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LISTEN ケイト・マーフィ著

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LISTEN--知性豊かで創造力がある人になれる [ ケイト・マーフィ ]
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1.はじめに

原題は"You're Not Listening"、つまり、「あなたは話を聞いていない」です。

この本は、18のChapterから成り、そのChapterそれぞれの見出しが非常に長いです。

そして、目次だけで18ページあります。

その目次を拾い読みするだけで、この本のエッセンスが学べますが、以下ではさらに印象に残った1文1文を引用していきます。全体で500ページほどある本ということもありますが、重要な内容が多く、かなり長文となりました。

2.内容

(1)「聞くこと」は忘れられている

  • 孤独な人たちは、自分の考えや感情を話す相手がいません。そして、それと同じくらい切実なのは、考えや感情を聞かせてくれる人もいない、ということです。つながるという行為は必ず双方向です。会話のパートナーがお互いに相手の言葉に耳を傾け、それをしっかりと受け止めることです。
  • もし会話をしていたとしても、私たちは、まるでテーブル・セッティングの一部のように携帯電話をテーブルの上に置き、ナイフやフォークのようにときおり何気なく手に取ります。一緒にいる人たちにはそこまで興味がわかないと暗に示しながら。その結果、私たちは痛烈に孤独を感じます。でも、なぜ孤独を感じるのか、よくわからないのです。

(2)私たちは、きちんと話を聞いてもらえた経験が少ない

  1. 話をさえぎる
  2. いま言われた言葉に対し、あいまいだったり、筋が通らない反応をする
  3. 携帯電話や時計、部屋の他の場所など、話し手以外を見る
  4. 落ち着きがない(テーブルを叩く、姿勢を頻繁に変えるなど)
  • もしあなたもこうした行動に思いあたるところがあるならやめましょう。でもそれだけでは優れた聞き手にはなれません。一見だめな聞き手でではなくなる、というだけの話です。聞くということは、「すべきこと・してはいけないこと」のチェックリストに従うことではありません。心と考え方の習慣です。
  • 聞き手になることは、話すことより怖いかもしれません。一体どんな話になるかわからないのですから。でもまわりにいる人や、そこから広がる世界に無関心なまま関わりを持てずにいる方が、よほどリスクが高いのではないでしょうか。
  • よく「聴く」とは、相手の頭と心の中で何が起きているのかをわかろうとすること。そして「あなたを気にかけているよ」と行動で示すことです。自分の考え、感情、意図を持ったひとりの人として理解され、価値あるものとして大切にされる、それこそが私たち誰もが切望することです。
  • 孤独を感じるのは、何かよいことが起こったかもしれないのに何も起きなかった、という状況が積もり積もったことが原因になることが多いのです。誰かの話を聞かなかった、誰かが話を聞いてくれなかった、人とつながる機会をを逃した、そういう状況が度重なることです。

(3)聞くことが人生をおもしろくし、自分自身をおもしろい人物にする

  • しっかり聞いてくれない人が相手だと、話そうとしている内容を思い出しにくくなり、伝える情報も不明瞭になることが明らかになりました。つまり、もし誰かのことをつまらないとか、聞く時間がもったいないなどと思って話を聞いてしまうと、本当に話をつまらなくしてしまうのです。
  • 「聴く」とは関心を持つことであり、その結果、興味深い会話が生まれます。あなたは、自分についてはもう知っています。でも話し相手のことや、その人の経験から何を学べるのか、会話が始まる時点ではまだわかりません。その会話から何かしら学ぶことが目標です。
  • 予測不能だからこそ、人は興味深いのです。不確実性を避けたいがために人の話に耳を傾けないのだとしたら、そこで確実に起こることは、退屈な時間と新しい学びがないためにあなた自身もつまらない人間になる、それだけです。

