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EQ こころの知能指数 ダニエル・ゴールマン著

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EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫) [ ダニエル・ゴールマン ]
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1.はじめに

いわゆる知能指数(IQ)は、知能テストを数値で表したものです。

言葉としては知っていますが、実際に自分の点数が何点かは知りません。

ノルウェーメンササイトで似たようなものが測れるようです。自分も試しました)

一方で、人生に成功するかどうかを決めるのは、単なる頭の良さでなく、本書のテーマであるこころの知能指数(EQ:Emotional Intelligence)である、というものです。

本書は、結婚生活や医療など、幅広いテーマを扱っていますが、ここではビジネスに関係すると考える箇所に絞って案内します。

2.内容

(1)情動の脳

  • 何かを決断したり行動を起こしたりする際に人間が理性と同じくらい(あるいはそれ以上に)感情に頼っていることは、誰でも経験から知っている。今の時代は純粋に理性的なもの(IQとして測定可能な知能)の価値や重要性ばかりが強調されているが、結局のところ、感情が人間を支配しているときには理性など手も足も出ない
  • 私たちの知性は、根本的に異質な2通りの認識モードが作用しあって成り立っている。事態をきちんと把握し、熟慮含味し、思慮をつけるのは「考える知性」だ。しかし、頭の中にはもう1つの別の、衝撃的で、パワフルで、ときに非論理的な命令を出すこともある「感じる知性」がある。理性と情動は相反する力関係にあって、情動が強ければ強いほど「感じる知性」が支配的になり、「考える知性」は無力になる

