1.はじめに
本書は新刊が出たときから気になっていたものの、山口周さんの本はこれまで一冊も読んだことがありませんでした。
その後、以下の山口さんの本を読み自身の学びにつながると感じたので、今回採り上げた本を個人的な夏休みの課題図書にしようと決めていました。
話題が20個あるので、本当はそれぞれの項目について印象に残った部分を1点ずつ紹介したいところです。しかし、以下の本にて転記する箇所は最大9個に絞り込む、という示唆を受け、今回はこの9つを選択しました。
2.内容
(1)なぜ、いま「人生の経営戦略」なのか?
- アルバート・ハーシュマンは、組織や社会などのシステムを健全に機能させるためには「発言と離脱」の2つが重要だと指摘した。ここでいう「発言」とは「間違っていると思うことに対して声を上げる」ことであり、「離脱」とは「間違っていると思う場所から組織から離脱する」ことを意味する。
(2)長期計画について
- ことわざや訓言は当人の戦略や文脈と関係なく、常に守られるべきもののようにしてしばしば語られる。人から思考や行動の自由度を奪う言葉のことを「呪い」というわけだが、これらの言葉は、まさに「呪い」となって、その人の人生から戦略的自由度を奪っていくことになる。
- 失敗は捉え方次第。なぜなら「想定した戦略や計画がうまくいかなかった」ということは「想定した仮説の誤りが検証された」とポジティブに捉えることができる。逆に、むしろ危険なのは、当初想定した戦略や計画に頑なにこだわるあまり、想定外の事態を受け入れられなくなってしまうこと。
(3)職業選択について
- ライフ・マネジメントにおける意思決定において、真に問題となるのは「勇気」でも「度胸」でもなく、「自分の居場所の趨勢についてどれだけ論理的に考え抜くか」という「思考の累積量」。もし考え抜いた末の結果が「自分の居場所の見通しは暗い」ということであれば、別に勇気や度胸に頼らなくても、人はその場から離脱するためのアクションを取るもの。
- 本書の枠組みに沿って考えれば、「調達困難な資源や能力」とは「時間資本」を大量に投下しないと獲得できない資源や能力」のことだから、ひとつの考え方として、着眼するべきなのは「長く続けてきたこと」だということになる。
(4)選択と意思決定について
- 「オプションが減る」という意思決定は、それがたとえ、その時点でなんらかの具体的な損失を意味しないとしても、基本的には「常に悪手である」と考えるべき。想定外のことが起きた場合に転身・停止・撤退といったオプションを選択できる可能性が減ってしまうから。
(5)学習と成長について
- 「他者から与えられたモノサシを受け入れること」は、そのまま「他者の支配を受け入れること」。他者から与えられたモノサシを受け入れてしまえば、長期的には必ず「モノサシを作る側」=「支配者」と「モノサシを受け入れる側=非支配者」という関係が、精神の深いところで成立してしまう。
- 学習というのは「自分という認知システムが変容すること」であり、さらに踏み込んで指摘すれば、その変容によって「世界がそれまでとは違って見えるようになること」。
- 難易度の高い仕事にチャレンジするとき、前の仕事を始める時に感じたストレスや不安を再び感じることになる。そしてまた、同様にS字の曲線を辿って学習・成長し、やがてその仕事を非常にうまくこなせる段階に至る。そして、このサイクルは、私たちが人生において学習・成長を続ける限り、常に繰り返される。私たちの学習・成長はコンフォートゾーンから抜けることでしか実現できない。
3.教訓
20個の構成があるので、以下のように一見すると矛盾する内容をはらんでいます。
・石の上にも3年という呪い
・見通しが暗ければ離脱を考える
・着眼すべきは長く続けてきたこと
・学習・成長はコンフォートゾーンから抜けることでしか実現しない
すなわち、ある程度踏みとどまり試行錯誤することは必要で、長期間取り組んできたことが自己資本になるが、よくないと思えば離脱も考えることが必要、というものです。
確かに矛盾を感じる一方で、「これに従っていれば間違いない」という唯一絶対可解など存在しない、ということも事実です。
とにかく学習を継続し、自分のユニークな特徴は何かを考え、複数のオプションの中から最善の選択をしていきたいと考えています。
巻末に「経営学独習ブックガイド」も参考に、何冊か読もうと思います。
