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夜と霧 ヴィクトール・E・フランクル著

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夜と霧新版 [ ヴィクトル・エミール・フランクル ]
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1.はじめに

本の原題は、「心理学者、強制収容所を体験する。」です。

そして、「これは事実の報告ではない。体験記だ。」という文から始まります。

極限の状態を生き抜いた精神科医だからこそ書き残せる、人間の本質にせまる一冊です。

2.内容

本の構成は、第一段階「収容」、第二段階「収容所生活」、第三段階「収容所から解放されて」という形で進んできます。

収容所や強制労働現場で、人が人として扱われない日常を経験することで、心が麻痺します。そして、感情が消滅し、無関心になります。

  • 人間の苦悩は気体の塊のようなもの、ある空間に注入された一定量の気体のようなもの。空間の大きさにかかわらず、気体は均一にいきわたるのと同じように、苦悩は人間の魂・意識にいきわたる。人間の苦悩の「大きさ」はどうでもよく、だから逆にほんの小さなことも大きな喜びになりうる
  • 生きることそのものに意味があるとすれば、苦しむことにも意味があるはず。苦しむことも生きることの一部なら、運命も死ぬことも生きることの一部。苦悩と死があってこそ、人間という存在ははじめて完全なものになる。
  • 勇気と希望、あるいはその喪失といった情調と、肉体の免疫性の状態の間に、どのような関係が潜んでいるのかを知る者は、希望と勇気を一瞬にして失うことがどれほど致命的か熟知している。未来を信じる気持ちや未来に向けられた意思がなえると体は病に屈した。
  • 気持ちが萎え、涙することもあった。だが涙を恥じることはない。この涙は、苦しむ勇気を持っている証
  • 自分を待っている仕事や愛する人間に対する責任を自覚した人間は、生きることから降りられない。まさに、自分が「なぜ」存在するかを知っているので、ほとんどあらゆる「どのように」にも耐えられる。
  • 「あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない」私たちが過去の充実した生活のなか、豊かな経験のなかで実現し、心の宝物としていることは、何も誰も奪えない。
  • 人間らしい善意は誰にでもあり、全体として断罪される可能性の高い集団にも、善意の人はいる。境界線は集団を越えて引かれる。
  • この世には二つの人間の種族がいる、いや二つの種族しかいない。まともな人間とまともでない人間ということを。まともな人間だけの集団も、まともでない人間だけの集団もない。どんな集団も「純血」ではない。監視者の中にもまともな人間はいた。
  • 人間とは、人間とは何かを常に決定する存在。人間とは、ガス室を発明した存在。しかし、ガス室に入っても毅然として祈りの言葉を口にする存在でもある。
  • 不正を働く権利のある者などいない。たとえ不正を働かされた者であっても例外でないという当たり前の常識に、こうした人間を立ち戻らせるには時間がかかる。こういう人間を常識へと再び目覚めさせるために何とかしなければならない。

3.教訓

著者とは比べるには経験の大きさが違い過ぎますが、自分自身の半生を振り返ってみても、常に順風満帆ではなく、つらい時期もありました。

この本を読み、以下の5点については、心に刻んでおきたいと思います。

  • 将来への希望、生きる意味を持つことが重要。
  • 自分を待ってくれている人の存在のおかげで困難にも耐えられる。
  • 苦しむこと、泣くことにも意味がある。
  • どんな人にも良い面があり、どんな悪い組織の中にも善良な人間はいる。
  • 自分がひどい仕打ちにっても、仕返しをすることは悪である。