(2)EQ~こころの知能指数

①秀才がつまずくとき
  • その他もろもろの才能が生かせるかどうか、これがつまり、「こころの知能指数(EQ)」だ。こころの知能指数とは、自分自身を動機づけ、挫折してもしぶとく頑張れる能力のことだ。衝動をコントロールし、快楽を我慢できる能力のことだ。自分の気分をうまく整え、感情の乱れに思考力を阻害されない能力のことだ。他人に共感でき、希望を維持できる能力のことだ
  • 世の中を眺めてみると、EQが高い人ー自分の気持ちを自覚し制御できる人、他人の気持ちを推察し対応できる人ーの方が、親しい人間関係においても組織の中を泳ぎ回ることにかけても有利なようだ。こころの知能指数が高い人は、自分の能力をうまく発揮できる心の使い方を自覚している分だけ、人生における満足度や効率が高い自分の感情をコントロールできない人は内面が混乱していて、仕事や思考に能力を集中することができない
  • 社会的知性は学問的知性とは別の能力であり、健全な日常生活に欠くべからざる能力である。一例を挙げるならば、職場で高く評価される社会的知性は、部下の無言のメッセージを敏感に汲み取る上司の能力だ。
②汝自身を知れ
  • 「汝自身を知れ」というソクラテス箴言は、EQの要である「現在進行中の自己の心的状態を認識する」ことを指している。
  • 自己認識は情動に押し流されるような注意力ではない。知覚したことを増幅し過剰反応する注意力でもない。自己認識は情動の嵐の中にあっても内省を維持できる中立的な心理状態のことだ。
  • 確かに強烈な感情は人間の判断力を混乱に陥れる場合があるが、感情の認識欠如も破壊的な状況を招く。人生を左右する事柄を決める場合は特にそうだ。こういう事柄は純粋な理屈だけでは納得のいく決断が下せない。虫の知らせ、あるいは過去の経験からくる感覚的な知恵の助けが必要
③激情の奴隷
  • 目標は感情を抑えつけることではなく、バランスを取ること。どのような感情にも価値や意義がある。感情を消去したら、人生は豊かな色彩を失って単調で不毛な世界になってしまう。望ましいのは、それぞれの場にふさわしい「適切な」感情を持つこと。感情を押し殺してしまうと、人間の感性は鈍麻し現実から遠ざかってしまう。
  • 怒りは他のどんな不快情動よりも人の心をそそのかす。怒りを増幅する一人よがりのセリフで頭の中がいっぱいになり、怒りを吐き出してしまえと迫る。悲しみと違って怒りを感じると元気が出る。気分爽快にさえ感じる。
  • 怒りを鎮める方法の1つ目は、怒りの発端となった理由をもう一度問い直してみる方法。怒りは最初に衝突があり、それに対する評価から発生し、さらに評価検討が繰り返されて増大していくからだ。
  • 方法の2つ目は、さらなる怒りを喚起する要因のない環境に身を移して、急増したアドレナリンのほとぼりが冷めるまで待つ方法。怒りが鎮まるのを待つ間、何か気晴らしを見つければ、増悪の拡大にブレーキをかけることができる。気晴らしは怒りから意識をそらすのに大変有効である。
  • 怒りの発散は怒りを鎮めるには最悪の方法。怒りを噴出させると情動の脳が興奮状態になり、怒りが鎮まるどころか一層カッカとなってしまう。相手に怒りをぶつけた場合、不快な気分がかえって長引く場合が多いという。それよりも、一旦頭を冷やしてから前向きのあるいは断固とした態度で相手と対決し解決する方が、はるかに効果的
  • 不安神経症の人は、解決策を思いつくどころか潜在的危険そのものについてあれこれ考えて恐れおののくばかりで、思考の堂々巡りから抜け出すことができない。不安神経症の人は、何でも心配する。しかし大部分は、現実には起こりそうもないことばかりだ。彼らは人生の行く手に危険を読み込みすぎる。
④才能を生かすEQ
  • 同じ程度の才能に恵まれた者たちの間で一流と二流以下を分けるのは、幼いころから何年も続けて困難な訓練に耐えられるかどうかだ。この根気強さは、何よりも情動面の特性ーつらいことがあっても熱意や忍耐を持ちづけられるかどうかーにかかっている。
  • 思考し計画を立てる、高い目標に向かって訓練を続ける、問題を解決する、といった知的な能力を情動が阻害するか助長するかによって、持って生まれた才能をどこまで発揮できるか、ひいては人生でどこまで成功できるかが決まる。また、自分のやっていることに熱意や喜び、あるいは適度の不安のような情動による動機づけがあるかどうかによって、目標達成の度合いも違ってくる。才能を生かすも殺すもEQ次第。その意味で、EQは才能の総元締めといえる
  • IQは生涯変わることがなく、したがってその人間の限界を表すという説がある。一方、衝動のコントロールや社会状況の正確な読み取りなどに代表されるEQに関しては、学習可能と考えうる根拠がたくさんある。
  • 1つの認知作業(つまり心配すること)に知的資源を消費すれば、それだけ他の情報処理に使える資源が減るのは当然だ。今受けているテストに落第するんじゃないかという心配に気を取られていれば、それだけ解答に向ける注意力が少なくなる。結局、自分の心配を自分で実現させてしまうことになり、予言通りに破滅に向かってしまう。
  • EQの観点からいうと、楽観とは困難に直面したときに無気力や絶望や抑うつに陥らないように自分を守る態勢を意味する。そして希望と同じように、楽観は人生に恩恵をもたらしてくれる。もちろん、これは現実に裏付けられた楽観であることが前提だ。根拠のない楽観は、破滅につながる。
  • 気質は経験によってある程度変えられる。楽観も希望も、その意味では無力感も絶望も、学習可能。楽観や希望の根源にあるのは、心理学でいう「自己効力感」つまり自分は自分の人生を掌握できている、何代にも対応できる、という自信だ。何であれ得意な分野ができるとその人の自己効力感は強まり、より大きな目標目指して冒険したり挑戦したりする意欲が出る。そのようにして難局を乗り切ると、それがまた自己効力感を強化する。自己効力感によって人間は自分の持っている才能を最大限生かすことができる
  • 情動を生産的な目標に向けて活用していく力こそ、才能の総元締めということになる。衝動をコントロールし欲求の充足を我慢する能力も、自分の感情を思考の妨げではあく助けになるよう調整する能力も、自分自身を「フロー」状態へ導く方法を見つけて才能の向上を目指す能力も、すべて人間の努力を実りある方向へ導いていく情動のパワーを物語っている。
⑤共感のルーツ
  • 人間の感情は、言葉よりも言葉以外のしぐさで表現されるほうがはるかに多い。他人の気持ちを感じ取るカギは、声の調子、身振り、表情など言語以外の伝達手段を読み取る能力だ。
  • 人に共感することは、その人を思いやることだ。その意味で、「共感」の反対は「反感」だ。共感的な姿勢は、倫理的価値判断を下す際に欠くことができない。自分を他人の立場に置いてみる共感能力は、人間に一定の倫理原則を守らせる力となっている。
⑥社会的知性
  • 事実、知能面できわめて優秀な人間が「横柄な奴だ」とか「気に障る奴だ」とか「気の利かないやつだ」と思われて人間関係でつまずくのは、社会的能力が欠けているかに他ならない。このような社会的能力には人間関係を築き、人の心を動かし、親しい人たちとの関係を豊かにし、他人に影響を及ぼし、周囲の人間をくつろがせる効能がある
  • 私たちは人と出会うたびに情動の信号を送り出している。そしてその信号が相手の気分に影響を与える。情動の交流を上手に管理する能力もEQの一つ。情動の交流が上手な人間は周囲の者たちをいい気分にさせるから、「人気者」で「魅力的」なのだ。
  • 私たち人間は知らず知らずのうちに相手の表情、身振り、声の調子などに対する運動模倣が働いて相手が見せる情動を模倣している。この模倣行為によって、人間は他人の気分を自分の中に再構築する。
  • 要するに気分の協調性は人間関係の核心であり、対人能力を決定する1つの要素は同調性をどのくらい器用にこなせるかだ。他人の気分に同調させるのがうまい人は、情動レベルの相互関係をスムーズに運ぶことができる。優秀なリーダーの条件は、このような方法で聴衆を動かす力を持っていること。同じ意味で、感情を受け止めたり伝えたりすることが下手な人は人間関係で問題を起こしやすい。こういう人たちは、どういうことか自分でもわからないうちに、周囲の人々に居心地の悪い思いをさせてしまう。
  • 自分の本心を厳しく監視できるかどうかによって、皆に好かれようとして一生を浮草のようなカメレオンで終わるか、自分の本当の気持ちに従って社会的知性を使える人間になれるかが分かれる。後者は自分自身に対して正直である能力、社会的にどのような結果になろうとも自分の中の最も深いところにある感情や価値観に従って行動する能力を持っている人。
  • 社会のルールが守れないと、周囲の人間との間に居心地の悪い波風が立つ。ルールは、言うまでもなく、その場に関わっている人々が気を許し合えるために存在する。ルールに触れる不器用な対応は不安を引き起こす。ルールに従って行動する能力を欠く人間は社会生活の機微がわからないだけでなく、他人の感情に適切に対処することもできない。そのため、こういう人間が通った後には波風が立つ。

