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自分の小さな「箱」から脱出する方法 人間関係のパターンを変えれば、うまくいく!

1.はじめに

本日記載している時点で、Amazonでのレビュー数は980、読書メーターの登録数は8218と、相当の反響があります。

実際、全世界で150万分も発売されているようです。

いくつかのブックオフで見かけで気になっていて、ようやく手に取りました。

「箱」とは自分だけの視野から見える世界、とでも言えるでしょうか。箱から出て相手と向き合い、相手に貢献することの重要性について考えることのできる良書です。

以下では印象的だった部分を引用・紹介していきます。

2.内容

(1)「箱」という名の自己欺瞞の世界

  • つまり人間は、相手が自分をどう思っているのかを感じることができる。自分が相手から、なんとかしなくてはならない問題とみなされているのか、操られているのか、策略をめぐらされているのかが、わずかな時間でわかってしまう。偽善だってかちぐけられる。見せかけの親切の下に隠れている非難を感じ取ることもできる。そして往々にして、そういう相手の態度を恨めしく思う。
  • 見かけ上、何をやるにしても、それには基本的に2つのやり方がある。他の人々をあるがままに、わたしと同じようにまっとうなニーズや望みを持った人々として見るか、あるいはそうでないか、この2つ。1つ目の場合には自分を人々に囲まれた一個人だと感じているのに対し、2つ目の場合には物に囲まれた一個人だと感じている。前者の場合、わたしは箱の外にいるが、後者の場合は、箱の中にいる。
  • 相手を自分と同じ人間だと思っていたどうか。同じように希望もあればニーズもある人間として見ていたのか、それとも相手は単なる物、脅威、厄介者、問題だったんだろうか。
  • 人々をあるがままの人間としてまっとうに扱うから、みんなそれに応えようとする。自分をあるがままの人間として見てもらえるとなると、頭の切れる人はさらに頭を働かせ、スキルを持った人はさらにそのスキルを発揮し、よく働く人はさらに懸命に働く。

(2)人はどのようにして箱に入るか

<自分への裏切り>

  1. 自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を自分への裏切りと呼ぶ
  2. いったん自分の感情に祖目途、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から見るようになる。
  3. 周りの世界を自分を正当化する視点から見るようになると、現実を見る目がゆがめられる。
  4. したがって、人は自分の感情に背いたときに、箱に入る。
  5. 時が経つにつれ、いくつかの箱を自分の性格と見なすようになり、それを持ち歩くようになる。
  6. 自分が箱の中にいることによって、他の人たちをも箱の中に入れてしまう。
  7. 箱の中にいると、互いに相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。共謀して、互いに箱の中にいる口実を与えあう。
  • 自分の感情に背いていると、自分を正当化するような見方で自分自身を見るようになる。そしてそのイメージを、状況が変わっても持ち続ける。だから状況が変わっても、相変わらず箱の中に入っている。人を人としてまっすぐに見られず、自分で作り出した自己正当化イメージを通してしか見られなくなっている。
  • 自分は物知りだというイメージを持っているからこそ、私は物知りになれない。自分は何でも知っているという自己正当化イメージを持っている人は、本当にいろいろなことを知りたいと思っているんだろうか。自分がどう見えるか、それが最大の関心事
  • 相手を責めることで、相手が箱に入るよう仕向ける。一方相手は、自分を不当に責めているといって、わたしを責める。ところがわたしは箱の中に入っているものだから、自分が相手を責めるのは当然だと思っている。つまり、わたしは自分が箱の中にいることで、相手が箱に入るように仕向け、相手もまた箱に入ることで、わたしが箱の中に留まり続けるように仕向ける
  • 箱の中にいた私が何よりも求めていたのは、自分が正当化されること。相手を責めている自分を正当化するには、相手が責めるに足る人間でなくてはならない。こちらが箱の中にいると、相手が問題を起こす必要が出てくる。つまり、問題が必要になる。
  • 箱の中にいると、自分に目を向けるだけで手一杯になってしまって、結果に気持ちを集中させられなくなる。これまで仕事の中で出会った人々、一心に成果をあげようとしているように見えていた人々も、実はそうじゃなかった。彼らが成果を重視するのは、自分が優秀だという評価を得たり、その評判を維持したいからということが多い。

