管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

課長経験者が身銭を切る価値のあるのおすすめ本だけを紹介するページ(社会人向け)

WHO YOU ARE ベン・ホロウィッツ著

1.はじめに

勤務先で話題になった本です。「めちゃくちゃいい本だった」という同僚の言葉を受けて、私も読もうと手に取りました。

「企業文化」という言葉を聞いたことが多いと思いますが、それが何なのかを言葉で説明できない人が大半なのではと思います。本書はそれがよくわかる良本です。

以下では、特に印象的だった部分を引用して紹介していきます。

2.内容

(1)イントロダクション

  • トップがいないところで人々がどんな判断をするかこそが、企業文化というもの。社員が日々の問題解決に使う一連の前提が企業文化。誰も見ていないときにどう行動するかが企業文化
  • 文化は一度つくれば終わりというものではない。「基準以下の行いを放置しておくと、それが新しい基準になる」と軍隊では言われる。企業文化も同じ。文化に沿わない行いを見聞きしても対処しなければ、それが自分たちの新しい文化になる
  • そこで働いていたときにどんな気分になったかや、そこで働いたことで自分がどんな人間になったかはいつまでも残る。社員の心から離れないことがひとつあるとしたら、それはその会社特有の気質と気風だろう。物事がうまくいかないとき、その気質や気風が人々をつなぐ拠り所になる。それが日々の小さな判断の道しるべになり、それが積み重なってある種の純粋な目的意識が生まれる。

(2)文化と革命 トゥーサン・ルーベルチュールの物語

  • 優れた文化をつくるということは、状況に合わせて自分たちを変えるということ。つまりそれは、自分たちが参入したい市場の文化や精通したい市場の文化を知るリーダーを社外から連れてくることでもある。
  • リーダーの本当の価値観を反映するものでなければ文化は定着しない。ただの耳障りのいい言葉は文化にならない。なぜなら、リーダーの行動によって、つまりリーダーが手本になることで文化はつくられるからだ。
  • 企業文化にははっきりと具体的に組み入れられた目標と、誠実さが矛盾することも多い。倫理的な振る舞いとはどのようなものなのかを具体的に指示せずに、ただ倫理的に振る舞えと言うだけでは、どんな人を雇っても決してうまくいくはずはない。

(3)ルーベルチュールのテクニックを使う

  • 長期にわたって組織に根付く文化の土台となるような、効果的なルールとはどのようなものかを紹介しよう
  1. 記憶に残るもの。ルールを忘れると、文化も忘れる。
  2. 「なぜ?」と問いたくなるもの。誰もが「マジで?」と聞き返したくなるような、奇妙でショッキングなルールでなければならない。
  3. 文化に直接影響するもの。「なぜ?」への答えがその文化の概念を明快に説明するものでなければならない。
  4. ほぼ毎日使うもの。どれほど記憶に残るルールであっても年に1度しか使わなければ意味はない。
  • 服装という1番目に見えることが、組織行動を変える1番大切な目に見えない力になることもある。「文化は見えるものよりむしろ見えないものによって形づくられる。意志あるところに文化はある
  • ルーベルチュールがフランスとスペインの将校を奴隷軍に引き入れたとき、兵士たちがどう反応したかについて知る術はないが、とんでもない軋轢があったことは間違いない。外からリーダーシップを取り入れると、もともといた人たちはとても居心地が悪くなる。それがまさに文化の改革なのだ。
  • 「セキュリティは万全に」と口では言っていても、その行いが「個人の利便性のほうが大切」だと語っていた。行動は必ず言葉にまさる。それが文化というもの
  • 組織文化と矛盾する行動をやむをえず取ってしまった場合、まずやるべきなのは間違いを認め、それからやりすぎなくらいに過ちを正すこと。しかも、できる限りおおやけに自分のミスを認めて修正し、ありったけの熱を込めて以前の判断を上書きし、それを新しい教訓にしなければならない。

(4)武士道

  • 「働くのはお互いのため。一緒に働く人をどのくらい気にかけているか?社員をがっかりさせたいか?」あなたの目的が死を意識することであっても、お互いのために働くことであっても、仕事そのものに意義があるということが、企業文化をまとめる接着剤になる
  • 正しいことをするのに、「正しい理由」からか、恥や罪の意識からなのかについて、特に区別はしていない。「なぜ」正しいことをするのかは、重要ではない。正しいことをすれば、それでいい。ただし、武士の心得をつくった人は、時と場合によっては正しいことをするのが難しくなるのを理解していた。だから事例を挙げた。

(5)もうひとつの武士道 シャカ・サンゴールの物語

  • 組織文化は奇妙なものだ。文化は信条ではなく行動の積み重ねなので、思った通りには絶対にいかない。だから「一度決めたら放っておく」のではダメ。常に自分たちの文化を検証し修正していかなければ、本物の文化にはならない
  • 企業文化の要素は組織内だけのことで、社員は会社にいるあいだだけそこの企業文化の枠内で行動するものだと考える人は多い。現実には、起きている時間のほとんどを過ごす職場での行動が、その人を形づくる。職場の文化は伝染しやすい。会社でみんなが汚い言葉を使っていると、社員は家でも汚い言葉を使うようになる。
  • 信頼はコミュニケーションの土台。自分が口にしやすい「真実」だけを語っても、信頼は築けない。正真正銘の真実を伝えることが、信頼につながる

