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リデザイン・ワーク 新しい働き方 リンダ・グラットン著

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リデザイン・ワーク 新しい働き方 [ リンダ・グラットン ]
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1.はじめに

リンダ・グラットン氏の著者はこれまでも触れてきまして、新刊が出たのを知り早速購入しました。

bookreviews.hatenadiary.com

表紙を1枚めくったカバーには「企業トップから管理職、現場まで、誰もがやる気に満ちるやり方」と記載されています。

個人的には、全体として「人事制度や社内インフラ選定等、会社の仕組みを変えることができる決定権を持つ部署向き」という印象を受けました。

2.内容

(1)理解する

  • 実行すべき具体的な業務は職種によって異なるが、ほとんどの職種で生産性の土台を成す要素が4種類ある。それは①活力、②集中、③連携、④協力で、その職群で最も重要な生産性の要素が何かを判断する。
  • 現実には、社員とその職および業務は、人的ネットワークのなかに存在し、それを通して、さまざまな知識や知見や新しい考え方が行き交う。過小評価されがちだが、社内の人的ネットワークは組織の健全性と活力を維持するうえで、非常に重要な役割を果たしている。
  • 在宅勤務が当たり前になれが、若い新入社員は、ベテラン社員の仕事ぶりを観察したり、社内の人的ネットワークを育んだりすることが難しくなる恐れがある。また、オフィスに人が集まらなくなれば、共用スペースでの雑談など、社員同士が偶然に遭遇することの利点も失われかねない
  • 仕事のあり方のデザインとの関係で言えば、物理的な距離の近さは、強い紐帯をつくりだす強力な要素になる。オフィスの誰の隣に座るか、廊下で誰と出くわす可能性が高いかは、どのような強い紐帯が形づくられるかに大きな影響を及ぼす。強い紐帯で結ばれている相手は、あなたのことを深く理解していて、あなたの身になってものを考えてくれる。片方が一方的に多くの恩恵を得る状態が続けば、次第に人間関係が崩れていく
  • 弱い紐帯の強みは、結び付いている人の数が多いこと。未知の情報を寄せるのはたいてい、友人の友人、つまり弱い紐帯の人たち。また、偶然の出会いが生まれるのも、この種の人間関係である場合が多い。
  • 出会いの機会が著しく減れば、創造性の火花が飛び散る機会も激減しかねない。仕事のあり方を設計し直す際は、このことを頭に入れる必要がある。ほかの人と近距離で時間を過ごす機会と偶然の出会いを経験する機会を確保するという点では、オフィスで働く時間はきわめて価値あるもの
  • 自分の仕事が自動化の影響を受ける可能性があると気づいた人たちは、仕事を通じてスキルを向上させることが可能な職場を好む傾向が強まるだろう。自動化により自分の仕事が様変わりする可能性を理解した人たちは、新しいことを学び、キャリアを切り開き、自らのスキルを証明することを会社がどの程度支援してくれるかに強い関心を持つようになる。
  • 新しい働き方をデザインするとき、ともすれば職と業務にばかり注目して、人々が仕事で実際にどのような体験をしているかを見落としがち。人々が仕事に対してどのように感じ、職場にどれくらいエンゲージメントを抱き、その会社に長くとどまり生産性を発揮し続ける可能性がどれくらいあるかは、そのような体験に大きく影響される。

