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ハーバードの人生を変える授業 Even Happier タル・ベン・シャハー著

 

1.はじめに

原題は「Even Happier」で「より幸せに」というシンプルなタイトルです。

”ハーバード”も、”人生を変える”も、”授業”も出てきません。

読んで理解するだけでなく、実際の行動に移すことを勧める内容で、著者は「リフラクション(反映させて行動する、reflection+action)」と名付けています。

1年間52週分の小タイトルから成り、それぞれに「Think」による問いかけ、それに対する「Action」が記載される構成になっています。

2.内容

  • あなたが感謝できることは何ですか。自分の人生でありがたいと思うことは何ですか。意識を向けるものは拡大する。恵まれた部分を考えれば、人生はもっとよくなる。
  • 野心的になりすぎて失敗するよりも、緩やかに変化し続けるほうが好ましい。成功は、それ自体がさらなる成功の源となる。
  • 社会に満ちたその場しのぎの解決法は、私たちの「意義」への欲求を無視している。人は困難を克服することで幸福になれる。人間が本当に必要としているのは不安のない状態ではなく、価値ある目標のために努力すること。
  • より生活を楽しむことができるための残念な事実は、これを解決する特効薬のようなものはない、ということ。私たちは生活を簡素化し、テンポを遅くするしかない。うれしい事実とは、するべきことを減らして生活をシンプルにしても、成功は妨げられるわけではないということ。
  • 実際に失敗したときのつらさよりも、失敗するかもしれないと感じるときの恐怖のほうが、実は私たちを痛めつける。失敗からより賢く、強くなったということに気づけば、これからもずっと生き延びていけると自信を持つことができる。
  • 完璧主義と最善主義の一番の違いは、全社が現実を拒絶する考え方であるのに対して、後者は現実を受け入れる考え方だということ。最善主義者は、失敗は人生の自然な一部分であり、成功につながる欠かせない要素だと理解している。失敗を楽しむまではできないにしても、自然なこととして受け入れ、心配をあまりせずに活動を楽しむことができる。
  • 約束を守るとき、あなたは他人だけでなく自分自身に対しても重要なメッセージを送っている。言葉はその人自身の表出だから、自分の発言を尊重することは、自分自身を尊重することになる。
  • あら探しをする人は決して幸せにはなれない。最高の出来事が起こるわけではなく、起こった出来事を最高のものにできる人がいる。
  • カップルの関係に衝突がないとしたら、それはふたりがお互いに重要な問題や創意に向き合っていないということ。衝突は必要なものだが、それと同時に冷たさや怒りが、思いやりや愛情より多くなってしまうと、その関係は明らかに不健康なものになる。
  • ある出来事をどう解釈するかによって思考が生まれ、その思考によって感情が生まれる。不合理な考え方、つまり認知の歪みがあることがわかったら、その出来事に対する考え方を変え、違ったように感じればよい
  • ある意味では、深遠な思いやりとは、利己主義が高度に発達した形態にすぎない。だから自己嫌悪の強い人は他者に対して真の思いやりの心を持つことは難しい。始まりとなるべき土台がないから。
  • 私たちは感情と理性の生き物。いったん何がしかの感情を持ったら、その感情を持った理由を必要とする。感情的反応の本当の原因に向き合い、自分の中の嫌な感情を認めなければ、不快に感じるのは相手の欠点のせいだと思うことだろう。
  • すべてを完全に受け入れることができる、そして完全に平穏な境地に至ることができるというのは幻想。失敗も成功も充実した人生の一部として受け入れ、恐れや嫉妬や怒り、そしてときには自分を受け入れられないこと自体を受け入れる。
  • 誰かが何かをどうやって達成したかをじっくり検証してみると、彼らは本当に苦労しているし、自分たちもそこまでやればなんとかできるのではないかと思えるようになる。偉大な高みは一見、到達不能に見えるが、実は順番に段階を踏んでいけばいいのだと知ることができる。
  • よき友であろうとして、私がすることや言うことに何も反論せずに支持をしてくれるだけの相手は、私を成長させてはくれない。とはいえ、何の心配りもなく反論してくる人は対立するばかりでいやなもの。真の友は、私に対してありがたい存在であり、敵としての役割も果たしてくれる
  • ビジネスとは決断。決断をしなければ失敗もない。一番難しい仕事は、決断するように促すようこと。リスクを冒さなければ成長はあり得ない。成功している会社はどこも、山のような失敗をしている。
  • 失敗して学ぶか、学ぶこと自体に失敗するか。組織として学んでいくことが競争力につながる世界では、失敗の報告を恐れることは長期にわたる失敗を引き起こしかねない。
  • セルフ・コンコーダント・ゴール(真の欲求に結びついた目標)」とは、心の奥底にある個人的な信念や強い関心から追及される目標のこと。義務として課せられるのではなく、自らその目標を選んだと感じられることが必要。他人に自分を印象付けたいという気持ちからではなく、自己の一部を自ら表現したいという欲求から生まれたものと感じられる必要がある。
  • 病気になり死の宣告を受ける以前も、その人たちは同じ知恵と能力を持っていたということ。以前から持っていた力で、彼らの人生は変わった。新しい知識を身につけたのではなく、今までずっと知っていたことにはっきりと気づいただけ。

3.教訓

本書の「おわりに」は、以下の文章で始まります。

この本を最初から詳しく読みなおしてください。そして、あなたが覚えておきたい重要なポイントをいくつか書き出してみましょう。

まさに私にとってはそれが上述2.の内容です。それは、読み手の置かれた立場やその時の心情によって変わると思うので、人それぞれのひっかかりがあると思っています。

これまで読んできた本の内容についての引用も多く、「80対20の法則」「心理的安全性」「マインドセット」など、思い返し・復習にもつながりました。

bookreviews.hatenadiary.com

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一つ一つのエピソードが短いので、細切れの時間に少しづつ読み進めることができ、それぞれが頭に入ってきやすいのですが、冒頭に記載した通り、理解するだけでなく行動に移さないと価値を生み出せません

また、各章の最後に必ず、歴史上の人物や著名人の「格言」が記載されています。それをしっかりと読むだけでもとてもよい勉強になると思える、良本でした。