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アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために 平木典子 著

1.はじめに

アサーション、アサーティブについては、一度以下の本でも紹介しました。

bookreviews.hatenadiary.com

今は、心理的安全性が低い組織に所属し、なかなか自分の意見を言うのが難しい状況のなか、改めて平木さんのことばでアサーションについて勉強しようと思い手に取りました。

改めて「アサーティブ」とは、「自分も相手も大切にした自己表現」です。

読んだものが古い版で、最新版とは表現が違う部分もあろうかと思いますが、特に印象的だったところを以下で紹介していきます。

2.内容

(1)アサーションとは

①非主張的自己表現
  • 自分の気持ちや考え、信念を表現しなかったり、しそこなったりすることで、自分から自分の言論の自由(人権)を踏みにじっているような言動をいう。
  • 非主張的な言動をした後は、「自分はやっぱりダメだ」といった劣等感や、「どうせ言っても分かってもらえないに決まっている」といったあきらめの気持ちがつきまとう。また、相手に対しては、「人の気も知らないで」といった恨みがましい気持ちが残る。
②攻撃的な自己表現
  • 自分の意見や考え、気持ちをはっきりと言うことで、自分の言論の自由を守り、自分の人権のために自ら立ち上がって、自己主張してはいるが、相手の言い分や気持ちを無視、または軽視して、結果的に相手に自分を押し付ける言動をいう。
  • それは、相手の犠牲の上に立った自己表現・自己主張であり、自分の言い分は通っても、相手の気持ちを害したり、相手を見下したり、不必要に支配したりすることになる。
③アサーティブな自己表現
  • 自分も相手も大切にした自己表現。自分の人権である言論の自由のためには自ら立ち上がろうとするが、同時に相手の言論の自由も尊重しようとする態度がある。アサーティブな発言では、自分の気持ち、考え、信念などが正直に、率直に、その場にふさわしい方法で表現される。
  • このような言動は余裕と自信に満ちており、自分がすがすがしいだけでなく、相手にもさわやかな印象を与える。また、相手は大切にされたという気持ちを持つと同時に、二人の努力に対して誇らしい気持ちを持つだろう。また、アサーティブな人に対して尊敬の念を覚えるだろう。

 

  • 多くの人は、誰か特定の人との関係とかある種の特定な状況で、アサーションができなくなる。ある人に対してはきちんと言えるのに、同じことでも他の人には言えないとか、状況によって言えたり言えなかったりする。それは、長い間につくられた特定の行動パターンが、習慣化されてしまっている。
  • 自分の言いたいことが伝わるかどうかばかりを気にして、結果に気を奪われているとき、つまり失敗を恐れているとき、アサーティブにはなれない。自己表現で重要なことは、言いたいことが伝わるかどうかではなくて、自分の気持ちが適切に言えるか否か。なぜなら、「伝わる」ということには自分の伝える行為と相手の受け取る行為の両方がかかわっている。
  • アサーションの原点は、アサーション権。葛藤が起こったとき、どうするかに迷ったとき、「自分がやりたいことを言うことは人権として許される」というところに立ち戻ることができれば、そして相手もそのアサーション権をもっていることを受け入れるならば、次の段階に進むことができる。

(2)人権としてのアサーション

  1. 私たちは、誰からも尊重され、大切にしてもらう権利がある。私たちは、誰でも欲求を持ってよいし、その欲求は、他の人の欲求と同じくらい大切にしてほしいと思ってよい。そして、その欲求を大切にしてほしいと頼んでもよい。お互いに一致することの方が少ないこと、だからお互いの希望を述べ合う権利を大切にし、相互の確認をして、歩み寄ろうとする覚悟が必要。
  2. 私たちは誰もが、他人の期待に応えるかどうかなど、自分の行動を決め、それを表現し、その結果について責任をもつ権利がある。あなたがそれをしようと思えばやればいいし、自分で決めたのだから、できる限りでそのことに責任を取ればいい。自分で決めたことだから、責任は取らなければならないのではなく、取れる。
  3. 私たちは誰でも過ちをし、それに責任をもつ権利がある。失敗してはならないという前提でものごとを進めると、責任を取ることが義務になる。成功の可能性が保証されていない、義務としての責任が伴うことはしたくないのが当然。失敗はしてもいい、そしてそのことに責任をもってもいい、という人権があるから、私たちは、逆に成功するまで試行錯誤ができるのではないか。
  4. 私たちには、支払いに見合ったものを得る権利がある。自分の支払いに対して見合ったもの、働きを要求してもよいが、相手にも失敗する権利がある。したがって、その権利を認めるならば、相手を尊重したアサーティブな要求が何よりも大切。
  5. 私たちには、自己主張をしない権利もある。時間のロスを考えるとアサーションに値しないと思ったとき、あるいは、アサーションすることが身の危険につながると考えられるときは特に、アサーションしない権利を使うことができる。ただ、そこで大切なことは、その権利を使った後、相手を恨まないこと。

