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考える技術・書く技術 板坂元著

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考える技術・書く技術 (講談社現代新書) [ 板坂 元 ]
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1.はじめに

本のタイトルだけ見ると、以下の本をイメージされる方が多いかと思います。

今回紹介するのは、これとは別の本です。

初版は1973年ですが、全く古さ感じられない、現代にも通じる内容となっています。

2.内容

(1)視点・整理・発想

  • 我々は毎日経験していることを、型として捉えることを怠けている。珍しい出来事も一生に一度しか起こらないものは少なく、ほとんどが型に分類できる。そして、頭が良いとか悪いとかいうことも、型を早く見つけるかどうか、また型をたくさんもっているかどうかの差に換算できることが多い。
  • ものを考えたり書いたりする場合でも、自らを知ることが最も難しい。自分の視点が決まってしまうと、それだけの視野でしか外界が見えなくなり、マンネリズムに陥っていく。慣習に支配され、新しい見方考え方を開発できなくなっていく。
  • 視点の供給を外から仰ぐだけではいけない。絶えず自分の中にも、視点を変化させてみる心掛けが必要。「わしの若い頃は」を連発するようになったら、知能の発達が止まったことを意味する。老化を防ぐためには、自分の観察を怠らないことが必要。
  • メモを短く書き過ぎると、後になって「何のことを書いたつもりか」と考え込まなければならない。それに名詞文よりも動詞文の方が、動的な印象を与えるので、メモを繰りながら考えをまとめるときに、頭の働きを刺激する力が強い。
  • 情報社会では情報を集積するよりも、情報を上手に捨てることが必要だから、時間をおいて読み返して、不要なものは思い切って捨てるべき。この捨てる作業は、ファイルのときだけでなく、書き物をしたり報告したりするときなどに、改めて捨てるべきものは捨てて、常に役立てるような状態に保つことを継続して行わなければならない。
  • それまで人の考えなかった新しいことを生み出すためには、多かれ少なかれ引力を吹っ切る力を要する。独創や創造について書かれた本のすべてに共通することは、型にはまった考え方から離脱するために心身を訓練することであった。

(2)説得・説明

  • 人間の頭の活動は、知的なものと情動的なものが、切り離せない状態となって行われるものだから、相手に理解し同調してもらうためには、相手の心の情動的なレベルに働きかけねばならない。
  • 説得のために数字を使うことは、情動のレベルで相手を信じさせる有力な手段。「いつも」「ほとんど」等々の表現を避けて、何パーセントとか何分の一とか数字に直して考え、かつ表現することは、誤解を防ぐうえにも大事なこと。
  • 肯定・否定の両説を挙げる場合、自分の支持する説を後に出す。聞き手の判断に委ねるより、結論をはっきり示す
  • 文章に受身形をなるべく避ける。能動形は、ふつう、受身形よりずっと直接的で力強い。能動にする方が、文が強く、かつ短くなり、生き生きする
  • 余分な飾りを取る方が、文は生き生きとしたものになる。形容詞は、ものの状態・性質を表す言葉であるため、使い過ぎると文全体が静的な印象を強めることになる。特に情意を表す形容詞が多くなると、主観的な内容になりがちで、説得力も乏しくなる。
  • 知らないとは言いにくい。けれども、それを公然と言えるようにならなければ一人前とは認められない。

3.教訓

この本を読んでから、文章を短くしようと無理やり体言止めをしていたのを止めたり、助詞を入れたり動詞で終わらせたりして、自分が読んでも他者から見てもわかりやすい表現にするなどの意識が変わりました。

何かの変更点を説明するとき、「●●するようになりました」と言うよりも「●●することにしました」と表現した方が、また余計な修飾語をそぎ落として文章をスリム化する方が、確かに相手に伝わりやすいと思い、実践しています。

発行年度が古くても重刷になっている本は、長い間支持される理由があると思いますので、これからも意識的に読み込んでいきたいと考えています。