管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

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他人がこわい あがり症・内気・社交恐怖の心理学

1.はじめに

本書は、Diamond WEEKLY(2026/2/21-28号)にある「週末読書」というコーナーで、「不安や悩み、心の動きに上手に対処する法」として紹介されていました。「カウンセリングとは何か」とともに掲載され関心を持ち、手に取りました。

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300ページを超える分量で、心の問題を取り扱うので少し読むのに時間がかかりましたし、印象に残った部分が多くなったため引用個所が長くなりましたが、以下で内容を紹介していきます。

2.内容

(1)社交不安はこう現れる

  • ”社交不安”は、相手との親密さや距離にかかわらず、さまざまな対人関係で現れうる。店員との雑談であろうが、同僚との世間話であろうが、そこに他人がいる限り、どういう相手に対しても不安を感じる可能性がある。これらの事例には、それぞれの状況において、「相手につまらない人間と思われたくない(でも思われるかもしれない)」、あるいは「相手に気に入られたい(でも無理かもしれない)」と思っている、という共通点がある。そういう自信の無さが、彼らの心に緊張や不安を引き起こしている。
  • 他人に自己主張をする時の不安は、相手に非難、批判、不快な態度などをされることへの怖れから生じている。この「他人に自己主張をする」時の不安は、「他人の反応がわからない不安」とも言い換えられるだろう。この種の不安のせいで、自らの最低限の「権利」を行使できない人もいる。
  • 「内気に対処するもっともよい方法は、不安な状況を回避することだ」と、”社交不安”の人たちは異口同音に言う。ところが、”回避行動”が大きな弊害をもたらす場合もある。”回避行動”は社会生活の妨げになる上、交友関係を大幅に狭める原因にもある。その上、”回避行動”が習慣化すると、自分の行動を無理やり正当化し始めるおそれがある。”回避行動”を続けていると、”社交不安”はどんどん重症化する。つまり、”回避行動”は”社交不安”に対処する最善の方法どころか、逆に悪循環に陥らせてしまう
  • 認知は、状況のとらえ方を表している。対人関係における特定の状況で不安を感じた人は、身体反応と同じくらいスピーディーに、ほとんど反射的に、その状況についてなんらかの考えを抱く。それは無意識的に、自動的におこわわれるので、努力をする必要もない。そしてたいていの場合、「そうかもしれない」という仮定ではなく、「そうに違いない」「そうに決まっている」など、ほぼ確信として心の中に現れる。しかも不安を強く感じる人の場合、特定の考えがパターン化している傾向が高い。たとえ事実に反していようと、いつも同じ考えがことあるごとに意識の中に入り込む。まさに「思い込み」だ。そしてその思い込みは、非常に根が深いので、簡単には修正できない。
  • 最悪のシナリオが現実になる可能性は非常に低い(ゼロとは言わないが)。ところが不思議なことに、”予期不安”を抱く人は、何十回、あるいは何百回と予想が外れても、懲りずにまた最悪のシナリオを作り出す
  • パーティで会話が苦手な人は、その場に溶け込む努力をしないせいで、本当に誰とも会話ができなくなるかもしれない。その結果、「自分は非社交的な人間だ」と思い込み、まわりからもそう思われてしまう。この現象は、心理学用語で「予言の自己成就」と呼ばれる。つまり”社交不安”の場合、”予期不安”が的中する確率は完全なゼロとは言えない。もちろん、本人思うほどひどい状態でない場合がほとんど。

