「いつでも会社で辞められる自分になる」でも言及されていました。黒田真行さんの著書もたびたび引用されていました。

bookreviews.hatenadiary.com

以下では、第1章以降で特に印象的だった箇所を引用して紹介します。

2.内容

(1)幸福年収700万円が続く、人生後半の働き方戦略

  • いきなり起業に踏み切る衝撃を緩和し、徐々に移行するため、両者のいいとこ取りの働き方と言える複業を会社員時代から助走期間として仕込んでおくことを本書では提案したい。
  • 本書でおすすめする「複業」は、お金を稼ぐことだけを目的とするものではなく、キャリアの1つのあり方としてのパラレルワークを指す。
  • 就業規則で副業が禁止されている場合の選択肢の1つは、金銭報酬を伴わない複業にかじを切る。その代表例がプロボノ複業で得られるものは金銭報酬だけではない。社外の人脈、未知の人たちと働いて成果を出すためのコミュニケーション力、仕事に対する主体性、行動力といった非金銭報酬を貯金しておくことは、起業する際の大きな武器になる。

(2)複業から起業へ! 45歳から仕込むキャリア自律ロードマップ

  • 複業を真っ先に始めるような(行動力があって優秀な)社員はむしろ残ってほしいというのが企業の本音。社外に目を向けてもらうために複業を推進しているのに、内心辞めてほしい社員ほど、会社にしがみついて複業しないという大いなる矛盾に企業も試行錯誤している。複業を始めることが、リストラの対象になる踏み絵と化すことはない。
  • 副業は概して「買い手市場」だということ。ここが転職市場とまったく違うところ。さらに、ミドルシニアにとっての副業デビューまでの道のりは一層厳しい、ということも申し上げなければならない。
  • 複業におけるコンテンツは情報の集合体で、「会社あるいは他者にとって価値がある、再現性のある知識体系・ノウハウ」を指す。もっと平たく言えば、会社や他者が、あなたにお金を払ってでも教えてもらいたい何かのこと。コンテンツはたいてい「○○する方法」という語尾で表現できる
  • 企業が本質的に求めているのは、複業人材が持っているノウハウ、つまりコンテンツであって、複業人材の労働力そのものではない。このように、自分が持つコンテンツ=「じぶんコンテンツ」を明確にすることが、すなわち強みの棚卸しと言える。複業デビューひいては自律的なキャリア形成の源泉は、自分ならではのコンテンツは何かをしっかりと認識しておくこと。
  • まずは1冊のハウツー本を書けるくらいの「○○する方法」をひねり出し、タイトルを考えてみよう、というワークをやってみよう。できあがるタイトルこそが、あなたならではの「じぶんコンテンツ」にほかならない。
  • 趣味やプライベートの経験の棚卸しには、「複業になりそうか否か」という先入観はいったん捨て、それぞれの質問の回答を書き出してみる。
  1. 人生でお金をかけたと思うことは何ですか?
  2. 人生で時間をかけて取り組んだなと思うことは何ですか?
  3. これは努力したなと思うことは何ですか?
  4. なぜか人からよく褒められることは何ですか?
  5. 職場や友人からよく頼まれる・相談されることは何ですか?
  6. 気が付くと時間を忘れて没頭していしまうことは何ですか?
  7. ちょっとだけ自慢できる特技は何ですか?
  8. ちょっとだけ珍しい経験は何かありますか?
  9. ちょっとだけ人よりも詳しいことは何ですか?
  • 複業が見つかる「良いプロフィール」の構成とは?
  1. 自分コンテンツ
  2. 仕事略歴
  3. 数字で示せる実績
  4. 現場感が伝わるストーリー
  5. 大事にしているモットーや価値観
  • プロフィールに加えてピッチ資料を作る。「なるほど、この複業人材を採用すれば当社にメリットがありそうだ」「この人にお願いすれば私の課題が解決しそうだ」と企業や個人に思ってもらうことが目的。

