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QUEST「質問」の哲学 「究極の知性」と「勇敢な思考」をもたらす エルケ・ヴィス著

1.はじめに

以前の職場での話です。

とあるメンバーに、「何でそうしたんですか?」「何で私の質問に答えてくれないんですか?」という趣旨のことを好戦的に何度も言う人がいました。その際、私からは「それは質問じゃなくて意見だよ」と伝えていましたが、聞き入れてもらうことはできなかったという経験があります。

そして、自分自身でも、相談をしてくれた相手に、自分の価値観から生じた「こうすればいいんじゃないの?」と助言したり、説明を受けている途中で「つまりこういうこと?」と口を挟んでいたこともありました。

本書の第1章は、まさにそういった話から始まります。似たような話を相手から受けた、または自分でもしてしまっている、と思い当たる方は相応にいると思います。

2.内容

(1)なぜ私たちは良い質問をするのが下手なのか?

  • 「私は一日中質問している。だからきっと質問が上手に違いない」と考えていたら、実際にはそうでない可能性が高い。私たちが質問だと思っているものは、単に言葉の末尾に疑問符をつけた文であることが多いからだ。
  • 私たちは、相手の視点に立ってよく考えようとするのではなく、自分の知っていることを相手に納得させようとする。相手が何を伝えようとしているのか耳を傾けようとせず、すぐに自分の経験に置き換えようとする。相手がまだしゃべっているのに、その中身をよく聞こうとせず、相手が話し終わった直後に何を言おうか考えている
  • よく考えてみると、私たちが尋ねる質問の多くは、実は質問ではない。たいていの場合、それは質問を装った、自分の意見や仮定、仮説の表明に過ぎない。質問に見せかけた自分の考えであり、相手に確認を求める仮説である。私たちは無意識のうちに、自己中心的な質問をしてしまう。気づかないうちに、質問を通して自分のおそれや感情、考え、偏見、欲求を相手の話に投影している。
  • 深い会話とは、相手の経験を探ることであり、その人がもつ考えや概念、疑問、とりわけその人の人間性について深く考察すること。相手の経験に目を向けるのは、思っている以上に難しい。意図的にそうしないと、自分の考えや経験ばかりを話してしまい、相手のことを深く探ろうとしなくなるからだ。
  • 「良い質問」ができない6つの理由
  1. 人はそもそも自分の話をしたがる:質問するよりもずっといい気分
  2. 尋ねるのが怖い:ネガティブな結果を招くかもしれない不安
  3. 良い印象を与えたい:質問するより意見を述べるほうがいい印象
  4. 客観性の欠如:客観的な視点で物事を考える能力の低下
  5. 忍耐力がない:時間の無駄
  6. そもそも方法を知らない:誰も教えてくれない
  • 話を遮ったとたん、相手を理解しようとする努力を放棄し、自分の話をすることだけで頭がいっぱいになる。まくし立てるように話を続け、会話を乗っ取り、相手に話に加わる余地を与えようとしない。自分の意見を何度も繰り返すのは、相手の考えに興味がないことの証明だ。
  • こちらは助けよう、アドバイスを与えようとしていても、相手がそれを望んだり、興味をもってくれたりするとは限らない。相手が自分で、自らの価値観や人生観に合った納得できる答えを見つけることのほうが大切
  • 私たちは、相手と同じ熱意があることを示すために、「私も!」と、自分の似たような経験を躍起になって語ろうとする。相手とのつながりを深め、波長を合わせたいと思ってのことだが、逆効果を招くことが多い。相手はがっかりし、苛立ち、話をやめてしまうこともある。
  • 私たちは、有意義で核心を突いているが、相手を不快にさせるかもしれない気まずい質問をすることをおそれている。しかしこの種の質問は、真の結びつきをもたらしえるものだ。それなのに、私たちはこうした質問に相手は答えたがらないだろうと決めつけてしまう。
  • 出産や死、病気などの人生の大きな出来事を体験すると、それらは辛く、触れたくないテーマになる。だから話題にするのを避け、相手にも質問しなくなってしまう。自分の不快感や辛さを基準にして、相手に質問をするかどうかを決めてはいけない
  • エスチョンメーカーは、人々に冷静な熟考と省察を促す。意見を示すのではなく、探求心をもって問題を探っていく。相手に考えさせ、対話を促すような質問を投げかける。思考を深め、明確にし、新たな視点を養うような質問だ。
  • 私たちは、自分の考えを疑わないことで安心感を得ている。しかも、自分の考えを疑おうとするのは、余計なことだと考えている。ただでさえ忙しいのに、なぜそんな時間のかかることをしなければならないのか、と。だから、疑問をもとうとしない。
  • 私たちはよく、「時間がかかるから」という理由で良い質問をするのを避けようとする。しかし、たった1分でも時間をかけて良い質問を練ることで、結果的には時間を節約できる。

