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DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール ビル・パーキンス著

1.はじめに

数年前に、「老後2000万円問題」ということが大きく報道されました。

それを受け、将来に対する不安や節約志向が高まり、資産防衛の意識が全体に広がったように感じます。


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自分もそのような自衛意識に傾きがちでしたが、今回、ちょっと違う目線の本を読み、異なる考え方(お金の使い方)を取り入れようと思い、手に取りました。

以下に気になったポイントを引用・紹介していきます。

2.内容

(1)「今しかできないこと」に投資する

  • 今しかできないことに金を使う。今それを我慢すれば、その分の金は貯まるだろう。だが、十分な金を得たときには、すでにすれができない年齢かもしれない。金を無駄にするのを恐れて機会を逃がすのはナンセンスだ。大切なのは、自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまずお金を使うことだ。
  • 経験の価値を信じること。節約ばかりしていると、そのときにしかできない経験をするチャンスを失う。その結果、世界が必要以上に小さな場所になってしまう。人生は経験の合計だからだ。

(2)一刻も早く経験に金を使う

  • キリギリスはもう少し今を楽しむべきだし、アリはもう少し今を楽しむべき。この本の目的は、アリとキリギリスの生き方の中間にある最適なバランスを見つけること。なかでも重要なのは、「どの年齢で、どれくらい金を稼ぎ、どれくらい楽しい経験に金を費やすか」。
  • 金を払って得られるのは、その経験だけではない。その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当も含まれている。良い経験は周りに伝染する。自分が思っている以上の、ポジティブな連鎖反応が起こる。だからこそ、私たちは経験に投資すべき。
  • 年を取れば取るほど、行動に移せる経験の種類は減っていくこともまた事実。もちろん老後の備えは必要。だが、老後で何より価値が高まるのは思い出。とにかく早い段階で経験に投資すべき。そうすれば、年齢を重ねるほどに驚くほど多くのリターンが得られる

(3)ゼロで死ぬ

  • 自分の行動について積極的に考え、自らの意思で判断を下すことを習慣にすれば、「自動運転モード」な生き方はやめられるようになる。金と時間の使い方をよく考えて選択していくことは、人生のエネルギーを最大限に活用するための基本。人生を存分に楽しむためには、無意識な自動運転をやめ、自らの意思で思う方向に操縦していかなければならない。
  • 莫大な時間を費やして働いても、稼いだ金をすべて使わずに死んでしまえば、人生の貴重な時間を無駄に働いて過ごしたことになる。その時間を取り戻すすべはない。それでは最適に生きたとは言えない。
  • 高額な週末医療に備えて多額の貯金をするのは大多数にとって現実的ではない。医療費は病気の”治療”に使うより、健康を保つための”予防”に使うほうがはるかに賢明。今の生活の質を犠牲にしてまで、老後に備えすぎるのは大きな間違い。

(4)人生最後の日を意識する

  • 長寿リスクにどれくらい備えるかは、あなた自身の「リスク許容度」による。リスク許容度を考えて備える場合と、単に闇雲な恐怖にかられて備える場合とでは、とてつもなく大きな違いが生まれる。死ぬ前に金がなくなることや、死ぬことそのものをただ漠然と恐れると、恐怖の奴隷として何年も働き続けなければならなくなる。
  • 私たちの問題は「できる限り人生を充実させるにはどうすればよいか」だ。見境なく豊かになることではない。つまり、この本の目的は、富の最大化ではなく、人生の喜びを最大化するための方法を探すこと。
  • 人生の残りの時間を意識しよう。死を意識することで、人生という限られた時間の大切さがわかる

(5)子どもには死ぬ「前」に与える

  • 子どもたちに与えるべき金を取り分けた後の、残りの「自分のための金」を生きていくうちにうまく使い切るべき。そもそも子どもたちには、あなたが死ぬ「前」に財産を与えるべき。
  • 譲り受けた財産から価値や喜びを引き出す能力は、年齢とともに低下する。金を楽しい経験に変えるあなたの能力が、老化とともに衰えていくのと同じ。何かを楽しむには最低限の健康が必要
  • 親が財産を分け与えるのは、子どもが26~35歳の時が最善。金を適切に扱えるだけ大人になっているし、金がもたらすメリットを十分に享受できるだけの若さもある。
  • 何かを優先させれば、何かを逃すのは自然の理。家族と過ごすその時間は、働いてお金を稼げたはずの時間でもある。「金を稼ぐこと」と「大切な人との経験」をトレードオフの関係として定量的にとらえ、自分の時間を最適化する。働くことで得られる経済的な価値と、子どもと一緒に過ごすことで得られる経験の価値を比べればそのときに何をすべきかわかるはず

