1.はじめに
結論から言いますと、自分にとってはなかなか実践が難しい本です。
本に記載されていることを一冊まるまる取り入れるのはどの本でも難しいのですが、本書は中でも上位に来ると思います。日々の生活があって、配偶者がいて、子供もいて、という状態で、そんな簡単に引越や独立ができるものではありません。
著者は子供がいても海外に移住していると記載していますが、あくまでレアケースだと感じます。
ただ、同じことを目指す人がいても否定はしません。私も、生まれ変わって学生時代に本書を読んでいたら、社会に出るにあたりこの考えを目指していたかもしれません。
それが今はできないのを言い訳というのかもしれませんが、そう思われても仕方ないのかなと思います。ただし、本書のような考え方も理解できる、という部分は何点かあり共感しますので、あえて感想を記載したいと思います。
2.内容
(1)なぜ、移動する人はうまくいくのか?
- 自分の感覚を取り戻すためにも、センサーを強制的に再起動せざるを得ない環境に身を置くしかない。そのときに有効なのが、行ったことのない所に行くこと。全く違う環境に行くこと。過去の常識が通用しない場所に行くことで、人間が本来持っている感覚が蘇ってくる。その結果、自分の好き嫌いがわかるようになり、自分が本来、やりたいことが見えてくる。
- 私たちの人生に制限をかけてきたのは、安定を求める思考だ。その結果として定住があり、そこから生まれた権力がまた安定を欲するように洗脳していくという悪循環。この悪循環を打破するには、とにかく移動するしかない。現状維持を強く求める私たちの人生を強制的に変えてくれるのが移動。
(2)なぜ、移動中はインプット&アウトプットがはかどるのか?
- 多量のインプットにより、今まで知らなかったことを知るようになり、広い地図が手に入る。良質のインプットにより、読解力が身につくから詳細な地図が手に入る。また、このようにインプットを質、量ともに増やしていくことで、脳の中身を総取っかえできる。
- 人生はアウトプットそのものだということを忘れないでほしい。行動、結果といったものがすべてアウトプット、ただ、アウトプットはインプットがあってはじめて成立する。
(3)なぜ、移動すると行動力が上がるのか?
- 「引越すらできない者は、人生が変わらない」と思っているし、いつもそう言っている。それくらい引越は人生にインパクトを与える。なぜなら、人生は行動がすべてだから。そして、その行動を決めるのは環境だから。まずは「移動」が先であり、一番、人生を変えるのに手っ取り早くてインパクトがあるのが引越だということ。
(4)なぜ、移動する人は仕事にもお金にも恵まれるのか?
- 「選択肢を増やす」ということを考えたときに会社員が最悪なのはわかるだろう。「誰と働くか」「どこで働くか」「いつ働くか」が自分で選べないから。これの何が怖いかというと、日本社会ではそれらが選べないという異常事態が当たり前のこととされていること。
- 副業でうまくいく人もいるかもしれないが、それは意志の強い一部の人だけ。私は凡人は意志の力を信じてはいけないといつも教えている。だから、転職も副業も手を出すだけ時間の無駄。
- 今の時代は、1つのことしかできなければ、あっという間に稼げなくなってしまう。だから、普段から移動を意識することで変化への対応に優れた人間に変わっておこう。人間は環境に適応する生き物だから、いつも良い環境にいれば必ず良い結果が生まれる。「何」をやるかではなく、「環境」を徹底的に意識する。
- 移動すると、当たり前が当たり前じゃなくなる。他人と違う視点が手に入るから他人と違う人生になる。結局、私たちの脳はいつも同じ場所にいると、何も考えなくなり、何も感じられなくなる。そして不感症になっていく。「日常が感覚を麻痺させる」。
(5)なぜ、移動すると良い人間関係が増えるのか?
- あなたの周りにいる人の大半はあなたの過去を知っているわけで、彼らはあなたに「過去のあなた」を期待している。ということは、「過去のあなた」と整合性のない行動や言動をとれば、反発を食らうことになる。反発を食らいたい人はいないから、無意識に「過去の整合性」を取る人生を生きているのが大半。
- キャラクターを変えないまま、行動を変えようとするのは無理があるし、「できない自分」を突き付けられていくだけでどんどん苦しくなっていくだけ。だから、まずやるべきことは、キャラクターのリセット。過去にコントロールされない環境に移動してしまえばいい。
- どの環境にいるかによって人生が決まる。そして、一度、ある環境に入ってしまえば、キャラクターが設定され、人生が決められていく。ということは、私たちがやるべきは、環境を選ぶ自由をいつも持っておくこと。
- 知らぬ間にその環境におけるポジショントークを強いられ、人生の主導権を他人に奪われてしまうかもしれない。では、選択肢を増やすためにやるべきことは何かというと、「知識と経験をアップデートし続ける」しかない。そうすることで、選択肢がどんどん増えていく。
(6)移動体質をつくる30のアクションプラン
- レスポンスが速いだけで、相手に安心感を与えることができる。レスポンスが無ければ不安になるのが人間。すぐにイエスを言えるかは、自分の利益だけを考えていない証拠。逆に、すぐにイエスが言えないのは、得かどうかを計算している証拠。当然、自己利益しか考えていない人は信用されにくい。
- 良い人生は良い人間関係で決まる。そのためにも意識してほしいのが、コミュニケーションコスト。簡単に言えば、「めんどくさい奴だと思われないようにしろ」ということ。
- いつもと違う通勤、通学経路にする、もしくは時間帯を変えるだけでもいい。とにかく、毎日、「自分の当たり前」を破壊していこう。そうすることで脳が覚醒し、体に感覚が戻ってくるだろう。
- 結局、人はリアリティを感じることでしか行動できない。そこにリアリティを感じたら、その生活を維持するための稼ぎ方が見えるようになってくるから。結局行動しないのは、理想より現状のほうにリアリティを感じているだけだから。
- 結局、「人生は出会いで決まる」。良い出会いが欲しいのなら、教養のレベルを上げないと難しい。自分のレベルと同等レベルの人としか出会えないのが、私たちの生きている世界。
- 「なんでもいいから社会貢献をしよう」。なんだかんだ言っても、他人の役に立つことが、一番幸福度が上がる。なんでもいいから他人に役立つことをやると、メンタルも安定する。
- 人生はどんどん動くことで変わっていく。圧倒的に変化する。せっかく本書を読んだのだから、どんどん移動できる「身軽さの重要性」に気づいてほしい。そこで大切なのが「見切り発車」。
- 「他人の目」を気にしても、いいことはない。そもそも他人があなたのことをどう思っているかなんてわからないし、コントロールもできない。
3.教訓
確かに、同じ環境、同じ場所、同じ仕事をしていたのでは、見える世界が決まってくるということは実感としてもよくわかります。私も10年超、立場や役職は上方遷移したものの同じような仕事をしていて、これでいいのかと思い始め、異動願いのような形にしたのも、本書を読んだ後に考えると、いい選択だったのかもしれません。
ただ、異動直後は大変だったし、今でも周囲の人に聞きながら試行錯誤して進めています。しかし、これはある意味いい勉強の機会が得られているとプラスにとらえることもできると思います。
「自分が苦労した経験がないと、誰かにそういう相談をされたときに、深みを持って対話することができない」と、ある方から教わりました。
最後の30のアクションプランの中には、「悩まない、迷わない、反省しない」という記載もありましたが、ときどき時間を取って自身を振り返って、今後につなげていくことも必要では、と考えています。
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