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知的生産の技術 梅棹忠夫著

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知的生産の技術 (岩波新書) [ 梅棹 忠夫 ]
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1.はじめに

本書は、1969年に書かれたものです。

現代の科学技術や時代背景とは全く異なるので、そのまま参考にできない個所もありますし、何か理由があるのかもしれませんが、漢字で書ける部分にひらがなが多用されていて、読みにくいと感じることもあります。

しかし、記載されている内容は、非常にシンプルなもので、現代でも学ぶべきところは多いと感じます。

2.内容

  • 技術というものは、原則として没個性的である。誰でもが、順序を踏んで練習していけば、必ず一定の水準に到達できる、という性質を持っている。それは、客観的かつ普遍的で、公開可能なものである。
  • 知的生産の技術について、一番肝心な点は何かといえば、おそらくはそれについて色々と考えてみること、そして、それを実行してみることだろう。絶えざる自己変革と自己訓練が必要。
  • 記憶はあてにならない。自分自身の発見や着想をもすぐに忘れてしまう。書いておきさえすれば、前の発見が、次の発見のための踏み石になって、次第に巨大な構築物にまで積み上げることも可能なはず。
  • どんな規格品を使っていても、それによって作り出される知的生産物が個性的・創造的であればよい。材料や道具やムードのところで個性を発揮すると、それで安心してしまって、本当の知的生産のレベルでの個性発揮が留守になるおそれがある。
  • 整理は機能の秩序の問題であり、整頓は形式の秩序の問題。誰でも整頓はできるが、整理は本人でないとできない。整理の第一原則は、物の「置き場所」を決めること。置くときには積んではいけない。必ず立てる。また、取り出したら、後は必ず元に戻す。これを厳格にできるかどうかがうまくいくかの決め手。
  • 整理の技法は能率の問題でなく、精神衛生上の問題。つまり、人間を人間らしい状態に常においておくために、何が必要かということ。簡単にいうと、人間からいかにイラつきを減らすという問題。時間が欲しいからということでなく、生活の「秩序と静けさ」が欲しいから。
  • 本を読むということは、その著者によって構築された世界の中に、自分自身を没入させるという行為。それができなければ、本を理解したことにならない。
  • 本は何かを「言うために読む」のではなくて、むしろ「言わないために読む」。つまり、どこかの本に書いてあることなら、それは既に誰かが考えておいてくれたことであるから、私がまた同じくことを繰り返す必要は無い。自分の考えが新しいものかどうかを確かめるために本を読んでいるようなもの。
  • メモ魔と言われる人も、自ずから選択眼が働いて、対象を選り分けている。何と何を記録し、何を見逃すかによって、そのメモの利用価値は大いに異なる。経験を選別し、有効な記録を確実に定着するには、常日頃からの練習が必要である。ある程度の自己訓練を課して、クセを付けておかなければ、うまくゆくものではない。習慣になっておれば、それほどつらいことではない。

3.教訓

本書を読んで、改めて、以下の重要性について再認識しました。

  • 記録に残すこと
  • 整理すること
  • 技術修得には練習による習慣化が必要なこと

幸いにも、出版当時に比べて、ネットやスマホ等の登場で、調べる・記録する点については、選択肢が格段に広がりました。しかしながら、人間の脳は、以前と大きな変化はないと思います。

自分でも、寝る前に、明日やらないといけないことを考えたり思い出したりしたら、スマホのメモの機能を使ったり、会社用のメールアドレスに用件を送ったりするようにしています。

本文中にも出てきたように、こうすることで、気になることが減少し精神衛生上もスッキリし、翌日の漏れ防止にもつながります。

 

 

失敗の科学 マシュー・サイド著


 

1.はじめに

原題は、”Black Box Thinking"で、「失敗の科学」という意味はありません。

内容としても、失敗というものを科学的に分析しているというよりも、

  • トップはミスを認めたがらない
  • ミスを責める文化は隠ぺい体質につながる
  • しっかりミスをオープンに認める組織作りをして、失敗を学習の機会にとらえることが重要

