管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

課長経験者が身銭を切る価値のあるのおすすめ本だけを紹介するページ(社会人向け)

なぜこんな人が上司なのか 桃野泰徳 著

1.はじめに

こちらも、タイトルと帯だけ見て関心を持ち、近々読もうと考えていた本です。

タイトルには「上司」、本文には「リーダー」と出てきますが、単に役席としてのことではなく、プロジェクト単位のリーダーだったり、仕事を教える先輩指導者であったり、メンター的な立場であったり、何らか立場が少しでも上にいる人であれば、勉強になることは多いです。

以下では、印象に残ったところを引用し紹介します。

2.内容

(1)人望を失うリーダーがやっていること

  • 自画自賛で自分の成果を誇る人の言葉をそのまま信じる人がどれだけいるだろう。むしろ言えば言うだけ胡散臭くなり、逆効果というのが多くの人の自然な感性だ。であれば過去の仕事の成果など、部下や上司に気持ちよくくれてやることこそ2度美味しい”投資”というもの。
  • 「置かれた場所で咲きなさい」という言葉は、「相手の人生に対して責任のない人」しか使ってはいけない言葉。言い換えれば、「問題の解決を本人の意識・考え方に丸投げする言葉」と言ってもよいかもしれない。少なくとも、リーダーが部下に使えば、それは空疎な精神論であり、問題のすり替えに他ならない。
  • すべての責任は自分が取ると宣言し、部下には「やるべきことをやれ」とシンプルに求める。そしてどれほどの”偉い人”から脅されても、部下のために体を張り、筋を通す。そんな上司であれば心から信じ、心酔すらしてついていけるのではないだろうか。
  • 断言をしてもいいが、優秀とされる人だけを残しても組織は決して強くならないし、凡人とされる人だけを集めても弱い組織になるわけではない。組織の強さとは、どこまでいってもリーダーの強さと覚悟の鏡映し

(2)組織を壊しているのはリーダーである

  • 収入手段を複数持つだけでも心に余裕が生まれ、理不尽な命令や環境をバカバカしく思えるようになれる。自分の価値観で仕事を選べるようになり、転職の選択肢も人生のチャンスも驚くほどに広がる。言い換えれば、経済的・心理的に会社や誰かに依存すると、それが理不尽さを受け入れる弱みになってしまう。
  • 人間にとって、暇よりも遥かに苦痛で心を破壊する仕事とは、「クソどうでもいい無意味な作業」と考えられていた。ブルシットジョブを指示するリーダーの存在こそが最凶のパワハラであり、”囚人の穴掘り”同様に会社と人の心を破壊する元凶。
  • 人は報酬と保身を何よりも求めているのであって、便利なシステムなど極論どうでもいい。言い換えれば、会社や組織の強さとは、仕事を可視化し数字を透明化したうえで、「自分よりも優秀な人材を採用し、そして育てること」が評価され、報酬が上がる仕組みをつくることそのもの。
  • リーダーが任務の目的、その成果を明かさないままに命令を出し続けると、人の心身はこれほどまでに疲労し、簡単に折れてしまう。考えてみてほしいのだが、「企図の明示」、すなわち仕事の目的やゴールが明らかにされないまま、次々に過酷な命令を下されたら、自分であれば耐えられるだろうか。
  • 従業員自身が幸せでなければ、顧客に幸せを提供することなどできない。しかし従業員自身が幸せであれば、放っておいても顧客に幸せを提供してくれるようになる。

(3)成功したリーダーの共通点

  • どんなことでも頑張りすぎると思い詰め、考えすぎてしまい、簡単に視野狭窄に陥ってしまう。何かを成し遂げたいと願うビジネスパーソンには、熱い情熱と客観的な合理性の両方が無ければならない。時には意識して「頑張りすぎなくてよい」と自分に言い聞かせ、クールダウンしながら自分の目的地と現在地を俯瞰する時間が必要。
  • 最高のリーダーはきっと、数字を正確に把握し問題を理解しながら一切口を出さず、ギリギリまで耐えることができる人。簡単なようだが、全責任を担いながらのこのような忍耐など、相当な胆力がないとできるものではない。そして部下から見ればそんなリーダーは、大きな裁量を任せてくれながら困った時には相談でに乗り、適切な助言をしてくれる上司に映る。
  • 部下や子どもたちの中に眠る無限の可能性を、毛の先ほども疑わずに信じる力。そしてそれこそリーダーの力量。

3.教訓

職場には、いろいろな立場の人がいます。新たな業務フローを1から考える人、既存業務を改善する人、ルーティンワークとして作業する人、そういう人が全員集まっての組織です。

そして、細分化された仕事が単純作業になっていくと、改善も止まるしミスも多く発生します。

そのため、仕事を依頼する人には、該当作業の内容に加え、できるだけその仕事の全体像を説明するようにしてきました。すなわち、前工程や後工程について説明し、自身が担う役割が一連のプロセスの中でどんな位置づけがあるか、結果期待だけでなく目的も含めて話すということです。

それにより、何のためにその作業を担っているかが理解でき、仕事に対する関心も強くなり、より責任を持って対応してもらえるようになります。相手に「これってやる意味あるの?」と思わせてしまわないように、伝えるようにすることを意識したいと思います。