管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

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「静かな人」の戦略書: 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法

1.はじめに

誰でも、一度は自分が内向型か外向型かを意識したことがあると思います。

私は内向型を自認しています。そのため、本書は以前から気になっていました。

本書のINTRODUCTIONにも、自分のタイプが内向型と外向型のどちらに近いかを調べるテストがあります。もちろん自身は圧倒的に内向型に○が付きました。

以下では、特に印象的だったところを引用していきます。

2.内容

(1)静かな人の「仕事」の戦略

  • 悶々と悩んでいた駆け出しのころから現在までの道のりを振り返ると、自分以外の何者かになろうとして、必死にもがいていたのだとわかる。自分のために起こした最大かつ最良の変化は、そのことにちゃんと気づいて、自分らしく、内向的な性格のまま生きていこうと決めたこと。
  • 困難や課題というのは、内向型であれ外向型であれ、誰もが直面するもの。外向型になろうと努力したところで、内向型の悩みがすべて解決するわけではない。それどころか、内向型には内向型の能力が備わっている。それを発揮するには、内向型ならではのやり方がある。
  • 内向型がエネルギーをチャージするには、ひとりになる必要がある。外向型と違って、外的刺激によって元気を取り戻すことはできない。
  • 忘れてはならないのは、内向型は自分の特徴のひとつにすぎないということ。内向性を足かせのように感じて、自分で自分に限界を設ける必要はない。自分が何をもっとも大切にしたいかを考え、目標を見つけ、訓練を積み、必要なスキルを習得すれば、自分の理想の仕事を手に入れる機会に恵まれるだろう。
  • あなたや私だけにぴったりの仕事なんてものは存在しない。誰もがどうにかして自分の強みを見出し、それを生かして生計を立てようとする。重要なのは、自分が最も価値を生み出せる仕事を見つけることであり、それは必ずしも、一番やりやすい仕事とは限らない。もっと突き放して言えば、そういう仕事を見つけるのに、内向型であるか外向型であるかは関係がない。
  • あなたは、自分にぴったりの仕事を見つけるか、仕事に合わせて自分を変えるかしかない。自分にとって理想の仕事が存在しないなら、自らキャリアパスを切り拓いていく戦士にならなければならない。
  • 内向型が新しい環境ならではの問題に直面した時、それを乗り越えていくためには、①仲間を見つけること、②仕事の能力を示すこと、③明確な成果を出すことの3つが必要。その3つがうまくいけば、問題はほぼ解決したも同然。
  • 内向型の長所の1つは、相手の話にしっかりと耳を傾けること。相手の話をしっかりと聞くことに加えて、内向型ならではの感受性も相まって、的を射た、思慮深い受け答えができるから、話をしていく人は感銘を受ける。そのようにして、意義深く、相手の心に響く会話が生まれていく。
  • 言いたいことをしっかり伝えるもう1つの方法は、プレゼンを行うこと。プレゼンによって、上司や同僚たちのあなたの見る目が変わることはよくある。壇上に立つと、内向型はうまくしゃべれないことも多いが、練習を積んでしっかりと準備すれば、やってやれないことはない

(2)静かな人の「人間関係」術

  • もめごとをさばく4つの方法
  1. 一息ついて戻ってくる:もめごとが起こった場所からいったん離れるか、頭の中を整理して、気持ちを落ち着けるための時間を取る。けれども、それが済んだら改めて問題に向き合い、対処し、解決する必要がある。
  2. 思いやりをもって相手の話を聞く:相手の話を遮ったり、言葉を差しはさんだりしない。
  3. コミュニケーションのチャンスにする:肝心な時に自分の考えを口にしないと、せっかくのコミュニケーションの機会を逃してしまう。
  4. 引きずらない:問題が解決したあとは、そのとき考えたことや感じたことを、いつまでも覚えておくことはないと自分に言い聞かせる必要がある。
  • できるだけパソコンの前から離れて、オフィスの中を歩き回ろう。オフィスを歩き回って同僚たちと個別に話すほうが、会議の席よりもずっと効果的なコミュニケーションができる
  • 怒ったり怒鳴りあったりするのが嫌で、自分の考えや感情を表に出さずに黙ってやり過ごしていると、長期的には対人関係にマイナスになるだけでなく、気をつけないと心や身体の病気につながってしまう恐れがある。
  • 駆け出しの身であろうが、管理職であろうが、「感情的な人」というレッテルを貼られてしまっては、決してよい結果にはつながらない
  • どんなタイプの人たちもそれぞれ独自の特長を持っているのに、内向型は自分たちの長所を過小評価しがち。
  • 異文化を受け入れる必要がある。そしてどんな理由であれ、特に内向型を言い訳にして、自分の可能性を狭めたりしてはいけない

