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オプティミストはなぜ成功するか ポジティブ心理学の父が教える楽観主義の身につけ方 マーティン・セリグマン著

1.はじめに

最近、自身で何事もよくない方向に考えてしまうクセがついてしまっているように感じています。そこで、ポジティブ心理学を学び、少しでも自身の考え方を変えることができたらと思い、本書を手に取りました。

楽観主義やポジティブ心理学は、本書を読む前は、「とにかく根拠なく、前向きに明るく考えふるまうこと」というイメージをしていました。

しかしながら、「楽観主義を身につけるということは、世の中をむやみに明るく見ることではなく、否定的でない考え方を学ぶこと」という一文を見たとき、「ああこれだ」と思うことができました。

以下では、特に印象的だったところを引用して紹介していきます。

2.内容

(1)オプティミズムとは何か

  • 大なり小なり不幸に見舞われたとき、人は何が原因だと思うだろうか?簡単にあきらめる人々は習慣的にこう言う。「私が悪いんだ。この状況はずっと続くだろう。このせいで、私は何をやってもうまくいかないだろう」。一方、不運に屈しない人々はこう言う。「状況がそうだっただけだ。この状態はすぐに終わる。それに人生にはほかにいもいろいろ楽しいことがある」
  • 説明スタイルには、永続性、普遍性、個人度の3つの重要な面がある。
  1. 永続性:すぐにあきらめる人は、自分に起こった不幸は永続的であり、悪いことは続くもので、いつまでも自分の人生に影響を与えるだろうと考えている。無力にならない人々は、不幸の原因は一時的なものだと信じている。良い出来事には永続的な理由があると考える人は、一時的な理由があると考える人よりも楽観的
  2. 普遍性:自分の失敗に対して普遍的な説明をつける人は、ある1つの分野で挫折すると、すべてをあきらめてしまう。特定の説明をする人は、人生のその分野では無力になるかもしれないが、ほかの分野ではしっかりと歩み続ける。オプティミストは悪い出来事には特定の原因があると考え、一方で良い出来事は自分のやることすべてに有利な影響を与えると信じる。ペシミストは悪い出来事には普遍的な原因があり、良い出来事は特定の原因で起きると考える
  3. 個人度:悪いことが起こったとき、私たちは自分を責める(内向的)か、ほかの人や状況を責める(外向的)。失敗したときに自分を責める人は結果的に自分を低く評価することになる。自分は価値も才能もなく、誰にも愛されない人間だと思う。外的な要因を責める人は悪いことが起こっても自尊心を失わない。
  • 無力状態がすぐに消える人と、2週間またはそれ以上続く人との違いは、単純であることが多い。後のグループは悲観的な説明スタイルの人々で、悲観的説明スタイルはごく短期間の範囲の限られた無力状態を長期で広範囲なものに変えてしまう。ペシミストが挫折を経験すると、無力状態は本格的なうつ病になる。オプティミストの場合はごく短い間の意気消沈となるだけ
  • 認知療法は5つの方法を用いる。
  1. 自分は最悪の気分のとき、どんな考えが無意識に頭に浮かぶだろうか?
  2. この無意識の考えの反証となる事実を並べることによって、これに対抗する術を学ぶ
  3. 自分の特性を見直す説明方法を学び、いつも無意識に浮かぶ考えを反論するのに使う
  4. 憂うつなことから気持ちをそらす方法を学ぶ
  5. 自分の行動がいかに多くのうつ病の種になりそうな家庭に支配されているかに気づく

(2)変身-ペシミストからオプティミスト

  • オプティミストというのはひどく自信過剰で、悪いことはなんでもほかの人のせいにし、責任を取ろうとしないヤツだというイメージを持っているのかもしれない。しかし、オプティミストになるのはわがままになることでもうぬぼれ屋になることでもない。挫折を味わったときに、もっと元気がでるようなものの考え方で自分自身に語り掛けるにはどうしたらいいか、という方法を身につけること
  • 私たちは困った状況(Adversity)に直面すると、それについて考えをめぐらす。考えはすぐに思い込み(Belief)となって固まる。この思い込みはあまりに習慣的になっていて自分では気づかないことも多い。思い込みは結果(Consequence)を生む。どのような思い込みをするかで、落胆してあきらめるか、または満足して建設的な行動が取れるかが決まる。
  • 自分の習慣的な考え方から気をそらしたり、ごまかしたりするのは応急措置としては役に立つが、もっと根本的な解決法はそれに反論すること。困難に出会ったときに反射的に頭に浮かぶ考え方に反論することによって、いつもの落胆とあきらめの反応をエネルギッシュな行動へと変えることができる。
  • 誰も自分を雇ってくれない、愛してくれない、自分には能力がない、と思い込んでいるからといって、それが真実だということにはならない。一歩後ろに下がってこの思い込みを一時留保し、自分の考えが正しいかどうか確かめる間だけでも、悲観的な説明から少し距離をおいてみることが大切
  • 納得のいく反論をするためには、4つの重要なポイントがある
  1. 証拠はあるか?
  2. 別の考え方はできるか?
  3. 思い込みが本当だった場合、それはどんな意味を持つか?
  4. その考え方は有効か?
  • 楽観主義を身につけるということは、世の中をむやみに明るく見ることではなく、否定的でない考え方を学ぶこと
  • 自分の思い込みに反論するには、あらゆる原因を探り、変えることのできる、特定の、自分の責任ではない理由に焦点を当てることだ。今までの信念に代わる考え方を見つけ、十分には納得できない原因を信じようとするのはなかなか大変かもしれない。だが、ほとんどの悲観的な考え方は、最悪の思い込みに固執しているから起きるのだということを思い出してほしい。この自滅的な習慣を捨て、別の考え方を見つける方法を身につけることだ。
  • 困ったことが起きたとき、自分の思い込みが落胆やあきらめを生む。つまり困ったことに対する自分の反応を変えれば、挫折にももっと上手に対処できることになる。困った状況に対する解釈を変えるには、反論がもっとも有効な手段。これからは自分の習慣的な解釈に常に反論する練習をしよう。
  • 自分の楽しみのために定期的にしていることのうち、どれかをあきらめる。そして1週間にそれと同じだけの時間をほかの人のため、または地域社会のための活動に使う。楽しみをあきらめたために浮いた金は貯めておいて、この活動をさらに支援するために使う。

3.教訓

先日、父の法事があり、都会を離れて、自分自身や父の故郷である田舎へ足を運ぶ機会がありました。ちょうどその頃、東京で満員電車に揺られながら、「今の仕事に意味はあるのだろうか」「自分は本当は何をしたいのか」と自問する日々が続いていたため、今回の帰省は自分を見つめ直す良いきっかけとなりました。
新幹線の車窓からは、目まぐるしく移り変わる風景が流れていきます。そして田舎に着けば、そこにはその土地で暮らす人々の営みがあり、地域に根ざした店や文化が息づいています。
こうした風景や空気に触れることで、都会の生活や今の環境だけがすべてではないことを、毎回あらためて実感します。「生きていくだけなら、そんなにあくせくしなくてもいいのではないか」「うまくいかないことに自分の責任はあるけれど、すべてが自分のせいというわけではない」と、少し距離を置いて自分自身を見つめ直すことができました。
必要以上に自分を責める必要はない。その日はたまたま相手の機嫌が悪かっただけかもしれないし、いつも失敗ばかりというわけでもない。自分にもできていることはある。「すべてを否定から始めなくてもいい」。そんなことに気づけた良書でした。