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君主論 ニッコロ・マキアヴェッリ著

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君主論 (講談社学術文庫) [ ニッコロ・マキアヴェッリ ]
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1.はじめに

この本に関しては、数多くの出版社から様々なバージョンで書籍化されているので、読んだことは無くてもタイトルだけは知っている人が大半ではないかと思います。

中には、「権謀術数」のイメージがあって、読まず嫌いの方もいるかもしれません。

ただし、人間や組織論に関する真実や本質も多く含まれているので、評価するかしないかは一度は読んでみてからでもいいのではないかと思います。

文書化されたのは1513年と言われ、既に500年が経過しており、時代も地域も異なるので、すべての内容が今の日本のマッチしているわけではありませんが、以下で具体的な内容について触れていきます。 

2.内容

各章によって、記載されている前提が異なるため、前後の文脈によって解釈が微妙に変わることがありますが、印象に残った点を以下に引用します。

  • 新君主は権力獲得の過程で傷つけたすべての人々を敵に回すことになり、他方かつて味方した者たちの期待に沿うよう満足させられないため味方にしておくことができず、また彼らから恩義を受けているため強力な手段を用いることもできない。 
  • 新たな領土を維持する困難に対する最上かつ最も有効な対策の一つは、征服者自らがその地に赴き、居を構えることであり、領有を確実で永続的にする。
  • 人間は些細な危害に対しては復讐するが、大きな危害に対しては復讐できない。それゆえ、人に危害を加える場合は、復讐を恐れなくて済むような仕方でしなければならない。
  • 他人に勢力を得させる原因を作る者は自ら滅びる。なぜならば、このような力はこの者の策謀か実力によって発生するが、強力になった者にとって、これら双方は疑念を巻き起こすからである。
  • 自ら先頭に立って新制度を導入することほど困難で危険なことは明らか。旧制度の利益を享受していた人々すべてが敵に回り、新制度の受益者と思われる人々は味方として頼むに足りない。
  • いったん危険を克服して尊敬され始めるようになり、自らの資質に対して嫉妬心を懐く人々を絶滅してしまうならば、彼の地位は強大かつ安全となり、彼は称賛の的となって幸福な境遇に達することになる。
  • 占領者は行う必要のあるすべての加害行為を検討し、それを毎日繰り返す必要のないよう一気に断行すべき。そしてそれを繰り返さないことで人々を安心させ、恩恵を施して人心を得ることができるようにすべき。
  • 害を受けると思っている人物から恩恵を受けると、人間はその恩人に対して一層義務の念を感じるものであり、民衆は自分たちの好意によって君主になった者に対してよりも多くの好意を懐くようになる。
  • 人間は死ぬ危険がほとんどない場合には馳せ参じ、支持を約束し、君主のために死ぬ覚悟があると述べるが、君主が市民たちを必要とする時節が到来すると少数の人間しか彼のもとには来ない。
  • 人間というものは困難が発生するような企てに対しては常に反対であり、防御の行き届いた都市を持ち、民衆に憎まれていない支配者を攻撃するのは簡単でない。
  • 自己の軍隊を持たない限り、いかなる君主権も安泰ではなく、自らを防衛する能力に欠けるため完全に運命の意のままに引きずり回される。自らの力に基づかない権力や名声ほど頼りなく不安定なものはない
  • 武力を持たないために被る厄災の中で最たるものは他人による軽蔑である。これこそ君主たるものが避けるべき不名誉の一つ。
  • 君主は戦争の訓練を決して念頭から話してはならず、戦時よりも平時において訓練に励まなければならない。この訓練には2つの方式があり、一方は行動を伴い、他方は精神にかかわるものである
  • 人々の前で気前が良いという評判を維持しようとするならば豪奢な行為を避けることができなくなる。かくしてすべての資産を使い果たすことになる。当代において大事業をなした人々は例外なしにけちという評判のあった人々であり、その他の者は滅亡した。
  • 恐れられることと愛されることの両者を得ることは難しく、どちらかが欠けざれるを得ない場合は、愛されるよりも恐れられる方がはるかに安全である。
  • 人間は恐れている者よりも愛している者を害するのに躊躇しない。
  • 賢明な君主は、信義を守るのが自らにとって不都合で、約束をした際の根拠が失われた場合、信義を守ることができないし、守るべきではない
  • 君主は非難を招くような事柄は他人に行わせ、恩恵を施すようなことは自ら行うこと。
  • 旗幟を鮮明にして堂々と戦う方が有益である。鮮明にしなければ勝利者の餌食となり、敗北した側はこの成行きを喜び溜飲を下げることになる。そして保護を求めるにも名分がなく、避難所を与えてくれる人もいない。なぜなら勝利者は逆境にある時に援助しなかったような疑わしい者を味方にしようとしないし、また敗れた者は剣を手にして自らと運命を共にしなかった者を受け入れないから。
  • 君主は諸々の事柄について下問し、彼らの意見を聴取し、その後一人で自分なりの判断を下すべきである。決断したことは実行し、決定は断固として守ることが必要である。
  • 君主は頻繁に下問し、しかも忍耐強い聞き手でなければならない。また誰かが何らかへの配慮から真実を言わないことが判明した場合、不快な表情を露わにすべきである。
  • 時勢と周囲の事情が変化すると、彼は行動様式を変えない限り破滅する

3.教訓

上述の通り、血が流れるような時代でコンプライアンスの考慮も必要のない状況の話のため、内面では賛意を持ちつつも、現代において堂々と口外するには憚られる内容も多く、このままの状態で実践することが困難な面もあります。

しかしながら、部門を跨いで社内異動になった場合や、業務変革のプロジェクトリーダーになった場合、新たに管理職になった場合など、以下のような点においては、現代の組織マネジメントでもしっかりと応用の効く、読むに値する本であると考えています。

  • 悪い情報は中途半端に小出しにせず、膿を出し切る。
  • 最初の印象が悪くても、メリットを説き、安心感を与え、理解者を増やしていけば賛同を得られる。
  • (恐怖でなく)畏敬の念を持ってもらうような行動を取る。見栄を張らない。
  • 日和見主義を取らず、自分の意思をはっきりと示す。
  • 関係者の話は直接聞き、真実を語ってもらうように促し、自分の耳で判断する。
  • 違うと思ったら意見を変える。