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イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン著


 

1.はじめに

あるマーケットにおいて、特定企業がトップを守り続けることは稀であり、いつかは新興企業が席巻するときがきます。

それを理論的に説明した内容で、企業や商品にはライフサイクルがあることがよくわかります。

2.内容

(1)イノベーションの種類

①持続的イノベーション

主要市場のメイン顧客が評価してきた性能指標に従って、既存製品の性能を向上させること。

②破壊的イノベーション

少なくとも短期的には製品の性能を引き下げる効果を持つイノベーション。低価格・シンプル・小型・使い勝手がよく、少数の新たな顧客に評価される。

持続的な技術革新により、顧客が必要とする以上の、ひいては顧客が対価を支払おうと思う以上のものを提供してしまう。破壊的技術の性能は、現在は市場の需要を下回るかもしれないが、明日には十分な競争力を持つ可能性があります。

低価格の分野に空白が生じ、破壊的技術を採用した競争相手が入り込む余地が生じ、主流顧客がどのように製品を使うのかといった動向を注意深く見極める企業だけが、市場で競争の基盤が変化するポイントをとらえることができます。

(2)優良企業が失敗する理由

  • 実績ある企業は、期待する利益のために、資源を持続的イノベーションに投下し、破壊的イノベーションには与えない。破壊的技術を開発することに苦労はしないが、資源配分が少なければそのプロジェクトは頓挫する。
  • 「顧客の意見に耳を傾けよ」というスローガンがよく使われるが、このアドバイスはいつも正しいとは限らない。むしろ顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、率直に言えば誤った方向に導くことがある。
  • 実績ある企業は、いつも新しい技術を確立された市場に押し込もうとするが、成功する新規参入企業は、新しい技術が評価される新しい市場を見つける。

(3)破壊的イノベーションへの対応

  • 一つの企業の中で、二つのコスト構造、二つの収益モデルを平穏に共存させることは難しい。適切なバリューネットワークに組み込まれた別々の組織で、別々の顧客を追求しなければ、市場の地位は守れない。
  • 破壊的技術に対応するには、持続的技術に対応するとき以上にリーダーシップが重要であることと、小規模な新しい市場では、大企業における短期的な成長と利益ニーズを満たせない。
  • イノベーションは難しい。どうしてこのようなプロジェクトをやらなければならないのかと、絶えず疑問に思っている人間が多い組織でプロジェクトを進めていると、その難しさは途方もなく大きくなる。大企業は、小規模な破壊的技術がいつか大きくなるとか、少なくとも戦略的に重要であると全員に納得させるために努力するより、小規模な組織にプロジェクトを任せる方法を選ぶべきである。
  • 破壊的技術をとりまく不透明な環境の中で、信頼的な事実は一つだけ。「専門家の予測は必ず外れる」ということ。実際、成功した新規事業の大多数は、最初の計画を実行しはじめ、市場で何がうまくいき、何がうまくいかないかがわかってきたときに、当初の事業計画を放棄している。
  • 破壊的技術の市場は、たいていの計画システムでは上層部の注目を集めることのない、予想外の成功から現れることがある。そのような発見は、人々の声に耳を傾けることによってではなく、人々がどのように製品を使うかを見ることによって得られることがある。
  • 小規模な企業が興奮するような機会は、巨大企業にとってはうまみがない。成功の苦い見返りの一つは、企業が大きくなるにしたがって、新興市場に参入できなくなることだ。これは、企業内の資源が変化したからではない。理由はむしろ、価値基準が変化したからだ。
  • 組織の能力が人材にあるうちは、新しい問題に対応するために変化することは比較的簡単である。しかし、能力がプロセスや価値基準のなかに存在するようになり、さらにそれが文化の中に組み込まれると、変化は極めて難しくなる
  • 最初の市場でも、コンセプトが間違っていたとわかる可能性も高い。そこで、第一号モデルは短期間に低コストで仕上げ、市場でフィードバックが返ってきたら作り直すための予算を十分に残しておくべきである。

3.教訓

内容そのものは、商品開発部署や経営企画に向けたものかと考えますが、ただ、そうでない部署の人であっても、キャリアプランを考えたときにも参考になる内容だと考えています。

というのも、一度獲得した知識であっても、システムの刷新や、法律や社内ルールが変わってしまうと100%の力を発揮できることは難しくなり、順風満帆にキャリアを積み上げていても、いつまでその地位に安住できるかはわからないからです。

常に持てる技能をアップデートしないと、長い会社人生で生き残ってはいけないし、畑違いな部署へと異動になり、また1から個人のブランドを確立する環境になる可能性もあります。ゲームチェンジャーが登場すると、所属する組織そのものの存続も危うくなるかもしれません。

未来の自分への種まきは意識したいと考えます。