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フィッシャーマン式 筋トレ以前の筋肉の常識

1.はじめに

本サイトでは、思考方法やマネジメント・リーダーシップ、働き方などを中心に採り上げてきました。ここで突然、あまり関係のない筋トレをあえて取り上げましたが、それには理由があります。

以前に営業職をしていた時代に企業オーナーは筋トレをしていた方が多いと感じていたことと、自身がタニタの体脂肪計に乗ると「筋肉量が標準以下」と表示されること、内外双方の要因から筋トレに関心を持ったものです。

また、読んでみると、最後の「3.教訓」でも触れるように、筋トレと仕事や勉強には数多くの共通点があることもわかりました。

本書では、具体的なトレーニング方法や食事についても触れられていますが、以下では向き合い方やモチベーションに絞って、自分がなるほどと感じた部分を引用します。

2.内容

(1)筋トレ以前の筋肉の常識

  • 初心者が本格的な筋トレに一歩踏み出せない、継続できない理由は、忙しいとか面倒だからではない。根本的な理由は「筋トレをやりたいなあ」と思いつつも「筋トレの必要性」を心の底からは感じていないから。人間は本当に必要だと理解しているものは嫌でもやる
  • 初心者は要点さえ押さえれば、まるで成長期の子どものような速さで筋肉が増えていく。いわゆる筋トレの「初心者ボーナス」と呼ばれるもの。
  • 筋トレのアンチエイジング効果は科学的にも明らか。例えば、男性が健康を保つための最も重要なホルモンであるテストステロンは、定期的なトレーニングによってその値が向上する。若々しくなるのは、このテストステロン値の向上が大きい。筋肉や骨を作り、体脂肪を減らす肉体的な効果だけでなく、精神面にも強く影響する
  • 今さら画期的な方法など出る余地はない。基本的に「簡単・手軽・ラク」が揃った方法は嘘だと思って差し支えない。どの業界も同じく、いつもカモにされるのは初心者。筋トレも他のスポーツと同じように、初心者はいわゆる「型」を守ることで、最も確実に成果に繋げることができる。はっきり言って初心者に独自の方法は必要ない
  • 筋トレにおいて、最も重要な理論は「継続」。筋トレは100m走ではなく、マラソン。続けること以上に大事なことはない。

(2)フィッシャーマン式トレーニング理論

  • レーニングでは「能力以上の環境に取り組むチャレンジ精神」を持つことが極めて重要。これを専門用語で「エフォート(effort)」という。何度も繰り返して、筋肉を継続的に成長させていくことを「プログレッシブ・オーバーロード(漸進性負荷の原則)」と呼ぶ。
  • 初心者~中級者レベルには、筋肉を破壊するようなコンセプトの筋トレは無駄と思って差し支えない、というよりマイナスになる。なぜなら、多くの場合は、ケガ、ひどい筋肉痛で回復に長期間を要するから。回復が長くなるほど、トレーニング頻度は落ちるので、成長は遅くなる
  • 継続的に筋肉を増やすためには、継続的な負荷の増加が必須。今日のトレーニングで10kgのダンベルを使ったら、次は11kgに、その次12kgに、というように、段階的に負荷を増やしていかなければ、継続的に筋肉を増やせなくなる。最大の問題点は、強度が弱いため筋力の工場があまり見込めないこと。
  • 想像以上に筋トレの継続は困難。筋トレを続けるためには、まずは「継続はできないことが当たり前」と自覚することが肝心。
  • 人間は成長や成果があるものを好きになる。個人差はあるが、筋肉が付いてきたり、扱えるウエイトが増えたりと、実感できる明らかな変化が訪れる。成果が出れば、筋トレが楽しくなる。楽しくなれば、勝手に継続できるようになる
  • モチベーションを上げるための有効な手段は「ジムに行くこと」。仕事が終わり、やる気がない時こそ、余計なことを考えずに「5分だけやろうかな~」とジムに向かう。これが「5分だけ法」。
  • 20~30回のような軽すぎるウエイトでは筋力アップを見込めず、逆に3~5レップのような高重量は総負荷を稼ぐことができないことに加えて、フォームが定まっていない初心者には危険。これらの条件を総合的に考慮した結果、安全かつ負荷を稼ぐことができる、複合関節種目「8~12回」、単関節種目は「10~15回」の範囲が最も効果的な反復回数となる。
  • オーバーロードするための方法は、休憩時間を短くする、より速い速度でリフトするなどいろいろあるが、筋肉を増やすための最も基本的なアプローチは「負荷を継続的に増やしていくこと」。つまり、毎回同じような負荷でトレーニングしている場合、成長は見込めないという意味でもある。
  • 各セットで最初はウエイトをスイスイ上げ下げできていた動作が、後半になって限界に近づいてくると、ジリジリと鈍い動作でしか上げ下げできなくなる。この苦しい動作の時に筋肉は成長している
  • 野球でバットを振るにしても、サッカーでボールを蹴るにしても、筋トレでベンチプレスをするにしても、事前に頭で正しいイメージをせずに適切な動作は絶対できない

