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3分間コーチ ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 伊藤守 著

 

1.はじめに

1on1やコーチングによる人材育成が求められてきているため、最近はコーチングに関連する本をよく読むように意識しています。

この3分間コーチの手法としては、以下の2つの「とにかく部下と関わる時間をつくること最優先しましょう」というものです。

  1. 部下について考える時間をとる。
  2. 部下と的を絞った短い会話をするための時間をとる。

以下で参考になったところを引用していきます。

2.内容

(1)この3分間が組織を変える!

  • コミュニケーションの内容をとやかく言う以前に、そもそもコミュニケーションがない、もしくは圧倒的に少ない、時間をとりたくても時間が取れない、話すきっかけがつかめない、というのが多くの上司の現状。
  • 3分の時間を、その人のためにとる。ついで、でなく、その人と話すという目的を持ってつくること。
  • 情報の収集と伝達だけがコミュニケーションの目的ではない。それ以前に、相手を認め理解しようとすること、つまり、コミュニケーションは、それを交わすことそのものが目的
  • 部下について自分が知らないということを知る。知らないことに気づけば知りたくなる。こうして、部下のことを考えることが、部下を大切にするということ。
  • 3分間の会話自体はそこで終わるが、その後も自分の内側での会話は続く。3分間のコーチング・カンバセーション、その後に続く自分との会話が、人を生産的、つまり創造的にしていく。3分間コーチの特徴は、会話そのものというより、3分間の会話と、次の3分間の会話の”間”にある。
  • イデアやプランと実行の間には溝がある。上司の言う通りに部下が動くなら、上司は要らない。3分間コーチが、そのコミュニケーションと信頼関係を醸成し、アイデアやプラント実行との間の溝に橋を架ける。
  • コーチングでは、基本的に「アドバイス」はしない、問題解決もしない、ただ、問題とのつき合い方をコーチする。これにより、部下のそれぞれが、現場で起こることに、毎度上司の指示を仰がなくても自分で対処できるようになる。すると、すべてのスピードが速まる。
  • 常に、”今”と”生”の部下の状態と業務の状態を知らなければ、組織に求められている成長のスピードはとうてい得られない。今、目の前で起こっていることについて、お互いに見てわかる、聞いてわかる、触れてわかることについて、その場で、あるいは起こる直前に話す。

(2)その瞬間をつかまえる

  • 部下がどんな場面でコーチを必要とするのかは、部下一人ひとりによって違う。その場面を知るためにも、いつがその「とき」なのかを知るにも、日頃から部下をよく観察し、何をし、何を欲しているのかを知ることが必要。よい上司というのは、それを知るということについて徹底している。
  • 大切なのは、毎回、部下の問題解決を手伝うことではなく、部下の一人ひとりに「不測事態対応能力」を備えさせることを目的とした会話を交わすこと。不測事態に対して、自分で考え、自分から行動を起こし、それを自分で評価できるように促すこと。そのプロセスを通して、自律性のある部下を育成することができる。
  • 会話を交わすことを通して、頭が整理されたり、新しいアイデアが出てきたりと、何か自分に変化が起こることを知れば、部下はその機会をもっと積極的に使うようになる。人が求めているのは、アドバイスよりもブレーンストーミングの相手
  • 部下が声をかけてきたら、そのときには部下の話に耳を傾けること。無理にアドバイスをしたり、問題解決をしようとするよりも、とにかく話を聞くこと。それが、部下の話す内容そのものだけでなく、部下その人を理解する機会になる。
  • いくら正論を言ったからといって、それに部下が従うわけでもなければ、上司を尊敬するわけでもない。部下の動きや態度や、ことばを交わす以前に培われている「関係」の厚みによって変化する。部下の態度は、上司の態度の反映である。

(3)そこに、その「場所」をつくる

  • 「何かあったらいつでも聞いてね」、では、部下は聞きに来れない。だいたい、何かあったら、なおさら聞けない。それに、そもそも何を聞いたらいいのか、それがよくわからない、というのが現状。何を知らないのか、それを知らない人には、そもそも質問などできない。部下が質問できるようにするのが上司の仕事。
  • 部下の肯定的な態度や行動を「アクノレッジメント(相手に現れている違いや変化、成長や成果にいち早く気づき、それを言語化して、相手にはっきり伝えること)」することで、部下を方向付けすることができる。賞賛は評価だが、アクノレッジメントは「方向付け」。
  • 話す機会が与えられれば、部下は懸命に自分の仕事の状態を説明しようと試みる。人に自分のやっていることを聞かせることができるようになるには、自分がそれについて十分理解していなければならない。したがって、話すことを通して、自分の業務についての理解も自然と深まる。部下に仕事の進捗を話す機会を与え、提案・要望を伝えることは、部下のモチベーションを上げるのに、最も近道のスキル。
  • 上司の仕事は、部下に仕事をさせることではなく、部下を自分から進んで仕事をやろうという気にさせること。仕事の出来不出来とはまた別に、いっしょに仕事をしている仲間として承認する。
  • 決して脅すのでもなく、命令するのでもなく、「要望」する。目を見て、はっきり「要望」する。遠まわしな言い方ではなく、直接、毅然と要望する上司を部下は尊敬し、信頼する

(4)これについてコーチする

  • 恒常的に「問われ」続けると、「わかったつもり・安定」から「わからない・不安定」へとシフトしないわけにはいかなくなる。すると、行動が起こる。人は不安定になると、安定するために行動を起こすもの。
  • たとえ部下に目標に対するコミットメントを誓わせたとしても、彼らが目標に向けて情熱を持ち込むことはない。重要なのは、部下が頭で約束することをやめて、心(情熱)で動くようになること。それが、目標達成に向けた真の原動力。
  • マネジャーの役割、そしてコーチングの目的は、直接的には、部下の目標達成にある。それだけではなく、そのことを通じて、部下その人の能力を引き出すことにある。つまり、彼自身のリソースを最大化させること。リソースとは「その人そのもの」。

(5)コーチ型マネジャーの時代

  • フィードバックが決して否定ではなく、本人のためを思うものであっても、本人がそれを批判と受け止めれば、それは批判。ただちに防衛体制に入り、すべてシャットアウト、それ以上のコミュニケーションは交わせないわけだから、変化もそこで止まる。
  • 人は、変化しないことのリスクが変化することのリスクを上回ったときしか、変わろうとしない。変わらなければいけないのは上司も同じ。というよりも、変わらなければいけないのは上司。上司が変われば部下も自然に変わる
  • コーチ型マネジャーが行う部下育成は、教えるというより気づかせる、やらせるのではなく自発的にやり出すのを待つ、それが基本。

3.教訓

基本的な内容が体系的に書かれていて、今まで社内研修を受けてきたインプット等を総復習できるいい機会となりました。

振返ると、3分間ですらチームメンバーと毎日話す機会を持てていない、考えを向ける努力もできていない、と思います。

また、正論を言ってもついて来ない、よかれと思って伝えてもそれが批判と捉えられれば批判になる、という部分は、日々、常々感じることでもあり、言う内容よりも伝え方が大事というのはしっかり心に刻む必要があります。

コーチングって何だろう、ということをこれから学びたい人にとって、非常に参考になる内容で、おすすめできると考えています。