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ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 アダム・グラント著

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ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 [ アダム・グラント ]
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1.はじめに

”GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代”と同じ著者です。

誰もが知っているような会社を創業した人は、リスクを回避しようと慎重になったり、急ぎすぎずに準備が整うまで時を待ったり、自分とは異なる考え方を取り入れることができたりと、柔軟に考えることができる人です。

自信満々でスピードも桁違いで凡人離れした超能力者というような人ばかりではなくても、オリジナリティを持てるということがわかります。

bookreviews.hatenadiary.com

 

2.内容

(1)変化を生み出す「創造的破壊」

  • オリジナリティとは、未開発の方法を取り、流れに逆らう新しいアイデアを推し進めつつ、最終的によりよい状況を生み出すこと。もちろん、完全にオリジナルなものなど存在しない。ある意味、どんなアイデアも、私たちを取り巻く世界で学習したことが何らかの影響を与えているもの。意図的か気づかぬうちにか、常に誰かの考えを拝借してしまっている。
  • 私のいうオリジナリティ」とは、ある特定の分野において、その分野の改善に役立つアイデアを導入し、発展させることを意味する。オリジナルな人とは、「自らのビジョンを率先して実現させていく人」である。
  • 天才児にとっては「良い成績を取ろう」という意欲が足かせになっている。業績を上げることへの意欲があまりにも高いと、オリジナリティが二の次になる可能性がある。成功を重視すればするほど、失敗を恐れるようになる。つまり、必ず手に入る成功に向かってしか努力しなくなるからだ。
  • 分野を問わず、ユニークなアイデアで世界を前進させる人たちが、信念とやる気にあふれていることはまれである。現状を打破しようとするような人たちは、外見的に大胆で自信満々に見える。だが、その表面をはがしてみると、彼らも恐れやためらいや自己不信と戦っている。
  • ある分野で危険な行動を取ろうとするのなら、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを弱めようとする。ある分野において安心感があると、別の分野でオリジナリティを発揮する事由が生まれるというメリットを見逃している。

(2)大胆に発想し、緻密に進める

  • 実際は、オリジナリティを阻む最大の障害はアイデアの「創出」ではない。アイデアの「選定」だ。必ずしも、企業やコミュニティで斬新なアイデアが不足しているというわけではない。むしろ、斬新なアイデアの中から、適切なものをうまく選び出せる人がいないことが問題
  • 傑作を生み出す可能性を高める方法は、「多くのアイデアを生み出すこと」だ。ある分野における天才的な創作者は、同じ分野に取り組む人たちよりも、特に創作の質が優れているわけではない。ただ、大量に創作すると、多様な作品が生まれオリジナリティの高いものができる可能性が高くなる
  • 独創的な考え方をする人は、奇妙なアイデアや、満足のいかないアイデア、とんでもない失敗となるアイデアをたくさん出すが、それらは無駄にはならない。アイデアが大量に蓄積されるからだ。多くの人が斬新なものに到達できないのは、アイデアをちょっとしか出しておらず、その少数のアイデアを完璧に磨き上げることにとらわれているからだ。
  • 管理職は、一般にリスクを回避しようとしすぎる傾向にある。新しいアイデアを実行して得られる利益ではなく悪いアイデアに投資して失敗するほうに目を向けがちだ。そのため、多数の「偽陰性(失敗すると思われたものが最終的に成功する)」判定を出してしまう。
  • 専門知識と経験が深まるほど、世界の味方がある一定の状態に固定されてしまう。ある分野の知識を得れば得るほど、その典型に縛られてしまう
  • オリジナリティを正確に評価するには、自分自身で判断しようとしたり、上司に意見を求めたりするのではなく、同じ分野の仲間の意見をもっと求めていくべき。斬新なもの、変わったものに可能性を見出そうという前向きな視点を持っており、とかく後ろ向きな「偽陰性」判定を回避できる。
  • ある特定の分野において経験がある先駆者であっても、他分野での予測にも長けているかというと必ずしもそうではない。直感は、自分の経験が豊富にある分野においてのみ正しい
  • 成功すると調子に乗ってしまうもの。過去に成功を収めているほど、新しい環境に入ると業績が振るわない。自信過剰になっており、事情がまるきり異なっているにもかかわらず、批判的な意見をなかなか受け入れようとしない

