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地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 細谷功 著

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地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 [ 細谷 功 ]
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1.はじめに

一貫して記載されていることは、「結論から」「全体から」「単純に」考えることの重要性です。

地頭力とは何か、フェルミ推定とは何か、ということよりも、フェルミ推定的発想を生み出すためにはどのような考え方をすればよいか、という発想法に関する土俵への上がり方が中心です。

事実、本文中に採り上げられているのはお題は「日本全国に電柱は何本あるか?」という1題のみで、フェルミ推定の課題の解き方についての解説が欲しい方は、別の本を探した方がよいと思います。

2.内容

(1)地頭力とは何か

①「結論から」考える仮説思考力
  • 「結論から」考えることによって、最終目的まで最も効率的な方法でたどり着くことができるようになる。
  • 仮説思考を鍛えるポイントは、①どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢、②前提条件を設定して先に進む力、③時間を決めてとにかく結論を出す
  • 仮説思考の本質とは、「ベクトルを逆転して考える」「逆算して考える」こと。「はじめ」からでなく「終わり」から考えること、「手段」からでなく「目的」から考えること、「できること」からでなく「やるべきこと」から考えること、「自分」からでなく「相手」から考えること。
  • 「せっかくだから」「どうせなら」という言葉が聞こえたときには要注意。常に本来の目的を強く意識して、関係ない手段は思い切って捨てることが重要。目的を常に最終到達地として強く意識し、手段と混同しないこと。
  • 課題というのはあいまいだらけであり、ここでいちいち立ち止まって前提条件を人に確認しながら進める、あるいは確認できるまで進められないという態度で課題に臨むのと、あいまいなことは本来の目的に立ち返って現実的な線で「勝手に」決めてどんどん前に進んでいくという姿勢で臨むとでは、積み重ねていくと天と地ほどの差が出てくる。いちいち前提条件を決めてもらえないと先に進めない人たちが、いわゆる「指示待ち族」である。
  • 大切なのは、最初の仮説を検証していきながら精度を上げるという意識を常に持って、最新の情報でフレキシブルに仮説を「進化」させていくこと。当然それには当初の仮説を否定しなければならない場面も出てくるが、これを「ここまでそう考えてきたから」と当初の仮説に固執してしまっては判断を誤ることになる。
②「全体から考える」フレームワーク思考力
  • 「全体から」考えることの最大のメリットは、コミュニケーションにおける誤解や後戻りの最小化である。部分から考えるということは、個人の思い込みや思考の偏りを排除できずに、途中で誤解が発生してコミュニケーションの後戻りによって非効率になる。
  • 全体俯瞰している人は他人に説明するときも必ず誰もが共有している全体像から当該テーマにズームインして入ってくるために誤解が少ないが、全体俯瞰力が弱い人はいきなり自分の視座・視点から説明を始めて、必要に迫られて思いついたように全体像に話を広げていく(ズームアウト)ので、初めて話を聞いた人にはどこの話をしているのかわからないことが多い。
  • 「話が長い」とは、以下の3つのいずれか、あるいはそれらに組み合わせに分類できる。
  1. 話の中身の問題:「話がつまらない」、「わかりにくい」、「聞き手の興味に合っていない」あるいは「趣旨から脱線している場合。相手のことを考えない、一方的で自己中心的なコミュニケーションスタイルの場合に起きる状況。
  2. 所定の時間をオーバーする:同じ10分の話でも、予定が20分であれば短いと感じるが、5分であれば長いと感じる。
  3. いつ終わるかわからない:話の全体像が示されるままに進行すると、聞き手は「一体この話はどう展開していつ終わるのか」と苛立つことになる。
  • 分類をするときには作ってはいけない箱がある。それは「その他」という箱。これは一見「先に箱を用意している」ように見えるかもしれないが、実はそうではない。「その他」という箱は確かに箱には違いないが、これはこの分類はMECEでないことを示す象徴。なぜなら、きちんとした分類の元である軸で切断された断面であれば「その他」という箱自信が登場することはありえない。「その他」とはある意味でフレームワーク思考における思考停止の兆候である。
③「単純に考える」抽象化思考力
  • 「単純に」考えることによって、意思統一が図りやすくなるとともに、抽象化思考の本質である、「応用力を広げることによって少ない知識を様々な範囲に応用して、新しいアイデアの創造や効率化等を飛躍的に図っていくこと」ができるようになる。
  • 図解して考えることは、特にモデル化する力を鍛えるためにも非常に有効。図解するというのは、問題解決であれ何であれ、対象とする事象の特徴をとらえて簡略化し、特定の図形で代表させるという点でモデル化の発想そのものであり、図形化の訓練をするということはモデル化の訓練そのものと言ってよい。
  • モデル化、一般化するには、事象の本質を見抜くとともに、その本質とは関係のない枝葉の部分をばっさりと切り捨てて物事を考える習性が必要となる。
  • 分析をする際、「こんな顧客もいる」「あんな商品もある」といったごく少数の例外に注意が向いてしまったり、「十把一からげで考えるのは無理だ」「現実はそんなに単純でない」という話になって、いつまでも結論が出なかったという経験はないだろうか。スピード重視の時代にあって「単純に考える」ことの効用は大きい。ところが事象を単純に捉えるというのは実は非常に難しい。
  • 真の地頭型多能人に求められるのは、500ページの調査報告書の内容を、①相手に応じて、②30秒で説明できること。だらだらと長時間、複雑な資料を説明するのは、実は何も「地頭力」を使っていないと思った方がよい。
  • 我々が直面する課題というのは、表面的には違った形に見えるが実は既に同じ原因やメカニズムで起こっているというのがほとんど。したがって「先人の知恵」を拝借することによって、一から問題を解決しなくても問題解決を図ることが可能。これを有効に実施する方法が「アナロジー」。
  • アナロジー、あるいは抽象化思考にあっては、「対象とする課題が特殊である」と考えた途端に思考停止が起こる。そのため、本当に特殊なのかをきちんと切り分けて考えて部分的にでも抽象化・一般化ができないか、他の事例や一般法則から学べることがないかと考えてみることが重要。心を開いて問題意識を持っていなければそれは見えてこない。