(6)自分らしい文化をデザインする

  • 理想の文化を築くための第一歩は、自分が何が欲しいかを知ることだ。だが、簡単に思えるこのことが、実は難しい。無限の選択肢があるように思える中で、どのように文化をデザインすれば必要な競争力を手に入れ、誇りを持てる職場環境をつくり出せるだろう?なにより、行動に移せる文化に移せる文化をデザインするにはどうしたらいいだろう?
  • リーダーシップの大原則は、すべての人には好かれないということ。みんなに好かれようとしても、いいことはない。私がそう言うのは、みんながみんな私を好きじゃないことがわかっているからだ。格好つけたいわけじゃない。ただ、自分らしくいたいだけ。
  • 企業文化は、リーダーの完成を反映させたものでなければならない。学習できる環境や、質素倹約を旨とする企業や、誰もが遅くまで働く職場をどれほど望んでも、リーダーにその習慣がなければ、そんな職場にはならない。外向きの「企業文化」とリーダーの行動が違っていれば、社員はリーダーのまねをする。名ばかりの企業文化には誰も従わない
  • どんな会社にも、核になる共通の文化要素は必要だが、どの部門でもまったく同じ文化を求めると、文化に合う部門と合わない部門が出てきてしまう。「カジュアルな服装をする」「結果だけを気にかける」といった規範は、どちらかというとサブカルチャーにふさわしい。
  • どんな職場でも社員は常にこう自問している。「自分のやっていることは、役に立っているんだろうか?意味があるのか?自分の仕事は会社を前進させているか?誰かが自分の仕事を気にかけているだろうか?」経営者の1番大切な仕事は、こうした疑問に大声で「YES!」と答えること。
  • 企業文化が成功するかどうかは、その会社でどんな行動が報われるかに大きく左右される。仕事について気にかけると報われるのか?それとも、これっぽっちも気にかけないほうが得をするのか?社員が努力して何かを変えようとしたり、新しいアイデアを提案するたびに、官僚体質や優柔不断さや無関心に阻まれていれば、文化は傷つく。会社を前進させた社員が認められるたびに、文化は強くなる。

(7)境界事例と見せしめ

  • 文化規範は神のお告げのように奉られることも多い。誰もその神託の周りにひざまずき、文化を崇め奉ろうとする。すると、その神託に押しつぶされてしまう。戦略は進化し、状況は変わり、人は新しいことを学ぶ。そうなったとき、文化を変えなければ、文化の下敷きになってしまう
  • 自分たちの企業文化が壊れているかどうかは、なかなか判断できない。社員がはっきりと教えてくれればそれに越したことはない。だが、それには勇気がいるし、声をあげる人自身が企業文化に合った社員でないと、ただの愚痴だと思われてしまうか、企業文化への不平不満がぼんやりしすぎていて役に立たない。
  • 異端者に立場を変えさせるのは非常に難しい。ある立場を公にすると、その立場を一貫して守らせようとする社会的圧力がかかる。言ったあとでそれを撤回すれば、信用が失われる。人間は自分の信用を失わせるような行為を嫌う
  • 「みんなの気持ちはわかるし、正直言えば私もみんなと同じ気持ちだが、上には逆らえなかった」。この発言は企業文化を決定的に傷つけるもの。チームメンバーは力のない上司のもとで働いていることを知り、取り残されたと感じるだろう。
  • 意思決定のプロセスがどのようなものであっても、「反対しコミットする」ことを厳格なルールとして守らせることが、健全な企業文化を維持するのに欠かせない。どの階層であっても、一度決定されたことはかならず尊重する責任がある。会議で反対するのはいいが、そのあとは最終決定を尊重するだけでなく、その決定の理由についてはっきりと説得力のある説明ができなければならない。

(8)まとめ

  • 信頼は正直さから生まれ、社員があなたを信頼しなければ会社は崩壊する。そのカギになるのは、難しいが、真実を話すこと。それによって会社を破壊しないことだ。これをやってのけるには、現実は変えられないことを受け入れたうえで、現実に新しい意味を持たせなければならない。そのカギは3つある。
  1. 事実をはっきりと述べる。言い訳をしてはいけない。事実は事実であって、あなたが事実を認識していることをみんなが理解していることが重要。
  2. あなたの失敗がレイオフにつながる状況を招いてしまったとしたら、それを認める。
  3. 今回の行動がより大きなミッションになぜ必要なのか、そのミッションがどれほど大切なのかを説明する。
  • 悪い知らせを歓迎する。問題について聞かされたら、なるべくうれしそうにするようにしている。「手遅れになる前にわかって良かったじゃないか」「これを解決すれば、この会社もまた一段と成長するぞ」と言う。部下はリーダーの様子を見て、リーダーが悪いニュースを受け入れるなら、自分たちもなんとかできそうだと思うようになる。優れたCEOはこうした痛みと暗闇に自分から駆け寄っていく。

3.教訓

形式だけの「ミッション・ビジョン・バリュー」は浸透しないことを、ビジネスパーソンの大半が薄々感じていると思います。そういうことを考えている本部と、実際に実務を動かす現場とが、想いを共有することなく、理想論やキレイな言葉、よくわからない外国語だけで構成され、それを見てどう行動するかイメージできないのがその理由ではないかと感じています。

いくら「資料を簡素化しよう・時間を短縮しよう」と言っても、「ここのフォントが揃っていない」とか、てにをはの指摘が続くと、本当にそう思っているのか?と疑いたくもなります。現場は「意思決定ができればいい」と思っていても、決裁ラインから細かい形式や見た目にこだわるような発言が続けば、結局、形式を整えることに時間を費やすことになります。まさに本文中に出てきた「行動は必ず言葉にまさる。それが文化というもの」という言葉が身に染みてわかります。

本書は自分で企業文化を作り上げていくことができる相応のポジションの方が読むと、より実践に活かすことができるのだろうと思います。私はそこまでではありませんが、それでも自分の行動は他人に見られていることや、家庭での行動も職場の文化に引っ張られてしまうことは意識して行動していきたいと思います。