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最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと マーカス・バッキンガム著

1.はじめに

原題は、"The One Thing You Need to Know: ...about great managing, great leading, and sustained individual success"です。

「あなたが知るべき一つのこと~管理すること、リードすること、継続的な個人的成功について」ということなので、少し邦題とは異なる印象です。

また、内容としては、たった一つのことについて書かれているわけではなく、①マネージャーとして、②リーダーとして、③個人として必要な1つのことと、それを構成する要素として3~4つ、さらにそれについて細分化とツリー構造で説明されるので、覚えることは一つに限りません。

購入したのは10年以上前の担当者時代ですが、実際にプロジェクトリーダーや管理職を経験してから読み返してみた方が、より理解が進みます。

 

2.内容

(1)マネジャーとリーダーの違いについて

①マネジャー
  • 優れたマネジャーの仕事についての出発点は、部下一人ひとりの才能。課題は部下の才能を業績に結び付ける一番の方法を見つけ出すこと
  • マネジメントという観点から見れば、マネジャーの成功または失敗は、他の誰かと働くより自分と働くことで部下の生産性が上がるかどうかにかかっている。そしてそれをうまくやる唯一の方法は、部下一人ひとりの成功こそが自分の一番大切な目標だと、彼らに心から信じてもらうこと。
  • 優れたマネジャーは、部下の成功の手助けせずにはいられない。脳の回路から、優れたマネジャーは部下に直ちに興味を抱き、部下が大きな成功を収められる環境をどう整えるかという課題に好奇心をそそられるようにできている。
②リーダー
  • 優れたリーダーは、よりよい未来に向けて人々を一致団結させる。リーダーを定義するものは、未来への関心である。リーダーは頭の中で未来のありようをくっきりと描く。このイメージがリーダーを動かす。このイメージこそが、どんなことよりリーダーの行動の動機となる。
  • 「私は不満を覚える」、これこそがリーダーの信条。リーダーは決して現状に満足しない。よりより未来が見えるから。「現実」と「可能性」の衝突がリーダーを燃え立たせ、奮起させ、前進させる。これがリーダーシップである。優れたリーダーシップを支える才能は、楽観主義と自我である。
  • リーダーが過大な要求をするのは、よりよくありたいと思っているから。彼らの自負が、そういった要求をしたいという願望と、それを実現できる能力の両方とが分かちがたく結びついている。

(2)優れたマネージャー

卓越したマネジャーなら誰でも知っている「たった一つのこと」とは、部下一人ひとりの特色を発見し、それを有効に活用すること

  • 優れたマネジャーとして失敗しないスキルは以下の4点
  1. きちんと人を選ぶこと
  2. 期待する仕事の内容をはっきり示すこと:優れたマネジャーは、ミーティングやすべて会話等において、期待するものを明示し続ける。優れたマネジャーは、部下の誰かと話すたびに、期待をほんの少しでもよりはっきりと示すチャンス。
  3. 褒めることと認めること:部下から最高のものを引き出すには、彼らの行動から生じる結果を注意深くコントロールしなければならない。ある特定の行動を繰り返してほしいなら、その行動が必ず、確実・即時的・肯定的な結果につながるようにする。要するに、よい仕事を即座に認めて、褒めるマネジャーになる。素晴らしい成果は、たいていその場限りのものでなく、実践と改善を繰り返した結果である。マネジャーの仕事はこうした改善の積み重ねに気づき、それを祝福すること。そうすればその人物はますますそれを繰り返すようになり、卓越した業績へと昇り続けるようになる。
  4. 部下に気遣いを示すこと:優れたマネジャーは部下に甘いということではない。その反対で、業績の悪い部下にはすぐに厳しい対応をする。どの部下にも成功を収めてほしいからだ。優れたマネジャーは、気にかけている部下が凡庸な業績に甘んじているのを見るのに耐えられない。意外に聞こえるかもしれないが、気遣いのできるマネジャーは、不十分な成果にはすぐに対処するもの。
  • 卓越したマネジメントは「作りかえる」仕事ではない。あらかじめ決められた役割を完璧にこなすように部下を作り替える作業に専念すれば、自らも失敗し、部下のやる気もくじくだけ。真のマネジメントは解放すること。部下一人ひとりのユニークな貢献、要求、スタイルに完全な自由を与えるよう、常に職場環境を整える仕事。
  • 部下一人ひとりの特色を活かすことで、自分の時間を節約できる。最も才能に恵まれた部下でさえ、完全にオールラウンドではありえない。また、部下一人ひとりの独自性を活かすことで、周りの世界に健全なレベルの破壊をもたらすことができる。抜きんでている人は、単に飛び出しているだけでなく、頭を高く上げ、視野が広い。より遠くまで、より早く短い時間で見ることができる。どのような破壊的発見がなされるかは誰にもわからない。マネジャーとして最終的にその発見を却下することになるかもしれないが、こういった発見に心を開いておくことは必要。
  • 人材を有効に活用するために知るべきことは3つある。
  1. その人の強みと弱みを知ること
  2. その人にとって何が引き金となるかしること
  3. その人独自の学習方法を知ること

