管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

課長経験者が身銭を切る価値のあるのおすすめ本だけを紹介するページ(社会人向け)

これからのキャリア開拓 田中研之輔/山口裕二/野澤友宏 著

1.はじめに

これまでも、タナケン先生の本は何冊か読んできました。

新刊が出るたびにチェックしていて、今回も、特に副題の「ミドルシニア期に価値を創るライフプレナー」と、帯の「人生100年時代の”地図なき時代”に、羅針盤を」という言葉が気になって手に取りました。

bookreviews.hatenadiary.com

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2.内容

(1)キャリア開拓の理論

  • 万華鏡キャリア理論は、個人の価値観や状況がキャリアの選択に大きな影響を与えるという観点から、人がキャリアを通して満たしたい3要素に焦点を当てる。
  1. 真実性を重視したキャリア開拓:真実性とは、個人の内面的な価値観が、外面的な行動や雇用組織の価値観と一致している状態で、自分の価値観や信念に忠実であることを指す。ミドルシニア期を超えると、長年のキャリア経験や人生経験から、自己の本質や自分にとって本当に大切なことが明確になる
  2. バランスを考慮したキャリア開拓:バランス要素は、個人が仕事と仕事以外の要求との間で均衡を保とうと努める状態で、家族、プライベート、自己成長など、さまざまな人生の役割との調和を図ることを指す。ミドルシニア期を超えると、キャリアだけにすべてを注ぐのではなく、自分の生活全体を豊かにするための時間配分が求められる
  3. 挑戦を通じたキャリア開拓:挑戦は、個人が挑戦的な仕事やキャリアの発展を求め、新しい経験や学び、成長機会を通じてキャリアを豊かにする要素。年齢を重ねても、新しい分野への挑戦やスキルの習得、自己の成長を目指す姿勢がキャリアにおいて非常に重要

(2)新しい「出番」を自らつくる

  • 人生100年時代は「自分の出番は自分でつくる」という意識が非常に大切ライフシフトは、始める前に思っていた以上に時間がかかる。「定年まで1年」となってからやっと定年後の人生を考えるのでは、もしかしたら遅いかもしれない。
  • AからBへ、じわじわと変化するそのグラデーションこそが、その人の人生の宝になる。一気に変わろうと意識するのではなく、行ったり戻ったりすることも、その後の人生にとって必要な時間だと思って楽しむのがカギ。
  • うまくいっている人たちは、何をしようか、どのようにすればいいのかと考える前に、「なぜそれをやるのか」というWhyの質問を自分に問いかけていた。「何から始めれば?」「じゃあ次は〇〇をやろう」とWhatやHowを繰り返しても、Whyがないと継続しにくい。Whyがしっかり決まると、「何を勉強すればいいか」「どうしていけばいいか」と次のステップにつながる。
  • 遠回りに感じても、「Be-Do-Have」の順で動くことが重要。まずありたい姿、ありたい自分像を描いてみることが大切。5年後、どんな自分でありたいか。まずその解像度を高めてみてはいかがか。
  • 会社の中で光が当たりやすいスキルと、社会の中で光が当たりやすいスキルは違うもの。Will、Can、Mustに加えて、「Call(呼ばれること)」がミドルシニアには必要。より正確に述べるのであれば、声をかけていただくという点で「Called」が大切。
  • 自己紹介では、自分の「強み」を必要とする人に魅力的に思ってもらうことが必要。自分を紹介するだけではなく、相手の未来、そしてその未来に自分がどう貢献できるのかについて語る必要がある。自己紹介にはあなた自身の人間性や社会性、人格、これまでの生き方すべてを凝縮させるといい。これまで何をやってきて、今何をやろうとしていて、これから何がやりたいのかが分かると、良い自己紹介になる
  • 上司の言うことを聞き、顧客の言うことに耳を傾け、部下の言うことに対応し、とにかく周囲の意見を尊重してきたビジネスパーソンは、「自分は何をやりたいんだろう」といったことに向き合ってきた時間が少ない人が多い。まず自分と向き合い、自分が本当に大切にしているものは何か。自分が本当に喜びとするものは何なのか。それらを考える機会をつくることが重要
  • もし、勇気を出しにくいという状況の人がいれば、自分が何かに縛られていないか、見つめてみる。お金、家族、仕事などのどこかに、不安や心配がないか客観視できれば、縛られているのかどうかが明らかになる。ミドルシニアのキーワードは「解放」。解放されると、言動が変わっていく。自然とはじめの一歩を踏めるはず。

(3)今日から始めるキャリア開拓

  • あなたが助けたい人は誰ですか。その人を助けるために、あなたが身に付けるべきスキル・専門性は何ですか。
  • 「業務をこなす」のではなく、「資本をためる」ように意識を切り替えていく。向き合い方を180度変える。「目の前の状況を少しでも改善するには、どうしたらいいのか」という問いをたて、キャリア資本獲得ゲームをしていく。

3.教訓

今回、特に心に残ったのは「What や How よりも Why を問うこと」「Be-Do-Have の順番で動くこと」の大切さでした。

先日、いわゆる「たそがれ研修」で同じブレイクアウトルームになったことが縁で、入社年次はバラバラながら同い年の5人で飲みに行く機会がありました。中途入社の方も含め、経験も役職も異なるメンバーでしたが、同じ時代背景を生きてきた者同士、就職活動の思い出話などで盛り上がり、すぐに打ち解けることができました。

話題は人事から推奨されているリスキリングにも及び、「〇〇の資格を勉強している」「業務が忙しくて勉強時間が取れない」など、さまざまな声が出ました。
その中で、「〇〇という難関資格は名刺に書けるし、一次試験合格の有効期限も迫っている。ただ、この年齢で取っても活かしにくい」という悩みが語られました。私はそれに対し、「もし長年携わってきた業務に近く、これからノウハウを継承していきたいと考えているなら、△△の資格のほうが目的に合うのでは」と、本書の内容を踏まえて Why や Be の重要性に触れました。

――「なぜそれをやるのか?」「自分はどうありたいのか?」

ミドルシニア期に差しかかる今、この問いを立てることは本当に重要だと感じます。私の発言に対しても、他の参加者から深くうなずく姿や賛同の声が上がりました(もちろん最終的な選択はご本人に委ねられるものですが)。
ここでは詳しく触れませんでしたが、本書には個人で取り組めるワークシートや「キャリア対話の鍵を握る20の質問」など、思考を深めるためのヒントが数多く掲載されています。万華鏡キャリアの視点も意識しながら、これからの自分なりのライフキャリアを描いていきたいと思わせてくれる良書でした。