(2)質問の態度

  • 質問の哲学の中心にあり、基礎となるものはソクラテス的な態度。態度を身につけ、質問の条件が整ったら、実践的なテクニック、ヒント、落とし穴を駆使して質問の技法を磨ける。この態度と条件はとても重要であるにもかかわらず、私たちは外側の技法の部分だけに注目しがち
  • ソクラテスは、己を知り、「自分は何も知らない」と知っている人だけが、真の知識を得られると考えていた。私たちが重要な質問をしようとするのをやめてしまうのは、ソクラテスとは違い、物事を知っていると思い込んでいるからだ。
  • ソクラテス的な態度を身につけるための第1歩は、自分が「何」を「どのように」考えているのかを自覚すること。それによって、思考を正しい方向に導き、必要に応じて軌道修正し、適切な質問ができるようになる。ソクラテス的態度を身につけるための訓練は、「今、ここ」で自分がどんな思考をしているかに意識を向けることから始まる。
  • 他者と過ごしていて、「なぜこの人はすぐに感情的になるのだろう?」「どうして普通の会話ができないの?」とイライラしそうなときは、不思議の感覚を持つことで、その状況をまったく違った視点でとらえられるようになる。自分の判断にとらわれず、純粋な質問への扉を開けてみよう。
  • 「なぜこの人はこんなことを言うのだろう?」「今、相手は何を考えているのだろう?」「この人はこの会話から何を得ようとしているのか?」といった疑問を浮かべてみる。ポイントは、心から不思議さを感じて、真摯に疑問に向き合うこと。
  • 有意義な会話のためには、相手の話に興味をもつことが何より欠かせない。相手が何を考え、どんな経験をし、どんな世界観をもっているのかに関心を抱く。
  • いったん攻撃と防御、判断と非難の泥沼に入ってしまうと、戻る道を見つけるのは難しくなる。判断から好奇心へと舵を切る方法を学ぶことで、質問的な態度が身についていく。相手の思考プロセスや経験に純粋に興味を持てるようになる。
  • 好奇心を持ち続けるとは、「自分には知らないことがある」と認めること。他人の経験や思考、感情はわからない。他人とはまさに文字通り、自分ではない他の誰かのこと。私たちは相手が何を考え、どんな経験をして、どんな気持ちでいるかを決めつける。しかし、相手のことは相手が一番よく知っている
  • 私たちは、「相手が話したのとまったく同じ経験を、私もしたことがある」という思い込みに基づいて相手の話を理解したと考えがち。だから、それ以上何も尋ねることはないと決めつけてしまう。こうした思い込みをしていると、相手や相手の話への興味は薄れていく。しかし、単なる体験談を超えて、相手が何を経験し、考え、感じ、判断したかについて純粋な好奇心を抱くと、想像もしていなかったような情報を発見することがある。
  • 「私はこれについて何も知らないが、相手は詳しく知っている」という視点で誰かと話をしてみる。つまり相手を、話をしているテーマの専門家だとみなす。そのとき、自分の意見はまったく取るに足らないものだと考える。自分がそのテーマについて考えていること、知っていると思っていることは重要ではない。
  • 質問をし、その答えに耳を傾けようとするには勇気が必要であり、リスクを覚悟しなければならない。自分の質問が的を射ているかどうか、相手にどう受け取られるかは、尋ねてみるまでわからない。
  • デリケートな話題に関する良い質問には、相手とのつながりを深める力がある。より良い、より意味のある、真摯な会話がしたいのなら、当たり障りのない話題ばかりでお茶を濁していてはいけない。ソクラテス的態度を身につけるためには、嫌な気持ちになるかもしれないというリスクを受け入れる勇気と意欲を養うことが欠かせない。
  • 良い質問をするのは、自分のためでもなければうまく着地するためでもない。良い質問は相手のためにある。相手はそれによってより深く考えられるようになり、新たな視点で物事をとらえられるようになる。この相手への贈りものは、質問をした側にとっては気まずいつまずきになるかもしれない。しかし、信じてほしい。それは、支払う価値のある代償だ。
  • 私たちの判断は、的外れでずさんなことが多い。私たちは判断を急ぎすぎて、ニュアンスや機微を見落とし、不完全な情報に基づいて意見を口にしてしまう。また、自分の考えに固執し過ぎる。自分の判断を、真剣に受け止めすぎてしまう。
  • 今すぐに解釈しなくても、後で時間を置いてから、その意味をじっくり考えればいい。その頃には、考えが変わっているかもしれない。その間に、成長や成熟のチャンスがあるかもしれないし、新しい情報が出てきたり、新しい変化が起こったりするかもしれない。それは、誰にもわからない。
  • その人にどんな動機があるのかがわからないのに、悪いことをしていると決めつけてはいけない。そのような決めつけをしていると、自分の心に浮かんだ印象をただ強めるような判断しかできなくなる。
  • ある程度の距離感を保つことが適切な状況では、必要なのは共感ではなく思いやり。思いやりは相手を助けたいという気持ちを生む。出来事を俯瞰し、自らの感情にとらわれることなく、相手の話を聞き、分析できる。共感を棚上げしてこそ、価値のある質問ができる。
  • 目標は一緒に賢くなること。相談者が本当は何を考えているのか、その思考の根拠は何かについて、一緒に考えること。共感的中立性を保つことで、私と相談者は問題を俯瞰できるようになる。
  • 相手の意見にまったく同意できなくても構わない。この会話の目的は、どちらかが相手に同意して終わることではない。目的は、判断を下すことなく、相手の立場に身を置こうと努めること。この点に気をつけていないと、批判や反感、嫌悪をほのめかすような質問を簡単にしてしまう。
  • ソクラテス的な議論をすることで、これらの発言の背後に何があるかを突き止められる。判断や価値観、主張、人間の本質に関する思い込みなど、場合によって自分の中にあるとは思いもよらなかったものを発見できる。いわば、それは思考のプロセスの巻き戻し。誰かの発言に対し、その背後に何があるのかを探る質問をすることで、根拠となる論拠まで遡っていく
  • 「自分のほうが正しい」と相手を説得しようとするのではなく、新しい視点を探そうとすること。まずは相手の話を聞こう、と決めておくと効果的。相手の意見に真摯に耳を傾け、自分の意見を簡潔に述べよう。相手と一緒に合意を探し続けよう。
  • 人の信念はアイデンティティと結びついていることが多い。そのため、信念に疑問を投げかけることは、ごく些細なものであっても、相手の癪に障ることがある。「無知」の表面の下には羞恥心が潜んでいる。質問をされる側がそれを不快に感じる可能性は十分にある。ただし、これは必ずしも悪いことではない。