(6)年齢にあわせて「金、健康、時間」を最適化する

  • 昔の感覚をひきずり、今の自分の体力をうまく把握できていない人は多い。その感覚のズレが、老後もいくつになっても若い頃と同じようなことができるという思い込みにつながっている。
  • 端的に言えば、まだ健康で体力があるうちに、金を使ったほうがいい。金から価値を引き出す能力は、年齢とともに低下していく。能力が高いときにたくさんの金を使うことは理にかなっている。
  • 私たちはずっと、老後のために勤勉なアリのように金を貯めるべきだと言われてきた。だが皮肉にも、健康と富があり、経験を最大限楽しめる真の黄金期は、一般的な定年の年齢よりも前に来る。この真の黄金期に、私たちは喜びを先送りせず、積極的に金を使うべき
  • 時間をつくるために金を払う人は、収入に関係なく、人生の満足度を高めることがわかっている。言い換えれば、金で時間を買うメリットを享受するのに、金持ちである必要はない。

(7)やりたいことの「賞味期限」を意識する

  • どんな経験でも、いつか自分にとって人生最後のタイミングがやってくる。私たちは皆、人生のある段階から次の段階へと前進し続ける。ある段階が終わることで小さな死を迎え、次の段階に移る。それぞれの生を豊かにしようとするときに問題になるのは、後戻りができないことだけではない。それがいつ終わるか、とてもあいまいということ。
  • タイムバケットを作成し、「死ぬまでにやりたいことリスト」に期間を設定すると見えてくるのは、物事にはそれを行うための相応しい時期があるという事実。具体的な計画を立てなければ、いつまでたっても実現しないものがあることもわかるだろう。

(8)45~60歳に資産を取り崩し始める

  • ゼロで死ぬことを目指すなら、純資産は人生のある時点から減り始めなければならない。そうしなければ金が無駄になる。私たちは人生のある段階で、まだ経験から多くの楽しみを引き出せる体力があるうちに、純資産を取り崩していくべき。
  • 人生を最適化するよう金を使う場合、大半の人は45~60歳のあいだに資産がピークに達する。この範囲から外れると、人生の充実度を最大限に高めるのは難しくなる。つまり、経験のために金を十分に使いきれなかったということになる。

(9)大胆にリスクを取る

  • 全力で取り組んだのなら、結果がどうであれ、その経験から多くの良い思い出も得られるだろう。これは、「記憶の配当」の一形態。後で振り返ったとき、期待した結果が得られなかった経験も、ポジティブな記憶を生み出す。大胆な行動は、将来の幸福度を高めるという意味での投資になり、人生を豊かにする。
  • 今リスクを取れないなら、いつ取れるのか?最も大切なのは簡単な道を選ぶことではない。あなたにとって最善の道を選ぶこと。本当にやりたいことを探したいのなら、リスクを取るときがあってもいい
  • 「リスクの大きさ」と「不安」は区別すべき。人は不安に襲われていると、実際のリスクを過度に大きくみなしてしまう。最悪シナリオを乗り越える策を検討すると、リスクを取ることで起こりうる事態も、想像したほど悪くないと気付けるかもしれない。

3.教訓

この本を読んで「さぁ、お金を使いまくるぞ!」となるかというと、それは少数派なのではないかと思います。というのも、ほとんどの人が、老後の収支バランスを理解できていない、と思っています。

私自身、退職金がいくらもらえるのか、年金が毎年いくら受け取れるのかを全くといっていいほど把握していませんし、子育てが終わって夫婦二人となった場合の毎月の生活費が、今とどれくらい違ってくるのかも想像できていません。

そのため、ライフプランのアプリをインストールしても、多くの質問に答えられないので、適当な数字を入れても確信が持てず、今お金を使ってしまったらどうなるのかどうかの判断がどうしてもできない、というのが実感です。

 

ただし、子供と過ごす時間は限られるし、体力が落ちてからだとできないことなど、記載されていることは事実だということは、実感を持って受け止めます。

非日常な出来事にお金を使うと、それが失敗談だったとしても、家族で「あの時は大変だったね」と楽しく振り返ることができ、会話も弾みます。

将来を左右する規模でない出費であれば、過度に節約を意識することは控え、今を楽しむことの価値に対して金を使おうと、考え方を変えることの必要性は理解できました。

表紙の裏に「人生で大切なのは、思い出を作ることだ」と書かれている意味が、本書を読めばしっかりと受け止めることができ、これから実践していきたいと思います。