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運のいい人の法則 リチャード・ワイズマン著

1.はじめに

現代は「THE LUCK FACTOR」で、”運の要因”となり、少し”法則”とは違ったニュアンスになります。

内容としては、本書の第7章にあるように、

  • 運は魔法の力でも神様からの贈り物でもない。そうではなく、心の持ちようなのだ。どのように考え、どのように振る舞うかなのだ。
  • 私たちは「運のいい人」「運の悪い人」として生まれてくるのではない。幸運や不運の大半は、自分の考え方や行動によって作り出すことができる。

という結論で、運とは与えられたものでなく、自ら手繰り寄せるもの、ということが、様々な登場人物の事例が記載されています。

以下では、運を鍛える4つの法則について、印象的な部分を引用します。

2.内容

(1)法則1:チャンスを最大限に広げる

  • 偶然に見えるチャンスが巡ってくるのは、運のいい人が心理的に演出しているからということがわかった。彼らの考え方や行動がチャンスを作りやすくして、チャンスの存在に気づきやすく、かつチャンスに基づいて行動しやすい状況を生んでいる。
  • 私たちの性格は、「協調性」「誠実さ」「外向性」「神経症的傾向」「開放性」の5つの特性によって説明できると考えられている。そのうち、協調性と誠実さのテストでは、運のいい人と悪い人の点数は変わらなかった。
  • ところが、「外向性」「神経症的傾向」「開放性」のテストでは、運のいい人と悪い人のグループでかなり差があった。これらの違いから、運のいい人がいつも偶然を経験するのに、運の悪い人には偶然が訪れないように思える理由を説明できる。
①外向性
  • 運のいい人は日常生活でたくさんの人と会うことによって、偶然のチャンスに出会う確率を大きく高めている。たくさんの人に会えば、それだけ自分の人生にプラスの影響を与えてくれる人に出会う機会も増える
  • 「対人関係の磁石」を持っている人が他人を引き寄せるのは、本人が気がついていなくても、しぐさや表情が「対人関係の磁石」になっているからで、まわりはそこに魅力を感じる。運のいい人と悪い人の最大の違いは、身振りがどのくらい「開いている」か「閉じている」かという点だった。つまり、運のいい人の身振りや表情は周囲の人を自分のほうに引き寄せるから、それだけたくさんの人と出会うことになり、偶然の出会いの確率も高くなるというわけだ。
  • 運のいい人は、自分でも気がつかないうちに、偶然の確率を最大限に高めるようにふるまっている。たくさんの人と話し、いろいろな人と一緒に過ごしながら、自分のまわりに人を集め、しかも知り合った人たちとの関係を大切にする。その結果、「運のネットワーク」は驚くほど広がり、偶然の出会いの可能性もどんどん高くなる。
神経症的傾向
  • 運のいい人がチャンスに気がつくのは、肩の力を抜いてまわりを見ているからだともいえる。何かチャンスが来ないかと待ち構えているというより、偶然出くわしたときに、しっかり気がつく。それに対し、運の悪い人は緊張や不安に弱く、必死なあまり気が回らない
  • 運のいい人は、穏やかな気持ちでリラックスしているからこそ、自分のまわりにあるチャンスに気がつきやすい。運のいい人は自分が見つけたいものを探そうとするのではなく、そこにあるものを見ている。その結果、偶然のチャンスに出くわす確率がはるかに高くなる。
  • 運のいい人は積極的にチャンスを探しているというより、たまたま出会うチャンスに気がつく才能がある。普段から肩の力を抜いているおかげで、自分のまわりのできごとに気がつきやすい。皮肉なことに、チャンスを見つけようと必死に目を凝らさない方が、はるかにたくさんのチャンスが見える
③開放性
  • 開放性のテストの得点が高い人は、さまざまな場面で新しい経験をしたいと思っている。新しい食べ物に挑戦し、新しいやり方を試すことが大好きだ。しきたりにとらわれず、予測できない状況を歓迎する
  • 一方、得点が低い人は、しきたりに縛られやすい。何かをするときには、自分がやったことのある方法を選びたがる。明日も昨日や今日と同じ1日が待っていると思えば安心でき、大きな驚きを喜ばない。
  • 偶然の機会はすぐに底をつく。同じような人にいつも同じように話しかけるとか、仕事の行き帰りは必ず同じ道を通るとか、休日は同じような場所にしか行かないという繰り返しだけでは、偶然の機会は限られる。一方、新しい経験や成り行きにまかせた振る舞いは、新しい偶然を連れてくるかもしれない。まだ行っていない場所に行ってみると、あふれんばかりの機会があなたを待っているかもしれない。

(2)法則2:虫の知らせを聞き逃さない

  • 直感で気づいた法則は、正しい場合がはるかに多い。特定のタイプの人は特定の振る舞いをするもので、私たちは無意識のうちにそのパターンを見極めている。そして、目の前の状況が正しい、あるいは間違っていると感じたとき、本能が警告のベルを鳴らす。それに対し、運の悪い人は直感に目をつぶり、自分の決断に後悔しがちだった。
  • 客観的な事実と直感が同じなら答えは決まった。しかし、ある選択肢についてあなたは不安を感じるが、客観的な事実から考えると正しいと思えるなら、状況を見つめなおすのが賢明だ。結論へと進む前に、もう一度考えてみよう。事実を無視して直感に従うか、直感を無視して事実に従うか。どちらを選んでも、少なくともあなたは心の声を聞いたのだから。

