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1.はじめに
偉大なるリーダーは、誘惑や脅迫といった手段を使わずに、人々を感激させ奮起させる、すなわちインスパイアすることができます。
真のリーダーがいれば、上の人間から強制されたからではなく、自らの意思で全体のために行動を起こすことができます。
本書の目的は、人々をインスパイアできる能力を多くの人が身に付け実践できるよう願う人に対し、こうすべきだと指示したり道筋を示すものではなく、行動を起こす理由、つまりは理念を持つことの重要性を示すことです。
2.内容
取引を一度成立させるためなら、あるいは1回だけの行動を促すためなら、操作は完璧に有効な戦略だが、人や組織が2回以上の取引や忠誠心の伴う長続きする人間関係を望む場合、操作は役に立たない。
(1)ゴールデンサークル
この文章内には図示できませんが、本の中には内側からWHY⇒HOW⇒WHATの順番に同心円に広がるサークルが描かれています。(以下のDiamond onlineのリンクご参照)
円の中心から始まる=WHYから始まることを示しています。
- WHAT:自分のしていること
- HOW:自分がしていることの手法
- WHY:自分が今していることをしている理由
参考リンク:DIAMOND online
(2)WHYから始める理由
- 決断はWHY(感情)を起点に生じている。その後、決断を下した理由を論理的思考をつかさどる部位が言葉に置き換える。人々はあなたのWHATを買うわけではない、あなたがそれをしているWHYを買う。
- 「勝つためには何をすべきか?」を自問するのでなく、「自分たちの理念を実現するためには何ができるか?」を自問する。
- 自分の志や理念がわかっていなければ、他の人にわかるはずがない。まず、自分のWHYがはっきりとわかっていなければならない。
- 言うことすべて、することすべてにあなたの信条が反映されていなければならない。WHYはただの信条である。HOWは、その心情を理解するために起こす行動だ。そしてWHATは、そうした行動の結果である。あなたが言うこと、することすべてがWHATなのだ。
- WHYがわかっていれば、「それが正しいことがわかっている」という、最も高い自信が持てるようになる。正しいことがわかれば、論理的に整理し、やすやすと言葉に置き換えることができる。
(3)リーダーの役割
- 技術はいつでも教えられる。人材を探すときはWHYに情熱を持てる人を探す。理念や信条に共感し、文化にうまくなじめるかどうかを確認してから、技術や経験を問う。
- リーダーの役割は名案を示すことでなく、名案が浮かぶように環境を整えること。つまりWHYを体現する方法を常に探すように鼓舞すれば、彼らは自分の仕事以外のことまでやってのける。
- セーフティネットが用意されていているとわかっていれば、経験したことのない荒技に挑戦しようという気になる。だがネットのないところでは、確実にこなせるとわかっている安全な技しか疲労しない。リーダーは安全なネットを用意していると、メンバーが信頼できなければならない。
(4)WHYから始めよ、だがHOWを知れ
- ビジョンは、そもそもなぜ会社が存在するのかというWHYである。一方ミッションは、会社がそうした未来像をどう作りあげていくかというHOW、つまり目的地に至るまでのルーツ、指針である。この2つが明確に述べられれば、WHY・HOW両タイプが協力関係における自分の役割を確信できる。そのためには技術だけではなく、信頼が必要となる。
- 組織が効率のいいメガホンとなれば、その管を通じて、明確な目的、大義、信条を外界に向けて語ることができる。ただ、メガホンを機能させるためには、明晰さが最初にこなければならない。明確なメッセージがなければ、拡声器で伝えるものも無いのだから。
(5)WHYの重要性
- 大切なのはHOWやWHATではない。HOWとWHATがWHYと一致しているかどうか。一致しているときにはじめて、その策が本当の意味での最善策となる。
- どんな組織でも直面する唯一かつ最大の難関は成功。組織が大きくなり、大きな成功をおさめるようになると、重要な決断を一人で下すのは物理的に不可能になる。WHATとWHYが離れた組織は理念に動かされず、ひたすら自分のことだけ考える。
- WHYを忘れた組織は、自分自身に勝とうとするのではなく、誰かに勝とうと日々のレースに参戦する。そうして走り続ける人間の目的は、誰かを打ち負かすことだけになる。
3.教訓
単なる作業と思って業務に取り組んでいても、業務フローを改善を実現することはできません。
「なぜこの作業が必要なのか」を考えることで初めて、その目的を達成するためであれば他にもっと良いやり方があるのではないか、他のことで代用が効くのでこの作業は止めてもいいのではないか、という新たな発想が生まれます。
目的を見失うと、現状維持が自己目的化してしまい、自分が本当に組織の役に立っているのかわからなくなります。
マニュアルや成功体験に安住するのではなく、目的意識を忘れずに行動し、常に改善する気持ちを持つリーダーでありたいと思います。