(3)冷静な力を「人前」で生かす

  • 「慎重に選ぶ」というのは、「やたらと警戒する」という意味ではない。たとえ行きたくなくても、行かねばならないイベントもある。そういう場合はなるべくポジティブに考え、積極的に挑戦して、少しずつ自分の居場所を広げていこう
  • あえて「前」に出る。前方の席に座っていれば、登壇者の目に留まりやすいし、自分が登壇してスピーチをすれば、あとで個別に自己紹介をする手間が省け、ぎこちない挨拶を交わさなくてすむ。
  • 人前で話すのが好きな人は10%しかいない。あがり症は人間の生体システムの反応に過ぎないともいえる。あなただけでなく、多くの人が悩んでいる問題。
  • 努力の9割はステージの外で行うもの。しっかりと準備しておけば、登壇前に、すでに9割は完璧になっている。
  • 別人のように振る舞っていてもうまくいかないどころか、みじめになるだけ。それでは自分らしいスタイルなど確立できるはずがない。自分らしく振る舞えるスタイルを見つけることは、エネルギーを節約し、効率よく使うための最善の方法。

(4)静かな人の「潜在能力」

  • もしチームのメンバーが全員スターだったら、失敗するに決まっている。脚光を浴びている者が、真の影響力をもたらすとは限らない
  • アダム・グラントは、成功するための重要な資質を挙げている。それは謙虚さ。謙虚な人には次の3つの特徴がある。
  1. 自分の弱点や自分に欠けているものを知っている
  2. 個人の利益よりもチームの利益を優先する
  3. 常に勉強と練習を怠らない
  • 性格もコミュニケーションの取り方も、さまざまに異なる人たちが一緒に働けば、互いに学び合い、成長することができる。ほかの人の長所が自分の短所を補い、自分の長所がほかの人の役に立つことで、自分自身が向上できると同時に、チームを強化することができる。
  • 主導型のマネジャーには、企画書の内容を1ページにまとめた概要を提出する。感化型のマネジャーには、企画書の見栄えに力を入れる。安定型のマネジャーには、実務的な内容にする。慎重型のマネジャーには、企画書は分厚ければ分厚いほどよい。
  • コミュニケーションの取り方を上司に合わせれば、共通の認識を持つことができる。覚えておいてほしいのは、相手に合わせて細かく調整すべきなのは、自分のほうだということ。上司を変えようとするのはやめよう
  • 控えめに謙遜ばかりしていると、まわりの人たちに自分の貢献をわかってもらえなくなる。こういう癖から抜け出すには、自分が達成したことを細かく書き留めておくこと。こんな些細な成果なんて重要じゃないと思うようなことでも、業績評価の面談の直前になって慌てて記憶を呼び起こすなんてことにならないように、とにかくメモしておこう。
  • 「なぜそう思うのですか?」「懸念している点、恐れている点はどんなことですか?」「あなたにとって、最悪のシナリオとはどんなものですか?」、このような質問をして、相手が自分の考えや恐れを表現できるようにすることで、相手の心配や不安を和らげることができる

3.教訓

確かに、これまで自分に自信が持てずに過ごしてきたように思います。

ただ、本書を読んだからといって、自信が持てるようになるわけでもなく、性格が変わるわけでもありません。むしろ本書は、他人のように振る舞うのでなく、自身のスタイルを確立することを求めています。

そして、一つ大きく感じたのは、自分と同じようように世界を捉えている人が自分だけではないのでは、ということです。世の中、そんなに自信満々の人はいないし、アピールする人が必ずしも認めてもらえているわけでもありません。外向型が内向型よりもあらゆる面で優れていることもありません。

自分のことを過小評価せず、だからといって自分を大きく見せようともせず、また内向型を言い訳にすることもせず、自然体で過ごすしていくなかで、自分を発揮しやすいスタイルを見つけていくことが大事だと思います。