(3)箱からどのようにして出るか

①箱の中にいるときに、しても無駄なこと
  1. 相手を変えようとすること
  2. 相手と全力で張り合うこと
  3. その状況から離れること
  4. コミュニケーションを取ろうとすること
  5. 新しいテクニックを使おうとすること
  6. 自分の行動を変えようとすること
  • 誰かに対して箱の外に出ていたいと思ったその瞬間、君はもう箱の外に出ている。なぜなら、相手を人間として見ていればこそ、外に出たいと感じることができるのであって、人間に対してそういう感情を抱けるということは、すでに箱の外に出ているということ。
  • 箱の中にいると、自分が買えようとしているものをさらに強めることになってしまう。だから、相手を変えることで箱から出ようとしても、結局は、箱の中に留まる理由を、相手から与えられることになる
  • 自分のことを考え続けている限り、箱の外には出られない。箱の中に入っているときは、たとえ自分の行動を変えようとしたところで、結局、考えているのは自分のことでしかない。だから、行動を変えても駄目。
  • 自分をなんとかすることで箱の外に出ようとしても無駄。箱の中にいるときに考えたり感じたりすることは、すべて箱によるまやかしにすぎない。本当は、箱の外側にあるものに抵抗するのをやめた瞬間、つまり相手に逆らうのをやめた瞬間に、自分が変わり始める
  • 箱の外に留まり続けるうえで肝心なのは、箱の外に出ているときに、自分が他の人に対してなすべきだと感じる、その感覚を尊重すること。箱の外にいるからこそ、他の人たちを人間として見ているからこそ、そして自分がしたいからこそ、手を貸すわけだ。
  • リーダーが、会社にどれほどのダメージを与えるかわかったと思う。なにしろ、周りの人をいとも簡単にはこの中に逆戻りさせられるから。リーダーが箱の中にいる限り、仮に周りの人々が従ったとしても、それは単に力に屈して、あるいは力を恐れて従っているだけ。そんなものは統率力なんかじゃない、ただの威圧。
②知っておくべきこと
  • 自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには箱へとつながっていく。
  • 箱の中にいると、業績向上に気持ちを集中することができなくなる。
  • 自分がどのような影響を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて箱の外に出ているか否かにかかっている。
  • 他の人々に抵抗するのをやめたとき、箱の外に出ることができる。
③知ったことに即して生きること
  • 完璧であろうと思うな。よりよくなろうと思え。
  • すでにそのことを知っている人以外には、箱などの言葉を使うな。自分自身の生活に、この原則を活かせ。
  • 他の人々の箱を見つけようとするのではなく、自分の箱を探せ。
  • 箱の中に入っているといって他人を責めるな。自分自身が箱の外に留まるようにしろ。
  • 自分が箱の中にいることがわかっても、あきらめるな。努力を続けろ。
  • 自分が箱の中にいた場合、箱の中にいたということを否定するな。謝ったうえで、さらに前に進め。これから先、もっと他の人の役に立つよう努力しろ。
  • 他の人が間違ったことをしているという点に注目するのではなく、どのような正しいことをすればその人に手を貸せるかを、よく考えろ。
  • 他の人々が手を貸してくれるかどうかを気に病むのはやめろ。自分が他の人に力を貸せているかどうかに気をつけろ。

3.教訓

一番最後の、「知ったことに即して生きること」に書かれていることに、本書のすべてが凝縮されていると感じます。ただし、この箇所に至るまでの内容を理解できていることが前提であって、ここだけ読んでも真意をつかむことはできないと思います。

また、本ブログは印象的なフレーズのピックアップをしていて、要約記事ではないのですが、要約を読んだとしても細かなニュアンスをつかむのは難しく、各シーンで描写される一人ひとりの相手とのやり取りの中に、それぞれの読み手がいろいろと感じることがあるのだろうと推察します。

本書では、会社で起こるシーンだけでなく、子どもと向き合うシーンも数多く出てきます。我が家でも年頃の娘を2人抱え、まったく子どもの行動パターンが理解できず、衝突することもしばしばあるのが現実です。それは私だけでなく、母親と子どもの関係も似たようなものです。親としてこうあって欲しいと伝えれば伝えるほど、子ども自身の考えとは合わずに話を聞こうともしなくなり、理想から遠のいていきます。もちろん、距離を少し取ったとしても、状況は何も好転しません。本当に、本書に書いてあることがそのまま起こっています。

本書を読んだからといって、あらゆる事態が即改善されるはずもないですが、少しずつでも意識を持って、「箱」の外に出る努力を継続したいと思います。