(2)社交不安の4つのタイプ

  • ”内気”な人の特徴といえば、よくないところばかりのようだが、実は多くの長所も備えている。まず、他人の話に真摯に耳を傾けて、相手の気持ちを汲み取れる人が多い。距離を置いてまわりを眺めているので、他人のことがよくわかる。職場でも、”内気”な人は高く評価されやすい。他人に好かれたい、高く評価されたいという気持ちが根底にあるため、同僚の仕事を進んで手伝ったり、みんなが嫌がる仕事を引き受けたりして、まわりから「気が利くね」と感心される。
  • ”回避行動”が習慣化すると正確として固定化し、それが本人の人生に重大な弊害をもたらすようになったときに、”回避性パーソナリティ”という精神疾患になる。つまり、”回避性パーソナリティ”は、ある日突然現れるのではなく、ふつうの人の”回避行動”と地続きとなっている。”回避性パーソナリティ”の人は、他人に低く評価されることに強い怖れを抱いており、評価にさらされる状況を避けようとする。
  • ある行動を取っている時に不快な思いをせずに済んでいると、その行動のおかげで不快さから逃れられていると思い、その行動がますます「強化」される(つまり、頻度が増える)。これと同様に”社交恐怖”の人も、他人を回避することで不快な思いをせずに済んでいると、”回避行動”がますます増えてしまう
  • ”社交恐怖”の人は、ささいなことも決して見逃さない。他人が無意識に発した言葉、行動、視線、しぐさを敏感にキャッチし、自分を批判しているのではないかと疑う。「他人は自分に厳しい評価を下す」と思い込み、「もし自分の弱さがバレれば、攻撃され、軽蔑され、嘲笑される」と信じ込む。細かいことにいちいち意味を見つけようとして、”妄想症”とみなされる人もいる。
  • ”内向性”は”内気”とは別物。”内向性”の人は、内面世界に関心があり、他人と一定の距離を置くのを好む傾向にあるだけ。
  • ”社交恐怖”の人が具体的に何を恐れているかというと、ひとつは、他人から揶揄されたり攻撃されたりすること。もうひとつには仲の良い友だちやグループから不評を買ったり嫌われたり仲間はずれにされること。行動や身体反応の「症状」にまわりの大人が気づくことで、子どもの”社交恐怖”を早期発見できるかもしれない。

(3)どうして社交不安を感じるのか

  • 認知とは、あらゆる「自分自身との対話」。ものの見方は人によって異なる。同じ情報を受け取っても、それをどう考えるかはその人次第。極端に一般化するのも”社交不安”の人の特徴。ひとつの出来事、ひとつの結果をすべてと思い込む。彼らの発言には、「いつも」「決して」「みんなが」などの単語が頻繁に登場する。
  • ”社交恐怖(社交不安症)”の人の認知は、極端にネガティブであるとわかっている。彼らは、どうとでも取れるあいまいな状況をすべてネガティブに解釈し、よくないことが起こるはずだと悲観的に捉える。こうした「脳のはたらきのエラー」を発見し、改善するのは、”社交不安”の克服に非常に有効。
  • 私たちは一人ひとり、誰にも見えないところに、他人や自分に対するさまざまな信念や価値観を隠し持っている。それは「中核的信念」と呼ばれる。中核的信念は、私たちが自身に課した個人的なルールで、たいていは「~しなければならない」「~すべきである」という命令調で自らの言動を律している
  • すべての”社交不安”の根底には、「他人に高く評価されたい」「相手に気に入られたい」という思いが秘められている。そしてたいていの場合、その「クリアすべき基準」は非常に高いレベルに設定されている。自分のあるべき姿、自己イメージの理想が高すぎる。だからこそ、目の前のハードルの高さにプレッシャーを感じ、大事な場面でいつも通りの行動がとれなくなってしまう。
  • 感染防止のためのマスク着用は、多くの”社交不安”の人に、対人関係における心の平穏をもたらした。顔の半分ほどが見えなくなることで、感情や赤面を隠せるようになり、職場でもプライベートでもリラックスして話せるようになった。一部の人たちにとって、マスクなしの生活に戻るのはかなり厳しかった。やはり”社交不安”にとって、長期の”回避行動”は要注意