といった、心理面・組織運営の話が中心です。

題名はさておき、記載されている事実や内容に関しては、多くの気づきが得られます。

2.内容

  • 「クローズド・ループ」とは、失敗や欠陥に関わる情報が放置されたり曲解されたりして、進歩につながらない現象や状態を指す。逆に「オープン・ループ」では、失敗は適切に対処され、学習の機会や進化がもたらされる。
  • 失敗から学ぶためには、目の前に見えていないデータも含めたすべてのデータを考慮に入れなければいけない。次に、失敗から学ぶのは、いつも簡単というわけではない。注意深く考える力と、物事の奥底にある真実を見抜いてやろうという意思が不可欠。
  • クローズド・ループ現象のほとんどは、失敗を認めなかったり、言い逃れをしたりすることが原因で起こる。
  • 診断力や判断力を高めたいときに大事なのは、熱意やモチベーションだけではない。暗闇に明かりをつける方法を探すことが肝心。間違いを教えてくれるフィードバックが無ければ、訓練や経験を何年積んでも何も向上しない
  • 人は自分が信じたいことを信じる。批判や検証の力を信じていたら、定説の欠陥を暴き出して進化をもたらすことができたかもしれない。失敗に対する考え方を変えない限り、無益な信念を捨てることはできない。
  • 人の手で行うと、ミスも出やすくなる。ミスを犯す可能性が高ければ高いほど、失敗から学ぶことは重要。やる気の問題でなく、失敗の捉え方を変えない限り、パフォーマンスの改革は幻のままで終わってしまう。
  • 多くの場合、人は自分の信念と相反する事実を突き付けられると、自分の過ちを認めるよりも、事実の解釈を変えてしまう。次から次への都合のいい言い訳をして、自分を正当化してしまう。時には事実を完全に無視してしまうことすらある。
  • 本来なら、影響力のある、社会に新たな学びを提供するべき人々が、必死になって自己正当化に走ってしまう。保身への強い衝動に駆られ、潤沢な資金を自由に使って、自分の信念とギャップを埋める。失敗から学ぶことなく、事実の方を捻じ曲げて。
  • 自分の判断は賢明だったとひたすら信じ、それに反する事実を突き付けられると自己弁護に走る。認知的不協和の影響での目の前が見えず、最も失敗から学ぶことができていないのは、最も失うものが多いトップの人間。
  • 批判的なものの見方を忘れると、自分が見つけたいものしか見つからない。自分が欲しいものだけを探し、それを見つけて確証だと捉え、持論を脅かすものからは目を背ける
  • 講釈の誤りは、進化のプロセスを妨げる。自分の直感や既に持っている知識だけを信じ、問題を直視せず、都合のいい後講釈で自己満足に陥り、その事実に気づかない。本当なら自分のアイデアや仮説をテストし、欠点を見つめ、学んでいかなければならないのに、その機会を失ってしまう。
  • 早期の失敗を奨励する「失敗型」のアプローチで特に注目すべきは、成果そのものよりも、トップダウン方式を重視した従来の価値観に風穴を開けたこと。「失敗型」アプローチを取るには、物事を素直に受け入れる気持ちと根気強さが欠かせない。
  • 何かミスが起こったときに、「担当者の不注意だ!」「怠慢だ!」と真っ先に非難が始まる環境では、誰でも失敗を隠したくなる。しかし、もし「失敗は学習のチャンス」ととらえる組織文化が根付いていれば、非難よりもまず、何が起こったのかを詳しく調査しようという意思が働くだろう。
  • 適切な調査を行えば、ふたつのチャンスがもたらされる。一つは貴重な学習のチャンス。失敗から学んで潜在的な問題を解決できれば、組織の進化につながる。もう一つは、オープンな組織文化を構築するチャンス。ミスを犯しても不当に非難されなければ、当事者は自分の偶発的なミスや、それに関わる重要な情報を進んで報告するようになる。するとさらに進化の勢いは増していく。
  • 実際に何が起こったのかを理解する前に、勝手な非難をするのは全く無意味。脊髄反射的な関係者叩きは、えてして醜い非難合戦につながる。どんなミスも、あらゆる角度から検討して初めて、相反する出来事の表と裏を見ることができる。その過程を経てこそ、問題の真の原因を理解できる。
  • ミスは単に注意を行ったせいではなく、複雑な要因から生まれることが多い。その場合、罰則を強化したところで、ミスそのものは減らない。ミスの報告を減らしてしまうだけ。不当に非難すればするほど、あるいは重い罰則を科せば科すほど、ミスは深く埋もれていく。すると失敗から学ぶ機会が無くなって、同じミスが繰り返し起こる。その結果、さらに非難が強まり、隠蔽体質は強化される。
  • 問題は「誰の責任か?」でも「責任を追及すべきミスと、偶発的なミスとの境界線はどこにあるのか?」でもない。そんなことに一律の線引きは不可能。ここで問うべき質問は、「処遇を判断する立場の人間を、スタッフは信頼しているか?」だ。裁く側の人間を信頼することができて初めて、人はオープンになり、その結果、勤勉にもなる。
  • 成功を収めた人々の、失敗に対する前向きな考え方にはよく驚かされる。もちろん誰でも成功に向けて努力はするが、そのプロセスに「失敗が欠かせない」と強く認識しているのは、こうした成功者であることが多い。
  • ビジネスリーダーや教師ばかりでなく、我々も社会人として、また親として、失敗に対する考え方を変えていかなくてはならない。子供たちの心に、失敗は恥ずかしいものでも汚らわしいものでもなく、学習の支えになるものだと刻み付けなければならない。
  • 自分の考えや行動が間違っていると指摘されるほどありがたいものはない。そのおかげで、間違いが大きければ大きいほど、大きな進歩を遂げられる。批判を歓迎し、それに対して行動を起こす者は、友情よりもそうした指摘を尊ぶ。己の地位に固執して批判を拒絶する者に成長は訪れない

