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エッセンシャル思考 グレッグ・マキューン著


 

1.はじめに

以前から気になっていた本です。

最近、同じ著者で「エフォートレス思考」が出版され、大きめの書店では2冊並べて平積みされているところもよく見かけます。

まずは、こちらから読み、印象に残った点を書き抜きします。

 

2.内容

(1)エッセンシャル思考とは何か

エッセンシャル思考を身に付けるためには、これら3つの嘘を捨て、3つの真実に置き換えなくてはならない。

  1. 「やらなくては」ではなく「やると決める」。
  2. 「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」。
  3. 「全部できる」ではなく「何でもできるが、全部はやらない」。
①エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考
  • 「何もかもやらなくては」という考え方をやめて、断ることを覚えたとき、本当に重要な仕事をやり遂げることが可能になる。エッセンシャル思考とは、まさに「より少なく、しかしより早く」を追求する生き方だ。
  • エッセンシャル思考は、より多くのことをやり遂げる技術ではない。正しいことをやり遂げる技術だ。もちろん、少なければいいというものでもない。自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を上げるのが、エッセンシャル思考の狙いである。
  • 多くの優秀な人びとが、自分にとって大事なことを見分けられなくなっている。理由の一つは、断ることを極端に嫌う世の中の風潮だ。何でも引き受けるのがいいことで、断るのは悪いことのように思われている。こうした風潮のせいで、優秀な人は「成功のパラドックス」に陥ることになる。
  1. 目標をしっかり見定め、成功へと一直線に進んでいく
  2. 成功した結果、「頼れる人」という評判を得る。「あの人に任せておけば大丈夫」と言われ、どんどん多様な仕事を振られるようになる。
  3. やることが増えすぎて、時間とエネルギーがどんどん拡散されていく。疲れるばかりですべてが中途半端になる。
  4. 本当にやるべきことができなくなる。成功したせいで、自分を成功に導いてくれた方向性を見失ってしまう。
  • 「全部手に入れよう、全部やろう」とするうちに、私たちは知らず知らず何かを失っている。自分の時間とエネルギーをどこに注ぐか決められずにいるうちに、誰かが私たちのやるべきことを決めてしまう。そうして思考停止に陥り、自分にとて何が大事なのかわからなくなる。自分で選べない人は、他人の言いなりになるしかない
  • 人生も仕事も、クローゼットと同じ。必要なものと不要なものを区別できなければ、どうでもいいことで埋め尽くされてしまう。捨てる仕組みを作らない限り、やることは際限なく積みあがっていくばかりだ。
②選択-選ぶ力を取り戻す
  • エッセンシャル思考の最初の一歩は、「選ぶ」ことを選ぶこと。自分自身の選択を取り戻したとき、始めてエッセンシャル思考は可能になる。
  • 選ぶことを忘れた人は、無力感にとらわれる。だんだん自分の意思が無くなり、他人の選択を黙々と実行するだけになる。せっかくの選ぶ力を、すっかり手放してしまう。
  • エッセンシャル思考の人は、選ぶ力を無駄にしない。その価値を理解し、大切に実行する。選ぶ権利を手放すことは、他人に自分の人生を決めさせることだと知っているからだ。
③ノイズー大多数のものは無価値である
  • 努力は大切だ。だが、努力の量が成果に比例するとは限らない。がむしゃらに頑張るよりも、「より少なく、しかしより良く」努力した方がいい。
  • 努力の量を増やしても、いつか限界がやってくる。それ以上努力しても成果が増えないどころか、逆に成果が減ってしまう。「努力した分だけ報われる」というのは、ただの幻想だ。残念ながら、世の中はそこまで単純ではない。
  • エッセンシャル思考の人は、たっぷりと時間をかけて選択肢を検討する。やるべきことを正しく選べば、その見返りはとてつもなく大きいことを知っているからだ。エッセンシャル思考の人は、多くをやらなくて済むように、多くを吟味する
トレードオフー何かを選ぶことは何かを捨てること
  • 何かにYESということは、その他すべてにNOと言うこと。何かを選ぶことは、何かを捨てること。この現実を受け入れられない人は、中途半端に片足ずつ突っ込んで、あれもこれも失うことになる。
  • 非エッセンシャル思考の人は、トレードオフが必要な状況で「どうすれば両方できるか?」と考える。だがエッセンシャル思考の人は、「どの問題を引き受けるか?」を考える。エッセンシャル思考の人は、自らトレードオフを選び取る。誰かに決められる前に、自分で決める
  • エッセンシャル思考の人は、トレードオフを当たり前の現実として受け入れている。「何をあきらめなくてはならないか?」と問う代わりに、「何に全力を注ごうか?」と考える。小さな違いだが、積み重なると人生に大きな差がついてくる。