(3)考え方をアサーティブにする

  • 「人に好かれるにこしたことはないが、必ず好かれるとは限らないし、まして、好かれなければならないことはない」。もし好かれないことがあっても、まず、それは自分の問題なのか、相手の問題なのかを考えること。自分が問題であれば自分を変えてもよいし、変えないで好かれないことを選んでもよい
  • 失敗を少なくし、なるべくよい成績を出そうとすることは望ましいこと。しかし、常にそうでなければならないことはなく、自分のできることをする、それを自分のしたこととして評価していい。完璧だけが人の評価を決めるわけではなく、やりたいことをやり、できたことを喜ぶ心をもちたいもの。
  • この世には、気質の違った人、好き嫌いや考え方、気持ちのもち方の違った人が生きているのだから、自分の思い通りにならないことの方が当たり前。「過去と他人は変えられない(E・バーン)」。今からの人生を変えることはいつでもできる。
  • 傷つけまいと必死になるよりも、傷つけてしまうことがあり得ることをいつも心にかけ、その時の後始末の方法を身に付けることが大切。また、自分が傷ついたときには、そのことを穏やかに相手に伝え、再びそんなことが起こらないように努力してもらうお願いをすればいい。そこで、相手を責めたり、非難したりすることはない。

(4)アサーティブな表現

  • 人と話をしたり、一緒に何かをしようとすることは、自分を知らせることであり、それなしにはことは進まない。人間関係には自分を開くことが不可避。コミュニケーションは、伝えていないことも含め、コミュニケーション。
  • 話のうまい人は、自分を相手に知らせることに躊躇がないのはもちろんのこと、それに加えて無料でも情報を出し、おまけを付け加えるのが上手。つまり、要求された答えをするだけでなく、質問に関連したことや自分の関心のあることを付け加えて、相手と共有できる領域を広げようとしているのがわかる。
  • 問題解決のためのアサーションとは、会議の場、話し合いで何かを決めたり課題を達成したりする場におけるアサーションのこと。このような場合はきちんとステップを踏んで、台詞づくりをすることが必要。そのステップを「DESC法」を使って紹介する。
  1. describe:描写する(客観的、具体的に)
  2. express, explain, empathize:表現する、説明する、共感する(主観的に)
  3. specify:特定の提案をする
  4. choose:選択する

(5)言葉以外のアサーション

  • 喜怒哀楽などの感情は、誰にでもあるものであり、それを表現してはいけないということはない。誰でも、どの感情も、表現してよい。したがって、大切なことは、自分のさまざまな感情をどのように表現するか、必要以上に相手に脅威や不愉快な思いを与えないで伝えれるか、そして、どのようにして相手の感情をきちんと受け取るようにするかということ。
  • まず大切なことは、自分が怒りを感じていることに気づき、認めること。そして、それは他ならぬ自分が起こしていること、したがって非難すべきは誰もいないことを確認する。怒りは他者の言動がきっかけで起こっているかもしれないが、自分がそれを気に入らなかったり、不満に感じるときに起こる気持ち。したがって、怒りを感じたら、自分が怒りの所有者であることを認め、だから自分でどうにかできると考える
  • 相手の怒りの気持ちを否定しない。「そんなに怒ることはない」とか「怒るのはよくない」といった対応は相手を大切にしたことにはならない。
  • 相手の気持ちを受け止めると同時に、自分の気持ちを伝えることも大切。「怖い」とか、「動揺している」とか、「ちょっと待ってください」など、自分の防衛的な気持ちを表現することが必要。通常の人間関係では、「弱さ」を見せた場合、さらに攻撃されることはめったになく、多くの場合、立ち止まってどうにかしようと建設的になるもの。

3.教訓

ただ自分の言いたいことを押し通せばいいわけではなく、相手への配慮を踏まえたうえで発言することが大切だと感じています。

また、自己主張はあくまで「権利」であって「義務」ではないため、主張しないという選択肢も尊重されるべきものです。

そもそも、対人関係である以上、すべてが自分の思い通りになることはありませんし、相手に好かれようとして無理に自分を変える必要もありません。

今回の学びを通して、改めて多くの気づきがありました。一方で、あらゆる場面で常にアサーションを発揮することは、現実的には簡単ではないとも感じています。

それでも、できる範囲から少しずつ実践の幅を広げていきたいと思います。特にDESC法では、いきなり自分の意見を強く主張するのではなく、まずは客観的な状況を丁寧に伝えるところから始めることを意識していきたいです。

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