(4)親しい人との仲もレッテルからも「聞くこと」が守ってくれる

  • 付き合いが長くなると、互いに相手への好奇心が失いがち。必ずしも思いやりがないからでなく、単に相手を知っていると思い込んでいるのです。耳を傾けないのは、相手が何を言うか自分にはもうわかっていると思うからです。
  • 世間とはこういうものだという自分の理解も、日々少しずつ変化します。池にゃ態度、信念は変わるものです。つまり、ある人をどれだけ長く、もしくはよく知っているかは関係ありません。耳を傾けるのをやめてしまえば、その人が何者であるかの理解を失い、関わり方もわからなくなってしまいます。過去を頼りにいまこの人を理解しようとすると、確実に失敗します。
  • 何を話すか、どの程度話すかは、そのときあなたが聞き手をどう感じるかによって変わります。表面的にしか聞いていないとか、粗探しのために聞いている、もしくは意見を言う機会をうかがいながら聞いているような相手には、大切な自己開示をあなたはおそらくしないでしょう。逆もしかりです。
  • 私たちは、反射的に自分はわかっているという幻想を持つ傾向があります。そのために、耳を傾けたいという気持ちや好奇心が弱まってしまうのです。無意識のうちに、自分の先入観に合ったものだけに耳を傾け、選択的に聞くようになります。自分の先入観に沿った言動を相手がするように促してしまうことだってあり得ます。
  • 違いを受け入れることで、人は学び、理解を深めるのです。先入観を大雑把に当てはめたり、集合的に考えたりするのは、「聴くこと」を邪魔します。こうした先入観は、自分や他の人の個性を発見しにくくしてしまうのです。

(5)「空気が読めない」とはそもそも何が起こっているのか

  • 「この人はなぜこの話を私に聞かせているのだろう?」と常に自問しながら聞いてみてください。話し手は、必ずしも自分で答えをわかっていないことがあります。優れた聞き手は、それを承知のうえで質問を投げかけ、もう少し詳しく話すよう働きかけることで、話し手が答えを自分で気づくように手助けします。
  • 他の人に対してオープンでいることや好奇心を持つことは心の状態であるのに対し、細やかな反応をして相手の視点を認めることは、訓練で伸ばせるスキルです。このスキルを発揮すれば、相手は信頼感を高め、話してくれるようになります。

(6)「会話」には我慢という技術がいる

  • 気が散る最大の原因は、「次にどんな気の利いたことを言おうかな」とか、もし言い争いの場なら「次にどんな破壊力のあることを言ってやろうか」といった、次に何を話そうかと考えることです。
  • 優れた聞き手は、余っている処理能力を頭の中での寄り道に使わず、相手の話を理論的にも直感的にも理解するために全力をあげているといいます。また、しっかりと聞くとは、話し手の言わんとしている内容は妥当か、その話を聞かせてくれる動機は何かを自問し続けること。
  • 会話の中で完ぺきでなくてもいいと信じられるか否かの問題だと思います。聴くこととは、次に何を言うか気をもまなくてもいいと自分で決意することです。そうすれば、鎧を脱いで、他の人の意見や考えを受け入れることができます。

(7)反対意見を聞くことは「相手の言うことを聞かなければならない」ことではない

  • もし相手に対して「自分の役に立たない」とか、「話を聞いている時間たもったいない」「敵だ」「自分より劣っている」「つまらない」などと思っていれば、どんなにうなずき、言葉を言い換え、相手の目をしっかり見ていても、ウソだとばれて交渉は失敗するでしょう。
  • 自分は同意できない持論を展開する人の話を、最後まで聞かずについ反論してしまうのも、そして腕組み、ため息、呆れた表情などで自分が反対意見であることを表現するのを抑えられない理由は、自分の強い信念や考え方に異論を唱えられたり、自分が間違っているかもしれない気配がわずかにしたりしただけで、まるで自分の存続にかかわる脅威であるかのように感じてしまうからです。
  • 人がなぜその結論を持ったのかを知り、そこから自分が何を学べるかを知るために話に耳を傾ける方がよっぽど有益です。自分と意見が合わない人に、敵のように反応したいと感じたその瞬間に、深呼吸して相手に質問しましょう。相手の理論の欠陥を暴くためではなく、相手がなぜそう思うののか理解を深めるための質問をするのです。
  • 自分が間違っているかもしれない、もしくは少なくとも完全に正しいわけではないのかもしれない、という可能性に心を開くことができれば、会話からずっと多くを得られるでしょう。
  • 自分の考えを修正したり、古いものの見方や考え方を投げ捨てたりするのはいまだにいやなことです。しかし、このような苦痛を伴う再構築こそ、学習と呼ばれているものであること、またたとえ苦痛を伴うとしても、それは人生をより正確に見ることができるというさらなる満足を常にもたらすものである。
  • 耳を傾けるとは、誰かに同意するという意味でもなければ、同意を遠回しに要求することですらありません。単に、相手の考え方にはそれなりの理由があり、そこから学べるものがあるかもしれないという可能性を受け入れることです。