<①強みと弱み>

  • 凡庸なマネジャーは、ほとんどのことは学習できると信じ、マネジメントで大切なのは部下一人ひとりの弱みを見出し、それをなくすことだと思っている。優れたマネジャーはその逆で、人で最大の影響力を持つ特質は生まれつきのものだと信じている。だからマネジメントで大切なのは、生まれつきの特質をできる限りうまく配置して、成果を引き出すこと。
  • 部下に張り切って仕事をしてもらいたければ、今取り組んでいる仕事は難しいと信じ込ませること。この仕事は難しいと、健全なレベルの敬意を持たせる必要がある。たやすい仕事と思えば、学習と達成の両方が遅れることになる。
  • 自分の能力についていくぶん非現実的な自信を持っている人の方が、現実的な自己評価をする人より優れた業績を上げられる。自信過剰気味の楽観主義者の方が、障害に出くわしたときに粘り強く、立ち直りも早い。だから、部下に全力で働いてほしい、妨害があってもやり通してほしいと思うなら、本人の強みについての思い込みを後押しするといい。強みを強調しすぎるくらいでいい。成功に必要なものは持っているという、大きすぎるほどの自信を与えること。
  • マネジャーの仕事は自信を持たせることであって、自己認識を促すことではない。自信がつけばつくほど、部下は将来、より生産的により粘り強くなる。だからもし役割を変えようとして、試しに役割につくことすら受け付けないほどの抵抗にあったら、どこか他の場所で仕事を探してもらうしかない。

<②引き金>

  • 人の強みは本来強力なものだが、スイッチの入った状態を保つには、正しい引き金を引く必要があることを、優れたマネジャーは知っている。正しい引き金を引けば、相手は懸命に努力し、妨害にも屈せず仕事をやり通す。間違った引き金を引けば相手は心を閉ざすだけ。
  • あらゆる種類の引き金の中で、ずば抜けて効力を発揮するのは「認知」だ。成果をきちんと認めれば部下からいい反応が返ってくることはほとんどのマネジャーが知っている。しかし優れたマネジャーは、これに磨きをかけて適用範囲を広げる。優れたマネジャーになるつもりなら、部下が最も重視する観客を見ぬかなければならない。

<③学習スタイル>

  • 「分析思考型」の部下を教育する一番の方法は、学習時間をたっぷり与えること。一緒にロールプレイを行い、事後検討し、本人の業績を構成要素に分解して、注意深く全体を再構築させる。準備の時間は必ず与える。
  • 「行動型」の人間を教育する最高の方法は、新しい状況に放り込んで、ぶっつけ本番の対応を命じること。行動型の人間にとって最も効果的な学習の機会は行動の最中に訪れる。行き詰まりも試行錯誤も間違いも、行動型の人間にとってはすべて学習プロセスの欠くことのできない一部。
  • 「観察型」の部下を教育しようと思うなら、教室から追い出して、マニュアルを取り上げ、経験豊富な社員の横に座らせるのが、一番効率のよい方法。