(3)”無関心”を”情熱”へ変える法

  • 地位のない人が権力を行使しようとすると非難される。他者のためを思っていろいろ試みても、その人が尊敬されていなければ、他者はその人物を扱いづらく高圧的で利己的だとみなす。こちらの称賛に値することをしていないのだから、あれこれいう権利はないと感じ、反発する。
  • ものごとを変えようと頑張っているのに相手から尊敬されていないことがわかると、怨恨の悪循環という火に油を注ぐことになる。自分の存在価値を示そうとして、どんどん尊大な態度を取ってしまう。
  • 斬新なアイデアを売り込もうとする場合や、目上の相手に対して何らかの変化を提案する場合には、相手が疑いの目を持つ可能性が高い。実はそのような状況下では、下手に出るコミュニケーション方法を取り、自らのアイデアの欠点を強調する方が効果的
  • 欠点を正直に伝えることの利点は、信頼性が増すこと。会社が直面している問題を説明したことで、知識が豊かだと思われただけではなく、正直で謙虚な人物だという印象も与えた。
  • 親しみやすい人は、まわりと協調し、基準に従うことを重視しているため、ことを荒立てて対人関係を乱すのを避けたがるもの。他者や慣習に立ち向かうことをいとわないのは、えてして「トゲのある人」だ。
  • 問題をどうにかしようというとき、「無視する」という選択肢はない。また、「粘る」のは発言権を得るための一時的な道にはなるが、長期的には「無視」と同じく現状を維持するので、問題の解決には至らない。状況を変えるには、現実的な選択肢は「離脱するか」「発言するか」だけである

(4)賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ

  • 旧ソの心理学者ブルーマ・ツァイガルニクは、達成した課題よりも達成できなかった課題の方をよく覚えているということを証明した。課題が完了するとそれについてもう考えなくなるが、中断されたり未完であったりすると、頭のどこかで生き続ける。最終草稿を執筆するときには、幅広いアイデアが集まってきている。
  • 先延ばしの1つのメリットは、即興で何かをする余地が残るということ。かなり前から計画しておくと、用意していた構成に凝り固まってしまい、視界にふっと現れるかもしれない創造的な可能性をシャットアウトしてしまう。
  • 最も成功している組織を運営する責任者は、仕事に取り掛かる前に時間を無駄にすることが多く、決められた時間までに物事をこなすためのペース配分ができないことがあると認めている。このような習慣は業務の妨げになりはするが、一方で戦略的に柔軟になる余地が残される
  • オリジナリティを大いに発揮する人は、大いに先延ばしもするが、全く計画をしないわけではない。戦略的に先延ばしをし、様々な可能性を試し、改良することによって少しずつ進めていく
  • リジナルであるためには、先発者である必要はない。オリジナルであるというのは、他とは異なる、他よりも優れているという意味である。オリジナルな人が一番乗りになろうと急ぐと、行き過ぎてしまうことがあるデメリットがある。
  • アメリカの研究では、先発企業は生存率が低かった。その理由は、製品そのもののニーズを確立することに苦労したり、まだ市場に存在しない慣習を作ったり、消費者の求めるものが明らかになるにつれて時代遅れになっていったりしたからだ。それに比べて後発企業は市場の準備が整うのを待つことができる
  • 概念的イノベーターが年齢を重ね、若いころのような目覚ましい業績を達成できなくなるのは、魔法の薬が切れるからではない。蓄積された経験が影響を与えてしまうためだ。概念的イノベーターの真の敵は、考え方が定着してしまうこと。反対に、実験的なイノベーションは、必要な知識とスキルの蓄積に何年も何十年もかかるが、オリジナリティの源泉として、より長続きする。

(5)「誰と組むか」が勝敗を決める

  • 非常に似通っている者同士のわずかな違いこそが、互いのあいだに違和感や敵意といった感情を生み出す。過激なグループと強い一体感を覚えるほど、自らの価値観の脅威となる節度のあるグループとの差をつけようとやっきになる。
  • 成功を収めるようなオリジナルな人は、伝統とはかけ離れた価値観や、反抗的な考えを持っているが、自分たちの信じることや考えを、より主流にいる聴衆の心に響くように紹介する術を心得ている。アイデアの最も過激な部分をあいまいにすることによって、実現できそうにないことを実現できそうに見せる。
  • 明らかにマイナスな関係は不快なものだが、相手の出方の予想はつく。つまり、ある同僚が常に意地悪なのだとすれば、距離を取り、最悪の場合を想定して備えることができる。しかし、両価的な関係となると、いつも身構えていなくてはならなくなる。この人を一体いつ信用したらいいのだろうかという疑問と、絶えず格闘しなくてはならない。態度が一貫しない人との付き合いは、感情的なエネルギーを消耗し、うまく対処するための方策がより多く必要となる
  • 両価的な「フレネミー」を切り捨て、敵を味方にするようにした方がいい。ずっと私たちに協力的だった人たちは、最高の味方にはならない。最高の味方になるのは、はじめは反対していたが、次第に味方になってくれた人たちだ。
  • 必要なのは互いのグループの穏健派が互いの考えに耳を傾けあい、共通する目標や手法を見つけ、協力して問題解決に当たることだ。強硬派を話し合いから排除することが重要だ。

