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未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書 武神健之 著

未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書

未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書

  • 作者:武神健之
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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1.はじめに

先日、メンタルヘルスをテーマにしたキャリアコンサルタントの勉強会に参加した際、講師の方が推薦されていた本です。

私は基本的に、講義中に勧められた本は買って読むことにしています。やはり、その道の方「いい」とお墨付きをしている本は、いい内容ばかりです。

そして本書は、以下の文章から始まります。

メンタル不調にならないための本ではありません。

不調になっても、安心して「休む」選択肢をとれるようになるための本です。自分の不調を受け入れ、向き合い、うまく制度を利用すれば、適切な「休職」は、むしろあなたの未来のキャリアを守る選択なのです。

 

2.内容

(1)こころと身体のSOSに気づく

  • 原因がわからないのに、満足のいく睡眠が取れず、翌日のパフォーマンスに影響が出ているのならば、それは医者に行くことを考えるべき段階。これが週の半分以上あったり、合計しても4時間も眠れないことが2週間以上続く場合は、必ず医者に行くべき
  • 会社員の適応障害の場合、プライベートで特別なことがない限り、原因のほとんどは職場に関すること。仕事や職場の人間関係がストレスの原因の場合、職場以外では元気なことも多く、いわゆる現代うつ病と呼ばれる状態はこの適応障害。適応障害の人は休職し、職場から距離を取り一定期間休めば元気にはなる。乱暴な言い方になるが、会社を辞める決断をできた人は治る。
  • 「うつ病」「抑うつ状態」「うつ症状」の違い
  1. うつ病:精神障害の1つで、正式な病名
  2. 抑うつ状態:一般的な憂鬱感や抑うつ的な状態や気分を指す
  3. うつ症状:憂鬱感やうつ病に関連する特定の症状で、うつ病の診断となるわけではない
  • 1つの医療機関を受診すれば、きっとどちらの先生のほうがベターか、自分に合うかわかる。そして自分に合うと思う先生のほうに今後は通えばいい。2か所を受診する時間的・精神的余裕を持つためには、ある程度自分自身に元気がある状態、余裕がある状態のうちにメンタルクリニックを探し、通院を始めたほうがいい。
  • 休職を選択する前に「5枚のカード(選択肢)」を使う。全部使っても良くならない場合、そのときはもう休職しか切るカードがない。
  1. まずは通院を開始するカード
  2. 内服治療を開始するカード
  3. 違う薬を試してみるカード
  4. 業務を減らしてもらう、就業制限をかけてもらうなどのカード
  5. 精神療法を開始するカード
  • 今の時代、1つの会社に定年までずっと勤めることはない。大切なのはあなたがたとえば半年後もしくは1年後に、元気に働けていること。それが今の会社だろうと他の会社だろうと、それよりも優先順位を高くしなければいけないのは元気で働けているということ

(2)休職前半 じっくりと休む+好きなことをする

  • 回復期は元気があるときは、ぜひ好きなことをして過ごすようにお願いしている。好きなこととは、復職のために何かをするということではなく、純粋に自分がしたいからするということ。好きなことをやってもらうメリットは、気分転換や趣味を作ることで、今後復職したときに再休職になりにくくなること。
  • 「休職開始の診断書」は、休職について主治医と患者社員が共に納得したときに書いてもらい、必ず速やかに会社に提出する。その後、会社を休む。本人が納得して休職を開始しないと、治療としては意味がない
  • 自分で復職日を決めて、そこから逆算した生活をしない。実はこれは休職者の一番多い間違い。診断書の日付は、あくまでその日までは休むというだけの意味なので、勝手に復職日を設定して行動計画を立てることはやめる。
  • 誰も好き好んで病気になったり休んだりしているわけではない。治療のために必要だから、治療に専念しなければいけない状況だから休む。そこに良い悪いはない。休職理由によって、その人の評価や価値が変わることもない。だから、自己評価も変わらないでいい。
  • 処方されているものの、薬を飲んでいない場合、休職者には主治医にはその薬を怖くて飲んでいないことを次の診察で言うことをお願いする。もし主治医にそんなことは言えないという場合は、そういうことが言える雰囲気の主治医を選んだほうがいいのではないかと提案する。
  • 気分転換が上手な人とは、ストレスフリーな時間を生活のなかに自らつくりだせる人ということ。大切なのは、人と比べることではなく、自分が満足できるか否か。好きなことをしていると、人は無意識のうちに思考のバランスが整う。
  • 好きなことをしている人は、「仲間」と「居場所」があるという点。最近は、職場でも家庭でもない自分の落ち着く場所、アイデンティティを保てる場所をサードプレイスと呼んだりするが、そういった場所があれば、セルフケアの手法の1つである「相談相手を持つ」ことにもつながる。
  • 誰にとっても、仕事やキャリアよりも健康が大切。復職後も自分の健康をすり減らさなければ働けない職場環境なのであれば、それは職場があなたに合っていない、気力体力を超えたものであった可能性がある。そのことを復職後に気づいて退職、転職する方々も見てきた。健康が一番、職場は相性、これがその人たちが皆言うこと。

