課長がおすすめする仕事に役立つ本100冊+

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GRIT やり抜く力 アンジェラ・ダックワース著


 

1.はじめに

原題は、GRIT "The Power of Passion and Perseverance"です。

そしてgritとは、weblioによると、「(困難にあってもくじけない)勇気,気概,闘志」と訳されています。

本書では、人生で何を成し遂げられるかは、「生まれ持った才能」ではなく、副題にある「情熱」と「粘り強さ」によって決まる、とされています。

2.内容

(1)「やり抜く力」とは何か

  • 最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果として生み出される。それは、周到な訓練によって叩き込まれ、習慣となり、やがて一体化したもの。やっていることの一つひとつには、特別なことや超人的なところは何もないが、それらを継続的に正しく積み重ねていくことで生じる相乗効果によって、卓越したレベルに到達できる。
  • ”才能×努力=スキル”、”スキル×努力=達成”。「才能」すなわち「スキルが上達する速さ」は、間違いなく重要だ。しかし、両方の式を見ればわかる通り、「努力」は2つ入っている。スキルは努力によって培われ、スキルは努力によって生産的になる
  • 「やり抜く力」が非常に強い人の場合、中位と下位の目標のほとんどは、何らかの形で最上位の目標と関連している。それとは逆に、各目標がバラバラで関連性が低い場合は「やり抜く力」が弱いと言える。
  • 目標を達成するまでの道のりをしっかり考えずに、ただバラ色の未来を想像しているだけでは、短期的にはプラスの面があったとしても、長期的にはマイナスになる。
  • 因果応報の方がお説教よりもはるかに効果がある。私たちは人生の教訓を肝に銘じ、慣れない状況の中で頑張っていくうちに、やがて新しい考え方や行動が身について習慣となる。新しい状況に適応し、その状態がすっかり定着することで、自分のアイデンティティが向上する。つまり「成熟」する。
  • 自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ。目的意識を感じないものに、興味を一生持ち続けるのは難しい。だからこそ、自分の仕事は個人的に面白いだけでなく、他の人々のためにも役立つと思えることが絶対に必要。

(2)「やり抜く力」を内側から伸ばす

  • 好きでもないことは、なおさらうまくなれるはずはない。必死に努力する以前に、まずは楽しむことが大事
  • 「唯一の正解」や「最高の目標」を見つけようなどと思わずに、何となくよさそうだと思える方向性を見つけるだけでいい。何でも実際にやってみて、しばらく続けてみなければ、自分に合っているかどうかなんてわからない。うまくいかなかった場合は、取り消したってかまわない。いつかは自分にとって最重要の目標を選んで、消えないインクで書き記す日がやってくる。でも確信が持てるまでは、鉛筆書きにしておく。
  • エキスパートたちは「意図的な練習」を行っている。①明確に定義されたストレッチ目標、②完全な集中と努力、③速やかで有益なフィードバック、④たゆまぬ反省と改良、が必要で、楽な練習をいくら続けても意味がない
  • 「私ならきっと変化をもたらすことができる」という確固たる信念を持ち、行動を起こす覚悟が必要。そんな時こそ、お手本となる人物が「目的」にむかって物事を実現させていく姿を目の当たりにした経験がものをいう。「努力は決して無駄にならない」と信じる必要がある。
  • 逆境を「永続的」で「不特定的な」ものとして受け止めると、小さな失敗を取り返しのつかない大失敗のように感じてしまう。そうすると、もうあきらめるしかないと思ってしまう。しかし、楽観主義者は、任された仕事が終わらなかった原因を、「時間配分を間違えたから」「気が散ってしまい効率のよいやり方ができなかったから」などと答える。このような受け止め方は「一時的」で「特定的」であり、「どうにかできる」と思えるので、問題として対処しようという気になる
  • 大人になって成功や失敗をしたとき、その原因を自分の才能に結び付けるか、それとも努力に結び付けるかは、子供のころの「褒められ方」によって決まる。ただ褒めるだけでなく、「自分なりに目標を持って、以前はできなかったことをできるようにすることが大事」と伝える必要がある。
  • 私たちの心の中には、「固定思考」の悲観主義者と「成長思考」の楽観主義者がいる。いくら肯定的な言葉を使うように心がけても、身振り手振りや表情や態度が否定的では意味がない。着実な一歩を踏み出すには、まず自分の「言葉」と「行動」が裏腹になっていないかに注意する。固定的で悲観的な世界観から抜け出すのは難しい、という事実を認識する。

(3)「やり抜く力」を外側から伸ばす

  • 始めたことは最後までやり遂げるということを子供たちに教えるのは、親の大事な役目。習慣は努力によって身につくもので、放っておいて自然にできるようにはならない
  • 本人にとってやるべきことは、無理にでもやらせるのが親の務め。子供には自由を与えるのと同じくらい、きちんと限度を示すことが必要。決まり事を守らせ、やっていいことと悪いことをはっきりと区別させる。
  • 子供の興味を第一に考えるという意味においては「子供中心」だが、「何をすべきか」「どれくらい努力すべきか」「いつならやめてよいか」など重要なことは、必ずしも子供の判断を任せない
  • 学校で「どんな活動に打ち込んだか」は問題ではない。重要なのは、やろうと決めたことを1年経ってもやめずに翌年も続け、その間に何らかの進歩を遂げること。
  • 活動に取り組んでいくうちに、周りの人から多くのことを学ぶ。色々な経験を重ねるうちに、自分にとって何が重要なのか、その優先順位がわかってくる。そういう中で人格が育まれる。
  • ある特徴によって集団に選ばれた者が、その集団に属したことによって、その特徴はさらに強化される。周りの誰もが朝4時に起きて練習に行くような環境にいたら、自分だって自然とそうなる。それが当たり前、習慣になる。
  • 始めたことは何でもかんでも最後まで続けようとすると、もっと自分に合っていることを始める機会を見失ってしまう可能性が高い。何かをやめて、もっと簡単なことを始める場合もあるかもしれないが、自分にとって最も重要なことにだけは、しっかりと関心を持ち続けるようにしたい。

3.教訓

やり抜く力を内側から伸ばすには、以下の3工程が重要です。

  1. まずは多くのことに興味を持つこと
  2. そして実際にやってみること
  3. 定めた目標に向かってやみくもに進まず、「意図的な練習」を行うこと

また、やり抜く力を外側から伸ばすの項では、子育ての目線での展開となっていましたが、新人や部下を伸ばす観点でも応用できます。

善悪の判断を提示し、活動の場を用意し、習慣化する環境を作ることで、組織としての力を伸ばしていければと考えています。