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ぼくたちに、もうモノは必要ない。 -断捨離からミニマリストへ- 佐々木典士 著

1.はじめに

「部屋を一掃したい」と突然に思い至ることは誰しもにあると思います。自身も直近では2回、明確に考えたがありました。

その1つは、新型コロナの自粛期間。あまりに自宅でやることが無くて、クローゼットの中の未使用のものを大量に捨てました。

もう1つはいわゆる「こんまり本」を読んだときです。実際に、本書でもこんまりさんの心が「ときめく」かについても言及されています。

以下では、ミニマリストとはどういう人を指すのか、ミニマリストになるとどんな景色が広がるのか等について、本書から印象的だった部分を引用していきます。

2.内容

(1)なぜ、ミニマリストが生まれたのか?

  • 自分の価値は自分が持っているモノの合計ではない。モノは自分をほんのわずかの間しか幸せにしてくれない。必要以上のモノはエネルギーも時間も、すべてを自分から奪っていく。そんなことを感じ始めているのがミニマリスト
  • ミニマリストとは、「本当に自分に必要なモノがわかっている人」「大事なもののために減らす人」。ただ他人の目線だけを気にした「欲しい」モノではなく、自分が本当に「必要」なモノがわかっている人。大事なものが何かわかってて、それ以外を「減らす」人のこと。

(2)なぜ、モノをこんなに増やしてしまったのか?

  • 叶った願いの輝きは「慣れ」から始まり、「当たり前」の前提になり、「飽き」という否定に行き着き、最終的に黒ずんだつまらないモノになってしまう。願いはすべて叶っているのに、この「慣れ」→「飽き」の仕組みがあるせいで、叶った願いに対して不満が募り、不幸を感じてしまう。手に入れた同じモノに飽きずに満足し続けられれば、新しいモノが増えることはない。
  • 人の感情はどこまでいってもたかがしれている。モノの価格には限界がないが、人の感情には限界がある。どれだけモノを手に入れても満足できないのは、新しいモノを手に入れたときの喜びが、いつもあなたが小さなことで感じている喜びと大差ないから。
  • モノを「自分の価値」を伝える手段にしていると、モノはどんどん増えていく。増えれば増えるほど「自分の価値」が伝わりやすくなるのだから当然。しかし、増えたモノは「自分の価値」を伝えるという手段ではなく「自分の価値」という目的そのものにモノがなってしまう。

(3)捨てる方法最終リスト

  • 捨てる実作業でなく、モノを踏ん切るための時間が膨大にかかるだけ。捨てれば捨てるほど、捨てることは上手になっていく。捨てる習慣が身に付き、捨てるまでの時間が短くなっていく。捨てることは、まさしく「技術」
  • モノを「捨てる」のは行動であり、モノを「そのままにする」のは行動ではなく現状維持で確かに楽な選択。ただ、目の前の楽ばかりを追うと、いずれ手に負えないモノに囲まれてしまうようになる。
  • 落ち着いたから捨てられるのではなく、捨てるから落ち着ける。時間があるから捨てられるのではなく、捨てるから時間ができるようになる。だから今すぐ捨てなければならない。捨てるのが最優先事項
  • 「欲しい」と思ったときに、それが「必要」かどうか問いかければ、ほとんどのモノはスルーできる。
  • 収納術、片付け術にすがるよりも、まずはモノの絶対数を減らすのが先決。モノの数が減れば、「散らかる」こと自体が減っていく。
  • 「いつか」と思っている未来は永遠に来ない。「いつか」はもう手放そう。「今」必要でないモノは、この先もずっと必要ない。「かつて」という過去にいつまでも執着すると、モノは際限なく増えていってしまう。
  • モノと「自分」はあまり関係がないので、モノを減らしたからといって「自分」の何かが減ってしまうわけではない。それどころか、モノに阻まれていた「自分」が活き活きと動き出すのが次第にわかる。減るどころか「自分」が増える。
  • 本当に必要なモノまで無理して減らす必要もない。ミニマリズムは苦行ではない

