管理職おすすめの仕事に役立つ本100冊×2

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読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術 田中泰延 著

 

1.はじめに

副題の「人生が変わるシンプルな文章術」という言葉に引かれ、本書を手に取りました。

自身の仕事では、社内で守ってほしいルールを作成し、その運営を開始する依頼文を書くことが多いので、面白くもなんともない内容を読んでもらうためにはどうしたらよいのか参考にしようと読み始めました。

しかしそれは文書であって文章でなく、本書はライターなど文章を書くことで生計を立てたい人や、人気ブロガーになりたい人向け寄りの内容でしたので、ちょっと当初の目的とは外れてしまいましたが、今後もブログを続けていく際の参考になると思い、紹介させていただこうと思います。

2.内容

(1)なにを書くのか

  • レポート、論文、メール、報告書、企画書。これらは「問題解決」のためであったり、「目的達成」のためであったりする書類。世の中に出回っている「文章術」の本は、これらの書き方を懇切丁寧に教えようとしている。それらは文章というより、業務用の「文書」。
  • 随筆の定義は、「事象と心象が交わるところに生まれる文章」。事象とは見聞きしたことや知ったこと。それに触れて心が動き、書きたくなる気持ちが心象。その2つがそろって初めて随筆が書かれる。人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたい
  • 言葉に対する思考の最初になくてはならないのは、「ことばを疑うこと」。その単語に自分がはっきりと感じる重みや実体があるか。わけもわからないまま誰かが使った単語を流用していないか。自分自身がその言葉の実体を理解することが重要で、そうでなければ他人に意味を伝達することは不可能
  • 客観的な姿勢で対象に接すること、対象について調べて発見すること、対象を愛せるポイントを見つけること、伝えることを絞って短い文章にまとめること、そして何より自分が面白いと感じられないものは他人も面白くないという事実を視聴者を相手に肌で感じること。その意識を持つことが文章を書くときに役立つ。

(2)だれに書くのか

  • あなたは、全く誰からも褒められなかったとしても、朝出かけるとき、最低限、自分が気に入るように服を着るだろう。文章もそれでいい。
  • 読み手など想定して書かなくていい。その文章を最初に読むのは、間違いなく自分。自分で読んで面白くなければ、書くこと自体が無駄になる。
  • 書いた文章を読んで喜ぶのは、まず自分自身であるというのがこの本の主旨。満足かどうか、楽しいかどうかは自分が決めればいい。しかし、評価は他人が決める。他人がどう思うかは、あなたが決められることではない。
  • すべっていると批判してくる人もいる。すべることもできない人間は、すべろうともしていない。そんな人間を相手にする必要がない。
  • 他人の人生を生きてはいけない。書くのは自分。誰も代わりに書いてくれない。あなたはあなたの人生を生きる。その方法のひとつが「書く」ということ。

(3)どう書くのか

  • 随筆とは、結局最後には心象を述べる著述形式。そのためには、事象を提示して興味を持ってもらわなければならない。事象とは、常に人間の外部にあるものであり、心象を語るためには事象の強度が不可欠
  • 結論の重さは過程に支えられる。これこそ、文章が持つ力の根源。
  • 自分が最も心を動かされた部分だけをピックアップして、あとは切り捨てる「編集」をするのは自然なこと。うまく書けたもよく書けたもない。ただ「過不足がない」と自分で思えたとき、それは他人が読んでも理解できるものになる
  • 本を読むことを、すぐ使える実用的な知識を得るという意味に矮小化してはいけない。本を読むことを、その文章や文体を学ぶということに限定してはいけない。本という高密度な情報の集積こそ、あなたが人生で出会う事象の最たるものであり、あなたが心象をいだくべき対象

(4)なぜ書くのか

  • 書けば書くほど、その人の世界は狭くなっていく。しかし、恐れることはない。なぜなら、書くのはまず自分のためだから。あなたが触れた事象は、あなただけが知っている。あなたが抱いた心象は、あなただけが憶えている。あなたは世界のどこかに、小さな穴を掘るように、小さな旗を立てるように書けばいい。すると、誰かがいつか、そこを通る。
  • 言葉とは、相手の利益になる使い方をすれば、相手の持ち物も増え、自分の持ち物も増える道具。書いたら減るのではない、増えるのである。そのことを忘れずに書き、流通させ、交換させられれば、書き手はさらに価値のある言葉を手に入れることになるだろう。

3.教訓

2.の冒頭にあるように、仕事でのメールやマニュアルは、依頼する相手だったりシステムを操作したりという対象が決まっている、特定の相手の人に向かっている文書です。そこに感情はなく、単に業務を回すために存在する文字であって、私を含めたほとんどの社会人が書いているのは文章でなく文書、ということになると思います。

一方で、今現在書いている、公開設定のブログについては、不特定多数の誰かに読まれることを想定しています。個人的には、タイトルのように、管理職目線で社会人向けに参考になる本を紹介していますので、ここでも「ターゲットを想定しなくていい」という本書と真逆の戦略を取ってしまっています。

ただ、この”教訓”の部分だけは随筆的に書いている文章であると考えているため、「まず自分が面白いと思えるもの」「過不足ない内容」ということは納得の一言です。

「あ、自分もこういう場面に遭遇したことがあるので参考になる」という共感や、「ちょっとこの本を読んでみたくなった」という興味を持っていただける内容を、他の誰でもない自分の体験・言葉で表現することを意識したいと思います。