(8)ビッグヒットは消費者の声を「聴く」ことから生まれる

  • 「なぜ?」という言葉を人を身構えさせ、自分を正当化しなければいけないと感じてしまう。

(9)チームワークは、話をコントロールしたいという思いを手放したところにやってくる

  • 話の流れをコントロールしたり、自分に注目を集めようとしたりでは、一方的な会話になってしまい、他の人との共同作業を台無しにしてしまいます。自分の思い通りに進めるどころか、前進すらできなくなってしまうのです。
  • 親密な関係、既成概念を乗り越える思考、チームワーク、ユーモアはすべて、自分が話をコントロールしたいという思いから解放され、その話がどこに向かうとしても共に歩む忍耐と自信のある人のところにやってきます。

(10)話にだまされる人、だまされない人

  • 多くの人の話を聞いた経験がないと、会話に出てくる微細なシグナルにうまく気づくことはできません。多くの人の話を聞けば聞くほど、人間が持つ多様な側面に気づくようになり、直感をも冴えるようになります。
  • 人は自分をよく知ってくれているとか受け入れられていると感じると、もっと積極的に話してくれるようになります。事前にその人について調べるか、相手と話しているときにたくさんの質問を投げかけることで、関心を持っていると相手にはっきりと伝えられます。

(11)他人とする会話は、自分の内なる声に影響する

  • 自分にどう語りかけるかが、他の人の話をどう聞くかに影響します。たとえば、内なる声が自分に批判的な人と、他者を責めがちな人とでは、他の人の発言がかなり違って聞こえます。私たちの内なる対話は、まわりの言葉の受け取り方をゆがめ、相手にも影響し、人付き合いで私たちの振る舞いにも影響してしまうのです。
  • 内なる声は、あなたが物事をどう思案するか、状況をどう解釈するか、道徳的な判断をどう下すか、問題をどう解決するかに影響します。さらに、内なる声は、あなたが人のよい点を見るか悪い点を見るか、自分のよい点を見るか悪い点を見るかという、自分のあり方にも影響を与えます

