管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

課長経験者が身銭を切る価値のあるのおすすめ本だけを紹介するページ(社会人向け)

ライフ・シフトの未来戦略 幸福な100年人生の作り方 アンドリュー・スコット著

1.はじめに

シフト系列の本は、ワーク・シフトから始まり、ライフシフト2まで読んでいます。

今般、最新刊が出たので手に取りました。

bookreviews.hatenadiary.com

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以下では、特に印象的な部分に絞って引用します。

2.内容

  • 私たちが築いてきた医療システムは、人々を長く生き続けさせることはできても、長生きするようになった人たちを健康に生きさせることはできていない。フレイルの改善が死亡率の改善より遅れを取れば取るほど、私たちがレッドゾーンで生きる期間は長くなる。第1の長寿革命が恩恵を生み出す日々は、終わりに近づきつつある。
  • 誰にとっても、長くなる人生で経済的な困窮を避ける方法は、倹約して出費を減らすか、長く働いて所得を増やすしかないということ。ほとんどの人は長く働くことが避けられない。企業年金をたっぷり受け取って引退生活に入れる幸福な人はますます減り、大多数の人は、人生が長くなれば職業人生も長くならざるをえない。
  • 人びとが働く期間が1年増えれば、その人が税金を納める期間が1年増え、年金を受け取る期間が1年減る。しかし、政府はこうした財政面での二重の恩恵に魅力を感じるかもしれないが、このアプローチは、エバーグリーンの課題を達成するうえではまったく役に立たない。引退年齢を引き上げたからといって、人々が長く働き続けられるようになるとは限らないからだ。
  • 人的ネットワークは、環境の変化に合わせて新しい道や新しいキャリアの選択肢を見出すために欠かせない。もしあなたの人的ネットワークが現在の人間関係中心になっているとすれば、そのネットワークは転職の役にあまり立たない。それに、自分のアイデンティティを現在の仕事と一体化させすぎていれば、のちに移行を遂げることがより難しくなるだろう。人生が長くなれば、嗜好や価値観も変わる。そうした変化に対処する余地を確保することが重要
  • 投資の利回りと自分の寿命に関する不確実性に対処するためには、必要に応じて長く仕事を続けられるようにしていおくことが求められる。この点を考慮に入れると、いわば将来への保険として、みずからの人的資本に投資し続けることが重要になる。経済学の言葉で言えば、人生が長くなってもお金が底をつかないようにしたければ、金銭的資本以上に、人的資本に投資しなくてはならない。
  • エバーグリーンの人生では、人生が長くなる結果として、再生と未来への投資がきわめて重要になる。また、あるスキルの重要性も高まる。高齢になっても、差し当たり自分の感情を満足させるものにばかり意識を向けず、新しいものを追求するためには、快適でない状態を受け入れるスキルが大きな価値を持つ
  • エバーグリーン型の人生に沿って老いに関する新しい文化を築く場合、その文化を構成するのはどのような要素なのか。まず、個人の主体性を高めなくてはならない。高齢者とはどのような存在なのか、高齢者は何を必要とするのかといったことに関して、固定観念を弱める必要がある。ひとりひとりが自分なりの決定をくだせるように選択肢を増やし、利用しやすいプラットフォームをつくるべき。

3.教訓

医療科学や社会政策の話が中心で、個人で実践できる内容はそれほど多くなく、少し想像していた内容とは異なりました。哲学書を読んでいるような感覚でした。

それでも、健康寿命を延ばしておかないと社会全体の定年が伸びても働けない、人的資本に投資したりリスキリングをしておかないと社会の変化に対応できないなど、考えさせられる内容は多く含まれていました。

また、自分が長生きしたいと考えておらず、高齢になることへのバイアスに囚われていることにも気づくことができました。執筆時点では40代のため、今すぐというわけではないのですが、若さ・健康状態をいつまでもキープすることは現実的に難しく、そうでない自分を受け入れられる度量をゆくゆくは広げていくことが必要になると感じました。