3.教訓

現在は、事業内で起こったオペレーションミスの報告を受ける立場にいます。

一般的な企業同様、ミスが重なると営業目標上、マイナス評価になる仕組みです。

また、ミスに対して過剰な再発防止策が立てられると、業務の非効率を招きます。

さらに、他に同様なミスがないかの追加調査も起こります。

それでも、ミスから学ばないと、ノウハウが蓄積できず、いつまで経っても同じミスを繰り返すことになり、いつかは大事故につながる可能性もあります。

失敗を後ろ向きのことととらえず、次に活かすチャンスと考えていきたいと思います。

 

 

巨象も踊る ルイス・V・ガースナー著


 

1.はじめに

過去のビジネスモデルから抜け出せず、多額の赤字を計上していたIBMからCEOとして招かれ、経営再建を果たし、現在のIBMの礎を作り出したガースナー氏による、自ら経営哲学を語った本です。

作り話ではなく、実際のエピソードに裏打ちされた、生きた知識を学べます。

実際に、社員向けに発信されたメールも収納されています。

以下は、DIAMOND onlineの参考記事です。

diamond.jp

2.内容

  • 難しいこと、痛みの伴うことをやらねばならないのであれば、それがどんなことであれ、迅速に実行すべきであり、具体的に何をするのか、そしてそれは何故なのかを全員に周知すべき。ひとつの問題を長々と考えたり、問題を隠したり、部分的な解決策を小出しにしたりしながら景気が良くなって問題が自然に解消されるのを待っていると、つまり、ぐずぐずと先送りを続けていると、問題は必ず深刻化する。私は問題を素早く解決して、新たな目標に向けて前進するのがいいと考えている。
  • 変革を成功させるには、危機に直面している事実を公に認めることが不可欠。社員は危機の只中にある事実を認識していなければ、変革に必要な犠牲を払おうとはしない。変革を好むものはいない。経営幹部であれ新入社員であれ、変革は不安定を意味し、痛みを伴う可能性があるからだ。
  • 大企業で部門間が強烈なライバル意識を持つのはよくあるパターン。企業の屋台骨を支えてきた部門は、自社で生まれたものにしろ、買収によって登場したものにしろ、兄弟部門の出現には公然とあるいは密かに反対するもの。
  • 企業文化が経営の一つの側面などではなく、経営そのもの。組織の価値は要するに、それを構成する人々が全体として、どこまでの価値を生み出せるかで決まる。ある組織に行くと、早ければ数時間で、どのような文化が好まれどのような文化が嫌われているか、どのような文化に従って行動すれば評価され、処罰を受けるのか感じ取れる。個人の実績を評価する文化なのか、それともチームプレーを高く評価する文化なのか、リスクを取る姿勢を重視する文化なのか、合意を重視する文化なのかを感じ取れる。
  • 企業文化は命令で変えることはできないし、何らかの仕組みで変えることもできない。結局のところ、経営陣を文化を変えるわけではない。経営陣は社員に、自ら文化を変えるように招待するだけ。おそらく、最も困難な部分は、社員にこの招待を受け入れてもらうこと。
