管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊+

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巨象も踊る ルイス・V・ガースナー著


 

1.はじめに

過去のビジネスモデルから抜け出せず、多額の赤字を計上していたIBMからCEOとして招かれ、経営再建を果たし、現在のIBMの礎を作り出したガースナー氏による、自ら経営哲学を語った本です。

作り話ではなく、実際のエピソードに裏打ちされた、生きた知識を学べます。

実際に、社員向けに発信されたメールも収納されています。

以下は、DIAMOND onlineの参考記事です。

diamond.jp

2.内容

  • 難しいこと、痛みの伴うことをやらねばならないのであれば、それがどんなことであれ、迅速に実行すべきであり、具体的に何をするのか、そしてそれは何故なのかを全員に周知すべき。ひとつの問題を長々と考えたり、問題を隠したり、部分的な解決策を小出しにしたりしながら景気が良くなって問題が自然に解消されるのを待っていると、つまり、ぐずぐずと先送りを続けていると、問題は必ず深刻化する。私は問題を素早く解決して、新たな目標に向けて前進するのがいいと考えている。
  • 変革を成功させるには、危機に直面している事実を公に認めることが不可欠。社員は危機の只中にある事実を認識していなければ、変革に必要な犠牲を払おうとはしない。変革を好むものはいない。経営幹部であれ新入社員であれ、変革は不安定を意味し、痛みを伴う可能性があるからだ。
  • 大企業で部門間が強烈なライバル意識を持つのはよくあるパターン。企業の屋台骨を支えてきた部門は、自社で生まれたものにしろ、買収によって登場したものにしろ、兄弟部門の出現には公然とあるいは密かに反対するもの。
  • 企業文化が経営の一つの側面などではなく、経営そのもの。組織の価値は要するに、それを構成する人々が全体として、どこまでの価値を生み出せるかで決まる。ある組織に行くと、早ければ数時間で、どのような文化が好まれどのような文化が嫌われているか、どのような文化に従って行動すれば評価され、処罰を受けるのか感じ取れる。個人の実績を評価する文化なのか、それともチームプレーを高く評価する文化なのか、リスクを取る姿勢を重視する文化なのか、合意を重視する文化なのかを感じ取れる。
  • 企業文化は命令で変えることはできないし、何らかの仕組みで変えることもできない。結局のところ、経営陣を文化を変えるわけではない。経営陣は社員に、自ら文化を変えるように招待するだけ。おそらく、最も困難な部分は、社員にこの招待を受け入れてもらうこと。
  • 企業の成功は何よりも顧客との関係の成功によってもたらされるのであり、それ以外ではありえない。顧客満足度が高くない企業は、財務面でのその他の面でも成功を収められない。
  • 優れた見識よりも素早い動きの方が大切な場合が少なくない。計画と分析を行うのが悪いわけではない。今直ちに仕事を完成させることを犠牲にしてはならない。
  • 官僚制と縄張り争いを終わらせるには、当社がチームワークを、とりわけ顧客への価値の提供に専念したチームワークを大切にし、それに報いることを全員が認識するのが最善な方法。
  • 自分で仕事を進める幹部を探しており、仕事が進んでいくのを見守り議論する幹部は不要。我々は変革者集団になる。我々自身とすべての社員が、自ら進路を切り開く力と機会に恵まれていると自覚した変革者の集団になる。これを聞いて居心地の悪さを感じるのであれば、別の仕事を考えた方がいい。
  • 文句のつけようのない実績を上げている幹部であっても、高い地位にある経営幹部が新しい行動モデルを無視するのをCEOが許容していると、企業文化を変える動きは直ちに脱線する。
  • 実行とは、戦略を行動計画に翻訳し、その結果を評価すること。詳細にわたるもの、複雑なものであり、自社が今どの位置にあり、目標との間の距離がどれだけあるかを深く理解していなければならない。計画できる目標を設定し、各人が目標達成に責任を負うようにする必要がある。どれ一つとっても変革が必要。だが企業は変わるのを嫌がる。個々人が変わるのは嫌がるからだ。
  • 偉大な組織は管理されているのではなく率いられている。運営されているのではなく、勝利への熱意に燃えた人々によって、常にさらに高い水準へ導かれている。
  • 偉大な経営者は腕まくりして自ら問題に取り組む。スタッフの陰に隠れることはない。他人の仕事を統括するだけの立場にはならない。毎日毎日、顧客、仕入先、提携先と顔を合わせる。何よりも、顔が見える指導とは情熱を意味する。
  • 公正さと公平さは、指導者が成功を収めるうえで決定的な要因である。えこひいきしたり、同じ過ちについて何人かは大目に見ながら他の人たちを断罪すると、士気が損なわれ、社員から侮蔑されるようになる。
  • 全体として見た場合、例外がありうることを示す行動を取ると、部下から信頼されなくなって指導力が失われていく。事前に許可を得るより、後で許しを得る方が簡単な企業文化は、長期的に見て必ず崩れていく。正しい原則と方針を一様に、公正に守るよう要求しない指導者は、指導力を失っていく

3.教訓

自身は経営トップでも何でもありませんが、1サラリーマンとしても、リーダーシップとは、変革者とは、公正とは何かということが理解が深まりました。

中でも特に「企業文化」については、合併企業に勤めていることもあり、出身母体の違いにより流れている血が違うと感じることも含め、肌感を持って認識できます。

文化自体がいいとか悪いとかでなく、それを所与のものとして、将来どうあるべきかを考え、行動していきたいと思います。

 

 

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