(3)フィッシャーマン式コンディション理論

  • 筋トレに燃え上がるようなモチベーションを求めないほうがよい。歯磨きや入浴の前にいちいちモチベーションを上げないように、「筋トレやろ」ぐらいのやる気の出し方で十分。筋トレに強いモチベーションを求める人は、筋トレが苦痛とセットになっていることが多い。
  • 初心者の中にはジム通いを始めたいが、未経験ゆえの不安や心配を抱いている人も多いだろう。だが、通い始めればわかるが、事前に想像した不安の大半は杞憂に終わる。フリーウエイトエリアは初心者にも門戸を開いている。
  • そもそも思いベンチプレスに必死に取り組んでいる時に、仕事や人生の悩みを深刻に考える余裕はない。運動をしている瞬間は、それが世界のすべてになるから。不安な時こそジムに向かって汗を流す。筋トレはそうした心の問題も解決してくれる。
  • 「成果ではなく行動をほめること」が効果的。筋トレで言えば、「今日一生懸命筋トレができた俺って偉いな」とか、「1か月も筋トレを継続できた俺は凄いな」という意識的な自画自賛がモチベーションを上げる
  • 良質な睡眠で筋トレ効果を高める。カフェインは睡眠の性質を低下させる。就寝6時間以内のカフェイン摂取は睡眠障害を起こすことが研究からわかっている。

3.教訓

本書に記載されていることは筋トレなどの運動だけでなく、何かの勉強を始めるのと同じだと思います。

例えば、なんとなく英語を話せるとかっこいい程度で英語の勉強を始めても、長続きしません。仕事で英語を使う、将来的に海外で仕事がしたい、といった、真に必要性を理解していないと、しっかりと身にはつかないと思います。とあるミニマリストは、なんとなく英語教材を置いておくと気になってしまうくらいなら、断捨離したほうがよいと書いてある記事を読んだこともあります。

資格の勉強でも同じで、単に合格することを目的とせず、取得したあとどう活用するかを勉強開始前にイメージしておくことが大切だと思います。

また、以下の超一流に関して科学的に考察した本でも、

  • 「才能を引き出すには、コンフォートゾーンから飛び出す限界的練習が必要」
  • 「一つひとつの動きを正しくやることに集中」
  • 「長期的に勝利するのは、知能など何らかの才能に恵まれて優位なスタートを切った者ではなく、より多く練習した者」

と書いてあり、仕事と筋トレには多くの共通点があることがわかります。正しいやり方で、継続的に、負荷を上げながら努力することの重要性や、仕事でのメンターの存在≒筋トレでのパーソナルトレーナーの有効性は、本当に似ています。

bookreviews.hatenadiary.com

自分でも継続的に筋トレを実施したくなり、先日ジムの会員になりました。

筋トレの心得が書かれた本書から、何事もただ始めるのではなく、目的意識やゴールイメージを持って取り組むことの重要性を再認識することができました。