(2)フェルミ推定をビジネスにどう応用するか

  • 時としてスピードが品質より優先順位が高くなる(時間をかけて完璧なものをアウトプットしても意味がない)場合があることを理解する。そのために期限を区切って限られた時間を制約条件とした仕事をする癖をつける。
  • 情報収集の前に仮説を立てる癖をつける。仮説に従った情報収集を心掛ける。
  • 一歩引いて全体像を見る癖をつける。自分の視点でなく、自分を客観的に見られる視点に立つ。
  • 常に最終目的を達成することを意識する。そのための全体要素の中での自部門の役割を認識する。
  • まずは自分の置かれた状況が必ずしも特殊でないことを認識して他の世界から学んでいく姿勢を持つ。一般化や抽象化によって応用力を広げる意識をつける。

(3)地頭力のベース

  1. 論理的思考力:論理的とは「誰が見ても一貫してつながっていること」。ここで重要なのは「万人に理解される」ということで、「守り」のためのツール。
  2. 直観力:創造的に新たなものを生み出していくためのブレークスルーには必ず経験や知識に裏付けられた直観力が重要。「個人技」であり「攻め」のツール。
  3. 知的好奇心:大きく分けて①What型と②Why型がある。What型の人は情報や知識を吸収することが貪欲だが、それ以上に物事を考えない傾向もみられる。Why型の人は、自分の頭で考え、既存の状況を疑ってみる姿勢を持つ。
  • フェルミ推定を実践し、地頭力を鍛えるためのツールとして活用する最大の目的は「問題解決における基本動作の習得」にある。
  • 地頭型多能人の目指す境地は、「合理的に考えて感情的に行動する」領域。

3.教訓

頭の良さは、①記憶力(What思考)、②機転力(How思考)、③地頭力(Why思考)の3次元で示される体積で表現できます。

そのうち、記憶力については、従来は重宝されてきましたが、GoogleWikipedia等の登場で相対的重要性が低下しているのは、今のビジネスパーソンでは半ば常識になりつつあると考えています。

これからも現役戦力であり続けるために、本書の考え方を参考にし、フェルミ推定の具体的な問題に取り組み、地頭力を鍛えていきたいと感じました。