(3)EQ応用編(職場のEQ)

  • リーダーシップは他人を支配する技術ではなく、共通の目標に向かって力を発揮できるよう他人を説得する技術。自分自身のキャリアにおいても、仕事に対する自分の本当の気持ちを認識しどこをどう変えれば仕事に心から満足できるのか認識する能力は、何よりも大切。
  • ある意味では、批判は管理職の重要な仕事の一つ。しかしまた気の重い、先延ばしにしあくなる仕事でもある。職場の人々が効率よく気持ちよく生産的に働くためには聞きたくない話をいかにうまく伝えるかが大切。批判がどのように伝えられ受け止められるかが、最終的には仕事や同僚や上司に対する満足感を決めることになる。
  • 問題がはっきり表れている場面をとらえて批判すること。良くないと言われるだけでどこをどう変えればよいかわからない状態では、士気が低下する。具体的にどこが悪くて、どうすれば改善できるかを指示することが大切。遠回しな言い方や間接的な表現は良くない。伝えるべき要点がぼやけてしまう
  • 偏見をその場で偏見と指摘し抗議するという単純な行為が、偏見を抑制する社会的雰囲気を育てていく。何も言わないのは偏見を許す行為だ。こうした努力が実を結ぶためには、組織で上の地位に立つ人間の役割が大きい。上の者が偏見に基づく行為を非難しなければ、それは偏見を許すという暗黙のメッセージとなって下に伝わる

3.教訓

確かに、社会に出てみると、あまり出身校の偏差値(=IQ)は関係ないな、と思うことの方が多いです。

ただし、学歴がないと、就職活動においてスタート位置が異なってしまうことも、残念ながら今の日本社会では否定できない事実であると思います。

ただ、どういう形であれ、社会人としての生活が一度始まってしまえば出身校は関係なく、逆に「あの人は○○大学なのに・・」という、ありがたくない枕詞がついて回る可能性もあります。

単に自分の知識だけに頼って仕事を進めるのは止めて、相手の話す内容に加え、表情などの無言のメッセージも汲み取って、「あの人はわかってくれる」と言われるような存在を目指したいと思います。