(12)「アドバイスをしよう」と思って聞くと失敗する

  • ずらす対応は基本的に、自分について話すものです。一方で、受け止める対応は、多くの場合、他者に向けた質問です。ただし、この質問は真摯な好奇心にもとづいたものである必要があります。多くの情報を浮かび上がらせるために質問するもので、自分の意見をそっと押し付けるようなものではあってはいけません。目的は、話し手の視点を理解することであり、変えさせることではないのです。
  • 人は博識であると見られたいために、自分がすでに知っていることをにおわす質問をしたがるものです。もしくは、自分が求めている答えが返ってくるような質問をしてきます。「~だと思わない?」「~って本当?」「~てそうでしょ?」で終わるものは良い質問とは言えません。また、良い質問は「だよね?」で終わることも絶対にありません。こうした質問は、実はずらす対応がカモフラージュされたもので、話者にとっては本心とは異なる答えや不完全な答え、あるいは質問した人の意見や期待に合う答えを返すように、話者を導いてしまいます。
  • 人間関係がうまく行くには、ポジティブなやり取りの回数がネガティブなものの5倍以上なくてはいけないと示されています。激しく傷つくリスクを負うくらいなら、人を排除しようと本能が働くのはそのためなのです。
  • 他の人の問題を知ったからといって、あなたがそれを解決しなければならないわけではありません。人はたいてい、あなたに解決してほしいだなんて思っていません。ただ壁打ち相手がほしいだけです。もし何をすべきだとか、どう感じるべきだとかあなたが指示し始めたとたん、相手は心を閉ざします。どんなに善意であれ、もしくはどれだけ賢明なアドバイスであれ、たとえ優しい言い方をしたにせよ、指示されると人は反射的に抵抗し、憤ります
  • 誰かが抱えている深い悩みに対してあなたが思いつく解決策は、単にもしあなたがその人だったらどうするかを反映しているにすぎません。でも、あなたはその人ではありません
  • あなたができる最善策は、相手の話にただ耳を傾けることです。その人が直面しているのが何かを理解しようとし、その感覚を感じ取ってください。それ自体が解決につながる可能性もあります。
  • オープンで正直な質問をするのは難しいものです。というのも、ほとんどの人が提案や批判を質問の形に変えて投げているだけだからです。
  • オープンで正直な質問は、相手に関する基本的な理解に欠かせないものです。このおかげで、人は自分の物語を話せるようになり、自分なりの現実を表現できるようになり、さらには問題に対する自分の感情を理解して、次のステップを決めるための内なる力を見つけられるようになります。
  • 注意深く質問し、答えに耳を傾けると、相手もあなたの経験から学ぼうと、質問を投げかけてくるかもしれません。それはそれでいいのです。それはあなたが、問題にどう向き合ったのかを振り返り、助言や慰めの言葉をかける権利を獲得したということです。またこうすることで、あなたが共有する経験や意見は、確実に相手の悩みに関連した、相手のためになるようなものになります。

(13)騒音は孤独のはじまり

  • 他者にどれだけ自分をオープンにするかは自分でコントロールできるものだと思いたいところですが、顔の表情、息づかい、汗、身振り、姿勢、その他数えきれないほどの多くのボディランゲージが本音を伝えてしまいます。優れた聞き手は、他の人が見逃してしまうような些細なサインにも気づきます
  • どれだけ正確に理解できるかで測られる「聴く力」は、やる気と練習次第で改善できることもわかっているのです。

(14)スマートフォンに依存させればさせるほど、企業は儲かる

  • マルチタスクができるなど、幻想なのです。何か情報がひとつ入ってくるたびに、注意力は低下します。人の話に本気で耳を傾けるには、適切な環境を整えなければなりいません。受け入れるための物理的空間も、心の状態も整える必要があります。静かで、邪魔が入らない状態を確保しましょう。
  • なぜ食事を一緒にすることが人間関係を改善し、健康になれる効果が期待できるのかといえば、好奇心とオープンな心をもってお互いに質問し、真摯に耳を傾ける機会になるからです。

(15)「間」をいとわない人は、より多くの情報を引き出す

  • 優れた聞き手であるとは、間や沈黙を受け入れるということです。なぜなら、間や沈黙をあまりにも早く埋めてしまう、ましてやかぶせ気味に言葉を発してしまうと、もしかしたら、話し手はうまく言葉にならない何かを伝えようとしているかもしれないのに、それを妨げてしまうからです。そうすると、せっかく言葉にしようとしているものを押しつぶしてしまい、本当の課題が表面に浮かび上がってくるのを邪魔してしまいます。とにかく待ちましょう
  • 言葉をまくしたてるおしゃべりは沈黙を埋めますが、その分、相手と自分の間に言葉でできた壁をつくってしまいます。その点、沈黙は相手をこちら側に受入れます。沈黙は寛容なだけではありません。はっきりとした利点もあります。沈黙をいとわない人は、より多くの情報を引き出します。居心地の悪さからしゃべりすぎるちうこともありません。言葉を挟みたい衝動を我慢してみましょう。いつもよりも深い洞察や理解を得て話を終えられる可能性が高まります。