(2)新たに構想する

  • すべての企業に適した方法論などない。万能のアイデアもなければ、そっくりそのまま取り入れることのできる手法もない。自社の状況に関する深い理解を土台に、それぞれの会社が新たに構想しなくてはならない
  • 新型コロナを経験して、時間に対する私たちの考え方は大きく変わった。自宅で働く人が多くなり、人々はそれまで通勤にあてていた時間をどのように活用するかを考えるようになった。時間のコントロールのあり方が変わるのに伴い、時間について、そして全員が同じ時間に働くことについて、理解が深まり始めた。ほかの人とつながらない非同時型の働き方が可能な一方で、全員が同じ時間に働くことが極めて大きな価値を持ちうることも認識されはじめている
  • 自社の働き方を設計し直す際に目指すべきなのは、プラスの影響を最大化し、マイナスの影響を最小化して、適切なトレードオフの選択を行うこと。そのためには、オフィスを協力のための場、自宅を活力の源、非同時型の勤務時間を集中のための時間、同時型の勤務時間を連携のための時間と位置付けるとよい。
  • 協力を推進するためのオフィスを設計するための3つのアイデア
  1. 個人用のスペースを減らし、協力のためのスペースを増やすこと
  2. 各チームの会議を会議室でなく、できるだけオープンなスペースで行うこと
  3. 四半期ごとに席替えを行い、新しい人たちと出会う機会をつくること
  • BTが作成した「在宅勤務を成功させるための実践ガイド」では、①自分に適した仕事場をつくる、②日々の習慣を確立する、③休憩することに罪悪感を抱かない、④テクノロジーを有効活用して、ほかの人たちとの距離をなるべく感じないようにする。
  • 私たちは自宅から職場に出勤するとき、一連のプロセスを通じて、家庭に関する感情を弱めて、代わりに仕事に関する感情を強めていく。そのようなバウンダリー・ワーク(境界線を引く仕事)が行われないと、「役割の越境」が起こり、集中することが難しくなる。すると、家庭でも仕事でもストレスが増す。
  • 物理的な距離の遠近は、ある人がほかの人の意識にどのくらい上りやすいかを大きく左右する。この点を軽く考えてはならない。はっきり言えるのは、対策を講じなければ、視界に入らない人は忘れられやすい
  • 「在宅勤務かオフィス勤務かという選択肢を与えられたとき、自宅で働くことを選ぶのは、幼い子どもを持つ母親である場合が圧倒的に多い。その結果として、家事は女性の役割だという固定観念がますます強まってしまう。
  • 睡眠が不足すると、想像力を発揮したり、因果関係に関する仮説を立てたりするなどの高次の能力を発揮できない。脳が機能することを妨げる要因は睡眠不足だけではない。不安も脳の働きに悪影響を及ぼす。不安を抱いているとき、人間の脳は未来について想像するゆとりを失い、現在のことにしか目がいかなくなる。
  • 私たちは集中して仕事をすることのメリットをよく知っていて、それを実践したいと思っている反面、いくつかのことに同時に手をつけずにいられない。ひとつの要因は、情報が入ってこなくなり、職場で仲間外れになることの不安、もうひとつは、同僚たちが何をしているかを知ることにより安心したいという思い
  • 連携を行ううえで頭に入れておくべきなのは、場所は関係ないということ。ツールを活用すれば、離れた場所にいても話し合いはできる。すべての連携を対面で行う必要があると決めつけてはならない
  • 会議の形式を精査することに加えて、本当に出席する必要があるメンバーを厳選することも重要。「ソーシャル・ローフィング(社会的手抜き)」と呼ばれる現象が起きて、メンバーが会議に「出席」しているのに、話し合いに「参加」していない状態になるリスクを小さくするためには、出席者を6人未満に抑えるほうがいい。
  • テクノロジーが真の成果を生むためには、組織のあり方とマネジメントの慣行およびプロセスのイノベーションも欠かせない。みんなが一緒になる時間と、別々に過ごす時間のリズムをつくり出すことが重要。人とのつながりが増えれば増えるほど、人は少しずつ受動的に、機械の歯車のようになる。情報処理の能力が高まる半面、その情報に基づいて意思決定を行う能力が低下する。

(3)モデルをつくり検証する

  • 新しい働き方のモデルの妥当性を考える際に、検討すべき難しい問題が2つある。①老いや生産性に関する固定観念にとらわれるあまり、60代以上の人たちの機会を狭めていないか、②新しい働き方のモデルで20代や30代のニーズや願望にばかり目を向け、50代以上の人たちを軽んじていないか。年長の働き手は、職場で自分たちの結晶性知能と知恵とノウハウを提供するという重要な役割を果たすことができる。
  • 新しい世界に適応する能力に自信を持っている人は、自分の仕事の一部が自動化されると思えば、残った仕事のなかでより高度な課題を行えるようにアップスキリングに励んだり、全く異なる職に転換するためのリスキリングに取り組んだりできる。
  • 未来に向けて最も大きな価値を持つのは、基礎的な人間スキル。共感する能力、文脈を読む能力、コラボレーションの能力、創造的な思考をする能力などを習得することが極めて重要。
  • オンラインゲームやソーシャルメディアを利用する時間が多い人は、対面の人間関係で必要な基礎的な人間的衰え始める。人間は進化の過程を通じて強化にゃコラボレーションの能力を獲得しているが、そうした能力は、一人ひとりの学習や日々のささやかなフィードバックによって強化していく必要がある。
  • 働き手が上昇していく道筋が非常にはっきりしているエスカレーター型の職には、聞く力、コミュニケーション能力、相手の身になって考える能力、判断力、意思決定能力などの基礎的な人間的スキルを育む機会がある共通点がある。それを欠いている人は、せっかく技術的なスキルを持っていても十分に活用できない。また、この種のスキルは、しばしば賞味期限がある技術的スキルと異なり、職業人生を通じて価値が失われない
  • 新しく導入する働き方が公平なものかを考える際は、「結果」「手続き」「意思疎通」の要因を一つひとつ検討する必要がある。手続きの公平性について見過ごせないのは、人がひとつの手続きを不公平だと感じると、その組織全体、そしてそこで行われる全ての手続きへの不信感が生じること。

