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短く深く瞑想する法:最高の「休息」と「気づき」を得るマインドフルネス入門  吉田昌生 著

 

1.はじめに

どうしても、「瞑想」というと、どこか宗教的な匂いがして、これまで敬遠してきました。

しかし、書店に行くと、マインドフルネスに関するさまざまな書籍が売っていますし、Googleその他で導入されているという記事もあることから、少し興味を持ち始めました。

そこで、会社でも希望者向けに入門の研修が開催されたので参加してみました。

しかし、実際に「瞑想」してみても、何が正しい状態なのか、1度の研修ではほとんど自己理解に到達することができませんでした。

そのため、一度、入門書を読んで、自分なりの理解を得ようと思い、本書を手に取りました。

2.内容

(1)瞑想で「気づきが増えていく」

  • マインドフルネスは、「いま」「ここ」に100%の注意を向ける「心の在り方」のトレーニン
  • 瞑想と聞くと、多くの人が「”無”にならなければいけない」と思う。しかし、それ自体が目的ではなく、大事なのは「気づく」こと。自分の内面に起こっていることに「気づく力」を高めること。
  • 自分の意識が、過去や未来にさまよっていることに気づいたら、「いま」「ここ」に戻す。瞬間、瞬間に、意識を向けていく。そのための方法が、瞑想(マインドフルネス)。
  • 瞑想によって「気づき(アウェアネス)」の力を養えば、思考を止めることはできないが、「思考を切り替える」ことができるようになる。
  • 目を閉じて、1分間、呼吸の感覚(息を吸うとお腹がふくらみ、息を吐き出すとへこむ)に意識を向ける。たった1分でも思考が鎮まり、気持ちが落ち着き、感情が安定するようになる。そして、さまざまな気づきが増えることで、自分の心とうまく付き合うコツがつかめるようになる。
  • より深く瞑想する方法は以下の3点。
  1. 調身:姿勢を整える。骨盤を安定させ、背筋を伸ばす。
  2. 調息:呼吸を整える。ゆっくり呼吸し、時間をかけて息を吐く。
  3. 調心心を整える。呼吸の感覚に注意を向ける。自然な呼吸によるお腹の動きをただ感じる。

(2)瞑想で「ストレスが消えていく」

  • 私たちは、1日の半分近くの時間をマインドワンダリング(マインドレスネス)状態で過ごしている。「いま」「ここ」に集中せず、過去の怒りや未来への憂いといったネガティブな感情を頭の中で繰り返してはストレスを受けている。ネガティブな感情の反芻こそ、精神的な疲労を蓄積させる原因
  • そうするうちに次第に心も体も元気がなくなっていく。「過去」と「未来」に振り回されないためには、自分の意識が「過去」や「未来」に向かってしまっているのにまず「気づく」こと
  • 瞑想では何もしない。何もしないからこそ価値があり、効果がある。何もしないからこそ、心が休まり、エネルギーが養われる

(3)瞑想で「心が前向きになる」

  • 人生では、たしかに失敗することもあるし、うまくいかないこともある。その人は「どうせ私は」という言葉で切り捨てられるのではなく、ほとんどの場合は勘違い。過去の経験から形成された誤ったセルフイメージであり、妄想に過ぎない。
  • 同じ勘違いなら、「私なら大丈夫」とポジティブな方向に思い込んだ方がよい。よい思い込みを作りたければ、意識的に、何度も何度も、自分自身に伝えていけばいい
  • 自分に対して思いやり深く接していくと、自分を卑下したり、自己防衛的になったりせずに、自分の過ちや弱さに向き合う勇気が持てる。その結果、自分をより高めるモチベーションへとつながりやすくなる。

(4)瞑想で「自信が湧いてくる」

  • 自分を責める気持ちは、体を緊張させる。筋肉はかたくなり、呼吸は浅くなる。すると、自律神経が乱れて、心が弱くなっていく。
  • どんな自分もそのまま受け入れるのが「自己受容。「自分を肯定できない自分」も「そのまま」受け入れていく。等身大の自分を認め、すぐに変えられないことを受け入れながらも、「いまの自分で精いっぱいがんばろう」と思える。
  • 他人を責めることは、じつは自分を責めることになる。他人を責めてばかりいると、周りに誰もいなくなり、孤立します。すると、仕事でも家庭でもうまくいかなくなり、自身がなくなっていく。すると、そんな自分を必ず責めるようになる。

(5)瞑想で「人間関係もよくなる」

  • 自信がない人は、人間関係もうまくいかない。自信がないと、人は「反応的」になりやすくなる。反応的になるとは、周囲の影響・刺激を受けて行動しがちになるということ。つまり、能動的ではなく受動的になるということ。
  • 自信がない人は、「自分はこの状況を乗り越えられない」という恐れに支配されたり、過剰なストレスを感じたりする。そして、逃げ出したり、他人のせいにしたりする。
  • 自信がない人は、やりたいことをやれなくなる。自信がない人は、他人からいい評価を得るために、やりたくないことまでやろうとしてしまう。自信がない人は、自分らしく生きることが難しくなる。そういう人はなかなか輝くことができない。
  • 私たちは「根拠のない自信」こそ必要。自信を持てないのは、「自己受容」できていないから

(6)瞑想で「幸せ体質に変わる」

  • 瞑想を続けると、心の状態が安定し、内側の幸福感が高まる。幸せでいるということは、仕事のパフォーマンスの向上や、心身の健康長寿にもつながる。
  • 大切なのは、「未来」の自分の理想や目標を持ちながらも、「いま」の自分を愛すること。瞑想やヨガに夢中になる人にありがちなのが、よりよい自分になろうと頑張りすぎること。
  • ありのままの自分を許し、認めると、自分の内側に安心感が広がる。その安心感があなたの魅力となり、周りからも大切にされるようになる。自分を愛し、自分との関係性が変わることで、自分を取り巻く現実もまた変わっていく
  • 内なる情熱、内発的動機とつながり、”want to"で行動している人は、その波動に合ったものが人生に招かれるようになる。だから、自分の可能性を最大限発揮して自己実現するためには、「自分は本当はこんなことを望んでいる」という本当の気持ちに「気づく」ことが大切

3.教訓

この本を読むまで、瞑想では「無」になることに近づかなければならない、と思っていましたが、それだけが目的ではないという記載があり、少し気持ちが楽になりました。

なかなか「無」に近づけない自分を自己受容することも、改善に向けた1つのステップと捉え、前向きに考えていきたいと思います。

心にも体にも適度な休息が必要で、時には何もしないことが重要であり、常に何かをしていないといけないとあせることなく、心を落ち着けたいと考えています。

瞑想の仕方だけでなく、心の持ち方や自己受容の考え方など、参考になる記載が多く、忙しい現代だからこそ、本書がマッチする方も多いと思います。