(16)人間関係を破綻させるもっとも多い原因は相手の話を聞かないこと

  • 信頼できるのは誰か、誰を見習いたいか、物事が許される限界はどこか、誰が味方で誰が敵になりえるのか、私たちはうわさ話をして判断をしています。うわさ話に耳を傾けることは、社会における倫理的で道徳的な一員として成長する助けとなるのです。
  • うわさ話の結果、ずるをした人はみんなの信頼を取り戻そうと、きちんと対応するようになったのです。結論は、メンバーにうわさ話を許す組織は、許さない組織に比べて、より協力的になり、利己的な行動が抑止されるというものでした。
  • うわさ話を聞くことは、くだらなくも、表面的でも、ばかばかしくもありません。むしろ知的な活動であり、適応していくために必要不可欠であることが、驚くほど多くの研究によって示されています。うわさ話の研究者は、人について話す行為は、観察学習の延長だと言います。自分が知っている相手かどうかにかかわらず、その人たちが経験した成功や試練から自分も学ぶことができるからです。
  • 人は最初は、さほど重要でも、デリケートでもない情報からやり取りを始めます。その話が他の人に広まったところで、問題にはならないような内容です。そこからお互いに気を配り、思いやり、分別などを身をもって示し、相手の信頼を得て関係を深めていきます。信頼関係を深めてはじめて、より重要なやり取りをするようになっていきます。ということは、「聴くこと」は、徳のある社会の一員になる方法を学ぶ手段というだけではありません。「聴くこと」それ自体があなたの徳のあらわれなのです。話し手にとって、もっとも大切な情報をやり取りするにふさわしい者である、ということなのです。
  • 人格も誠実さも、生まれながらに身についているものではありません。日々、自分の選択を積み重ねてつくりあげていくのです。そして日々の選択には当然、誰にどれだけきちんと耳を傾けるかも含まれています。倫理的にふるまうには、自分の言葉や行動が他社にどれだけ影響を与えるかを考える必要があり、「聴くこと」なくしてそれを実感することはできません
  • お互いの話を聞かないと、達成できることは減ります。そしてそれ自体が、反道徳的だと言えるのではないでしょうか。個人として互いを失望させるのみならず、社会としての繁栄にも反するのですから。さらに、常に自分を売り込みたいと必死になると、人は表現が大袈裟になりがちです。そうすると、会話のレベルは下がり、皮肉な態度を助長します。
  • 人は、聞いたことよりも聞かなかったことを後悔するものですし、言わなかったことより言ったことを後悔するものです。自分の気持ちを率直に人に伝えることは、世間で言われているほどよいことではないようです。感情を人に伝えたいという衝動にかられても、それを伝えるのがいつも有益とは限りません。相手の繊細さよりも、自分のエゴを優先してしまっているのです。
  • 聞くことは人間関係に欠かせないものであること、そして、また自分でコントロールできるものであるだとすぐに気づけてしまうことから、後悔する条件が重なっています。人間関係の破綻でもっとも多い原因はネグレクトであり、中でももっとも多いネグレクトは、相手の話をきちんと聞かないことです。

