管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

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17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。 びーやま著 高田ふーみん協力

1.はじめに

うちには、大学受験を既に終えた子、将来に大学受験を控える子がいます。

つまり、1人は受験前に読むのが間に合っていません。ただ、その子は私が知らなかったwakatte TVのことも知っていて、「読みたい」と言われて手渡ししたところ、1日で読み終え、「高2のときに読んでおきたかった」と一言。それだけ、受験してきた実体験と近い内容なんだと思います。

以下では、印象的だった部分を引用して紹介していきます。

2.内容

(1)不平等な社会で、唯一平等な大学受験

  • 「持っていて損はないもの。それが学歴」。「学歴とは武器である」。ここであえて「武器」と言っているのは、学歴は使い手の力量によって必殺技になることもあれば、使い物にならないこともあるから。
  • 仮に学歴があったとしても、人間性が備わっていなければ意味がないし、学歴にあぐらをかいて努力を怠るようでは、どんな場所でも活躍することはできない。武器を活かすも殺すも自分次第
  • 受験勉強は、「苦手なことにも挑める優秀な自分」を世の中に証明するものでしかない。大人になると苦手なことにたくさんぶつかる。「あれができない」「これができない」「同期と比べて自分はダメだ」。そんなことの繰り返し。しかし大事なことは、そこから何がいけないのかを理解して、1つずつできることを増やしていくこと。受験勉強と同じ。
  • 受験で問われている本当の能力は「学力」ではない。先に答えを言うと受験を通して皆さんが試されている能力は「問題解決力」、すなわち「苦手なことに向き合い、改善する力」。その粘り強さと、合理的に解決に向かっていく思考力を持っているかを確かめるのが受験。その意味では、大学は「学力が高い人」ではなく、「勉強を続けられる人」を求めている

(2)僕たちは自分の頭で意思決定できているだろうか

  • 人によっては親が「いい大学に行きなさい!」と言ってくることもあるかと思うが、それは親の価値観だから、皆さんは自分の志望校を大事にすればいい。
  • やりたいことが決まっていないなら、「とりあえず学力を磨いて上を目指す」のが正解。逆に、やりたいことがないから「今の学力で入れるところに適当に行く」のはNG。これだと、やりたいことが見つかったときに、その大学では選択肢としてすでに選べなくなっているケースが発生する
  • これは民間企業でも同じ。有名な会社の採用選考にはある程度学歴フィルターが存在するから、勉強せずに入れる大学になんとなく行った人が就活でどうにかしようとしても間に合わない。つまり、就職活動は「大学受験のときからすでに始まっている」

(3)学歴はあるに越したことはない。だけど、幸せの絶対条件でもない

  • 皆さんの中にも「学歴社会はイヤだ!」と思っている人もいるかもしれない。だが、今のところ社会のルールは変わらない。だったら、そのルールを使いこなしたほうが得。このスタンスは大人になってからも実は超重要。基本的に世の中にはルールがある。好きか嫌いかに関係なく、そのルールには従わなければならない。「イヤなら日本から出て、好きなところに行ってください」と言われてしまうのが世の中。
  • 残念ながら、大学の学士号は卒業をしてはじめて与えられるもの。大学を卒業しなければ、ステータス上は「受かっても行かなかった」と同じになってしまうし、せっかくの努力が水の泡になってしまう。大学は卒業してはじめて皆さんの武器となる「学歴」となる。大学合格を最終ゴールにしないように!
  • 高校は大学に行くための予備校ではない。勉強以外のことも体験する場として楽しむところ。だから、高校生活でしかできないことをすべて犠牲にして受験勉強に励んでいるのだとしたら少しだけもったいない。

(4)受験の隠れた必須科目「メンタル」を制する

  • 自分の可能性を決めるのは自分」。受験に限らず、成功する人は全員持っているマインドセット。ほとんどの人は挑む前に諦めてしまう。そんななか、根拠のない自信を持つだけで、逆転合格者になれる資格を手に入れることができる。
  • 「完璧にやらなきゃ」と、試験のときに自分を追い込むのはおすすめしない。大事なのは「完璧さ」ではなく、「余計なミスをしないこと」「自分で傷口を広げないこと」。入試ではすべての問題が解ける必要はまったくなく、どの大学も70%くらいの問題が解ければ受かる。だから、全部の問題が解けなかったからといって引きずるのはやめよう。
  • 「今はじめたら、明日はじめるより早い」。人生は、いつでも今日が一番若い日。そう考えたら、皆さんには今はじめた分の「24時間」がプラスされる。
  • 勉強時間は定量化できるうえに、わかりやすいので、ついに目標にしがちだが、ダラダラ勉強するのは本末転倒。中身がなくただ勉強時間が長い人は、目的意識もなく「勉強した気になっているだけ」の人が非常に多いように感じる。こういったときこそ「タイパ」の意識を持とう。
  • 浪人して結果を出せる人は、現役生のときから全力で走り切って「効率よく勉強する方法を早い段階で習得していた人」だけ。効率の悪い勉強の仕方をしていたら、何年かけても志望校である難関大学には合格できない。
  • 受験勉強がイヤになったときに思い出してほしいことは、「つらい=成長している証拠」ということ。やっていることが楽なのであれば、残念ながらそれは成長とは言えない。受験で成績が伸びるためには成長痛のようなものが必ず伴う。苦しい時こそ、「今自分は成長している!」と前向きに考える。

