1.はじめに
先日、自分の勤めている企業で、年代別キャリア研修を受講しました。
その際に、参考図書として紹介されていました。
金井先生の本はこれまでに何冊か読みましたが、本書もタイトル含めて気になりましたので、本書も手に取りました。
2.内容
(1)プロローグ キャリアの問題は他人事ではない
- 節目を彩る3つの問いがある。キャリアの入り口で最初に仕事を選んだときと同じように、中年のときにもキャリアの問題を考えデザインを試みてほしい。
- 何が自分にできるのか、得意なことは何か。
- 何をやりたいのか、誰に喜ばれたいか、どのような人と一緒に仕事がしたいか。
- なぜそういう仕事をしたいのか、何を目指しているのか、自分の夢とは何なのか
(2)キャリアのことが気になる時代と世代
- 会社に十数年も、あるいは20年以上もいれば、個人は会社の価値観に染まる。それは悪いことでは全然ない。環境と適合している限り、組織文化があるおかげで、人々のベクトルが揃う。しかし、自分を組織に合わせるばかりでは息苦しい。組織に個人がやられているというのでは困る。組織の価値だけを唯一の拠り所にしないほうがいい。
(3)ミドルの「危機」 納得できる働き方への転換
- もともと「危機」とは、「岐路・分かれ目」という意味。つまり「危機」とは、心の発達にとってさらに成熟の方向に進むか、あるいは退行の方向へ陥るかの分岐点を示している。この岐路にさしかかった時、退行の方向へ逆戻りするのではなく、さらなる心の成熟へ向かっていけるかどうかが大切。中年期の否定的変化も、もうこれで自分の先は見えたと感じるか、新しい自分を見つけるチャンスととらえるかで、後の生き方やアイデンティティの様態はかなり異なる。
- 中年期に新たなアイデンティティ、つまり「より納得できる自分のあり方・生き方」を獲得していくことは、職業への取組み方においては、自分らしい仕事を達成すること、自分らしい仕事への打ち込み方を獲得することでもって現れる。つまりそれは、仕事と1人の人間としての自己のバランスの取れた生き方を達成すること。中年期にこのような主体性をもった職業人としてのアイデンティティを達成することは、人生後半期の職業人としての成熟性を高めるために非常に重要。
(4)リーダーシップ発揮は、キャリア発達の証のひとつ
- キャリア自律すれば、そのことだけでリーダーシップが取れるようになるわけではない。ひとに任せることをマネジャーのときに学び、そのときに、健全な意味で、仕事の達成は部下に依存していることを知らなければならない。担当者として仕事をこなせるようになり、それが他社でも通用するスキルになれば、一般社員のころでもキャリア自律は達成される。しかし、自分が動くのと、ひとに動いてもらうのとは別ごと。
- 見定める瞬間をきっかけに自分を振り返ることになる。なにか出来事があるおかげでいろんなことがわかってくるようなときに、その出来事はreveilingだという。改めて、いろいろなことに気づく自分がそこにある。自分のことがもっとよくわかってくるだけでなく、そのときに自分のおかれた環境についての洞察もある。それは正と正の間の選択を迫られる場面では、簡単に白黒の決着をつけられないので、しばしば痛々しいほどに、自己暴露的にもなりうる。
(5)キャリアを捉える視点
- 体質やキャリアを割り切って、悪者にしないでほしい。何しろ、登場人物は私たち自身なのだから。いいこともあれば、悪いこともある。しかし、自分のキャリアについて、いくら会社や社会が(これから先)支援してくれるようになっても、究極の責任は働く一人ひとりの側にある。キャリアとは自分のもの。
- 空中ブランコで、前のブランコを手放さないと、次のブランコに手が届かない。その間で、どちらのブランコからも手が離れている危ない状態がある。節目はまさに、こういう危ないところを通っていく移行期。だから、いっぱいストレスがある。ちょうと子どもが大人になる思春期に物思うのと同じように、キャリアの節目では悩む。
3.教訓
キャリア研修に参加したり、関連書籍を読んだりすることで、キャリアの節目に悩んでいるのは自分だけではないと気づくきっかけになります。視野が狭くなっていると、「なぜ自分だけがこんな目に遭うのか」と感じてしまうこともあります。私自身、最近そう思うことが増えましたが、同じように悩んでいる人がいると知るだけで、少し心が軽くなります。
「空中ブランコでは、前のブランコを手放さないと次のブランコに手が届かない」。この言葉には深い真理があると感じます。仕事だけでなく、大学で一人暮らしを始めたとき、就職先を選んだとき、結婚したとき、親になったとき——人は常に変化の中で生きていて、同じ場所に同じ状態で留まり続けることはできません。これまでも、何かを手放しながら前に進んできたように、これからも進み続ける中で、きっとまた壁にぶつかることがあるでしょう。悩みは尽きることなく、ゼロになることはないのだと思います。
それでも、悩みの先には新しい世界が広がっている——そう信じて、これからも少しずつでも前に進んでいけたらと願っています。
