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V字回復の経営 三枝匡著

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V字回復の経営 増補改訂版 (日経ビジネス人文庫) [ 三枝 匡 ]
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1.はじめに

東証1部上場企業(または同等規模)5社において実際に行われた事業改革をベースにした、赤字事業を2年で黒字化するというストーリー仕立ての内容です。

実態把握から改革コンセプト作り、関係者向け説明、変革実行までの一連の流れを、臨場感を持って学ぶことのできる仕掛けになっています。

2.内容

  • 社員が社長と一緒になって考えてくれるなどというのは幻想に過ぎない。社長こそが新しい考え方を模索し、それを提示し、そして社長が自ら行動しなければ、何も起きない。
  • 組織の「政治性」は「戦略性」を殺す力を持っている。政治性は、個人の利権・利害の混入、過去の影響への執着、個人的好き嫌いなどによって生まれ、「正しいか正しくないか」よりも「妥協」重視の組織風土を醸成する。
  • 元気な成長企業に行くと、一つ上の階層の上司は、いつも配下のタテヨコの矛盾を自分で嗅ぎ回り、問題を自分でいち早く吸い上げる。組織内の綱引きに自分から先手を打つ。そして、明確な方針を自分で示す。
  • 攻めの成長企業では、ラインの責任者が自ら議事を組み立て、自ら進行を取り仕切り、自ら問題点を指摘し、自ら叱り自ら褒めることをしている。そうでない企業は、管理職が自分の果たすべき役割をスタッフに「代理」させ、自分はお山の大将を演じている。
  • 変革の努力がうまくいかなかったときの落としどころ、つまり「最悪のシナリオ」は、リーダーの腹の中で初めからある程度計算しておくことが必要。
  • 変革の第一歩は、まず眼前の事実を事実として認識すること、異なる見解や多様な価値観を表に出してその違いを認め合うこと。そのためには、現実と向き合う心を持たねばならない。
  • 人は厳しく損益責任を問われない限り、経営者として育つことはない。
  • 経営改革において「組織の再構築」と「戦略の見直し」はワンセットで検討することが不可欠。現実には、組織をいじりまわすことを先行させてしまうことが圧倒的に多い。
  • 前向きに進もうとしている人々を守るのは改革リーダーの最大の責務。そのためにガンが見つかれば、冷厳に排除しなければならない。それを蛮勇と呼ぶ。
  • 戦略を決定したらそれで自分の役割が済んだつもりのトップは多い。営業部隊に戦略指針を与えても、その実行をモニターするシステムがなければ、戦略は往々にして骨抜きになる。
  • 行動が誰か個人の独善的判断で固められたものではなく、合理的な経営論理で検証されていることを示せば、聞く者の納得性は飛躍的に高まる。組織の政治性を抑え込むためには、データと事実の提示が重要な役割を果たす。
  • 一旦改革をスタートさせたら、改革者は徹底的に意思を貫徹する。そこで遠慮するくらいなら、初めから改革をぶち上げない方がよい。
  • 危ない橋の中央では予期せぬ出来事が色々起こる。改革者が最も孤独を感じるこの不安定期を乗り切るには、「打つべき手はすべて打った」「自分は正しいことをしている」と腹をくくって自分を支えるしかない。
  • 改革では、小さい成果であっても早期の成功を示すことが重要。それによって「自分たちは間違っていなかった」という自信を得られる。またそれは、改革抵抗者の猜疑心を解きほぐす最大の武器になる。
  • 思い通りにいかないことが起こると、その時は人のせいにして腹を立てたりするが、冷静に考えると結局、自分の「読み」が足らず、経営的力量が不足していたと反省することが多い。経営者が抱え込む問題のほとんどすべては、経営者自身の力量の反映である。
  • 「頑張れ」の号令だけでは戦略は実体化しない。「武器」や「道具」を作り、組織の各レベルをつながなければならない。

3.教訓

自身の業務としても、紙に押印し回覧していた書類を電子ファイルでワークフロー化したり、不採算な業務を縮小したりと、既存運営の変更に携わることがあります。

そのため、ドラマ調の内容を面白く読んだ、というよりも、まさに自分も同じ状況にぶち当たったことがあった、あの時はこうすべきだった、と反芻しながら読みました。

本書自体は経営企画本部中心の内容ですが、そこまで大掛かりな組織単位での案件でなくても、部門長ほどの役職でなくても、1つのプロジェクトに中心となって関わる人にとって、今後大いに参考になる内容が多く含まれていると思います。

また、新商品や新システムについて、一度リリースしたら終わりということはなく、むしろそこからがスタートで、運営を軌道に乗せたり、細かな不具合を改善したりと、いくらでも取り組むことはあります。

その時は、「これについては自分が一番よくわかっている」と言える状態までしっかりと考え抜き、ぶれない心で前進し続けることが重要だと考えています。