(5)「将来の夢」はどの学部を選んでも大体叶えられる

  • そもそも社会で働いたこともない大学生が、いきなり「専門家」として活躍できるわけない。このことは、ちゃんとした大人は誰もが理解している。だから、学部よりも、皆さんが大学で何をしてきたか、どんな姿勢で勉強してきたのほうが強く問われる
  • 大学にいる4年間、学部名が立派なだけで人は成長できるわけではない。結局は4年間、どんなことに打ち込めるか、それしか大学生である皆さんの価値は決まらない。部活でもバイトでも趣味でもなんでもいいが、何か1つ極める。極めると決めたからには必死でやる。それはどんなことであれ大人たちから評価される。ただそれは、本当に極めたものだけ。
  • どの大学のどの学部を選んでも、大人になるにつれて重要度が上がるものは「英語」。文系理系関係ない。大人になると英語ができる人は、それだけでチャンスが増える。海外で働く機会が増えるだけでゃなく、転職するときも英語のスコアを条件にしているところは少なくない。それほど英語は重要なスキル。
  • 受験にのめり込みすぎて、失敗したときに人生を諦めてしまう人が毎年いる。「受験くらいで人生を諦める必要はないのに」とも思う。これだけ学歴の重要性を説いてきて矛盾するようだが、受験や学歴はあくまで皆さんのオプションであって、大事なのは皆さん自身

(6)人生のプラチナチケットはキミの手の中に

  • 大学がどんな場所だったかを一言で表現するなら、「利害関係のない友だちをつくれる最後の場所」。大人になると「利害関係」に敏感になる。すると、「思ったこと」よりも「相手の喜ぶこと」を言うようになるし、確実に気を遣う。なんでも言い合える友だちになれる可能性は極めて低い。
  • イタイ武勇伝に誇りを持つような学生にはならないでほしい。いいことなんて1つもない。加えて、「大きな自由には大きな責任が伴う」と言ったが、大学生が背負える責任はそんなに大きくない。その責任のほとんどは、皆さんの家族やまわりの人が背負うことになる。
  • 他人軸で生きている限り、一生幸せになることはできない。幸せとは、「自分軸で生きる」こと。自分がどうしたら幸せになれるかは、世間的な序列の外側になることがほとんど。つまり、「自分はこうあったら幸せ」「自分の本当にやりたいことはこれ」という「自分軸」を知っていて、それに沿って生きている人が真の幸せな人。

3.教訓

自身が大学受験をした20年以上前とは、個人で入手できる情報量が全然違います。ただし、色々見聞きする情報の中には極端な内容のものも含まれ、何を信じたらいいかわからなくなることもあると思います。そんな中、本書では、帯にある”「きれいごと」一切なし”の通り、現実に近い内容を忖度なしに伝えてくれているように感じました。

そして、社会に出てみれば、学歴と出世は必ずしも正比例の関係でないことを、皆さんも肌身で感じているのではないかと思います。ただ、それは入社後のことであって、大企業になればなるほど、その会社に入れるかどうか、つまり入口に立てるかどうかは、学歴が多く左右するものと思います。ネット記事なので真偽のほどはわかりませんが、企業説明会をネット予約しようとしたところ、とある大学生は受付開始直後であるにもかかわらず「満席」と表示される一方、ある大学は予約できる、ということも発生しているとかいないとか・・

実際のところは、A大●名、B大●名と、大学ごとに採用目安の人数を決めている企業が大半だと推察します。また、極端な話、よほどの専門的な研究職採用でもない限り、採用時は大学名・学部名はおろか、理系・文系の境目すらほとんど無いように感じます。それらについての良し悪しを論じたくなる気持ちもわかりますが、それが現実であって、著者の言うようにルールの中で戦わざるを得ません。

そして、自己分析をしていわゆる「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)をエントリーシートに書く・面接で話すのは、自分が就職活動していたときと変わらず求められます。

job.rikunabi.com

自分の子どもたちにも、授業に出るために家と往復する生活をするだけでなく、ガクチカのためだけでなくサークルやバイトなどの校外活動に打ち込み、そこで気の合う友人を見つけ、将来にわたるつながりが持ってほしいと願っています。

そういう私も、2週間ほど前に、大学時代の友人と、ゼミの先生を囲んだ飲み会に参加してきました。現在働いている業界も役職も立場も全く違う人同士ながら、20年以上経っても当時のことは覚えていて、何の気兼ねも遠慮もなく、昔話に花を咲かせることができるいい関係です。

本ブログの執筆は2025年3月下旬なので、読んでいただいている皆様の中には、まさに4月から大学生・受験生という方やその両親もいらっしゃると思います。章ごとに設けられたコラムの内容も充実しているので、大学受験を考えるなら読んでおいて損は無い、おすすめできる本です。