(6)「はみ出す人」こそ時代をつくる

  • 人柄を褒められると、それを自分のアイデンティティの一部として取り込む。自分は単に道徳的な行動を取ったのだととらえるのではなく、自分は本来道徳心の高い人間なのだという、より統合的な自己概念が形成されていく。
  • 「不正をするな」と言われてもすることはできるし、一度くらいしたところで倫理観が損なわれるわけではない。しかし「不正を働く人になるな」と言われると、急にうしろ暗い感覚を覚えるもの。不道徳な行為がアイデンティティと結びつき、不正をすることにあまり魅力を感じなくなる。”根っからのズルい人間”ということだと、自意識が呼び起され「私はどういう人間だろう?」「私はどういう人間になりたいのだろう?」という「妥当性の原理」が作用する。

(7)ダメになる組織、飛躍する組織

  • 集団思考はオリジナリティの敵だ。多様な考えを尊重するのではなく、集団内の多数意見や既存の視点に沿わなくてはならないと、ことさらにプレッシャーを感じる。
  • 強く結束した集団は、強い文化を生み出す。同じ価値観や基準を共有すると、それらを一層強く信じる。そのため、「強い文化を持つこと」と「カルト集団のようになること」は紙一重
  • 市場が動的になると、強い企業文化を持つ大企業は孤立してしまう。変革が必要であることをなかなか認識できず、異なる考え方を持つ企業のアイデアに抵抗を示す傾向にある。結果的に、学びもしなければ適用もしないので、競合他社に比べて業績は悪く、安定は望めない。
  • 会社の業績が低迷すればするほど、CEOたちは「同じような視点」を持つ友人や同僚からのアドバイスを求める傾向が強かった。本来ならば逆のことをしなくてはならないが、異論を突き付けられることの心地悪さよりも、認められ傷をなめあう心地よさを選んでしまう。会社の業績が向上したのは、CEOたちが親しい友人以外の意見を積極的に集めたときや、間違いを正し変化を後押しするような、今までとは全く視点が異なる意見を考慮したときに限られていた。
  • 解決策に焦点を当てすぎる文化は、”弁護の文化”に偏ってしまい、探求心を削いでしまう。いつも答えを用意してくるよう求められていると、人に話をする前に結論を出しているため、広い視点から学ぶ機会を失ってしまう

(8)どんな「荒波」も、しなやかに乗りこなせ

  • 自己不信に襲われると、防衛的悲観主義者はわざと大惨事を想定して不安を増幅させ、その不安をモチベーションに変える。防衛的悲観主義者の不安は本番の前に最高潮に達するため、いざというときには成功への準備が万全に整っている。彼らの自信は、最悪の思い込みや無知から来るものではなく、現実的な判断と徹底した計画から生じる。
  • 恐怖心は強烈な感情だ。リラックスして強烈な感情を抑圧しようとするよりも、アクセルを踏み込むような違う感情にすり替える方が簡単だ。「ゴー」システムが働くと、エンジンがかかり馬力が出る。恐怖に直面しても、「ゴー」スイッチを押し、自分を突き動かすことができるというわけだ。
  • 恐怖心で誰かを黙らせるというのは、暴君ではなくてもできるもの。自分一人の意見が違うというだけで、確固たる信念を持つ人でさえも怖くなって、多数派に合わせてしまう。むやみな迎合を予防するための最も簡単な方法は、反対派を一人加えることだ。

3.教訓

何か社内で説明会を行おうとする際、説明資料に沿った読み上げ原稿を作ることがあります。

しかし、それでは、読み間違えないように意識が向かってしまい、その際の聴衆の反応を知ることもできず、時間が足りなくなれば最後の方は早口でまくし立てることになり、真の目的である相手の理解を得て次の行動につなげることは達成できません。

この資料で何を伝えたいのか本来の趣旨を立ち返って重要なポイントを押さえたり、他の人の説明方法を参考にして取り入れたり、足りない点は何かを考えたりと、拙速にならずに時間をかけて準備することで、その場の状況に合わせたより臨機応変な説明ができるようになります。

しっかり反対意見を言ってくれる人と向き合いながら、自信過剰にならずに謙虚に指摘を受け入れる心を持ち、よりよい成果につなげていきたいと思います。