(3)休職後半 焦らずに復職の準備を。そして復職へ

  • メンタルヘルス休職者の多くは自分の体調を無視して欲張り過ぎた結果、最終的に休職になっている。復職準備期に大切なのはちゃんと自分の体調に合わせた自己管理をすること。自分の体調を考えて活動(図書館通い等)できること。
  • 自分の健康を損なうことにならないためにも、自分のこころのあり方を変えることが有意義だろうと思えたら、おすすめの「こころの準備ワーク」が3つある。以下のワークをまとめて「振り返り」という。振り返りができている人のほうが、復職後の再発率、再休職率が明らかに少ないと私の経験から断言できる
  1. 自分の症状について知る:いつからどのような症状が出始めて調子が悪くなったのか、どのように変化したか、休職を開始したときはどのような症状だったのか
  2. 原因と対処を考える:自分が調子を崩したきっかけや原因はどんなことだったか。次に起こったらどうするかを考える。
  3. 自分のこころの受け取り方を知る:原因に対して、どのような受け取り方(心の反応)をすればいいのかを考える。
  • 働く人の適応障害の多くの原因は職場にあることがほとんど。そのような環境に戻るのだからこそ、自分はそこにどのように適応すればいいのか、対策を立てる必要がある。休職になったことは、あなたや職場、誰の責任でもない。しかし、その職場に戻る判断をするのはあなた自身の責任。しっかり自分と向き合ってから、復職するようにする。
  • 復職とは、原則的に会社が求めた場所と就業時間で働くこと。復職後社員が働く部署を決める権利は会社にある。復職者の権利ではない。復職するときは多くの場合は、同じ会社、同じ部署、同じ仕事に戻る。
  • 復職に際して最も大切なことは、具体的にどのようなサポート(配慮)があると助かるのか、この点について明確に伝え、就業制限をかけてもらうこと。つらさを訴えたとしても、それは具体的な配慮にはつながらないことが多い。むしろ、訴えられた人からは、本当に復職できるほど治っているのか心配されてしまう。
  • 就業制限がついている間に、”残業を断る”ことを実践し身につけてほしい。主治医と産業医の命令だから、この期間にNOと言って断ったとしても業績評価には響かないことを同時に伝え、安心して断ることをお願いしている。今断ることができなければ、就業制限がなくなってからも断ることはきっとできない。そうならないために、今は断る練習期間だと考え、断るようにお願いしている。
  • 業務の変化に適応できない人も再休職になる可能性が高い。会社員が任せられる業務内容は時間とともに変わるもの。これは上司や会社が悪いわけではない。あなたも悪くはない。タフな状況だが、適応するしかない。自分は悪くないと適応努力をしない人は適応できず、復職後もつらい状況になってしまう

3.教訓

本書は、復職・休職という局面に限らず、日々の生活や思考のクセがどのようにメンタルヘルスと結びついているのかを理解する大きな助けとなりました。

読んでいく中で、特に自分にとって重要だと感じたのは次の5点です。いずれも、今後の生活で意識していきたい行動です。

  1. 義務感ではなく、自分が「したい」と思えることを選ぶ
  2. 言いたいことを率直に伝えられる関係性を大切にする
  3. 「仲間」「居場所」「相談相手」を持つ
  4. 断るべきときは、きちんと断る
  5. 他責にせず、環境に適応しようと努める

そして最終的には、「健康がすべての土台である」という一点に尽きるのだと改めて感じました。

冒頭で触れたセミナーでも、(細部は記憶が曖昧ですが)①健康、②お金、③スキル・能力、④ネットワークの中から自分にとって最も大事なものを選び、同じ選択肢の人同士で話し合うワークがありました。結果は、参加者の9割ほどが「①健康」に集まり、他の項目はほとんど人がおらず、話し合いにならなかったということもありました。

この「健康」には、身体面だけでなく精神面も含まれます。精神的な健康を保つためには、ストレスを相談できる相手の存在が欠かせません。厚労省の調査でも、約95%の人が「相談できる人がいる」と回答しており、そのうち家族・友人が約70%を占めています。やはり、日頃からのコミュニケーションが心の支えとなり、メンタルヘルスの基盤を形づくるのだと感じます。

www.mhlw.go.jp

 

未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書

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