(4)行動して創造する

  • 優れたマネジャーは4つの重要な思考様式の転換を遂げている。
  1. 旧来のピラミッド型組織的でマネジャー主導の発想「私が成功を収めるのを助けるためにチームがある」を脱却し、もっとチーム志向の思考様式「チームを成功させるのが私の役割だ」に転換していること。
  2. リソースを抱え込もうとするのではなく、ほかの人たちと共有しようとする思考様式に転換していること。メンバーのコーチングを行い、メンバーが成長して部署の内外で新しい役割を担う機会を見出せるようにするというように、オープンで協働志向の考え方をする。
  3. 「私のチームは流動的。メンバーが他の部署のプロジェクトで働いたり、他の部署からメンバーを借りたりする」という認識に転換していること。
  4. 「仕事はどこでもできる。重要なのは、あくまでも業務とプロジェクト。社内外の人材を活用して仕事を行う」という発想に転換していること。仕事の優先順位を絶えず判断し、常にコーチングを行い、結果を重視する」という思考様式に移行する。
  • 根底にあるのは、変化することを求められたときに誰もが抱く疑問。それは、自分にとってのメリットは何かという問い。これらの問いに「イエス」と答えられれば、その人は新しい行動を実践する可能性が高い。その行動の先に好ましい未来が待っていると思えるので、未来へ向けて突き進む
  • 「常に切迫感を持たせる」ためには、リーダーが変革の必要性を前向きな言葉で表現し、社員にそれを自分事と思わせる必要がある。そうすることで、社員が感情のレベルで変革にのめり込むようにすべき。
  • 大人の学びとは、単にレパートリーを増やすことだけでない。ほぼ例外なく、アンラーニング(学習棄却)、つまりそれ以前に身につけたことを捨てる必要がある。アンラーニングを行うためには、自分に対して自信を持っていて、自分を取り巻く環境を楽観できていなくてはならない。脅威を感じると、脳は直ちに闘争・逃走反応を示す。そのような状態で新しいことを学べる可能性は乏しい。しかし、学習することなしに変化を遂げることはできない
  • 会社が激しい変化の中にあり、人々が不安と恐怖を抱いているときにストーリーが大きな役割を果たす。最も強力なストーリーは、実現可能な未来に関するもので、聞き手を引き込む力を持った物語。とうてい実現不可能なものであってはならず、聞き手が心を掴まれ、その未来を経験している自分の姿を具体的にイメージできるものでなくてはならない。
  • 優れたリーダーたちは、「最近どう?」という問いでメンバーと会話を始めることが多い。この種の問いかけは、メンバーが自分の思いを表現する機会を作りだせる。こうしたちょっとしたことがきっかけで、人間関係の性格が変わり、実務的な会話が人間味のあるやり取りに変容し始める
  • トップダウンによる決定を押し付けられていると思わせないためには、対話の輪を広げ、社員とのコ・クリエーションに移行すればいい。リーダーは自分だけが発言権を持っているのではなく、あくまでも自分も対話に加わる一人にすぎないという立場をとるべき。自分がすべての答えを知っているわけではないと認めて、メンバーの意見を求めればいい
  • メンバーはリーダーの言動を注視している。リーダーの言葉にどれくらい信憑性があるかは、実際の行動に照らして絶えず検証される。言行が一致しているかどうかが見られている。観察した内容は、メンバー自身の行動にも反映される。人は模倣を通じて学習する。そして大きな力を持っている人ほど模倣されやすい
  • 新しい取組は単に柔軟な働き方を目指すだけのものでもなければ、他の会社との人材争奪戦における社員へのサービス合戦でもなく、社員の成果と体験を改善するものでもあるということ。リーダー自身が主体的に新しい働き方の導入を目指しており、指示されて仕方なく取り組んでいるわけではないというメッセージも打ち出す必要がある

3.教訓

冒頭に、本書は主として変化の決定権を持つ部署向きと書きました。

自身は一事業部門の中間管理職に過ぎないため、全社方針・制度を変える立場ではありません。しかしながら変えるということが決定すれば事業内を推進する立場です。

また、事業内固有の業務プロセスについては自ら変革を推進する立場であり、以前は全社横断となるプロジェクトの1つを推進する側のメンバーを務めたこともあります。

実際には、従来のやり方に大きな不満を持っていない人がいるのも事実であり、その人にとっては「何で変えないといけないの?」と思うし、あまりに理想だけが高く現実離れしていて、結果が出るまでに時間がかかる話になると「しばらくお手並み拝見、できるものならやってみろ。」という状態になることとも事実です。

そうなることを避けるためには、以下が大事というのは理解します。

  • 検討段階からステークホルダーを巻き込み意見を取り入れる
  • なぜやるかの意義やどういうメリットがあるかをストーリーをもって示す

しかし、あらゆる関係者が同じ立場・意見ではないため全員がストーリーに共感できないこともあり、あまりに多くの人が関係すると意見集約に苦労するのも目に見えていて、これまでの経験上、実践するのは字面ほど容易ではありません。

そんな中でも、どこに課題があるかのAs-Isを現場目線で理解してTo-Be像を一緒に考える姿勢を見せることや、推進者自らが明るい将来を信じて完遂する強い意志を持っていることが重要だと考えています。

それらを一つひとつ積み上げ、基礎的な人間力を日々磨き続けることで「あの人が本気でやるならついて行こう」という一体感のある空気作ることができるように目指したいと思います。