(3)質問の条件

  • 私たちは、「私」という視点から、「自分が相手の立場だったらどうやって問題を解決するだろう」と考えながら話を聞く習慣がある。しかし、良い質問をするためには、「あなた」という視点から、相手の言いたいことを正確に理解しようとする訓練が必要。自分の意見や考えを挟むことなく、相手の話にただ耳を傾けていると、心の平穏を保ちやすくなる。
  • 否定的な構文を使ったり、「でも」や「それで」などの語を無意識的に使ったりすることで、私たちは気づかないうちに相手に手の内を明かしている。相手がそれにどれくらい反応するかにかかわらず、結果としてその質問は見かけよりもはるかにオープンでなくなることが多い。
  • 「表層的リスニング」は、相手が発した言葉の意味よりも、言葉そのものに注目すること。内容よりも、それがどう語られたかに注目する。中身よりも形式に注目できるようになると、想像力を抑えて、相手と実際の話そのものに深く関われるようになる。理解するために聞くのではなく、理解しないために聞く。そうすることで、相手の言葉の背後にあるものを、一緒に探っていけるようになる。
  • 言葉が真実を捻じ曲げたり、隠したり、甘くしたりするように意図されているとき、身振りのほうが雄弁に話し手の本音を物語っていることは多い。ボディランゲージは、まだ言葉にされていないその人の気持ちを表していることがある。それを指摘することで、相手は自分の感情に気づき、それを言葉にしやすくなる。