(3)法則3:幸運を期待する

  • 運のいい人は、予想がつかず、自分ではコントロールできない出来事が、いつも自分にとっていい結果をもたらすと思っている。そして運の悪い人は、自分でコントロールできることもできないことも、自分にとって悪い結果をもたらすと予想している。
  • 運の悪い人は、失敗と苦しみだらけの人生が待っていると思いがち。それ以上によくないのは、これから起こる悪い出来事について、自分にはどうすることもできないと思っていること。どうせ自分は運が悪く、運の悪い人というのは不運ばかり続くものだと信じている。このような思い込みから、あっさりと希望を捨てて簡単にあきらめてしまう
  • 運の悪い人は自分が失敗すると決めつけているから、目標を達成する努力もほとんどせず、その結果、失敗するだろうという期待が現実になる
  • 運のいい人の期待は、油断を生んでリスクの高い行動をさせるわけではない。そうではなく、前向きな期待が、自分の人生をコントロールしようという意欲につながる。自分が欲しいものを手に入れるために、たとえ可能性がごくわずかでも、挑戦しようと思わせる。
  • 運の悪い人はとりわけ不安を感じやすい。この不安も、やはり健康に重大な影響を及ぼす。とりわけ不安を感じやすいひとは、家庭でも仕事場でも事故に遭う確率が高いという研究もある。不安症の人は集中力が続きにくく、自分のまわりで起こっていることより、不安や悩みに気がそれがち。したがって、運の悪い人のほうが事故に遭いやすいのも不思議ではない。
  • 将来に対する期待は、夢や目標を実現できるかどうかを決めるカギとなる。運の悪い人は物事が悪い方向に進むと期待しているため、挑戦する前からあきらめがちで、困難に直面してもやり抜くことはめったにない。
  • 一方、運のいい人は物事がうまくいくと期待しているから、目標を目指して努力する意欲が高く、たとえ成功する見込みが低くても、運の悪い人よりはるかに粘り強い。この違いは人生のさまざまな場面で、明らかに運のいい、あるいは運の悪い出来事を招いている。

(4)法則4:不運を幸運に変える

  • 運の悪い人は、架空のシナリオに描かれた不運が自分の身に起こったと想像すると、苦しくて悲しいところしか目に入らない。しかし、運のいい人は常に明るいところを見て、もっと悪い結果になったかもしれないと自然に考えられる。そのように考えれば気持ちが少し軽くなり、自分は運がよくて、幸運な人生を送っていると思い続けることができる。
  • 運の悪い人は、不運のシナリオのマイナス面ばかり見ている。自分より運がよさそうな人と比較して、自分の不運を誇張しがち。それに対し、運のいい人は自分より運の悪い人と比較して、不運のダメージを減らそうとする傾向がある
  • 運のいい人は、後から振り返り、そのときは不運だと思えた出来事からいい結果が生まれたことに注目すれば、将来に対してより前向きな期待を持てる。不運なことが起こっても長い目で見て、最後にはうまくいくと思える
  • 運の悪い人は過去に経験した不運を何度も思い出しているうちに、ますます自分は不運だと思い、暗い気分になる。すると、ますます不運な出来事ばかり考え、その結果、自分は不運なのだとさらに悲しくなる。こうして悪循環が続き、不運な世界観にどっぷりとつかってしまう。
  • それに対し運のいい人は、不運な出来事を忘れて幸運について考えようとするから、このような悪循環にはまらない。前向きな記憶が気分を明るくさせ、自分は幸運だと思うことができ、自分にとってよかった出来事を思い出す。運の悪い人が陥る悪循環と違って、記憶と気分が相乗効果をもたらし、ますます自分は幸運だと思える。
  • 運のいい人のほうが不運な状況に対し、はるかに前向きに取り組もうとする。一方、運の悪い人は、過去にうまくいかなかったことがあっても、その理由を考えいようとする人は少ない。失敗から学ぼうという意識が低く、同じ失敗を繰り返しがち。しかし運のいい人は自ら失敗を教訓を学んで成長する機会だと語る。

3.教訓

(1)エピソード1

たまたま本日、長女の新しい携帯電話を買いにいきました。

その際、研修中の販売員に当たりました。実際、その方は慣れていないのか、家族登録を忘れていて、基本料金の家族割引や家族間通話が無料になることが、危うく漏れるところでした。でも、ダブルチェックをしてくれた責任者がそれに気づき、改めて手続きをすることになり、余計に十数分の時間が必要になりました。

先日、二女の新しい携帯電話を買いに行ったときには、最終のサインをするところで、iPadが固まってしまい、最初から手続きがやり直しになりました。

それを知っている二女は、「携帯の手続きのとき運が悪いね」と言いました。

それに対し、「いや、それは逆に運がいいんだよ。チェックで気づいてくれたので、気づかずに余計な費用がかかったり、再手続のためにお店に出向かないといけなくなったりしたら、もっと運が悪くなってしまう。運は考え方次第だよ。」と、読んだ本の知識や考え方を、子どもたちに伝える機会を得ることができました。

(2)エピソード2

以前にいた部署で、次々と前任者が移動し、それを引き継ぐことになりました。

途中から参加するので、事前の知識も薄く、でも既に動いていて止められないプロジェクトだったので、本当に大変な思いをしました。

その時には、なんて巡り合わせが悪いのか、と思って、自分を恨めしく思っていました。しかしながら、それぞれ社内では事業横断的なエポックメイキングなプロジェクトだったので、そこにリーダー的な地位に関与できたことで、今の業務でも活きた知識を得ることにつながりましたし、何よりさまざまな部署の担当者の人びとと苦楽を共にすることで、人的ネットワークを築くことができました。

本当に、考え方次第で、運はよくも悪くもなるもので、物事を良い方に考えることがいかに重要かを知ることができる良本でした。