(2)見極める技術

立ち止まる時間こそが生産性を高める特効薬だ。立ち止まる時間は無駄な寄り道ではなく、前に進むための最短コースを教えてくれる。エッセンシャル思考の人は、なるべく時間をかけて調査・検討し、意見を交わし、じっくりと考える。そうすることで初めて、本当に重要なものを見極めることが可能になる。

①孤独ー考えるためのスペースをつくる
  • 忙しすぎて考える時間も無いなら、それは仕事が多すぎる。シンプルな理屈だ。多数の瑣末なことの中から少数の重要なことを見分けるためには、誰にも邪魔されない時間が不可欠だ。ただし、この忙しい世の中で、そんな余裕が自然に生まれるわけがない。あえて時間を取らなければ、誰も考える余裕など与えてくれない
  • 自分の力を最大限に発揮するためには、誰にも邪魔されない環境が必要だ。1日に2時間でも、1年に2週間でも、あるいは毎朝5分でもいい。忙しい日常から離れ、自分だけでいられる時間を確保しよう。
②洞察ー情報の本質をつかみとる
  • エッセンシャル思考の人は、目と耳がいい。すべてに注意を向けることが不可能だと知っているので、話の空白を聞き、行間を読む。
  • 非エッセンシャル思考の人は、耳を傾けてはいるけど、いつも何かを言う準備をしている。無関係な細部に気を取られ、瑣末な情報にこだわってしまう。声の大きい意見は聞こえるが、その意味を取り違える。自分がコメントすることばかり考えていて、話の本質がつかめない。
③睡眠ー1時間の眠りが数時間分の成果を生む
  • 私たちの最大の資産は、自分自身だ。自分への投資を怠り、心と体をないがしろにすると、価値を生み出すための元手がなくなってしまう。自分という資産を守らなければ、世の中のために働くこともできない。ところが現実には、優秀な人たちはどんどん自分を壊している。その最大の原因は睡眠不足である。
  • 多数のどうでもいい(あるいは普通に良い)選択肢の中から、本当に重要なことを見分けるためには、優先順位をつけることが不可欠だ。本当に重要なことはめったにない。ほとんどはただのゴミだ。睡眠不足が困るのは、そこを見極める能力が落ちて、優先順位が付けられなくなるからである。
④選抜ーもっとも厳しい基準で決める
  • 「この服が本当に大好きか?」という基準に変えると、中途半端な服が消えるので、もっといい服を入れるスペースが生まれる。同じことは、あらゆる決断に当てはまる。どうでもいいことを捨てられずにいると、本当に重要なことをする余裕がなくなってしまう
  • 非エッセンシャル思考の人はいつも、消極的な基準で物事を選んでいる。「上司に言われたからやる」「誰かに頼まれたからやる」「みんながやっているからやる」という基準だ。
  • 明確で厳しい基準があれば、誰でも不要な選択肢をシステマティックに却下し、重要な選択肢を選びとることが可能になる。

(3)捨てる技術

捨てるべきものを問うとき、自分の優先事項がはっきりと見えてくる。自分の本当の使命が明らかになり、個人だけでなく組織全体のために最高の仕事ができるようになる。仕事や人生の決定打となるブレイクスルーは、不要なものを切り捨てることから始まる。

①目標ー最終形を明確にする
  • 目標は具体的でわかりやすい言い方を選んだ方がいい。どれくらい具体的かというと、次の質問に答えられるくらいだ。「達成をどうやって判定するのか?
②拒否ー断固として上手に断る
  • 急に決断を迫られたとき、その場で正しく本質を選ぶのは難しい。自分にとって本当に重要なことを明確にしない限り、私たちは葛藤に対して無力なままだ。次々とやってくるタフな選択から私たちを守ってくれるのは、「自分にとって本当に重要なのはこれだ」という確信である。
  • あらゆる依頼を断れと言っているわけではない。本当に重要なことをやるために、本質的でない依頼を断るのだ。肝心なのは、絶対にやるべきこと以外のすべてに対して、上手にノーと言うことである。
  • どんな判断をするときも、機会コストを忘れてはならない。「もしこれを選んだら、別のもっと価値あることができなくなる」ということだ。全部やってみよう、という非エッセンシャル思考の罠にはまってはいけない。すべてをやることは不可能。失うものを冷静に計算し、納得できる答えを出そう。
  • うまく依頼を断ることは、「自分の時間を安売りしない」というメッセージになる。これはプロフェッショナルの証だ。エッセンシャル思考の人は、みんなにいい顔をしようとしない。時には相手の機嫌を損ねても、きちんと上手にNOを言う。長期的に見れば、好印象よりも敬意のほうが大切だと知っている。
  • エッセンシャル思考の生き方は、NOを言い続ける生活だ。だから、上手な断り方を何種類も身に付けておいた方がいい。以下に8つの例を紹介する。(プレジデントオンラインからのリンク)