(4)質問の技法

  • ソクラテス的な対話をするには、事実の正確な把握から始めるのが望ましい。実際に何があったのか? 誰が関与し、どう状況が展開したか? まずは具体的な事実を確認するための質問をしよう。目的は、その出来事をクリアな映像として頭に浮かべること。足りない部分を想像力で補ったりせず、明確に把握する。
  • 何が起きたのかを正確に把握できるまで、事実に基づいた質問を続ける。心の中ではっきりと絵を描けたら、方向を変えて抽象的な上向きの質問をしてみよう。
  • ソクラテス式問答法では、「クリティカルポイント(話のすべてに決定的な影響を及ぼすポイント)」に到達するまで質問を続ける。クリティカルポイントを探ることで、話の核心に迫れる。到達したら、相手の怒りや苦しみ、不満、認識、意見、視点の背後にある理由を尋ね続けることができる。
  • クリティカルポイントに達するために用いるのは、下向きの質問。何が起きたか、誰がそこにいて、何を話したのか。詳細なイメージを描こう。事実を明確に把握したら、次は上向きの質問を続ける。この人は、事実や出来事についてどう思っているのか? その結果、相手は核心的な主張で答えることになる。
  • 言葉をできるだけ正確に再現しながら話を整理する。言い換えたり、自分の言葉で要約したりせず、新しい考えや概念も付け加えないようにして、相手の言葉をできるだけ忠実に繰り返す。これは大切なポイント。
  • 何かを確認したい場合にはクローズド・クエスチョンが適しているし、相手に深く考えさせることができる。もちろん、クローズド・クエスチョンは誘導的にならないように気を付ける必要がある。この点に注意して、積極的に使ってみる。
  • 「なぜ」、は新しい視点を得たり、相手の話への理解を深めたりしたいときに大きな効果を発揮する質問。とはいえ、「なぜ」という質問の使い方には注意が必要。人は、理由を尋ねられると、攻撃されていると感じやすい。気になっていることや苛立っていることを直接相手に言うのではなく、「なぜ」と尋ねる形で伝える。相手はすぐに、それが質問ではなく質問の皮をかぶった批判と察知する
  • 相手が反射的に防御的になることを考慮して、「なぜ」を尋ねるときは、「…の理由は何ですか?」と言い換えることも検討しよう。しかし、もっと複雑な回答を引き出したいのなら、質問を「どのように」から始めると良いだろう。
  • 今度、周りで誰かが愚痴をこぼし始めたら、純粋な興味をもって「教えて」と尋ねてみよう。アドバイスや質問、助けたいという気持ちを抑えて、「ねえ、教えて!何があったの?」と切り出してみる。
  • 最初に確認すべきは、「相手に何かを尋ねたいのか、それとも自分が何かを言いたいのか」だ。言いたいことがあるならそのまま言おう。わざわざ質問の形式にすると、邪魔になり、面倒を生むだけ。本当の質問でない質問はすべきでない
  • 「ルーザー・クエスチョン」は、質問する側が相手をルーザー(ダメな奴)だと思っていることを暗示する質問。これらは真摯な質問ではなく、質問の体を装った意見表明にすぎない。つまり質問する側はすでに自分の中に答えがあり、それをただ大げさに伝えたいがために質問の形式を取っている。
  • 「でもクエスチョン」は、無害なつなぎ言葉のように見えるかもしれないが、質問者の本音が出てしまうことがある。ごく些細な言葉なので本人は気づかないこともあるが、相手には明確なメッセージが送られている。根底にあるメッセージは、「私はこれに関して意見があるが、それを直接は言いません」というもの。
  • いろんな質問を混ぜ合わせるのが「カクテル・クエスチョン」。相手は混乱し、どの質問にどの順番で答えるべきかわからなくなる。その結果、相手は曖昧な説明や中途半端な答えを返すことが多くなる。自分の言葉がどこに向かっているかわからないまま、ただ話し始めてしまうことになる。質問は必ず一度に1つにして、それ以上付け加えないようにしよう。
  • 実際には、選択肢が2つしかない場合はめったにない。質問者がたまたま思いつい2つの選択肢を提示するだけ、というケースが多い。このような場合には、オープン・クエスチョンにしてみてはどうだろう。
  • 「どういう意味?」は完全な質問ではない。質問を具体的にすれば、焦点が絞られ、求める情報が正確に得られる。

