サラリーマン課長がおすすめする、あなたの仕事に役立つ本100冊

40代のサラリーマン課長が身銭を切って買って読む価値のあるおすすめの本だけを紹介するページです

失敗の科学 マシュー・サイド著


 

1.はじめに

原題は、”Black Box Thinking"で、「失敗の科学」という意味はありません。

内容としても、失敗というものを科学的に分析しているというよりも、

  • トップはミスを認めたがらない
  • ミスを責める文化は隠ぺい体質につながる
  • しっかりミスをオープンに認める組織作りをして、失敗を学習の機会にとらえることが重要

といった、心理面・組織運営の話が中心です。

題名はさておき、記載されている事実や内容に関しては、多くの気づきが得られます。

2.内容

  • 「クローズド・ループ」とは、失敗や欠陥に関わる情報が放置されたり曲解されたりして、進歩につながらない現象や状態を指す。逆に「オープン・ループ」では、失敗は適切に対処され、学習の機会や進化がもたらされる。
  • 失敗から学ぶためには、目の前に見えていないデータも含めたすべてのデータを考慮に入れなければいけない。次に、失敗から学ぶのは、いつも簡単というわけではない。注意深く考える力と、物事の奥底にある真実を見抜いてやろうという意思が不可欠。
  • クローズド・ループ現象のほとんどは、失敗を認めなかったり、言い逃れをしたりすることが原因で起こる。
  • 診断力や判断力を高めたいときに大事なのは、熱意やモチベーションだけではない。暗闇に明かりをつける方法を探すことが肝心。間違いを教えてくれるフィードバックが無ければ、訓練や経験を何年積んでも何も向上しない
  • 人は自分が信じたいことを信じる。批判や検証の力を信じていたら、定説の欠陥を暴き出して進化をもたらすことができたかもしれない。失敗に対する考え方を変えない限り、無益な信念を捨てることはできない。
  • 人の手で行うと、ミスも出やすくなる。ミスを犯す可能性が高ければ高いほど、失敗から学ぶことは重要。やる気の問題でなく、失敗の捉え方を変えない限り、パフォーマンスの改革は幻のままで終わってしまう。
  • 多くの場合、人は自分の信念と相反する事実を突き付けられると、自分の過ちを認めるよりも、事実の解釈を変えてしまう。次から次への都合のいい言い訳をして、自分を正当化してしまう。時には事実を完全に無視してしまうことすらある。
  • 本来なら、影響力のある、社会に新たな学びを提供するべき人々が、必死になって自己正当化に走ってしまう。保身への強い衝動に駆られ、潤沢な資金を自由に使って、自分の信念とギャップを埋める。失敗から学ぶことなく、事実の方を捻じ曲げて。
  • 自分の判断は賢明だったとひたすら信じ、それに反する事実を突き付けられると自己弁護に走る。認知的不協和の影響での目の前が見えず、最も失敗から学ぶことができていないのは、最も失うものが多いトップの人間。
  • 批判的なものの見方を忘れると、自分が見つけたいものしか見つからない。自分が欲しいものだけを探し、それを見つけて確証だと捉え、持論を脅かすものからは目を背ける
  • 講釈の誤りは、進化のプロセスを妨げる。自分の直感や既に持っている知識だけを信じ、問題を直視せず、都合のいい後講釈で自己満足に陥り、その事実に気づかない。本当なら自分のアイデアや仮説をテストし、欠点を見つめ、学んでいかなければならないのに、その機会を失ってしまう。
  • 早期の失敗を奨励する「失敗型」のアプローチで特に注目すべきは、成果そのものよりも、トップダウン方式を重視した従来の価値観に風穴を開けたこと。「失敗型」アプローチを取るには、物事を素直に受け入れる気持ちと根気強さが欠かせない。
  • 何かミスが起こったときに、「担当者の不注意だ!」「怠慢だ!」と真っ先に非難が始まる環境では、誰でも失敗を隠したくなる。しかし、もし「失敗は学習のチャンス」ととらえる組織文化が根付いていれば、非難よりもまず、何が起こったのかを詳しく調査しようという意思が働くだろう。
  • 適切な調査を行えば、ふたつのチャンスがもたらされる。一つは貴重な学習のチャンス。失敗から学んで潜在的な問題を解決できれば、組織の進化につながる。もう一つは、オープンな組織文化を構築するチャンス。ミスを犯しても不当に非難されなければ、当事者は自分の偶発的なミスや、それに関わる重要な情報を進んで報告するようになる。するとさらに進化の勢いは増していく。
  • 実際に何が起こったのかを理解する前に、勝手な非難をするのは全く無意味。脊髄反射的な関係者叩きは、えてして醜い非難合戦につながる。どんなミスも、あらゆる角度から検討して初めて、相反する出来事の表と裏を見ることができる。その過程を経てこそ、問題の真の原因を理解できる。
  • ミスは単に注意を行ったせいではなく、複雑な要因から生まれることが多い。その場合、罰則を強化したところで、ミスそのものは減らない。ミスの報告を減らしてしまうだけ。不当に非難すればするほど、あるいは重い罰則を科せば科すほど、ミスは深く埋もれていく。すると失敗から学ぶ機会が無くなって、同じミスが繰り返し起こる。その結果、さらに非難が強まり、隠蔽体質は強化される。
  • 問題は「誰の責任か?」でも「責任を追及すべきミスと、偶発的なミスとの境界線はどこにあるのか?」でもない。そんなことに一律の線引きは不可能。ここで問うべき質問は、「処遇を判断する立場の人間を、スタッフは信頼しているか?」だ。裁く側の人間を信頼することができて初めて、人はオープンになり、その結果、勤勉にもなる。
  • 成功を収めた人々の、失敗に対する前向きな考え方にはよく驚かされる。もちろん誰でも成功に向けて努力はするが、そのプロセスに「失敗が欠かせない」と強く認識しているのは、こうした成功者であることが多い。
  • ビジネスリーダーや教師ばかりでなく、我々も社会人として、また親として、失敗に対する考え方を変えていかなくてはならない。子供たちの心に、失敗は恥ずかしいものでも汚らわしいものでもなく、学習の支えになるものだと刻み付けなければならない。
  • 自分の考えや行動が間違っていると指摘されるほどありがたいものはない。そのおかげで、間違いが大きければ大きいほど、大きな進歩を遂げられる。批判を歓迎し、それに対して行動を起こす者は、友情よりもそうした指摘を尊ぶ。己の地位に固執して批判を拒絶する者に成長は訪れない

3.教訓

現在は、事業内で起こったオペレーションミスの報告を受ける立場にいます。

一般的な企業同様、ミスが重なると営業目標上、マイナス評価になる仕組みです。

また、ミスに対して過剰な再発防止策が立てられると、業務の非効率を招きます。

さらに、他に同様なミスがないかの追加調査も起こります。

それでも、ミスから学ばないと、ノウハウが蓄積できず、いつまで経っても同じミスを繰り返すことになり、いつかは大事故につながる可能性もあります。

失敗を後ろ向きのことととらえず、次に活かすチャンスと考えていきたいと思います。