(3)優れたリーダー

優れたリーダーが、行動の指針として皆知っている「たった一つのこと」とは、普遍的なことを発見して、それを活用すること。

  • 優れたマネジャーは、個人と企業の間の触媒として働く。部下と1対1で向き合って、初めて役割をうまく果たすことができる。優れたリーダーは、よりよい未来に向けて人々を一致団結させること。そういう意味で、リーダーは触媒ではなく起爆剤
  • 優れたリーダーになるためには、誰のために働くかを明確に示すこと。その気があれば調査や研究を行って顧客層の分類に精を出してもいいが、最終的にリーダーとしての成功を左右するのは、どんどん複雑になる顧客区分でなく、ターゲットとなる顧客層を決め、そのニーズをはっきりと描いて見せる能力。これが従業員の自信を左右する。
  • 尺度の持つ力を再認識してもらうこと。計測できることを分類して、従業員が集中すべき一つの尺度を見極めるというリーダーの責務を示すこと。人を従えたいのであれば、未来という森の中で前進の度合いを確かめる尺度を示さなければならない。リーダーは、私たちがどこまで来ていて、あとどれだけ進めばいいのかを明らかにする、核となる尺度を示さなければならない。
  • 正しい尺度など存在しない。リーダー達が、核となる一つの尺度に注目することによって、人々に明確に目標を示すことで、人々により大きな自信と創造力と根気強さと活力を与える。
  • 行動はあいまいではない。リーダーであるあなたが、慎重に選んだいくつかの行動にスポットライトを当てれば、ついていく私たちは喜んでその行動を自分なりに理解し、未知のものに対する不安をやわらげるために使うだろう。
  • 有能ななリーダーは、みな仕事の中で明確さの探求に役立つ3つの規律を保っている。
  1. 考える時間を作る:彼らはみな熟考する。反芻する。考える時間がこのうえなく貴重なものだと気付いている。この時間を自らに課すおかげで、否応なく起こったことをすべて分析し、あらゆることをふるいにかけ、アイデアを現実に当てはめたり引っ込めたりし、最終的に結論を出すことになる。この結論を引き出す能力があればこそ、物事を明確に提示できる。
  2. 慎重にヒーローを選ぶ:どんな共同体においても、人々の未来の行動を予測したいなら、その共同体のヒーローに目を向ければいい。その共同体が重んじる人物や出来事を見る。
  3. 練習する:彼らは、私たちによりはっきりと未来を理解させるための言葉やイメージやストーリーを繰り返し練習する。
  • 有能なリーダーは情熱的である必要はない。魅力的である必要もない。才気あふれる人物、親しみやすい人物でなくてもいい。弁舌に長けていなくてもいい。ただ明確であればいいだけ。

(4)個人の継続的な成功

継続的な成功のために私たち全員が知らなければならない「たった一つのこと」は、自分がしたくないことを見つけ出し、それをやめること。

  • 「採用のパラドックス」を避ける。すなわち、経験が無ければ仕事は得られない、しかし仕事が無ければ経験は得られない。だから先を読んで、特別なプロジェクトや一度限りの仕事を探すといい。そうすれば、現在の職業では得られない技術や経験も持っていると主張できる。
  • 人が一番多くのことを学ぶのは、弱みとする分野からではない。人が一番やる気を起こし、やりがいを感じるのは、欠点を修正しようとするときではない。
  • やる気と熱意を保って次々と課題を解決したいなら、絶対に避けるべきことは、心地よい領域から離れ、すでに熟練した活動とは完全に異なるものの中へ飛び込むこと。大いなる熱意と成功は、新しい領域、初めての領域、異なる領域では発生しない。新しい課題が、既に熟練した領域のものと似ていれば似ているほど、素早く学習し、屈せずやり通し、高い目標を設定して達成できる可能性が高くなる。
  • 苦手なことは何度も失敗する。一つの活動で失敗すれば、その活動に関する自己効力感は低下し、落胆が増す。そして時が経つにつれ、単純に本能的自衛手段として、その活動を避けるようになる。

3.教訓

マネジメントとリーダーシップは、それを使う人によって、言葉の定義は微妙に異なります。

しかし、管理職にとっては、どのような意味で使われようと、双方を発揮されることが求められます。

本文中に繰り返された、「優れたマネジャーは・・」、「優れたリーダーは・・」という引用した部分をしっかり理解し、実践していきたいと考えています。