  • 企業の成功は何よりも顧客との関係の成功によってもたらされるのであり、それ以外ではありえない。顧客満足度が高くない企業は、財務面でのその他の面でも成功を収められない。
  • 優れた見識よりも素早い動きの方が大切な場合が少なくない。計画と分析を行うのが悪いわけではない。今直ちに仕事を完成させることを犠牲にしてはならない。
  • 官僚制と縄張り争いを終わらせるには、当社がチームワークを、とりわけ顧客への価値の提供に専念したチームワークを大切にし、それに報いることを全員が認識するのが最善な方法。
  • 自分で仕事を進める幹部を探しており、仕事が進んでいくのを見守り議論する幹部は不要。我々は変革者集団になる。我々自身とすべての社員が、自ら進路を切り開く力と機会に恵まれていると自覚した変革者の集団になる。これを聞いて居心地の悪さを感じるのであれば、別の仕事を考えた方がいい。
  • 文句のつけようのない実績を上げている幹部であっても、高い地位にある経営幹部が新しい行動モデルを無視するのをCEOが許容していると、企業文化を変える動きは直ちに脱線する。
  • 実行とは、戦略を行動計画に翻訳し、その結果を評価すること。詳細にわたるもの、複雑なものであり、自社が今どの位置にあり、目標との間の距離がどれだけあるかを深く理解していなければならない。計画できる目標を設定し、各人が目標達成に責任を負うようにする必要がある。どれ一つとっても変革が必要。だが企業は変わるのを嫌がる。個々人が変わるのは嫌がるからだ。
  • 偉大な組織は管理されているのではなく率いられている。運営されているのではなく、勝利への熱意に燃えた人々によって、常にさらに高い水準へ導かれている。
  • 偉大な経営者は腕まくりして自ら問題に取り組む。スタッフの陰に隠れることはない。他人の仕事を統括するだけの立場にはならない。毎日毎日、顧客、仕入先、提携先と顔を合わせる。何よりも、顔が見える指導とは情熱を意味する。
  • 公正さと公平さは、指導者が成功を収めるうえで決定的な要因である。えこひいきしたり、同じ過ちについて何人かは大目に見ながら他の人たちを断罪すると、士気が損なわれ、社員から侮蔑されるようになる。
  • 全体として見た場合、例外がありうることを示す行動を取ると、部下から信頼されなくなって指導力が失われていく。事前に許可を得るより、後で許しを得る方が簡単な企業文化は、長期的に見て必ず崩れていく。正しい原則と方針を一様に、公正に守るよう要求しない指導者は、指導力を失っていく

3.教訓

自身は経営トップでも何でもありませんが、1サラリーマンとしても、リーダーシップとは、変革者とは、公正とは何かということが理解が深まりました。

中でも特に「企業文化」については、合併企業に勤めていることもあり、出身母体の違いにより流れている血が違うと感じることも含め、肌感を持って認識できます。

文化自体がいいとか悪いとかでなく、それを所与のものとして、将来どうあるべきかを考え、行動していきたいと思います。

 

 

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