(3)じぶんコンテンツを武器に複業機会を広げる

  • 転職と複業、その面接の違いを一言で言うと、転職の面接はインタビューであり、複業の面接はプレゼンテーションである、ということ。質問するのはむしろあなた。企業の担当者に対してその会社が抱える課題をヒアリングし、自分にできる解決策(それがじぶんコンテンツ)を提案する。
  • 「○○会社○○部長」というような会社に与えられた肩書ではなく、複業家としてのあなたを一言で表すオリジナルの肩書を作って名乗る。その肩書が印字された名刺を発注することをすすめる。
  • もともと「会社を辞めない起業」である複業を軌道に乗せていた人にとっては、会社を辞めて起業するといっても本能的に何かが変わるわけではなく、充てられる時間が増えるのみ。起業につきものの「覚悟」や「不退転の決意」「背水の陣」みたいなものは一切必要ない。複業延長型の「大人の起業」は、無理なくなりたいことを負うことができる、安全な挑戦と言える。
  • 定年はまだ先というあなたにも、本書を読み終えたらただちにやっていただきたいことがある。「開業届」を出すこと。開業届はインターネット上の簡単な手続きで、かつ無料で提出できる。手続だけなら何のリスクもないし、今まで大ごとだと感じてきた独立・開業が、少なくとも手続上は大したことないと実感できるはず。

(4)45歳からの転職基本戦術

  • ミドルシニア転職がうまくいかない人には大きく分けて2つの共通点がある。
  1. 自分本位な人:志望企業が求めているであろう(=相手本位)自分の偽りなき強みや経験を正々堂々アピールし、それがしっかりと伝わってオファーを受ける。
  2. 転職がうまくいかないことを年齢のせいにして思考停止する人
  • あなたに1時間のビジネスセミナー登壇の機会が与えられました。さて、あなたは何の担当者を対象に、どんなテーマでセミナーを行いますか。セミナーのタイトルを考えてみよう。「○○する方法」「○○するには?」「○○するポイント」で終わるタイトルを考えることができたら、それこそがあなたの自分コンテンツ。
  • 「年齢は少し気にかかるけれど、快活で一生懸命働いてくれそうだ」という印象を持ってもらえれば、「一度会ってみよう」となる。証明写真ボックスではどうしてものっぺりとした印象になってしまう。ここはやはり、プロのフォトグラファーに委ねるべき。
  • 乱暴な表現だが、「どうせ9割は落ちるんだ」と織り込んでおくと、ラクな気持ちで転職活動を進めることができる。転職活動の良いところは、辞退しようと思ったらいつでも自体ができるということ。お見送りするのは企業も自分も、お互いさま。少しでも興味を持った企業や希望条件にマッチする企業には気軽に応募し、面接を通過したとしても「合わない」と思ったら他を当たれば良い。
  • 同じくらいのスキルを持つ2人の候補者の中から1人を選ぶべき土壇場の状況で、かたやAさんは転職エージェントからの推薦、Bさんは採用ホームページからの直接応募だったとき、コスト観点でBさんが選ばれる場合がある。企業にとって、Aさんの採用コストは数百万円、Bさんならタダ。
  • 転職理由の本音は、具体的には千差万別だろうが、要は「今の会社で不満があったらから」というケースが大半。これをそのまま伝えては一巻の終わり。採用担当者が本当に聞きたいことは、あなたの中長期のキャリアビジョン。言い換えれば、今後何に挑戦し、どういうふうに成長したいと思っているのか。そして、今の職場ではどうしてもそれが叶わない理由があるのだと納得してもらうことがポイント。
  • 「当社で活かせる経験とあなたの強みを教えてください」。質問の仕方に多少のバリエーションはあれども、これは面接でほぼ必ず聞かれる質問。採用担当者側としては、募集ポジションで求める人材像との一致度を確認したい意図がある。この質問に以下のポイントを盛り込むべきと指南されている。
  1. 具体的な経験と定量的な成果
  2. その成果を出すためのプロセスや工夫
  3. 求人企業の課題に対する理解
  4. その課題解決に向けた具体的な貢献イメージ

3.教訓

個人的には転職も副業も未経験です。

また、自社では副業は解禁されているものの、入口の上司の許可と毎月の活動結果報告が求められていて、推奨されているより監視・実質禁止されているように感じます。

しかしながら、この領域の本を読むと、実際に転職するかはさておき、自分の選択肢や可能性を広げるためには、なんらか準備を始めたほうがいいように考えています。

今は資格取得に向けた学習が中心なので、あれもこれもというわけにはいきませんが、将来的な副業・複業に向けては感度や意識を高く持ち、何ができるかを探っていきたいと思います。