president.jp

③キャンセルー過去の損失を切り捨てる
  • すでにお金や時間を支払ってしまったという理由だけで、損な取引に手を出し続ける「サンクコストバイアス」という心理傾向がある。「ここでやめたら今までの投資が無駄になる」と思うあまりに、望みのない投資を重ねてしまう。エッセンシャル思考では、「もしまだ1円も払っていないとしたら、この企画に投資するだろうか?」と考える。
  • 自分の失敗を認めたとき、初めて失敗は過去のものになる。失敗した事実を否定する人は、決してそこから抜け出せない。失敗を認めるのは恥ずかしいことではない。失敗を認めるということは、自分が以前よりも賢くなったことを意味する
  • 何かをやめるときに、いまやっていることを試験的にやめてみて、不都合があるか確かめる「逆プロトタイプ」いう方法がある。試しに、その行動をやめるか簡素化してみよう。しばらく様子を見て、誰も困らないようならやめてしまった方がいい。
④編集ー余剰を削り、本質を取り出す
  • 決断の本質は、選択肢を減らすことにある。余分な選択肢を断ち切れば、すんなりと決断できる。かなり魅力的な選択肢だとしても、混乱のもとになるものはすべて取り除いた方がいい。
  • 凝縮の目的は一度に多くをやることではない。無駄を減らすことだ。より少ない努力で大きな成果を出す。つまり人生を凝縮するということは、結果に対する行動の比率を減らすということだ。そのためには、いくつもの無意味な行動をやめて、重要な行動ひとつに置き換えればいい。
  • 何でも手術するのが名医というわけではないのと同じで、すぐれた編集者は自分を抑制し、本当に必要なときにしか手を出さない。抑制すべきところを知っておくと、人生はもっとうまくいく。反射的に手を出すのをやめて、何もしないことを選ぶ。
⑤線引きー境界を決めると自由になれる
  • 一度でも例外を許したら、その後は例外だらけになってしまう。仕事の線引きは砂の壁のようなもので、一か所が崩れると、他も一気に崩壊してしまう。
  • 境界線を引くのが簡単だというつもりはない。出世の妨げになるかもしれないし、仕事を失うことも考えられる。自分の領域を守るには、ときに大きな代価が必要。だからといって、境界線を放棄してしまったら、もっと大きな代償を払うことになる。人生でもっとも大事なものを選べなくなる。
  • 自分で線を引かなければ、自分の領域は守れない。あるいは誰かが勝手に、もっとも望ましくない形で線を引いてしまうかもしれない。自分の境界を定めなければ、他人の侵入を受けてどんどん居場所がなくなっていく。明確な境界線を引くことで、自分の領域を好きなだけ使えるようになる

(4)しくみ化の技術

非エッセンシャル思考の人は、努力と根性でやりとげようする。だが、エッセンシャル思考の人は、なるべく努力や根性がいらないように、自動的にうまくいくしくみを作る。つまり、いったんやるべきことを決めたら、それを無意識に実行しておくようにしておく。