(5)質問から会話へ

  • まず質問にYesかNoで答えてから、自分の意見や懸念事項を話すといい。そうすることで問題を深く考えられるようになるし、次の質問もしやすくなる。最初にYesかNoを答えて自分の立場をはっきりさせるのは簡単ではないし、自分の考えが相手の目にさらされるような落ち着かない気持ちにもなるが、会話は明確になる。
  • 人によく、相手に好印象を与え、自分の信用を高め、賢く見えるようにするために、意識的・無意識的に格好のいい言葉をちりばめた独白をするが、それは会話ではなく、歌って踊る一人芝居のようなもの。独白を魅力的で楽しいと感じるのは、たいてい話し手本人だけ
  • 何よりも、相手の発言や主張の背後にあるものに興味をもとう。「この人は何を言っているのか?」「この言葉の裏には、どのような考えがあるか?」という2点だけに意識を集中させること。相手の発言に注目し、それ以前の発言と一致しているか、矛盾しているかを考える。内容に惑わされずに、客観的に会話を俯瞰できれば、良い質問がしやすくなる。
  • 相手の真意を問う質問はちょっとした緊張感を生むかもしれない。でも、構わない。なぜなら、それは相手に発言についてよく考え、言葉を明確にし、裏付け、責任を取るように促すことだから。それにょって、悪影響が生じたりしない。
  • 自分を疑うことで、純粋でオープンに物事を疑う態度を身につけられる。自分の意見や信念、思い込みをあえて疑い、自問することで、他人に対しても許容的でオープンになれる。自分についてオープンかつ好奇心をもって考えられないのに、どうやって他人に質問できるのだろう?
  • 私たちは相手に話を聞いてもらい、受け止めてもらいたいと思っている。そのためには、まずは相手と自分のあいだに橋を架ける必要がある。橋の強度は、両側に設置された基礎の強度と同じ。だからこそ、まず相手の話を聞き、その考えを理解することに時間と注意と労力を投じることから始めるべき。
  • あなたがこれから意見を述べると事前に予告することで、相手は視点の切り替えを素早く、簡単に行えるようになる。相手の話を根気よく聞いた後で、突然、前触れもなく、自分の意見を長々と話してしまう。そうではなく、役割を切り替えると相手に知らせれば、会話の流れは明確になり、スムーズになる。
  • 全員と話す必要はない。誰かと話しているときに、自分の気分が高揚しているのか、それとも消沈しているのかを気にするのは、とても健全な本能的反応。とはいえ、自分にあまり関心を示さない人、考え方がかけ離れているように見える人、好きになれそうにない人とソクラテス的な対話をすることをおそれてはいけない。
  • 相手への真摯な関心は、相手にとっての、そしておそらくあなた自身にとっての贈り物になる。良い会話は良い質問から始まる。そして良い質問は、好奇心と不思議の感覚、「知りたい」という純粋な気持ちから始まる。

3.教訓

キャリアコンサルタントでも、産業カウンセラーでも、養成講座では相手に焦点を当てることを繰り返し説明を受けます。

つまり、自分がどう考えているかを話すのではなく、相手がどう感じているか・何を語りたいのかを聴くことを重視します。そのために、ロジャーズの中核三条件(順番や訳はそれぞれ)について何度も学習しますし、厚生労働省のHPにも説明があります。

  1. 自己一致
  2. 受容(無条件の肯定的関心)
  3. 共感的理解

kokoro.mhlw.go.jp

本書でも、相手と自分とのあいだに橋を架ける話が出てきました。そして、その橋の強度は両側の基礎の強度と同じ、と説明されています。相手との信頼関係ができてはじめて率直に語れるようになるし、対話も進んでいきます。

そのために、この人はしっかり話を聴いてくれる、この人なら何を話してもいい、という雰囲気づくりが大切です。この人に話をしても無駄、と思われるのは論外です。まずは聞く耳を持っている、自分に関心を向けてくれている、という姿勢が相手に伝わるところから始まります。

そして、その相手に純粋な関心があれば、なぜこの人はそう思うんだろう?という自然な問いかけができるようになると考えています。