(4)社交不安を克服する

  • 医学的治療を受けることへの恐怖や羞恥心をなくすこと。とりわけ、「精神科」に通うことへの躊躇を捨てる。今のところは心のバランスを保てているという人、”回避行動”によって一時的に平穏を得ている人の場合、治療を決意するのはなかなか難しいだろう。だがこういう人も、長期的に見れば重症化のリスクが高いことは覚えておいてほしい。
  • 心理療法については、とくに認知行動療法(CBT)が”社交不安”の治療にもっとも有効で、持続的な効果が得られると判明している。もちろんCBTも奇跡を起こせるわけではない。
  • 療法士がカウンセリング中に患者にノウハウを伝授し、次のカウンセリングまでにひとりで実践してもらう指導をすることもある。ものの見方や行動様式を変えるトレーニング法を患者自身が習得し、治療終了後も継続して行ってもらうためだ。おそらくこうしたことが、症状が再発せず、効果が長続きする理由のひとつだろう。もちろんそのためには、患者自身も積極的に治療に取り組み、自らの行動を観察したり、内省したりしなくてはならない
  • ”社交不安”の人は、不安を感じる状況から逃げ出し、自分だけの世界に引きこもりがち。そうすることで多少は不安がやわらぐので、無意識にそういう行動様式を習慣化させてしまう。この傾向から脱却するには、まずは不安を感じる状況から逃げ出さないことが大切。だが大人になると、いったん習慣化した行動様式を変えるのは難しい。それを可能にするには、行動療法の代表的なメソッド、エクスポージャー療法が有効。私たちは逃げ続けている限り、恐れをなくすことはできない
  • 問題を具体的にとらえて、力を注ぐ方向を定めない限り、”社交不安”は克服できない。「ひどく内気なんです」ではなく、いつ、どこで、誰と、何をしていると”内気”になるのか、問題点を明らかにすることから治療が始まる。
  • エクスポージャーは、たとえ苦手な状況に立ち向かっても、決して悲惨な状態にはならないこと、耐えられないほどの恐怖に襲われるわけではないことを、本人が理解できるようになるために行われる。そのためには、十分に時間をかけて行う必要がある。不安がだいたい半減するまで繰り返し行うことが大切
  • エクスポージャーに成功すると、本人の中核的信念(スキーマ)が変わることさえある。多少のことでは揺らがないはずの頑固な”スキーマ”が、「行動すれば治る」という行動療法の原則に従うことで修正される。確かに、何年も回避しつづけてきた状況にうまく立ち向かえるようになれば、自分に対する評価が180度変わってもおかしくない
  • 自己主張ができるようになるためのトレーニングについて、簡単に要点を説明する。まず、日ごろの対人関係において、自己主張をしたい状況を選ぶ。そして、「行動様式」だけでなく「ものの見方」にも気を付けるよう心掛ける。不安な状況に置かれた時、”回避行動”や”攻撃的行動”をもたらす思い込み(「自分が意見を述べると、すべてが悪いほうに転がる」「欲しいものを手に入れるためには、ある程度威圧的にならなくてはならない」など)をしていないか、きちんと見極めなくてはならない。そして最後に、トレーニングの目的を忘れないこと。上手に自己主張ができるようになり、対等で楽しい人間関係を築くために訓練を行う
  • 他人とうまくやれずに、自分らしい生き方などできない。”社交不安”の人たちは、職場で他の人たち以上にストレスを感じている。仕事上のストレスの要因(心理社会的要因)はいろいろあるが、対人関係はもっとも重要なものの1つ。とくに”社交不安”の人は、無作法な相手やハラスメントに対して戦える術をほとんど備えていない
  • 人間は、他人との交流を通じて自分自身を築く。対人関係から吸収する栄養は、食物からの栄養と同じくらい、人間形成には必要不可欠。よい対人関係を築いている人は、そうではない人に比べて、心の病から守られている。いや、心だけでなく、多くの身体の病からも守られている。

3.教訓

私も今の職場で、日々どこかに「恐怖」を抱えながら働いています。
表向きは普通に仕事をしていても、胸の奥ではずっと緊張が抜けないような感覚があります。

というのも、周囲の“許容の幅”がとても狭く、説明が少しでもわかりにくかったり、背景事情が複雑だったりすると、こちらがどれだけ準備を重ねていても、「そんなの知らない。それはそちらの都合でしょう」と切り捨てられてしまうことがあるからです。
その瞬間、努力ごと否定されたような気持ちになり、言葉が続かなくなります。

本来、仕事は趣味ではなく、依頼する側もされる側も、同じ方向を向いて進めていくものだと思っています。
それなのに、どうしても対立の構図が生まれてしまい、同じ部署にいながら一体感を持てないまま働いている──そんな日々が続いています。
その状況に慣れたふりをしていても、心のどこかではずっと疲れが溜まっていくのを感じます。

本書を読み、自分の中に「他人をこわがっている自分」が確かにいることに気づきました。
そして、同じような思いを抱えている人が世の中には一定数いること、今まさに自分が関わっている相手の中にも同じ不安を抱えている人がいるかもしれないこと──その事実に、少しだけ救われるような気持ちにもなりました。

さらに、社交不安には認知行動療法が有効で、避け続けているだけでは恐れは薄れないということも学びました。
逃げてきた自分を責めるのではなく、「ここから変わっていけるかもしれない」と思える一文でした。

まずは、以下の本を読み直しながら、セルフモニタリングから始めてみようと思います。

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