①バッファー最悪の事態を想定する
  • 確実に言えることは、世の中に確実なことなどないということだけ。だから、何が起こっても慌てないように、あらかじめ備えておいたほうがいい。常にバッファを取っておく。
  • 理由はどうあれ、私たちは何をするのにも、当初の想定より遅れる傾向がある。この状態から抜け出す方法は、自分が見積もった時間を常に1.5倍に増やして締切を設定する。思ったより早くできたときには(そんなことはめったにないが)余った時間がごほうびのように感じられる。
②削減ー仕事を減らし、成果を増やす
  • エッセンシャル思考の人は目の前の症状に惑わされず、どこが本当の問題なのかを見極めようとする。何が妨げになっているのかを特定し、最も効果的に処理する。非エッセンシャル思考の人は応急処置でつぎはぎだらけになっていくが、エッセンシャル思考の人は本当に必要なところに一度だけメスを入れる
  • ボトルネックを取り除くために、「完璧じゃないとダメだ」という考えを捨てて、「完璧を目指すより終わらせることが大事」と考えよう。完成度よりもスピードを重視する。
③前進ー小さな一歩を積み重ねる
  • エッセンシャル思考の人はもっと現実的だ。何でもいっぺんにやろうとせず、小さな成功を積み重ねる。見た目だけ派手なプレイに酔いしれるのではなく、本当に大切なところで着実に点を取りに行く
  • 小さく始めて、日々の小さな進捗を評価する。それを何度も何度も繰り返す。最初から壮大な目標を立てるより、そのほうがずっと遠くまで行ける。小さな達成を繰り返せば、目標までの道のりは楽しく、満足感に満ちたものとなる。
④習慣ー本質的な行動を無意識化する
  • 習慣は妨害に打ち克つための最強の武器だ。習慣がなければ、数知れぬ誘惑に勝つことは難しい。だが本質的な目標に向かう行動を習慣づけてしまえば、無意識のうちに目標を達成できる。いちいち難しい判断をする必要はないし、誘惑から目を背けるためにエネルギーを使う必要もない。習慣をつくる段階で少しだけ努力すれば、あとは勝手にうまくいく
  • 習慣を変えるのは、それほど簡単なことではない。長年の癖は脳の奥まで染み込んでいるし、強い感情と結びついている。一瞬にして変わるほど単純な話ではない。どんなスキルも新しく身につけるには時間がかかる。それでも練習を続ければ、やがて体がそれを覚え込み、一生もののスキルになってくれる。習慣についても同じ。
⑤集中ー「今、何が重要か」を考える
  • 単に「負ける」というのは、自分に負けること。集中力を失い、本質を見失ったときに負けるのだ。最高の力を発揮するためには、「今、この瞬間」だけを意識しなくてはならない。
  • 問題は、人は一度にひとつのことにしか「集中」できないということ。複数のことをやるのはかまわない。しかし集中の対象がどれなのかははっきりさせておく必要がある。エッセンシャル思考の敵はマルチタスクではなく、焦点を複数に合わせようとする、マルチフォーカスだ。
  • やることが多すぎて何から手を付けていいかわからなくなったら、まずは考えるのをやめて深呼吸をすることだ。心を落ち着けて、今この瞬間に何が重要かを考えよう。明日のことや1時間後のことは忘れていい。今だけを見る
⑥未来ーエッセンシャル思考を生きる
  • 人生はあまりに短い。それは悲しむよりも、むしろ喜ぶべきことに思える。短い人生だからこそ、勇気を出して冒険できる。間違いを恐れずに済む。限られた時間の使い方を、よりいっそう厳密に選ぼうと思える。
  • エッセンシャル思考を生きることは、後悔なく生きることだ。本当に大切なことを見極め、そこに最大限の時間とエネルギーを注げば、後悔の入り込む余地は無くなる。自分の選択を心から誇りに思える。
  • 「本当に重要なのは何か?」それ以外のことは、全部捨てていい。

3.教訓

今まで読んだ本の中でも、かなり個人を尊重した考え方の内容でした。

日本企業の職場でこれをそのまま実践できるのは、ごく一部の限られた優秀な人で、周りからもその人が優秀ゆえに本当に忙しいことを知られている人だけだと思います。

そうでもない、新入社員や異動したての人が、いきなり「それって意味あります?」と発したら、その職場はかなり険悪な雰囲気になるものと推察されます。

また、「忙しそうに見えるのは、まだそのタスクに対する経験や業務知識が追い付いていないだけ。それなのに偉そうにして。」と陰で思われるだけのリスクもあります。

一方で、時間が有限で、すべてのことに100点満点で対応できないのも事実です。自身も、色んな人に声を掛けられ、「一緒にミーティングに出てください」と言われ、1日はしごしているという日もあり、そういう日は自分自身の手を動かす余裕は実際のところ無くなります。

しかしながら、HIGH OUTPUT MANAGEMENTでは、「ミーティングこそマネジャーとして活動する機会を提供している」とも記載されていて、実際にミーティングの場で他の出席者の意見を聞き、判断したり方向性を示したりすることも、マネージャーの責務です。

すべてに全力投球するのは無理という前提で、何が重要か、他の人に任せられるかのトレードオフを意識するという考え方は積極的に取り入れたいと考えています。

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