(4)モノを捨て、ぼくが変わった12のこと

  • ミニマリズムを意識していると、あらゆるメディアや広告に惑わされる時間が減る。「自分は必要なモノをすべて持っている」という自覚ができるから。すべて持っていると思えればほとんどのメッセージはスルーできる。
  • 自分が好きなモノはなかなか捨てられない。理由はそんな大事なモノを捨てるなんて、自分の一部を切り取られてしまうように感じるから。好きだからこそ、自分自身だと思えるモノを捨てることは、自らを縛っている「自己認識」からも自由になること。
  • 人の目線のためにあるモノを思い切ってすべて手放していくことで、ぼくは人の目線が気にならなくなっていった。自分はこういう人間だと、がんじがらめにしていた変な自意識、他人からこう見られたいという誇大化したプライドがなくなった。モノを手放したおかげで、ムダな自意識や、贅肉のように行動を邪魔するムダなプライドも手放すことができた。
  • ミニマムライフコスト、自分が生きていくために最低限必要な額を知れば、ものごとはもっとシンプルになる。最低限これだけあれば生きていける、これだけのモノで充分楽しいと思えれば、もっと挑戦的に仕事だって選べる。
  • モノを最小限にすると、自分の「欲望」の認識力が高まる。どこまでが「必要」なもので、どこからが「欲しい」ものなのかはっきり判別できるようになる。これはモノだけでなく「食欲」も同様で、必要な食事の量がはっきり意識できるから、必要以上に食べない。ミニマリストはモノがあることのストレスもないし、自分に必要で充分に満足できる、必要な食べ物の量がわかっているから痩せる。
  • 「いつか」という未来に必要だったモノと、「かつて」という過去に必要だったモノを捨てる。すると「今」だけが残った。モノを捨てることで「今」に集中することができるようになった。

(5)幸せに「なる」のではなく「感じる」

  • 幸せは頂きや目的地のような形はしていない。だから幸せに「なる」ことはできない。幸せはその都度「感じる」しかないものだと思う。
  • 「幸せは自分の解釈次第」「幸せは外側にあるものではなく自分の内側にある」「幸せは自分の心が決める」。あらゆる幸せについての格言で言われたきたことが、やはり正しい。そもそも幸せ自体がもともと自己申告制でしか測れない
  • ミニマリズムは「目的」ではなく「手段」。多くのことにすでに気づけている人は、ミニマリストになる必要は全然ない。ミニマリストになって気づけた大事なことを、その後も大事にし続けられるなら、モノをもう一度増やしたっていい

3.教訓

すでに結婚して娘もいて家も購入済の状態では、記載されたようなミニマリスト生活を今から始めるというのはまったく現実的ではありません。実際、あの「こんまり」さんでさえ、片づけをあきらめていることからもわかります。

president.jp

私の家も、ではお二人のような部屋に生まれ変わったのか、というと、まったくそんなことはありません。やはり価値観が違う部分はあり、著者は「自由と結婚」していて、現実的な結婚は人生の選択肢に無い、ということを語っています。

dot.asahi.com

違いがありながらも、著者の考え方は理解できる部分も多くありました。

最初からモノが少なければ散らかりようはないし、持っていること自体に満足することに何の意味もありません。

この考え方によれば、今でも家の中に捨てられるものはたくさん眠っています。たしかにこれからも使わないだろうな、というモノもあります。メルカリで売ればいくらか収入になるので、実際に利用もしています。風呂上がりにバスタオルである必要もありません。仮に単身赴任をすることになれば、かなり参考にすると思います。

本書にも、ミニマリストは苦行ではない、モノが少ない対決をしても意味がない、ということは紹介されています。自身が「いい」と思った部分について、できる範囲で少しでもいいから取り入れ改善していく、ということを繰り返していきたいと思います。