(17)だれの話を「聴く」かは自分で決められる

  • 人間とは無意識のうちに、会話に「ある期待」を抱くものだそうです。そしてその期待が裏切られると、聞きたい気持ちがそがれてしまいます。これは、コミュニケーションは基本的に、お互いの協力で成り立つものだからです。そのため話し相手が協力的でないと認識すると裏切られたように感じ、そこから手を引きたいと思ってしまいます
  • どれほど強い価値観や信念を抱いても、それだけでは説得力や明確さ、信頼感のある話はできません。目の前にいる人が何者であるかを考慮する必要があります。誰もが同じ関心、感受性、理解力を持っているわけではありません。こうした違いを見極め、尊重しようとしなければ、間違いなく聞き手を飽きさせ、イラつかせ、一切聞いてもらえなくなるでしょう。
  • 相手の話に同意できないからとか、自分のことで頭がいっぱいだとか、相手の話はすでに知っているからという理由で話を聞かない人は、ダメな聞き手です。しかし、知的、精神的な元気がないから今は聞けない、というのはダメなのではなく、人間らしいと言えるでしょう。そうなったら、いったん会話から離れ、後で戻ったほうがいいですね。
  • 明確な許可がないなら、プライベートな情報を勝手に教える立場にあなたはありません。内密な話を相談できるような、信頼のおける人でいましょう。さもなければ、人は重要なことをあなたに打ち明けるのをためらい、下手をしたら一切連絡をしてこなくなってしまうかもしれません。
  • 耳を傾けることで、自分の視野の外側で展開する世界に気づき、受け入れるようになります。そしてそれが、自分の狭い視野の内側で起きていることの整理に役立ちます。人生で起きることは自分の思い通りにならないことばかりですが、聞くことは例外で、自分で完全にコントロールできます。あなたの意識を向ける価値のある人は誰か、自分で決められるのです。
  • 聞かないという選択肢が現実的で理にかなっている場合もあるでしょう。しかし、聞かないことは拒絶のひとつの形であることは変わりません。意識的にせよ無意識的にせよ、あなたは別のことに注意を向けるという選択をしており、少なくともそのときは、話し手は、おもしろくなく、重要でもなく、価値もないと暗にほのめかすことになってしまいます。
  • もし、非難が不当だと感じたら、自分の行動がなぜそう受け取られたかを理解し、本当の意図は何であったかを説明することもできます。さらに優れた聞き手は、さまざまな考えや意見に触れているため、非難に対して打たれ強くなります。ひとりの言葉が必ずしも絶対でなかったり、まったく正確だったりするわけではないとわかっているのです。
  • 自分にとって耳を傾けるのが難しい相手を思い出し、なぜ難しいと感じるのか、自問してみるとよいでしょう。そして、耳を傾けられない理由が、自分自身について何か物語っていないか考えてみましょう。本気で耳を傾ければ人は変わるものであり、その人へのあなたの見方も変わるものだと理解しましょう。やめようと決める前にまずは努力してみると、報われるものです。

(18)「聴くこと」は学ぶこと

  • 誰かに耳を傾けてもらえると、褒め言葉を言われるよりうれしいものです。だからこそ、本気で話を聞いてくれる人に私たちは心惹かれます。誰かの話に耳を傾けるのは礼儀であり、もっと根本的な、尊敬の証です。そして、その人の話に耳を傾ける行為が、もっともシンプルに思いを伝える方法です。
  • 聞くことは思いやりの典型ではありますが、あらゆる人に向けるべき礼儀というわけではありません。いつ、どこを限界とするかは、最終的には自分で決めてよいのです。優れた聞き手でいるとは、愚かな人にいつまでも我慢しなくてはいけないという意味ではありません。優れた聞き手でいると、むしろ愚かな人を見分けやすくなり、愚かさに気づけるようになります。そしておそらく最も重要なのは、人の話に耳を傾ければ、あなた自身が愚かな人にならずにすむことです。
  • よく「今は話せない」と言う人がいますが、この意味するところは「今は聞いていられない」ということです。そして多くの人は結局、聞くためにわざわざ時間を取るなどしないように思えます。でも、私たちが皆、人生でもっとも求めているのは、人を理解し自分を理解してもらうことです。これが唯一実現できるのは、急がず、じっくり「聴く」時間を意識的に取るときだけなのです。

3.教訓

社内の1on1コーチング研修で参考図書に挙げられたいたこともあり、今回手に取りました。理解できたのは、原題にある通り、いかに今まで話をよく聴くことができていなかったか、ということです。

たしかに自分でも、一方的に話をされるだけの人のところには相談しに行こうとは考えないですし、信頼感が置ける人というのは「話のわかる人」だと思います。

相手に「相談しやすい人」「話を聞いてくれる人」と思ってもらわなければ、話しかけてもらえず、その結果、情報を入手する質も量も減ってしまい、ひいては自身のアウトプットにも影響してしまいます。

また、最後に、ずっと我慢して聞き続けるのでなく、自分で決めてよい、と書かれていたことも、気持ちの意味では楽になりました。